そろそろゴールを見せてほしい…/原ゆみこのマドリッド
2019.07.26 12:30 Fri
「やっと頼もしいストライカーが来たのね」そんな風に私が喜んでいたのは木曜日、レガネスがブライトバイテを獲得したというニュースを見つけた時のことでした。そう、彼は昨季後半、ミドルスブラからマドリッドの弟分チームにレンタルで加入、来た途端、レアル・マドリー相手にゴールを挙げ、ファンのハートをガッチリ、キャッチしたデンマーク人FWなんですが、この度、晴れて2023年までの契約を結ぶことに。大体がして、折しも前日、モロッコでラジャ・カサブランカと行った親善試合で彼らはスコアレスドローでしたからね。
その前にシュダッド・デポルティバ・ブタルケであった2部の弟分仲間、ラージョ・バジェカーノ(昨季1部から降格)とフエンラブラダ(昨季2部に初昇格)との練習試合ではそれぞれ、2得点ずつ。サビン・メリーノが両試合でゴールを挙げ、1人、気を吐いていたとはいえ、とてもそれだけでは3年連続の1部残留を達成するには心もとなかったものの、これなら、まだアフリカ・ネイションズカップのモロッコ代表でプレーした後、まだバケーション中のエン・ネシリが戻ってくれば、得点力に関してはもう安心?
そのブライトバイテは同日、入団が発表されたマルク・ナバロ(ワトフォードからレンタル)とロサレス(マラガから移籍)ら、2人の右SBと共に合流して、土曜のイテイハド・タンジェ戦から、ペジェグリーノ監督の前線のオプションを増やすことになりますが、地元のファンがその雄姿を拝めることになるのは来週水曜、再びシュダッド・デポルティバ・ブタルケで午前9時30分から始まる第3の2部の弟分、アルコルコンとの練習試合になる見込み。その後もリーグ1のアミアン、ホームのブタルケでの新チームお披露目試合も2部のアルバセテと、一流どころとの親善試合はないレガネスですが、8月17日のリーガ開幕戦は今季、3年ぶりに1部に戻って来たオサスナとあって、却ってその方がいいのかもしれませんね。
ちなみに今回、一気に2人も右SBを獲得したレガネスだったんですが、実は昨季、そのポジションを務めていたニヨムを私は水曜にお隣さんのヘタフェで目撃することに。そう、バレンシア州のオリバ・ノバ・ビーチ&ゴルフ・ホテルでのキャンプを終え、先週末にはアルバルベ(ポルトガル南部のビーチリゾート)でイベリア・カップ(夏の親善大会)でポルトに2-1で負けて準優勝に終わった彼らは今週、地元でトレーニング。その一環として、コリセウム・アルフォンソ・ペレスの右横を下りていったところにある練習場でラージョ・マハダオンダ(昨季2部Bに降格したラージョ・バジェカーノとは別のクラブ)と、入場無料の練習試合があったんですが、やっぱり午後7時30分は暑かったの何のって。
それにも関わらず、このプレシーズン、初めて地元で見られる試合とあって、大勢のファンが詰めかけたんですが、何とか、ギッシリ人で埋まった日影のスタンドに隙間を見つけられたのはラッキーだったかと。すると丁度、スタメンたちがアップに励む中、それまでスタジアムでジムなどをやっていた選手たちがパラパラやって来て、その中にニヨムがいたという訳ですが、昨季はウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンからレガネスにレンタルでプレーしていたのを今季はヘタフェと契約したそうで、木曜には入団の正式声明も出ています。
オリバの合宿でダミアンやアランバリら、ウルグアイ人選手の先輩たちにバリカンで髪にいたずらされ、その日は丸刈りになって様相がすっかり変わっていた、同じカンテラーノながら、ウード・ドゥーロなど、昨季は兄貴分チームで何度も出場したせいか、間違えるファンもなく、練習の日と変わりなく、選手たちが三々五々、歩いてスタジアムに戻る試合後にはサインと写真を頼まれて大忙しでしたけどね。なかなか肌の黒い選手の顔を見分けられないのはスペイン人でも同じなんだなと、私もちょっと安心することに。
え、そんな帰り道、「ガクはもういないぞ」とヘタフェの自称、フーリガンのグループにからまれた時、ちょっと怖くなかったのかって?いやあ、暑さ呆けしていたせいもあって、彼らがいきなり、今週、デポルティーボ(2部)への移籍、リアソルで入団プレゼンされていた柴崎岳選手の名前を歌いだしたのが面白くてビデオを撮ってしまったぐらい。最後にズボンを下ろして、お尻を出していた人がいたのには参りましたが、まあ基本的にこのクラブのウルトラ(過激なファン)たちはライバルチームの同業者としか争いませんからね。日本人を見つけて、同じようにからかってくることはあるかもしれませんが、試合の日には警官も多いため、あまり気にすることはないのでは?
