人事異動の季節がやって来た…/原ゆみこのマドリッド

2019.05.28 13:00 Tue
「まったくジエゴ・コスタじゃあるまいし」そんな風に私が肩をすくめていたのは月曜日、AS(スポーツ紙)で「セルヒオ・ラモスがペレス会長にタダで中国に行かせてほしいと頼んだ」という記事を見つけた時のことでした。いえ、ここ近日中にスペイン代表合宿に参加する予定のレアル・マドリーのキャプテンはリーガ終了後、マイアミでミニバケーション。旅行先でもミネラルウォーターの大型ペットボトルを使ってトレーニングに余念がない姿をインスタにアップ(https://www.instagram.com/p/Bx0Dn63lo81/)してたりしたんですけどね。それが何故か、先週の金曜頃から「マドリーを退団することを考えている」という噂が流れ始め、33才でも彼のレベルのベテランCBはどこのクラブも喉から手が出る程、欲しがっているため、その行先はマンチェスター・ユナイテッドだ、PSGだ、ユベントスだと言われていたのが、いきなり中国になってしまうって、どうにも解せなかったから。
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いえ、コスタの場合は昨年の夏、前線の同僚だったグリーズマンが年棒2000万ユーロ(約25億円)強に破格の昇給。中国のクラブからのオファーは、それに便乗して自分の給料も上げてもらうための口実に過ぎなかったんですけどね。折しも月曜夜にはペレス会長がラジオ番組に出演、実際にラモスから話を聞き、相手のクラブは移籍金を払えないと言われたため、「Es imposible que dejemos marchar gratis al capitán/エス・インポシブレ・ケ・デヘモス・マルチャル・グラティス・アル・カピタン(キャプテンをタダで行かせるのは不可能)」と返答したとコメント。8億ユーロ(約984億円)の契約破棄金をなかったことにはできないということで、この件はカタがついたそうですが…同時にラモスは会長にウンザリしており、本気で退団したがっているなんて報道もあったため、しばらくすったもんだは続くかもしれません。まあ、そんなとことはともかく、先週末は今季、リーガ1部のチームが参加する最後の試合、コパ・デル・レイ決勝がセビージャ(スペイン南部の都市)のベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)で開催。バルサとバレンシアの対決とあって、マドリッド勢にはまったく関係なかったため、私も生ぬるい目でTV観戦していたんですが、これが意外な展開になったんですよ。いえ、12年ぶりの決勝ということでサポーターも大張り切り、早くも木曜には街中にファンが溢れていたというバレンシアとは対照的にこれで5年連続のコパ決勝。しかも4連勝中ということで大半のファンだけでなく、チームまで当日に現地入りしたバルサとでは気合が違っていて当然だったんですけどね。
それは過去4年間の決勝の相手、アスレティック、セビージャ(2回)、アラベスも同じだったんですが、バレンシアは開始早々、ロドリゴのシュートをピケがライン上でクリアするなど、圧倒的に少ないボールポゼッションをモノともせずにチャンスを創出。前半21分にはガヤの折り返しを受けたガメイロがジョルディ・アルバをかわしてシュートすると、先制点になってしまったから、驚いたの何のって。更に33分にはパレホの出したパスを追ったソレルが足の速さに定評のあるジョルディ・アルバに競り勝って、ゴール前にクロス。それをロドリゴがヘッドで決め、2点目を奪っているんですよ。ただしこの時はまだ、今季の常でそのうちメッシが爆発するんだろうと私も思っていたところ…。

ゴールポストに当たるシュートはあったものの、後半28分まで彼はゴールを入れられなかったんです!いえ、攻撃陣ではCL準決勝でリバプールに敗退した後、ヒザを手術したルイス・スアレスを欠き、デンベレも負傷中ということで、セルジ・ロベルトを前線の一角に配置したバルベルデ監督もハーフタイム後からはやはりケガから回復したばかりだったセメド、アルトゥルを下げ、アルトゥーロ・ビダルとマルコムを入れて軌道修正をしたんですけどね。最後はピケをCFに置いて必死に点を取りにいったものの、後半20分に司令塔のパレホがケガでコンドグビアに代わってから、守勢に徹していたバレンシアのゴールは破れず。それどころか、全員攻撃の隙を突かれ、もしゲデスがガラ空きのゴールを前にシュートを2度も失敗しなければ、もっと点差がついていてもおかしくなかったって、おやおや。
結局、1-2でバレンシアが逃げ切り、53才で初の決勝進出、そして初優勝を飾ったマルセリーノ監督が「Es el día más feliz de mi carrera/エス・エル・ディア・マスフェリス・デ・ミカレラ(今日は自分のキャリアで一番幸せな日)」と歓喜に浸ることになったんですが、その瞬間からバレンシア(地中海沿いのビーチリゾート都市)はお祭り状態に突入。チームはその夜、セビージャで過ごした後、日曜の夕方からの市内パレードに続き、メスタジャを満員にしてのフィェスタ、翌日も大聖堂や市役所を回り、広場を満員にしたファンと一緒にお祝いしている楽しそうな映像を見るにつけ、久々にタイトルと獲ることのありがたみを実感することに。

いやだって、話によると、「Hace un mes celebrábamos Laliga, luego pensábamos en el tripelete/アセ・ウン・メス・セレブラバモス・ラリーガ、ルエゴ・ペンサバモス・エン・エル・トリプレテ(1カ月前、ウチはリーガ優勝をして、それから3冠獲得を考えていた)」(バルベルデ監督)というバルサなんて、まとめて祝う算段だったんですかね。リーガ優勝のパレードもお祝いイベントもお預けにして挑んだCLリバプール戦では1stレグに3-0と快勝しながら、2ndレグで4-0の大逆転をくらって敗退。そのショックが余りに大きかったか、もしコパにも優勝して2年連続doblete(ドブレテ/2冠優勝)達成となっても選手たちの多くは各国代表に行くため、祝賀行事は何もしないつもりだったって、本当にタイトルの価値は各チーム、それぞれとしか言えない?

