去る者は追わず…/原ゆみこのマドリッド

2019.07.15 15:00 Mon
「思ったより早かったわね」そんな風に私が戸惑っていたのは日曜日、柴崎岳選手のデポルティーボ移籍が決まったというニュースをマルカ(スポーツ紙)のサイトで見つけた時のことでした。いえ、先週木曜にはコリセウム・アルフォンソ・ペレスに出向き、リーガ5位でヨーロッパリーグ出場権を勝ち取った37歳のホルヘ・モリーナを筆頭に32歳のアンヘル、30歳のマタらのFWトリオに32歳で加わり、いよいよ30代カルテットとして、ユーロヘタにゴールを供給することになったエリック・ガジェゴ(ウエスカから移籍)のプレゼンを見てきたんですけどね。
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その時にスポーツ・ディレクターのアンヘル・マルティン氏が「ガクの移籍交渉はかなり進んでいて、来週ぐらいには」と言っていたため、週末は呑気に構えていたものの、いやいや。柴崎選手がもうヘタフェの練習に加わることはないとも聞いたものの、丁度、チームはその日の夕方からプレシーズンの練習を開始。そこで私も金曜の朝は早起きして、といってもホームページの予定表に出ていた午前9時には間に合わず、10時過ぎに着いたところ、偶然にもジムを終えた選手たちがスタジアムから出て、練習場に歩いていくのに遭遇することに。案の定、セッションはフィジカルが中心で、最後の方ではグラウンドを1周した後、そのままDF陣とオフェンス陣が対決するという、非常に疲れる演習をしていて、いえ、別に私やスタンドで眺めていた10人程のファンは日影にいたため、大丈夫だったんですけどね。直射日光にさらされっぱなしの選手たちにはかなり効いたんじゃないかと思いますが、幸いながら、その日には夕方の部もあるダブルセッションだったせいか、1時間15分とボルダラス監督にしてみれば、かなり短めだったのは救いだった?
昨季は途中から、ソシオ(協賛会員)しか、練習が見られなくなってしまっていたものの、その日は誰でも入れるとあって、引き上げる選手たちにファンがサインや写真を頼むお馴染みのシーンも展開されていたんですが、もうこの場所で柴崎選手に会えないというのは残念至極。うーん、ヘタフェにいた2年間で出場したのが31試合だけでは仕方ないんですけどね。移籍先のデポルティーボはリーガ2部6位で6月にはプレーオフを戦い、マラガには勝ったものの、最後はマジョルカに負けて1部昇格が果たせなかったのはともかく、練習場のアベゴンドはラ・コルーニャ(スペイン北西部の港町)からタクシーでしか行けない、ちょっと辺鄙な場所にありますからね。

プレシーズン練習開始はこの月曜からで、コパ・アメリカ参加の後、バケーションを取っていた当人も近日中に参加するようですが、いえ、別にスペイン観光旅行中に柴崎選手の試合も見たいと思っているファンが諦めることはないんですよ。マドリッドはスペインサッカーのメッカで、1部チームが4つあるだけでなく、今季から昇格したフエンラブラダを含めて、1年でUターンしたラージョ、そしてアルコルコンと2部にも3チームが所属。しかも3節のある9月1日の週末には早速、エスタディオ・バジェカスでラージョ戦、11月3日の週末はエスタディオ・フェルナンド・トーレスでフエンラブラダ戦があるため、その辺を狙うのもいい手かと。
まあ、何よりは5年契約を結んだ柴崎選手が貢献して、老舗のデポルティーボを3年ぶりの1部再昇格に導いてくれることなんでしょうが、また話をヘタフェに戻すと、チームは2日間、地元で練習しただけで、日曜にはバレンシア州にあるオリバ・ノバ・ビーチ&ゴルフ・ホテルに移動。あちらでキャンプを行って、来週土曜にはポルトガル南部のポルティマンで開かれるコパ・イベリカ(夏の親善大会)の準決勝ポルティモネンセ戦でプレシーズンマッチをスタートさせると、翌日にはポルトvsベティス戦の勝者or敗者と決勝or3位決定戦をプレーすることに。

マドリッドに戻った24日には練習場で、残念ながら、1シーズンだけでまた2部Bに落ちてしまったラージョ・マハダオンダ(ラージョ・バジェカーノとは別クラブ)との親善試合も行われるため、その頃にはだんだん、新チームの形も見えてくるかと思いますが、さて。昨季はケガでシーズンを丸々棒に振ったベルガラ、後半戦に出られなかったアマトなど、9月に始まるヨーロッパリーグに備え、頼りになりそうな選手たちが復活してきたのは心強い限りですよね。