おっと、本題を忘れてはいけません。肝心の試合では前半、ラージョ・マハダオンダにかなり攻められていたヘタフェだったものの、後半にはイベリア・カップではまだ不発だった自慢の熟年FW陣が得点。ええ、15分にはやはり、レガネスから昨季後半にジローナを経て、この夏、入団した左SBラウール・ガルシア・カルネロが上げたクロスを37歳のエース、ホルヘ・モリーナが頭で叩き込むと、終盤には途中出場した30歳のマタが2発を決めて、ヨーロッパリーグに出場する今季は是非とも再び、スペイン代表のユニを着たいという意欲を示してくれましたっけ。
オリバのキャンプで太ももを痛めた32歳のアンヘル、先日入団した同い年のエリック・ガジェゴは出ませんでしたが、ボルダラス監督もベタランたちのゴール力が衰えていないことには大満足だったかと。ちなみに次は土曜にサラマンカ(スペイン内陸の大学都市)でスポルティング・ヒホン(2部)との親善試合を行い、更にアルバセテ(2部)、クロトーネ(セリエB)、マジョルカ(今季から1部)、最後には8月10日に昨季、クラブ史上初のCL出場権をゲットしたアタランタ(セリエA)をホームに迎えるんですが、何せ、ヘタフェも昨季はあと一歩で、兄貴分たちと肩を並べて、CLの舞台に届くところまで行きましたからね。この新チームお披露目試合でもしっかり勝って、今季こそはELの上を目指す気概を見せてくれたら、私も嬉しいです。
さて、そんな感じで弟分たちが着々と新シーズンの準備を進めている中、アメリカツアー中のマドリーとアトレティコはどうしていたかというと。いやあ、これが結構、心配の種が尽きなくて、どちらも火曜の深夜にインターナショナル・チャンピオンズ・カップの試合があったんですけどね。午前1時からアーセナル戦をスタートしたマドリーはこれが2試合目だったんですが、前半10分にはラカゼットのシュートをゴール左前で防ごうとしたナチョがボールを手に当ててしまい、PKを献上してしまったのみならず、レッドカードで退場させられてしまうことに。
当のラカゼットに1点を決められた後、ジダン監督もその日は2トップの破壊力を試そうとベンゼマと共に先発させたヨビッチ(フランクフルトから移籍)をバランに代え、被害を最小限に留めようとしたんですけどね。24分にはオバメヤングがGKケイロル・ナバスをかわすと、セルヒオ・ラモスも防ぎきれず、2点目を奪われてしまったから、さあ大変!初戦もバイエルンに3-1と負けていた彼らとなれば、このままgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)なんかされた日にはどうするんだろうと、私も不安になったものですが、40分、アーセナルのCBソクラティスが2枚目のイエローカードをもらい、数が拮抗したことに救われます。
いえ、後半からの選手交代ももちろん効いたんですけどね。というのもバイエルン戦前には中国のクラブとの交渉が佳境。自らベンチ入りを遠慮したというベイルが、江蘇蘇寧も北京国安も自身は多額の年棒を保証されても、移籍金を2000万ユーロ(約24億円)程度しか払わないというのがネックになって話がまとまらず。そこで、「El queria jugar y el otro dia no/エル・ケリア・フガール・イ・エル・オトロ・ディア・ノー(他の日は違ったが、プレーしたがった)」とジダン監督)も後で言っていたように、当人の気が代わり、ピッチにCFとして入ったのが大成功だったんです。そう、同じく後半から出場したマルセロからのパスを蹴ったアセンシオのボールはGKマルティネスに弾かれてしまったものの、ベイルが足を伸ばしてゴールにしてくれたから、ありがたいっちゃありません。