うーん、決勝前、メッシと一緒に記者会見に登場、主役を取られて3つしか質問がなかったにも関わらず、前者とは違い、コパ準優勝に終わった後もインタビューに答えていたピケなど、「No hay excusa que valga, somos el Barcelona. Estamos obligados a ganar todas las competiciones/ノー・アイ・エスクーサ・ケ・バルガ、ソモス・エル・バルセロナ。エスタモス・オブリガードス・ア・ガナール・トーダス・ラス・コンペティシオネス(ボクらはバルサだから、言い訳はできない。ウチには全ての大会に優勝する義務がある)」とまあ、よくマドリーの選手たちからも聞くようなコメントをしていましたけどね。その辺りはコパ、CL共に16強敗退した上、リーガ2位で臆面もなく、「いいシーズンだった」と言っちゃえるようなアトレティコとはちょっとレベルが違うんですが、いやあ、おかげでこのオフシーズンはマドリッドの両雄のみならず、カタルーニャのクラブもチーム再編成の動きが加速するのは確実かと。

そのあおりを喰らい、また移籍金の高騰が起こるのはとりわけ資金力に差のあるシメオネ監督のチームには辛いところですが、そんな折、期待を懸けたいのは格安で使えるカンテラーノ(ユースチームの選手)。実際、今季はRMカスティージャもアトレティコBも優秀で両者揃って2部昇格プレーオフに進出。土曜にバルデベバス(バラハス空港の近く)にあるエスタディオ・ディ・ステファノにカルタヘナを迎え、1回戦1stレグに挑んだ前者など、ジダン監督が息子さんのGKリュカの応援を兼ねてボックス席から見守る中、ダニ・ヘメスの2発とクリストのゴールで3-1と快勝していたとなれば、もしかして来季はトップチームに昇格できる選手が現れるかも。

いえ、こちらはロドリゴ(サントス)、ミリトン(ポルト)、アザール(チェルシー)、ヨビッチ(フランクフルト)らで最低でも3億ユーロ(約370億円)、先日はフランスのリーグ1表彰式でエムバペが、続いて木曜にはネイマールがスポンサー企業のディーゼル(イタリアのファッションブランド)のイベントでPSG以外での挑戦にも前向きなことを強調。加えてトゥーヘル監督が「残留を望むのは当然だが、確約はできない」と曖昧な態度を取っていることから、マックスで6億ユーロ(約740億円)の移籍金支出も覚悟していると言われているお金持ちクラブだけに別に必要はないんでしょうけどね。アトレティコなど、若手有望株でグリーズマンの抜けた穴を補うと目をつけた19才のジョアン・フェリックスですら、ベンフィカから契約破棄金額の1億2000万ユーロ(約148億円)はまけられないと吹っ掛けられてしまう始末。

それだけでグリーズマンの売却金と同じになってしまうとなれば、否が応でもカンテラーノの活用が求められるんですが、残念ながら、私がマハダオンダ(マドリッド近郊)まで足を運んだミランデス戦1stレグはスコアレスドロー。いやあ、前日には大先輩のガビ(現アル・サッド)が直々、選手たちに活を入れにいったそうですが、その伝説のキャプテンを含め、サウールや第2監督の"モノ"・ブルゴスが見守る前でまったく点が取れないんですから、悩みは兄貴分チームと変わらない?ピッチに立った選手のうちでもモンテーロやトニ・モヤ、モジェホなどはすでにトップチームでの出場経験があるんですけどね。リーガ最終節のレバンテ戦で今季、アトレティコ最後のゴールを挙げたカメージョも途中出場したんですが、この日は不発。2回戦突破をアウェイでの2ndレグに懸けることになってしまいましたっけ。

そんな2部昇格プレーオフは3回戦まである長丁場なので、また追って様子をお伝えすることにしますが、すでにバケーションに入っている他のマドリッドのチームについても少し、お話しておくと。CL初出場は叶わなかったものの、来季はELで頑張ることになったヘタフェは先日、アンヘル・トーレス会長が記者会見でシーズンを総括。マルカ(スポーツ紙)から、リーガ最優秀監督賞を贈られたボルダラス監督は続投する見込みで、残留が不透明だったホルヘ・モリーナ、ポルティーッジョ、アンヘルも2年契約を延長したそう。

セビージャが買い戻しオプションを行使したGKダビド・ソリアについてもすでに昨夏の契約時に取り決めた150万ユーロ(約1億8000万円)を払って、チームに留まれるようになったとか。ちなみにコパ・アメリカの日本代表に招集された柴崎岳選手については特に言及はなかったものの、現在28人所属選手がいるヘタフェはヨーロッパの大会で恥ずかしくないレベルを披露するため、6、7人を補強する予定。となると、「いいオファーが来れば放出」の候補になっている確率は高そうです。

一方、大量13人がレンタル終了となるレガネスでは月曜にエル・ザールが契約を解除。どうやらGKルニンもマドリーに戻ることが決まっているため、ベティスからのオファーを断って、契約を延長したペレグリーノ監督はこの夏、ゆっくりしているヒマがあまりないかも。エン・ネシリなど、他のクラブからラブコールが止まない選手もいますしね。毎年、チームの半数近くが入れ替わるのが恒例のレガネスではありますが、今季のいい流れを引き継いで、いつかはお隣さんのヘタフェのようにヨーロッパの大会に手が届くぐらい成長できるといいのですが。

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