え、練習が始まったばかりのヘタフェに比べ、土曜にはもう最初のプレシーズンマッチをやるなど、お隣さんのレガネスは一歩、先を行っていないかって?そうですね、私も今度は試合ということで妥協せず、朝9時にはインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケに着いていたんですが、すでにスタンドが満員に近かったって、いやあ、レガネスファンの勤勉なことといったら、もう。

おそらく練習試合ということで入場料を取らなかったのも影響していたんでしょうが、何せ、キックオフも15分程、遅れるわ、今季はまた1部昇格を目指す、パコ・ヘメス監督率いるラージョなんて、選手たちが練習着で背番号もついてないわ、25分にお水休憩を取った後、スコアボードの時間がまたゼロから始まるわとイレギュラーなことが幾つもあったんですが、やっぱり迫力ありますよ、かぶりつきの位置でプロ選手たちのプレーを見るのって。

それどころか、時々、スタンドに凄い速さでボールが飛び込んできて、身の危険を感じた程だったんですが、先手を取ったのは前半23分、ベベのラストパスをヨニ・マティエルが決めたラージョ。彼らはどちらのチームも選手総入れ替えとなった後半20分にもポソのゴールで2点にリードを広げたんですが、その1分後にはレガネスが1部リーガ3年目の貫禄を示すことに。ええ、ブスティンサが自陣から放り込んだロングボールに合わせたサビン・メリーノが1点を返すと、ロスタイムにはグンバウが見事な直接FKを決め、最後は2-2で引き分けているんですから、しっかりしているじゃないですか。

気になるのはブライトバイト(ミドルスブラ)、カリージョ(サザンプトン)ら、EL出場圏まであと少しだった昨季のレガネスの前線を担った選手たちのレンタル期間が終わってしまい、また借りてくるのが難しかったり、コパ・アフリカでモロッコ代表が敗退して、現在、バケーション中のエン・ネシリも残留できるのかわからないといったように、まだFW陣が全然、不足していることですが、こちらも昨季は負傷で1試合も出られなかったキャプテンのシマノフスキがプレーできるようになっていたという朗報が。

ラウール・デ・トマスが修業期間を終え、レンタル元の兄貴分からベンフィカに売られてしまったラージョもエンバルバや契約を延長したマリオ・スアレスら、お馴染みの顔が結構、あったため、また1部に戻って来られるように頑張ってほしいかと。ちなみに朝9時キックオフのレガネス練習試合はこの先も来週土曜にフエンラブラダ戦、31日にもアルコルコン戦と、2部の弟分たちとの対戦が組まれているため、せっかくマドリッドに来たからにはプレシーズンでもサッカーを見たいというファンの方々にお勧め。この時間だと、丁度、スタンドが日影になりますしね。去年、長男のエンソを応援に、ジダン監督も観戦に来ていたラージョ・マハダオンダ戦では真正面から西日を浴び、脱水症状を起こしそうになった経験からすると、早起きは三文の徳というのは本当ですね。

え、フエンラブラダへ移籍の噂もあった次男のルカもラシン・サンタンデール(2部)へのレンタルが決まったし、充電中だった昨年と違い、この夏は仕事があるんだから、もうジダン監督をレガネスの練習場で見かけることはないんだろうって?その通りで火曜から、マドリーはカナダのモントリオールでキャンプしているんですが、実は先週金曜に異変が発生。ええ、家族に不幸があったとかで、帯同していた奥さんと四男のエリアス君、友人らと一緒にジダン監督が緊急帰国してしまったから、驚いたの何のって!

これじゃ、まるで3月にルイス・エンリケ監督がスペイン代表を離脱した時みたいじゃないかと思ったんですが、両者の事情はまったく違い、重病の娘さんの側を離れられなくなって、3カ月後に辞職したルイス・エンリケ監督に対し、ジダン監督の方は長患いだった兄、ファリドさんが死亡。悲しいことには変わりありませんが、早ければ来週金曜に予定されているスタット・サプト(モントリオール・インパクトのホーム)での公開練習、遅くともインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(夏の親善大会)最初の21日、バイエルン戦前までには戻って来る予定というのは、選手やファンにとって、良かったかと。

その間、モントリオール・インパクトの練習場でトレーニングを続けるチームはベットーニ第2監督が指揮するんですが、あちらも今は体力作りがメインですからね。インテルに移ったピントゥス氏の後任となったデュポン・フィジカルコーチが、先週水曜にサンティアゴ・ベルナベウでプレゼン。コパ・アメリカ優勝のブラジル代表でお祝い漬け直後に到着し、時差呆けもあって、スタンドのファンにボールをプレゼントする際、1度も足を使わず、全部手で投げていたのはともかく、記者会見中に気分が悪くなって退席したミリタオ(ポルトから移籍)はバケーションに入ってしまいましたが、この夏、到着したアザール(同チェルシー)やヨビッチ(同フランクフルト)、メンディ(同オリンピック・リヨン)、ロドリゴ(サントス)らも含め、ガンガンしごいてくれていますから、心配する必要はまったくない?