おまけにその3分後には再び、マルセロからボールを受けたアセンシオが今度は自分で決めて、見事同点に追いついたマドリーだったんですが、うーん、運命とはかくも残酷。だってえ、それから5分もしないうち、オバメヤングとボールを争ったアセンシオが倒れ、涙に暮れながら、担架退場しちゃったんですよ。しかも重傷の予想がしっかり当たり、左ヒザ前十字靭帯と半月板の断裂で回復に8、9カ月かかるって、これじゃU21ユーロのスペイン代表参加を辞退、トロフィーを掲げる機会を逃してまで、バケーションを優先し、マドリーでの今季の巻き返しに懸けていた意味がまったくなくなっちゃったじゃないですか。
実際、こういう悲劇を目の辺りにすると、バイエルン戦に出たがらなかったベイルをとても責められないんですが、ジダン監督が言うにはアセンシオの長期離脱も彼の状況とは、「No tiene nada que ver/ノー・ティエネ・ナーダ・ケ・ベル(何の関係もない)」のだとか。でもねえ、結局、このアーセナル戦は2-2でPK戦に突入。最初のキッカーだったベイルは弾かれてしまったものの、GKクルトワもジャカを弾き、モンレアルはゴールポスト、更にバートンが外してしまったため、イスコ、バラン、ビニシウスが成功したマドリーが3-2で勝ったんですけどね。
とはいえ、やはりゴール不足感は否めないため、半分FW、半分MFのアセンシオが使えなくなった今、貴重な得点源であるベイルまで放出するのはどうかと思うんですが、さて。その一方で攻撃的MFの余っているマドリーだからでしょうか。木曜にはためらいなしにセバージョスをアーセナルに1年レンタルすることを決め、まあ、それは火曜に出番なかった久保建英選手にはちょっとライバルが減って朗報なんですけどね。彼の場合、外国人選手枠の関係で、トップチームには呼ばれる時はやはりEUの国籍を持たないロドリゴ(サントスから移籍)と替わりばんこになりそうだとか。
それも現在、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でコパ・アメリカ参加後、遅めのプレシーズンを始めたバルベルデがもうすぐ取れる予定の二重国籍になってからの話で、当面はビニシウスとミリタオ(ポルトから移籍)で3人となると、何だか難しそうですが、まあそれはそれ。今はとにかく、早くベンゼマやヨビッチがゴールを挙げてくれないと、昨季の屈辱を晴らしたいファンも心置きなく、バケーションに行けないんじゃないでしょうか。
え、それよりもっと憂鬱なのはお隣さんの方じゃないのかって?いやあ、その通りで、マドリーの試合の直後、ダラスでチバス・グアルダラハラと対戦した彼らは1点も取れずにスコアレスドロー。まあ、一応、先日のヌマンシア(2部)戦で腰を打撲して前半27分で退いたジョアン・フェリックス(ベンフィカから移籍)は大事をとってベンチ外、おまけに月曜にマドリッドを発って、翌日夜のプレーだったため、時差呆けが抜けてないなんて理由もあったんですけどね。だからって、前半24分、マルコス・ジョレンテ(同マドリー)がロングボールをクリアし損ね、GKオブラクに敵が向かうのを防ごうと、ユニフォームを引っ張って倒し、レッドカードをもらっていい訳ありませんって!
