ブルーな週末になりそうで怖い…/原ゆみこのマドリッド

2019.04.27 15:00 Sat
「とうとう来たるべき時が来たのね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、いえ、今週末バルサが勝てば、アトレティコが泣こうが喚こうがリーガ優勝が決定。もうジエゴ・コスタが退場、今季残り試合全てに出場停止処分を喰らった、カノウ・ノウでの直接対決で負けた時から、そうなることはわかっていたため、覚悟はできていたんですけどね。それ以上に衝撃を受けたのは弟分のラージョが降格一番乗りを果たすかもしれないという知らせで、何と土曜にアトレティコがバジャドリーに負け、レガネスもセルタに負け、レバンテがカンプ・ノウで勝ち点を稼いだ場合、日曜に自身がレアル・マドリーとの兄弟分ダービーに負けると即刻、2部Uターンが決まるって、まだ残り4試合もあるのにちょっと早すぎやしません?

ちなみにどうしてそうなったのか、ミッドウィーク開催のリーガを振り返ってみることにすると、何せバルサは一足早く、火曜にメッシを後半15分まで温存しながら、ほんのちょっと前まではヘタフェと4位の座を争っていたアラベスに0-2で勝ってしまいましたからね。相手はとうに今季の目標である残留を達成し、その試合は乾貴士選手もケガで欠場。アベラルド監督が来季も引き続き指揮を執るオファーを断ったというリークなどでもゴタゴタしていたため、仕方ないところもあるんですが、おかげで水曜にドシャ降りのワンダ・メトロポリターノのピッチに立ったアトレティコはバレンシアに負けるとバルサの優勝が決まるという状況でキックオフを迎えることに。
でも大丈夫、シメオネ監督の「Si no puedes terminar primero, hay que ser segundo/シー・ノー・プエデス・テルミナール・プリエーロ、アイ・ケ・セル・セグンド(1番になれないのなら、2番にならないといけない)」というメッセージをどうやら、正しく理解したらしい選手たちは気合を入れてスタート。前半8分には決勝まで進出したコパ・デル・レイ、アーセナルとの準決勝まで勝ち上がったヨーロッパリーグと、今年になってほとんど予定のないミッドウィークがなかった相手の試合疲れにつけ込んで、ファンフランのラストパスをモラタがゴール前で押し込んでくれたんです!自身プロ生活100点目を記録してくれたから、雨に濡れないよう、スタンドの奥から4月とは思えない寒さに耐えつつ、見守っていたファンたちもどんなに喜んだことか。

そうそう、誤解のないよう言っておくと、モラタがゴール祝いの際にユニのお腹にボールを入れていたのは奥さんのイタリア人モデル、アリス・カンペッロさんが昨年出産した双子に続き、第3子を授かった訳ではなく、「Mi hermana esta embarazada/ミ・エルマーナ・エスタ・エンバラサーダ(自分の姉妹が妊娠している)」(モラタ)ためだそうなんですが、ただ敵もCL出場権のもらえる4位を目指していますからね。そうそう簡単にはギブアップせず、前半35分にはサンティ・ミナがゴディンをエリア内でかわし、ガメイロにパス。