そしてキャンプ初日に27人来た取材陣のうち、日本のマスコミが12人もいたことで注目の的になっていた久保建英選手もしっかり練習に励んでいるようですが、まあその辺は私より、今は日本にいるファンの方が情報を得やすいかと。それでもこの日曜など、AS(スポーツ紙)の表紙が久保選手の写真、トップページでは「全然違和感がない」とロッカールームで言われているなどと、スペインでも結構、話題になっているんですけどね。その記事では今季、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)でプレーする予定の彼ですが、実はEU外選手の人数枠に引っかかるため、契約はフベニル(Bチームの下のチーム)としているとありましたが、お隣さんではモジェホやカメージョら、フベニル所属の選手でも平気でトップチームの試合で使われていたため、まあ別に問題にはならないかと。

そうそう、そのアトレティコですが、先週は月曜には移籍金1憶2700万ユーロ(約155億円)の超大型新人、ジョアン・フェリックス(ベンフィカから移籍)、火曜にはロディ(同パラナエンセ)、金曜にはサポンジッチ(同ベンフィカ)のプレゼンが行われたんですが、3人とも、地獄のLAキャンプのお昼休みにロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)から連れて来られ、イベント後には即、セゴビア・シエラ・デ・グアルダラマ・ホテルに戻って、また午後は練習という慌ただしさ。ジョアン・フェリックスが19歳、後の2人も21歳ということで、若いから、それでも平気なんでしょうけど、何せ、相変わらず、朝7時45分から始まるセッションでは傾斜14度の坂昇りダッシュに始まって、体力増強トレーニングのオンパレートですからねえ゛。

もちろん、プロフェ・オルテガが「1+7/ウノ・マス・シエテ」、「3x5/トレス・ポル・シンコ」などと数式を指示、答えが偶数か奇数によって、左右に動くエクササイズでジエゴ・コスタが1人、全部間違えているなんていうお笑いのシーンなどもあったものの、これじゃ、グリーズマンが先週いっぱい、金曜にとうとうバルサが1億2000万ユーロ(約146億円)の小切手をリーガ協会に届けるまで、罰金覚悟でイビサ(地中海のリゾートアイランド)での休暇を楽しんでいたのもムリはない?ただ、誰も予期していなかったのはその支払いが確認された直後、アトレティコが再びcomunicado official/コムニカードー・オフィシアル(公式声明)を発表。「この金額では不十分。選手とバルサの移籍合意があったのは契約破棄金額が2億から1憶2000万に下がる7月前だったのだから、あと8000万ユーロ(約98億円)払うべき」って、え、そんな主張、通るんですかあ?

うーん、セレソ会長など、「Si el club ha hecho este comunicado es porque tiene pruebas/シー・エル・クルブ・ア・エッチョー・エステ・コムニカードー・エス・ポルケ・ティエネ・プルエバス(クラブがこの声明を出したということは証拠を握っているからだ)」と自信ありげでしたけどね。もう当のグリーズマンはイビサ滞在を利用して、「Mi padre me enseno de pequeno que los trenes no pasan solo una vez/ミ・パドレ・メ・エンセノ・デ・ペケーニョ・ケ・ロス・トレネス・ノー・パサン・ソロ・ウナ・ベス(小さい時から、ボクの父は列車は1度しか通らない訳ではないと教えてくれた)」と語るバルサ入団イメージビデオを制作しているし(https://bit.ly/2XQRpBy)、土曜の夜にはバルセロナに到着。カンプ・ノウのオフィシャルショップで写真撮影を行った後、日曜夕方には17番の背番号をつけてプレゼンされているとなったら、もう正直、どうでもいいというか。

いやまあ、その余分の8000万ユーロがあれば、エルモーソ(エスパニョール)に加え、ハメス・ロドリゲス(マドリー)も余裕で獲れてしまうなんて思わない訳ではないですけどね。とりあえず、アトレティコは今週金曜にキャンプを打ち上げ、土曜のヌマンシア(2部)戦が初プレシーズンマッチとなりますが、その時にはシメオネ監督が今季の軸にしようと毎日、試しているモラタ、ジエゴ・コスタ、ジョアン・フェリックスを並べた4-3-3のシステムが上手く機能するのかどうか、見られたらいいですよね。

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