いえ、シメオネ監督は「En futbol puede pasar. No ves al rival que viene detras/エン・フトボル・プエデ・パサール。ノー・ベス・アル・リバル・ケ・ビエネ・デトラス(サッカーでは起こりうる。後ろから来る敵を見てなかった)」と、そんなに怒ってはいませんでしたけどね。とりあえず、前半はサウールの1人ボランチで凌いだアトレティコだけに相変わらず、ジエゴ・コスタとモラタにゴールが生まれなくても仕方はなかったのかもしれませんが、この試合も後半15分にはチバスのビジャヌエバが2枚目のイエローカードをもらって、数的劣勢は解消していたんですよ。それでもハーフタイムで10人全員を代え、うち5人はカンテラーノ(アトレティコBの選手)、CFはこれまたミランへ移籍予定のコレアって、まあこのチームは最後までご奉公がお約束ですからね。
一応、相手の退場の受け、シメオネ監督も色気を出したか、この日、初出場となったコケを20分には21歳の新鋭FW、サポンジッチ(同ベンフィカ)にしてみたんですけどね。最後まで両チームに得点はなく、おまけにPK戦でそのサポンジッチは失敗しちゃいましたしね。いくらGKアダンがチバスの5番目のキッカーを弾き、何故か、コケにキャプテンマークを託されたカンテラーノのトニ・モヤに続き、同僚のサナブリアが決めると、最後は敵キッカーがゴールを外し、4-5で勝ったって…もう朝の5時では私もあんまり喜べなかったかと。
実はこの土曜午前2時(日本時間午前9時)には、このまだエースにゴールのないマドリッド兄貴分同士がニュー・ジャージーのメットライフ・スタジアムで国外ダービーなんですよ。マドリーにもまだ悩みはあるとはいえ、アーセナル戦ではトレードマークの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)に迫りましたし、そろそろアザールなどもチームに慣れてくるはずですからね。それに比べて、水曜にはNFLのダラス・カウボーイズの施設を訪問してアメフトを教わっていたり、ダラス大学野球部にも行ってバッティング練習とか、アトレティコの選手たちがちょっと危機感足りないみたいなのは気になりますが、こればっかりはねえ。頼りの綱が温存された19歳のスーパースター候補、ジョアン・フェリックスだけというのもちょっと、心細く感じるところです。
その前にシュダッド・デポルティバ・ブタルケであった2部の弟分仲間、ラージョ・バジェカーノ(昨季1部から降格)とフエンラブラダ(昨季2部に初昇格)との練習試合ではそれぞれ、2得点ずつ。サビン・メリーノが両試合でゴールを挙げ、1人、気を吐いていたとはいえ、とてもそれだけでは3年連続の1部残留を達成するには心もとなかったものの、これなら、まだアフリカ・ネイションズカップのモロッコ代表でプレーした後、まだバケーション中のエン・ネシリが戻ってくれば、得点力に関してはもう安心?
