【プレミアリーグ・シーズンプレビュー】今季もシティ&リバプールの一騎打ちか 新戦力到着で対抗馬となるのは…

2019.08.09 21:00 Fri
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2019-20シーズンにプレミアリーグが8月9日(金)に開幕を迎える。開幕戦は、昨季王者マンチェスター・シティと最後まで死闘を繰り広げ、チャンピオンズリーグ(CL)では14年ぶりの栄冠を手にしたリバプールと、チャンピオンシップ(イングランド2部相当)で優勝し、4年ぶりにプレミアの舞台に戻ってきたノリッジ・シティによる一戦だ。

◆王者に死角なし!プレミア史上2度目の3連覇へ!~マンチェスター・シティ~
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前人未踏の勝ち点100に到達した17-18シーズン同様に昨季も圧倒的な力でプレミアリーグを制覇したシティ。猛追するリバプールを振り切っての優勝は“2強”と謳われたリーグの絶対王者であることを示したと言える。

今シーズンも優勝大本命と位置付けられる中で、この夏に行った補強は3人。昨夏同様最低限にとどめたが、アトレティコ・マドリーから獲得したロドリとPSVから買い戻したアンヘリーニョは、シティの弱点となりうるポイントを確実に抑えた。前者は、昨季の公式戦42試合に出場したものの34歳という年齢を考慮したうえでのフェルナンジーニョの代役に。後者は手薄になりがちな左サイドバックを埋める存在として期待されている。さらに市場閉幕ギリギリのところで、ユベントスとの間でダニーロとカンセロのトレードを決行。両サイドバックにメスを入れた夏となった。
また攻撃陣に目を向けると、昨季はケガで思うようなパフォーマンスを出せなかったデ・ブライネが初っ端からパワー全開で出場できるのは補強以上に大きい。プレシーズンマッチでも他の選手とは一線を画す動きで攻撃のタクトを揮っていた。さらに、背番号を9に変えて心機一転を図ったジェズスや脂の乗ったスターリングが前を固めて、スカッドに隙は一切見当たらない。3連覇となればプレミアリーグではマンチェスター・ユナイテッドに続く2度目の快挙。今シーズン限りで退団を表明しているダビド・シルバに花を添えられるか。

◆欧州チャンピオンが見据えるはフットボール母国の頂~リバプール~
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今シーズンもやはりシティとリバプールの一騎打ちが予想される。昨季、アリソンが加入したリバプールは2年目のファン・ダイクが中心となり一気に守備が強化され、シティに負けず劣らずのスカッドを作り上げた。失点数は王者をも凌ぐ「22」、得点数も「89」と優勝してもおかしくない数字を叩き出した。事実、積み重ねた勝ち点「97」はクラブ最多及びリーグ2位における史上最多勝ち点となった。
さらに、昨シーズンもう一つのトピックはCL優勝。プレミアではシティとの優勝争いを演じつつ、こちらではベスト8で脱落したシティを横目にトッテナムとの決勝に進出。エースと伏兵のゴールでビッグイヤーを掲げた。際立ったのはクロップ監督の手腕。50試合以上消化したリバプールにおいて、巧に選手を使い分け失速することなく1年を走り抜けた。控え選手が結果を残したことも少なくなく、CL決勝で決勝ゴールを挙げたオリジはその筆頭だ。

ほぼ100%に近い完成度ということもあり、今夏の補強はGKアドリアンのみ。主力流出も避けられ、昨季よりもさらに円熟味の増したチームでシティに挑む。欧州王者が狙うは悲願のリーグ制覇だ。

◆1年半ぶりの補強は実力者揃い! 的確補強で優勝争いへ~トッテナム~
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上位2チームに食い込んでいきたいのが昨シーズン4位のスパーズだ。1年間補強なしという修行のようなシーズンだったながらクラブ史上初のCL決勝進出を果たすなど、チーム力という面では随一のレベルであることを証明した。また、補強ゼロに加え負傷者の多さに悩まされることとなったが、シソコやソン・フンミン、ルーカス・モウラらがそれを補って余りある活躍を披露してくれた。

そして今夏、ついに1年半越しの補強に動き、エンドンベレ、ライアン・セセニョン、ジオバニ・ロ・セルソを獲得。エンドンベレはマンチェスター・ユナイテッドも獲得に動いた逸材で、クラブ記録の移籍金を支払ってリヨンから獲得に漕ぎ着けた。クラブが長らく関心を示してきた左サイドのスペシャリストセセニョン、買い取りオプション付きレンタルで獲得したロ・セルソはポチェッティーノ監督に大幅に選択肢を増やした。

とはいえ、アトレティコ・マドリーへ移籍したトリッピアーの代役や、ヤンセンとジョレンテが退団したことで務める選手がいなくなったケインのバックアッパーを確保できなかったことは懸念材料の一つだ。