彼がまた律儀に古巣への恩返しをしてくれたため、1-1でハープタイムに入ったんですが、後半もアトレティコは勢いよく飛び出すと、4分にはレマルのクロスをグリーズマンがガヤを押しのけて頭で決めて、再びリードを奪うことに成功。ただねえ、それからシメオネ監督得意のフィリペ・ルイスを下げ、コレアを入れて、サウールを左SBに回すというお気に入りのポジションチェンジが発動。当人は苦笑いしながら、フィリペからスローインを受け継いでいましたが、そのせいもあったんでしょうかね。31分には何と、そのサウールがエリア内でガメイロのシュートを腕に当ててしまい、VAR(ビデオ審判)に見咎められてしまことに。守護神オブラクもパレホのPKを止められず、またしても同点にされてしまうなんてあんまりじゃないですか。
え、それでも36分に決勝点が奪えたのはシメオネ采配のおかげだろうって?そうですね、レマルと代わったトマスが奪ったボールをコレアに送ったところ、エリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)がネットに突き刺さり、最後は3-2で勝つことができたんですが、いやあ、わざわざ殊勲のヒーローに試合後、今季最大の汚点を思い出させるとは記者たちも人が悪い。ええ、私など、すっかり記憶の彼方だったCL16強対決ユベントス2ndレグ終盤にペナルティを取られ、逆転敗退に繋がるクリスチアーノ・ロナウドのPKゴールを呼び込む原因となったことを蒸し返し、「Estaba dolido por el error que cometí en ese partido/エスタバ・ドリードー・ポル・エロール・ケ・コメティ・エン・エセ・パルティードー(あの試合で犯したミスには心を痛めていた)」とコレアに言わせているって、覆水盆に返らずなんですから、もういいじゃないですか。

とはいえ、この日はジャケットのフードをかぶってベンチで見ていることが多かったマルセリーノ監督は敗戦にもまったく動じず。ええ、「Las opciones por la cuarta plaza estan intactas/ラス・オプシオネス・ポル・ラ・クアルタ・プラサ・エスタン・インタクタス(4位ゲットのオプションは無傷だ)」と宣言していたため、弟分のヘタフェもまだまだ大変かと思いますが…同日、1時間遅れでブタルケにアスレティックを迎えたお隣さんなど、まだ兄貴分のレアル・マドリーと引分け、ほぼ残留が決まった余韻に酔っているんですかね。前節のビジャレアル戦に続き、やはり大雨の中、今度はエン・ネシリが渾身の力を振り絞ったヘッドで決めたオウンゴールで0-1と負けてしまい、ヨーロッパの大会出場権を狙っている、もう1つのライバルを倒してくれず。

それどころか、もう後がないはずのラージョに至っては木曜日、同じくヘタフェとCL出場権を争っているセビージャに後半、5点を取られるgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らい、2年前、一緒に2部に落ちた弟分仲間の援護射撃になるどころか、自らの首を絞めているとなれば、もう何を言っていいやら。いえ、土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、今度は気温21度の快晴という好条件に恵まれそうなワンダでバジャドリー戦に臨むアトレティコは、私が金曜の午後にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場を覗きに行った時もモラタの車が開始時間15分前に滑り込んで来たのはともかく、皆マジメにトレーニングしていましたしね。

出られないのもバレンシア戦と同じ、足の指を骨折したヒメネルとくだんのコスタだけですし、何より、たとえ土曜最後の試合でバルサがレバンテに勝つとしてもその前にむざむざ、トロフィーを贈るのも悔しいはず。となれば、おそらく少しでもラージョのためになるよう、まだ残留の決まっていない相手に容赦するようなことはないはずですが、さて。その一方でレガネスも再びブタルケでまだ降格の可能性のあるセルタと顔を合わせるんですが、果たしてマドリッド1部5チーム体制を少しでも長く持続させるため、役立ってくれるのかは少々、不安が残るところです。

え、それでヘタフェはマドリーをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えた木曜日、兄貴分たちとCLの晴れ舞台をご一緒したいという意欲を示すことはできたのかって?そうですね、守備の要、CBジェネが出場停止だったせいもあり、左SBのマティアス・オリベイラを中盤に上げ、守備に重心をかけてスタートしたボルダラス監督のチームはとりわけ、ここ8得点を1人で挙げているベンゼマに用心していたようですが、どうやらその作戦は成功。この冬、マンチェスター・シティから加入した19才、ブラヒムには当人のとにかく、ジダン監督にチャンスをもらった際には功績を挙げて、来季はレンタル移籍せず済ませようという意気込みのせいか、そこそこ手を焼いたものの、決定的な働きはさせません。

無事に0-0で前半が終わると、後半にはホルヘ・モリーナ、マタ、ウーゴ・ドゥーロらに加え、アンヘルも投入し、一時はFW4人で攻めに行ったヘタフェでしたが、そこに立ちふさがったのがクルトワの負傷が治ったにも関わらず、この日もゴールを任されたGKケイロル・ナバス。ええ、後半27分にはホルヘ・モリーナのシュートを弾くと、こぼれ球からマタが撃ったボールも弾き、連続paradon(パラドン/スーパーセーブ)で実力を見せつけているとなれば、もしや来季、マドリーを出ることになるのは今季加入したばかりのクルトワということもありうる?