そのブライトバイテは同日、入団が発表されたマルク・ナバロ(ワトフォードからレンタル)とロサレス(マラガから移籍)ら、2人の右SBと共に合流して、土曜のイテイハド・タンジェ戦から、ペジェグリーノ監督の前線のオプションを増やすことになりますが、地元のファンがその雄姿を拝めることになるのは来週水曜、再びシュダッド・デポルティバ・ブタルケで午前9時30分から始まる第3の2部の弟分、アルコルコンとの練習試合になる見込み。その後もリーグ1のアミアン、ホームのブタルケでの新チームお披露目試合も2部のアルバセテと、一流どころとの親善試合はないレガネスですが、8月17日のリーガ開幕戦は今季、3年ぶりに1部に戻って来たオサスナとあって、却ってその方がいいのかもしれませんね。
それにも関わらず、このプレシーズン、初めて地元で見られる試合とあって、大勢のファンが詰めかけたんですが、何とか、ギッシリ人で埋まった日影のスタンドに隙間を見つけられたのはラッキーだったかと。すると丁度、スタメンたちがアップに励む中、それまでスタジアムでジムなどをやっていた選手たちがパラパラやって来て、その中にニヨムがいたという訳ですが、昨季はウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンからレガネスにレンタルでプレーしていたのを今季はヘタフェと契約したそうで、木曜には入団の正式声明も出ています。
いやあ、ヘタフェとレガネスは本当に隣町ですから、これなら同じ家に住み続けられるし、当人は良かったんでしょうけどね。耳の早いヘタフェファンたちは後半、同じように肌の黒い大柄の選手がピッチに入ったのを見て、「ニヨム、頑張れ!」と沸いていたりもしたんですが、いやいや、その彼、ボランチやってるし、何か、ポジション違くない?スコアボードも時計もないアバウトな試合だったため、仕方ないんですが、調べてみると、プレーしていたのはプロロというカンテラーノ(ヘタフェBの選手)。
オリバの合宿でダミアンやアランバリら、ウルグアイ人選手の先輩たちにバリカンで髪にいたずらされ、その日は丸刈りになって様相がすっかり変わっていた、同じカンテラーノながら、ウード・ドゥーロなど、昨季は兄貴分チームで何度も出場したせいか、間違えるファンもなく、練習の日と変わりなく、選手たちが三々五々、歩いてスタジアムに戻る試合後にはサインと写真を頼まれて大忙しでしたけどね。なかなか肌の黒い選手の顔を見分けられないのはスペイン人でも同じなんだなと、私もちょっと安心することに。
え、そんな帰り道、「ガクはもういないぞ」とヘタフェの自称、フーリガンのグループにからまれた時、ちょっと怖くなかったのかって?いやあ、暑さ呆けしていたせいもあって、彼らがいきなり、今週、デポルティーボ(2部)への移籍、リアソルで入団プレゼンされていた柴崎岳選手の名前を歌いだしたのが面白くてビデオを撮ってしまったぐらい。最後にズボンを下ろして、お尻を出していた人がいたのには参りましたが、まあ基本的にこのクラブのウルトラ(過激なファン)たちはライバルチームの同業者としか争いませんからね。日本人を見つけて、同じようにからかってくることはあるかもしれませんが、試合の日には警官も多いため、あまり気にすることはないのでは?
おっと、本題を忘れてはいけません。肝心の試合では前半、ラージョ・マハダオンダにかなり攻められていたヘタフェだったものの、後半にはイベリア・カップではまだ不発だった自慢の熟年FW陣が得点。ええ、15分にはやはり、レガネスから昨季後半にジローナを経て、この夏、入団した左SBラウール・ガルシア・カルネロが上げたクロスを37歳のエース、ホルヘ・モリーナが頭で叩き込むと、終盤には途中出場した30歳のマタが2発を決めて、ヨーロッパリーグに出場する今季は是非とも再び、スペイン代表のユニを着たいという意欲を示してくれましたっけ。
