そして誰もいなくなった…/原ゆみこのマドリッド

2019.05.11 13:00 Sat
「まさかここまで決勝と無関係になるとは!」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、6月1日のCL決勝のみならず、28日のEL決勝までプレミア勢対決という驚きにまだ浸っていた時のことでした。いやあ、かなり前にマドリッドの両雄はCL16強対決で敗退、今季はワンダ・メトロポリターノが決勝の舞台になるという以外、早々にヨーロッパとは縁がなくなっていたんですけどね。それでも過去5年はその間、4度優勝したレアル・マドリー、残りの1回がバルサと、スペイン勢のいないCL決勝は2013年のバイエルンvsドルトムント戦以来だった上、2009年から始まったELなど、9回あった決勝のうち、スペイン勢がいないのはたった3回だけとなれば、時代の変化を感じるのはきっと私だけではない?

どちらにしろ、あと2節しかないリーガの試合が今季中、マドリッドのサッカーファンが楽しめる残り少ない機会なんですが、何だか間も悪いんですよ。ええ、優勝は2節前にバルサが決めているものの、ヨーロッパの大会出場権が懸かった順位や前節に2部降格となったラージョとウエスカに続く第3のチームが決定していないため、この37節は日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)に10カード全てのキックオフがunifiacion(ウニフィカシオン/統一)。つまり、マドリッド勢の5試合のうち、3試合が開かれるマドリッドでも見に行けるのは1つしかないということで、私も頭を悩ますところなんですが…。

え、そうは言っても一番気になるのがバルサvsヘタフェ戦というのは否定できないんじゃないかって?その通りで何せ、この弟分にはCL出場圏の末席、4位を死守という目標がありますからね。しかも相手は前節もセルタ戦で大々的ローテーションを敢行、2連覇済みのリーガにはもう力をさかない姿勢を全開にしていたため、マタとブルーノが累積警告でいなくても結構、分はいいのでは思ったところ、予定が狂ったのは彼らが火曜のCL準決勝2ndレグでリバプールに大逆転を許してしまったせい。
だってえ、昨季も準々決勝ローマ戦1stレグで4-1と勝ちながら、アウェイで3-0と負けて敗退してしまったバルサですよ。普通ならここはしっかり学んで、スコアレルドローでもいいから、手堅く決勝進出を目指さなきゃいけないのに、サラーとフィルミーノ、敵の主要得点源2人がケガで休場となったのに油断しましたかね。ええ、前半6分にはジョルディ・アルバのミスから、オリジに先制点を許したのはともかく、後半早々には負傷したヘンダーソンの代わりに入ったワイナルドゥムに立て続けに2点を決められ、総合スコアで追いつかれてしまったから、さあ大変!

それでもまだ時間は残っていましたから、メッシが虎の子の1点をもぎ取って逃げ切るのかと思いきや、とんでもない。33分にはCKキッカーのシャキリが近づくのを見て一旦、コーナーを離れたアレクサンダー=アーノルドが不意に身を翻してボールを蹴り、空中戦に備えてマーク担当の敵選手たちが位置につくのをノンビリ待っていたバルサ勢の虚を突くと、オリジが撃ち込んで勝ち越しとなる4点目をゲットって、そりゃあ世間から、「フベニル(ユース)のゴール」って嘲笑もされますって。
いやあ、これは後日、クアトロ(スペインの民放)がバルセロナにある17~18才の選手がプレーするユースチームの手を借り、実験してみたところ、3度目でようやく成功とあって、CKを蹴ったアレクサンダー=アーノルドもシュートを決めたオリジも正確にボールコントロールできる能力があっての賜物だったとわかったんですけどね。おかげでアンフィールドで4-0と負け、2年連続、赤っ恥の大逆転敗退を喰らったバルサではバルデベルデ監督を始め、チームが大きな批判の嵐にさらされることに。