◆点取り屋を放出して守備を強化、吉と出るか凶と出るか~マンチェスター・ユナイテッド~
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昨季は失意のシーズンを過ごしたユナイテッドだが、今シーズンは期待が持てるかもしれない。今夏大金をつぎ込んでワン=ビサカとマグワイアを補強。DF史上最高額となったマグワイアはユナイテッドが垂涎していた選手で、長年課題だった守備の強化をようやく実現させた。イングランド屈指の右サイドバックとして知られるワン=ビサカはすでにプレシーズンマッチで好プレーを見せており、主将バレンシアが抜けた穴を完全に埋めてくれるはずだ。

一方で、昨シーズン公式戦15得点のルカクをインテルに放出。2017年夏に加入した同選手だが、実力を発揮しきれずスールシャール監督下では序列を落としている状態だった。プレシーズンマッチも出場せず、おそらく昨季終了の時点で退団は既定路線だったのだろう。

また、アンデル・エレーラも契約満了に伴いクラブを退団したが、昨シーズン54失点を喫した守備を強化できたことはそれ以上に大きい。攻撃力は問題なかっただけに、今シーズンはどれだけ失点を抑えることができるかが上位進出のカギとなる。

◆超強力3トップ完成! 守備次第で優勝候補に~アーセナル~
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ウナイ・エメリ政権2年目を迎えるアーセナルも単穴としてシティやリバプールに圧力をかけていきたい。この移籍市場でラムジーやチェフ、コシエルニーなど昨季の中心選手が去ってしまったが、代わりにダニ・セバージョスをレアル・マドリーからレンタルで獲得。極め付きはクラブ史上最高額の移籍金でリールからニコラ・ペペを獲得したことだ。同選手には今夏多くのビッグクラブからの関心が寄せられていたが、緊縮財政と報じられていたアーセナルがその争奪戦を制した。

これにより、昨季のプレミアリーグ得点王のオーバメヤンと13ゴール10アシストのラカゼットに、昨季のリーグ・アン全38試合に出場し22ゴール11アシストという圧巻の成績を残したぺぺを加えた超強力ユニットが完成。エメリ監督にとってもこれほど頼もしい3トップはないだろう。

さらに、コシエルニーが抜けたセンターバックにはライバル・チェルシーからダビド・ルイスを獲得。実力もプレミアでの経験も申し分ない人物で、デッドラインデイで最後のピースを揃えた。

◆補強禁止の1年をどう乗り切る? ランパード監督の手腕や如何に~チェルシー~
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昨季はプレミア3位に加え2度目のヨーロッパリーグ優勝を果たしたチェルシーだが、今季はトップ6の中で最も厳しいシーズンを過ごすことになるかもしれない。初挑戦であることを考慮すれば上々の成績とも言えたマウリツィオ・サッリ監督をわずか1年で解任し、クラブのレジェンドランパードを後任に据えた。だが、始めてから2年目の新人監督に重く圧し掛かっているのは補強禁止処分だ。

18歳未満の外国人選手の移籍に関する違反を犯したチェルシーは、今夏も含めて2度の移籍市場での補強を禁止され、この夏にスタンフォード・ブリッジにやってきたのは冬の間に獲得を成功させていたプリシッチぐらい。また、昨シーズンはレンタル加入だったコバチッチを完全移籍に切り替えられたのはせめてもの救いだろう。それでも、絶対的エースだったアザールがレアル・マドリーに移籍した損失は底知れず大きく、今シーズンにその穴を埋めることが出来るかどうかは未知数だ。

さらに、市場閉幕ギリギリでダビド・ルイスがアーセナルに移籍。ランパード監督との関係が円満ではなく、定位置が保証されていなかったことが今回の電撃移籍につながったとみるメディアもある。いずれにせよ、ブルーズの今季の出来は、ランパード監督の手腕にかかっている。

◆CL出場は夢ではない?! 今季も台風の目になるか~ウルブス、エバートン~
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台風の目と予想されているのがこの2クラブだ。昨季はそれぞれ7位と8位フィニッシュとなったウォルバーハンプトンとエバートン。昇格組だったウルブスはヌーノ・エスピーリト・サント監督の下、予想外の戦いを見せた。とりわけトップ6との対戦成績が良く、アーセナルやチェルシー、マンチェスター・ユナイテッドはウルブス相手に黒星を喫している。そんな強力スカッドは今季も健在で、主力を引き抜かれるどころかクトローネやデンドンケル、ヘスス・バジェホら実力者を取り込みさらに強化。プレシーズン中に中国で行われたプレミアリーグ・アジアトロフィーでは、シティをPK戦で破るなど、再びプレミアをかき回してくれる予感が漂っている。

エバートンは昨夏に就任したマルコ・シウバ監督の下、時間の経過と共に成績も向上していった。今夏の動きは、主力を担っていたグイエをパリ・サンジェルマンに引き抜かれた一方で、後釜にファビアン・デルフ、グバミン、イウォビを獲得。さらにユベントスから有望株モイゼ・ケアンの獲得も成功させ、全体的に成功の市場だったと言える。元々地力のあるエバートンが、2年目を迎えるリシャルリソンのさらなる成長と、新戦力の適合を上手くすることが出来れば、トップ6の牙城を崩すことも夢ではない。

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