オリバのキャンプで太ももを痛めた32歳のアンヘル、先日入団した同い年のエリック・ガジェゴは出ませんでしたが、ボルダラス監督もベタランたちのゴール力が衰えていないことには大満足だったかと。ちなみに次は土曜にサラマンカ(スペイン内陸の大学都市)でスポルティング・ヒホン(2部)との親善試合を行い、更にアルバセテ(2部)、クロトーネ(セリエB)、マジョルカ(今季から1部)、最後には8月10日に昨季、クラブ史上初のCL出場権をゲットしたアタランタ(セリエA)をホームに迎えるんですが、何せ、ヘタフェも昨季はあと一歩で、兄貴分たちと肩を並べて、CLの舞台に届くところまで行きましたからね。この新チームお披露目試合でもしっかり勝って、今季こそはELの上を目指す気概を見せてくれたら、私も嬉しいです。
さて、そんな感じで弟分たちが着々と新シーズンの準備を進めている中、アメリカツアー中のマドリーとアトレティコはどうしていたかというと。いやあ、これが結構、心配の種が尽きなくて、どちらも火曜の深夜にインターナショナル・チャンピオンズ・カップの試合があったんですけどね。午前1時からアーセナル戦をスタートしたマドリーはこれが2試合目だったんですが、前半10分にはラカゼットのシュートをゴール左前で防ごうとしたナチョがボールを手に当ててしまい、PKを献上してしまったのみならず、レッドカードで退場させられてしまうことに。
当のラカゼットに1点を決められた後、ジダン監督もその日は2トップの破壊力を試そうとベンゼマと共に先発させたヨビッチ(フランクフルトから移籍)をバランに代え、被害を最小限に留めようとしたんですけどね。24分にはオバメヤングがGKケイロル・ナバスをかわすと、セルヒオ・ラモスも防ぎきれず、2点目を奪われてしまったから、さあ大変!初戦もバイエルンに3-1と負けていた彼らとなれば、このままgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)なんかされた日にはどうするんだろうと、私も不安になったものですが、40分、アーセナルのCBソクラティスが2枚目のイエローカードをもらい、数が拮抗したことに救われます。
いえ、後半からの選手交代ももちろん効いたんですけどね。というのもバイエルン戦前には中国のクラブとの交渉が佳境。自らベンチ入りを遠慮したというベイルが、江蘇蘇寧も北京国安も自身は多額の年棒を保証されても、移籍金を2000万ユーロ(約24億円)程度しか払わないというのがネックになって話がまとまらず。そこで、「El queria jugar y el otro dia no/エル・ケリア・フガール・イ・エル・オトロ・ディア・ノー(他の日は違ったが、プレーしたがった)」とジダン監督)も後で言っていたように、当人の気が代わり、ピッチにCFとして入ったのが大成功だったんです。そう、同じく後半から出場したマルセロからのパスを蹴ったアセンシオのボールはGKマルティネスに弾かれてしまったものの、ベイルが足を伸ばしてゴールにしてくれたから、ありがたいっちゃありません。
おまけにその3分後には再び、マルセロからボールを受けたアセンシオが今度は自分で決めて、見事同点に追いついたマドリーだったんですが、うーん、運命とはかくも残酷。だってえ、それから5分もしないうち、オバメヤングとボールを争ったアセンシオが倒れ、涙に暮れながら、担架退場しちゃったんですよ。しかも重傷の予想がしっかり当たり、左ヒザ前十字靭帯と半月板の断裂で回復に8、9カ月かかるって、これじゃU21ユーロのスペイン代表参加を辞退、トロフィーを掲げる機会を逃してまで、バケーションを優先し、マドリーでの今季の巻き返しに懸けていた意味がまったくなくなっちゃったじゃないですか。
実際、こういう悲劇を目の辺りにすると、バイエルン戦に出たがらなかったベイルをとても責められないんですが、ジダン監督が言うにはアセンシオの長期離脱も彼の状況とは、「No tiene nada que ver/ノー・ティエネ・ナーダ・ケ・ベル(何の関係もない)」のだとか。でもねえ、結局、このアーセナル戦は2-2でPK戦に突入。最初のキッカーだったベイルは弾かれてしまったものの、GKクルトワもジャカを弾き、モンレアルはゴールポスト、更にバートンが外してしまったため、イスコ、バラン、ビニシウスが成功したマドリーが3-2で勝ったんですけどね。