結局、イスコやベイルも移籍金を吊り上げるような働きはできず、柴崎岳選手の出場もないまま、試合は0-0で終わったんですが、ヘタフェにとっては勝ち点1でも大きな意味が。というのも彼らはシーズン前半も先週末の試合でもセビージャに勝っていたため、直前のラージョ戦勝利で抜かれされた相手に勝ち点で並んだだけで、順位では上に立つことがきたから。いえ、それでもボルダラス監督は「La gente puede hablar de Europa, yo no, lo tengo prohibido/ラ・ヘンテ・プエデ・アブラル・デ・エルロッパ、ジョー・ノー、ロ・テンゴ・プロイビードー(人々がヨーロッパの大会について話すのはいいが、自分には禁じている)」と舞い上がらないようにしていましたけどね。

確かに「マドリーは素晴らしいチームでもう、何のタイトルも懸かっていないことは関係なかった。次のレアル・ソシエダも偉大なチームだし、バルサはいつだって勝ちにくるし、ジローナには残留争いがある。De aqui al final va a ser complicadisimo/デ・アキー・アル・フィナル・バ・ア・セル・コンプリカディシモ(ここからラストまで非常に難しくなるだろう)」(ボルダラス監督)というのは本当なんですが、逆に言えば、すでにEL出場圏が遠くなっているソシエダはその日、ビジャレアルにも負け、ここ4試合白星なしとあって、この日曜、アノエタで勝つのは十分可能かと。ジローナ戦はかなり苦労しそうですが、バルサだって、この週末に優勝が決まってしまえば、丁度CL準決勝リバプール戦が終わって疲れているはずですしね。それこそ、最終節のビジャレアルなどはもう残留を達成しているかも。

意外と何とかなりそうな気もしないではありませんが、こればっかりはねえ。試合後、ロッカルームでのミーティングが長引き、ボルダラス監督の後に記者会見に姿を現したジダン監督もブラヒム、ナバス、イスコ、ベンゼマ、バルベルデと何人もの選手の来季残留についての質問が尽きてから、3位と4位の差が勝ち点10あるおかげも大きい?社交辞令かもしれませんが、「Les deseo que esten lo mas alto posible en la clasificacion/レス・デセオ・ケ・エステン・ロ・マス・アルト・ポシーブレ・エン・ラ・クラシフィカシオン(彼らが順位表のできるだけ高いところにいられるよう、願っている)」と言ってくれましたしね。

とにかくヘタフェについては今後も健闘を祈るしかありませんが、ラージョに関してはマドリーもあまり同情する余裕はなさそう。だってえ、ジダン監督に代わって、サンティアゴ・ベルナベウでは勝利が続いているものの、まだアウェイでは1分け1敗の白星なしなんですよ。さすがにこの日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、エスタディオ・バジェカスで開催される兄弟分ダービーでは勝たないと面目が保てないといったところでしょうが、いやはや。

ラージョの命綱、セビージャ戦では出場停止だったため、相手に一矢も報えない原因にもなったラウール・デ・トマスのレンタル契約条項も解除してくれないみたいですしね。もちろん、ここまでパコ・ヘメス監督のチームが切羽詰まってしまったのはそれ以前、主にミチェル監督時代に勝ち点を積み上げられなかったせいですが、何ともリーガは非情。せっかく平日のゲームでも悪天候でも応援に駆けつけてくれる熱いサポーターのいるチームな上、ヘタフェやレガネスに比べ、日本人ファンにも近くて行きやすいのに、今季の惨状は私も心から残念に思います。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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