リバプールから戻った翌日にはラキティッチがセビージャ(スペイン南部の都市)でFeria de Abril/フェリア・デ・アブリル(春祭り)を楽しんでいるところを目撃されたり、木曜にはルイス・スアレスが今季ずっと悩まされていた右ヒザ半月板の内視鏡手術を受け、リーガ残り2試合どころか、25日にある5連覇の懸かったコパ・デル・レイ決勝もパス。ウルグアイ代表で6月のコパ・アメリカに参加する方を選んだというのもバルサファンにいい印象を与えなかったというのもあるんですが、ここで問題となるのは今季最後のホームゲームをベルベルデ監督が勝利で飾り、少しでもダメージを和らげようと、主力を投入するかもしれないってこと。

まあ、そうであっても今週は木曜にマドリッド市内のレストランで決起ランチ会を開き、100試合出場を達成したポルティージョやクラブ通算600得点目を挙げたアンヘルに記念品を贈っていたヘタフェの方が休養十分なのは事実なんですけどね。さすがにここまで来ると、ボルダラス監督にCLについて話すことを禁じられていた選手たちも、「Ya que estamos ahí, queremos la cuarta plaza/ジャ・ケ・エスタモス・アイー、ケレモス・ラ・クアルタ・プラサ(もうボクらはそこにいるからね。4位を手に入れたいよ)」(ポルティージョ)とあからさまに口にするようになっているとあれば、たとえバルサがベストメンバーを並べてこようと心配することはない?

そして水曜にはトッテナムがアヤックスをルーカス・モウラが土壇場で挙げたハットトリックで逆転敗退に追い込み、リバプールと一緒にワンダを訪れることが決まる傍ら、今節はCL出場圏争いの渦中にある6位のセビージャと対戦、弟分の歴史的偉業達成に重要な役割を担っているアトレティコはどうしていたかというと。いやあ、こちらも明るい話題は先週、リーガ3連覇を果たした女子チームがこの土曜にはレアル・ソシエダとのコパ・デ・レイナ(女王杯)決勝に挑み、doblete(ドブレテ/2冠優勝)を狙うことぐらいで、爪のアカを煎じて飲ませたいぐらいの男子チームはもう目標があと勝ち点1を獲得して、お隣さんを見下ろせるリーガ2位になるぐらい。そのせいか、この火曜には今季最後のホームゲームを前にこの9年間、アトレティコの屋台骨を支えていたゴディンの退団お別れ会見があったんですが、まあこれもファンには納得のいく類の話じゃないですよね。

というのもずっとクラブと契約延長の交渉を続けてきたゴディンでしたが、「al final no hemos
llegado a un acuerdo/アル・フィナル・ノー・エモス・ジェガードー・ア・ウン・アクエルドー(最終的に合意に至らなかった)」ということで、以前、アトレティコでCBコンビを組んだミランダがいるインテルへの移籍を決心。お別れイベントにはシメオネ監督を始め、チームの同僚も大勢駆けつけて、ステージ上で涙に言葉を詰まらすキャプテンにもらい泣きしていたものの、どうして決裂したのか、その理由は最後までわからなかったから。

いえ、後日、今季からカタールのアル・サッドでプレーしているガビなど、「30才以上の選手は1年ごとに契約を延長というクラブの規則は公正なものじゃない。Porque no todos somos iguales, sobre todo cuando alguien da el nivel de Diego/ポルケ・ノー・トードス・ソモス・イグアレス、ソブレ・トードー・クアンドー・アルギエン・ダ・エル・ニベル・デ・ディエゴ(何故なら、皆同じじゃないし、とりわけゴディンのようなレベルを示してくれる選手の場合はね)」と抗議していましたけどね。そういう方針の違いだけでなく、世間からは「超高額年棒の新契約を結んだグリーズマンやシメオネ監督が少しでも報酬を諦めれば、ゴディンに払うお金もあったに違いない」という意見も聞かれたため、クラブの予算も関係していたのかと。

とりわけ今季は人件費に圧迫され、トップチームの選手を20人しか持てない中、プレシーズンの練習不足による負傷者が多発。8月のUEFAスーパーカップ以外、タイトルと無縁になってしまったアトレティコですしね。ケガ人による人出不足は今節も例外でなく、ヒメネス、サビッチが欠場。先発CBの片割れはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のモンテロで落ち着いたものの、先週のトマス、サウールに続き、マハダオンダ(マドリッド郊外)のセッションではシメオネ監督が未体験のロドリまで、CBの位置で試していたとか。うーん、もしかしてこれはスタンドが拍手で送れるよう、ゴディンを途中交代した際、DFがいなくならないようにという用心の意味もあるのかもしれませんけどね。