とはいえ、やはりゴール不足感は否めないため、半分FW、半分MFのアセンシオが使えなくなった今、貴重な得点源であるベイルまで放出するのはどうかと思うんですが、さて。その一方で攻撃的MFの余っているマドリーだからでしょうか。木曜にはためらいなしにセバージョスをアーセナルに1年レンタルすることを決め、まあ、それは火曜に出番なかった久保建英選手にはちょっとライバルが減って朗報なんですけどね。彼の場合、外国人選手枠の関係で、トップチームには呼ばれる時はやはりEUの国籍を持たないロドリゴ(サントスから移籍)と替わりばんこになりそうだとか。
それも現在、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でコパ・アメリカ参加後、遅めのプレシーズンを始めたバルベルデがもうすぐ取れる予定の二重国籍になってからの話で、当面はビニシウスとミリタオ(ポルトから移籍)で3人となると、何だか難しそうですが、まあそれはそれ。今はとにかく、早くベンゼマやヨビッチがゴールを挙げてくれないと、昨季の屈辱を晴らしたいファンも心置きなく、バケーションに行けないんじゃないでしょうか。
え、それよりもっと憂鬱なのはお隣さんの方じゃないのかって?いやあ、その通りで、マドリーの試合の直後、ダラスでチバス・グアルダラハラと対戦した彼らは1点も取れずにスコアレスドロー。まあ、一応、先日のヌマンシア(2部)戦で腰を打撲して前半27分で退いたジョアン・フェリックス(ベンフィカから移籍)は大事をとってベンチ外、おまけに月曜にマドリッドを発って、翌日夜のプレーだったため、時差呆けが抜けてないなんて理由もあったんですけどね。だからって、前半24分、マルコス・ジョレンテ(同マドリー)がロングボールをクリアし損ね、GKオブラクに敵が向かうのを防ごうと、ユニフォームを引っ張って倒し、レッドカードをもらっていい訳ありませんって!
いえ、シメオネ監督は「En futbol puede pasar. No ves al rival que viene detras/エン・フトボル・プエデ・パサール。ノー・ベス・アル・リバル・ケ・ビエネ・デトラス(サッカーでは起こりうる。後ろから来る敵を見てなかった)」と、そんなに怒ってはいませんでしたけどね。とりあえず、前半はサウールの1人ボランチで凌いだアトレティコだけに相変わらず、ジエゴ・コスタとモラタにゴールが生まれなくても仕方はなかったのかもしれませんが、この試合も後半15分にはチバスのビジャヌエバが2枚目のイエローカードをもらって、数的劣勢は解消していたんですよ。それでもハーフタイムで10人全員を代え、うち5人はカンテラーノ(アトレティコBの選手)、CFはこれまたミランへ移籍予定のコレアって、まあこのチームは最後までご奉公がお約束ですからね。
一応、相手の退場の受け、シメオネ監督も色気を出したか、この日、初出場となったコケを20分には21歳の新鋭FW、サポンジッチ(同ベンフィカ)にしてみたんですけどね。最後まで両チームに得点はなく、おまけにPK戦でそのサポンジッチは失敗しちゃいましたしね。いくらGKアダンがチバスの5番目のキッカーを弾き、何故か、コケにキャプテンマークを託されたカンテラーノのトニ・モヤに続き、同僚のサナブリアが決めると、最後は敵キッカーがゴールを外し、4-5で勝ったって…もう朝の5時では私もあんまり喜べなかったかと。
実はこの土曜午前2時(日本時間午前9時)には、このまだエースにゴールのないマドリッド兄貴分同士がニュー・ジャージーのメットライフ・スタジアムで国外ダービーなんですよ。マドリーにもまだ悩みはあるとはいえ、アーセナル戦ではトレードマークの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)に迫りましたし、そろそろアザールなどもチームに慣れてくるはずですからね。それに比べて、水曜にはNFLのダラス・カウボーイズの施設を訪問してアメフトを教わっていたり、ダラス大学野球部にも行ってバッティング練習とか、アトレティコの選手たちがちょっと危機感足りないみたいなのは気になりますが、こればっかりはねえ。頼りの綱が温存された19歳のスーパースター候補、ジョアン・フェリックスだけというのもちょっと、心細く感じるところです。
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