とりあえず、この日曜はチームで一番仲のいいゴディンの移籍を機に再び、バルサ行きの噂が出てきたグリーズマンを筆頭にチーム全員で必勝を心して、セビージャに挑んでもらいたいもの。その結果、弟分に援護射撃ができて尚且つ、2位を確定できればそれに越したことはありませんしね。ちなみにヘタフェのライバルとしては同じ勝ち点差3、こちらもEL出場権は確定した5位のバレンシアがいるんですが、彼らは木曜のEL準決勝2ndレグでもアーセナルに2-4と負け、メスタジャでremontada(レモンターダ/逆転突破)を果たすことができず(総合スコア3-7)。コパ決勝でバルサに勝ってもCL出場権はもらえないため、残り2試合、死に物狂いで勝ちに行くはずですが、その点、ヘタフェはあと勝ち点4でいいのはちょっと気が楽でしょうか。

え、それで木曜の夜はELもう1つの準決勝でチェルシーとフランクフルトが激突。おそらくジダン監督も来季の補強候補、アザールとヨビッチが延長戦後、最後のPK戦でもそれぞれしっかり沈め、最後はチェルシーの決勝進出が決まるまでしっかり観察していたはずのマドリーの今週末の試合はどうなっているのかって?いやあ、彼らはアノエタでのレアル・ソシエダ戦になるんですが、相手はアスレティック、エスパニョール、アラベス、レガネス、ベティスと共にコパのフィナリストがリーガでヨーロッパの大会出場権を得ているため、EL出場権が回ってくる7位を争うチーム。ただこの権利は予選2回戦からの参戦と、7月末からシーズン開幕をしないといけないという代償も伴うため、本気で狙っているチームは少ないはずですが、そういう意味で言えば、ソシエダは強く望んでいる方かも。

対するマドリーにはもう、ファンの怒りを招かないプレーをする程度の目的意識しかないため、勝敗より、むしろ前節、ケガから復帰したビニシウスがコパ・アメリカのブラジル代表に招集されるよう、アピールできるか、ベイルやイスコ、ジョレンテ、セバージョスといった放出が噂される選手たちが招集されるのかといったぐらいしか、世間も興味を抱いていないんですけどね。朗報はここ2試合、負傷で出られなかったベンゼマの復帰。ふくらはぎを痛めたセルヒオ・ラモスはもう1カ月も経つのにまだ回復せず、最終節のベティス戦、そして6月のユーロ2020予選のスペイン代表でプレーして今季を終わらせたいという意向のようです。

そして木曜にペレグリーノ監督が2021年まで指揮を執ることを発表したレガネスは、いえ、数字的に彼らも7位になれるんですが、7月末にはまだ選手が半分ぐらいしかいない可能性が高いですからね。無理はせず、今季ブタルケで最後となるエスパニョール戦でファンと共に前節、確定した3シーズン連続の1部残留を祝うのが得策かと。一方、降格が決まったラージョはエスタディオ・バジェカスにバジャドリーを迎えるんですが、何せ相手はセルタ、ビジャレアル、レバンテ、ジローナと共に2部行き最後のババを引くまいと必死。今季はもうチームに見切りをつけたabonado(アボナードー/年間指定席購入者)たちが応援に駆けつけるバジャドリーファンに席を譲っているなんて話も聞きますし、ここで勝ったらそれこそ悪役決定?

まあ、そんなこともないでしょうけど、同じ2016年には揃って降格したヘタフェとラージョながら、片やCL出場目前、他方は1年で逆戻りと随分と差が開いてしまったもの。やはりその辺はクラブのプランニングやフロントの目利きの差になるんでしょうが、今季は2部の弟分、アルコルコンとラージョ・マハダオンダも昇格の目はなく、果たしてこの先、マドリッド5チーム体制が復活するシーズンはあるのかどうか。それより4チームが揃ってヨーロッパを闊歩する日の方が近そうな気もしますが、何はともあれ、一斉開催のこの日曜日、マドリッドを訪れているファンは3試合、観戦のオプションがあることを覚えておくといいかもしれませんね。

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