勝てばいいって訳ではないけど…/原ゆみこのマドリッド

2019.02.19 13:00 Tue
「自覚があるのはありがたいわね」そんな風に私が感心していたのは月曜日、いよいよ2日後に迫ったCL16強対決ユベントス戦前にUEFA.comに載ったグリーズマンのインタビューを読んだ時のことでした。曰く、「Sé que soy alguien importante/セ・ケ・ソイ・アルギエン・インポルタンテ(自分が大事な存在なのは知っている)。だから全力を尽くして、クラブができるだけ遠くまで行けるように助けるよ」と言っていたんですが、まさにその通り。実際、このところのアトレティコは彼以外、誰もゴールを挙げてくれませんからね。

おまけに1本決めても先日のマドリーダービーのように2本目が入らなかったため、最後は1-3で負けてしまうなんて痛い経験も身近にしているため、レアル・マドリーから移籍して1年目のユベントスですでに19ゴール。セリエAのピチチ(得点王)として君臨しているクリスチアーノ・ロナウドをワンダ・メトロポリターノに迎えるにあたっては、倍以上となる他のチームメートたちとの年棒格差を鑑みてもグリーズマンには最低、2ゴールは期待したいところですが、何せ高給取りだからといって、常に高パフォーマンスが保障されている訳でないのがサッカーですからね。

それこそ土曜のエスタディオ・バジェカスでなど、どの選手をとっても相手より、桁違いで稼いでいながら、アトレティコはピッチでその差を見せられなかったんですが、まずはそのラージョとのミニダービーの様子からお伝えしていくことにすると。いやあ、1月半ばにコパ・デル・レイ16強対決で敗退して以来、ずっと週1ペースで試合をしていた彼らなんですが、やっぱりミッドウィークに練習しかしていないのが悪影響しているんでしょうかね。この日も開始早々、サウールのヘッドが外れた後はスピード感ゼロのプレーを延々と披露。
加えてサウール、ビトロ、コレア、フィリペ・ルイスらが次から次へとボールロストのオンパレードとなれば、いくら「来た当初は敵陣に残ってボールを待つ方が良かったけど、ここでは全員が働かないといけない。ボールを取り戻して、攻撃の起点になってと、チームメートを守備でも助ける。Al final te acaba gustando/アル・フィナル・テ・アカバ・グスタンドー(最後はそれが好きになるんだよ)」と話していたグリーズマンだって、いつかはパスミス、キープミス前提のサッカーに疲れてしまわない?

それは何度も守備ラインを突破され、エンバルバやラウール・デ・トマスのシュートを弾くことになったGKオブラクも同じじゃないかと思うんですが、一向に点が入らなかったため、後半15分までには両チーム共、2人の選手を交代。アトレティコは待望のジエゴ・コスタが足の手術後、7年前、レンタルでお世話になったバジェカスのスタンドから温かい拍手を浴びて初出場となったんですが、どちらのためにもならない不毛なスコアレスドローの結末が近づく中、後半28分のことでした。ようやく均衡が崩れたのは。
いやあ、フィリペ・ルイスが左サイドからクロスを入れた時、モラタはオフサイドの位置に立っていたんですけどね。それをアブドゥライ・バが頭でクリアしたため、線審の旗は上がらず、真下に落ちたボールをモラタがグリーズマンに繋いだところ、そのシュートがアマトに当たってゴールになったとなれば、それまで声を枯らして応援していたラージョファンたちが呆気に取られてしまったのも無理はなかったかと。おかげでロスタイムにはアブドゥライ・バの強烈ヘッドをオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)で凌ぎ、0-1の勝利で何とか、ベティス戦、マドリー戦の連敗を終わらせることができたアトレティコでしたが、でもねえ。

格下の弟分からrebote(レボテ/リバウンド)のラッキーゴールしか奪えず、おまけに次は2012年以来、ずっとイタリア王者に君臨しているユベントスを迎えるとあって、チームの調子を心配されてしまうのは当然のこと。そこを「いいプレーをするのを好むチームは悪いプレーをしても決勝に勝ちたいと言うが、nosotros queremos ganar siempre/ノソトロス・ケレモス・ガナール・シエンプレ(ウチは常に勝ちたい)」という言葉でシメオネ監督が済ましてしまったのはもしや、彼自身もチームがあんなひどいプレーばかりする理由がわからなかった?

ここ2日間の練習を見たところ、ようやくコケの負傷が治り、水曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、今季はCL決勝の舞台ともなるワンダではロドリ、トマス、サルール、コケのカンテラーノ(ユース組織出身の選手)によるcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチのこと)が実現しそうですが、だからといって、ボールロスト率が減るかどうかはまた別の問題ですしね。

それならいっそ、ラージョ戦の後、当人が「Hoy he dado una asistencia, el otro dia podia haberme ido con un gol, dos penaltis que no pitan.../オイ・エ・ダードー・ウナ・アシステンシア、エル・オトロ・ディア・ポディア・アベールメ・イドー・コン・ウン・ゴル、ドス・ペナルティス・ケ・ノー・ピタン(今日は1アシストできたけど、先日だってゴールが得点になっていてもおかしくなかったし、取ってもらえなかったけど2つのペナルティがあった)」と自身の働きをアピースしていたモラタをコスタ当人併用して、tridente(トリデンテ/スリートップのこと)を採用。取られたら、取り返すサッカーを目指すなんていうのは…やっぱり、決勝トーナメントではアウェイゴールもありますし、用心深いシメオネ監督はやりませんよね。

一方、これで3連敗となったラージョは翌日、ビジャレアルがセビージャに3-0で完勝したため、1つ順位を落として19位になってしまったんですが、残留ゾーンの17位セルタも負けたため、勝ち点差1のまま、開かなかったのは良かったかと。この冬の市場で中国から戻り、古巣を前に先発デビューしたマリオ・スアレスもこの先、大いに貢献してくれそうですね。今週末は土曜にコリセウム・アルフォンソ・ペレスで5位という眩しい高みにある、もう1つの弟分とのダービーが続くんですが、金曜にはエイバルに追いつかれ、2-2で引き分けてしまったヘタフェとはいえ、CL出場圏まで6位のアラベスと共にほんの勝ち点1とあって、こちらも頑張ってほしいところ。本当にもう、マドリッド勢5チームの今季は心の葛藤のある試合が多くて困ってしまいますよ。

そしてバジェカスからの帰りがけ、次の時間帯だったレガネスがアノエタでハーフタイムまで0-0だったため、勝利のシーンが見られるかと、自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)に寄った私だったんですが、これが大外れ。ええ、後半5分にヤヌザイのクロスからオジャルサバルにヘッドで先制点を決められると、14分にも同選手が2点目を追加。29分にはヤヌザイのFKをウィリアム・ホセに撃ち込まれ、前節ベティス戦3-0勝利をレアル・ソシエダに真似されてしまったから、まったくツイていない。

といってもレガネスは13位で降格圏とは勝ち点6差、ヨーロパリーグ出場圏の6位までも勝ち点7差と穏やかな位置にいるため、この敗戦を糧として、バレンシアをブタルケに迎える次節に集中してくれればいいだけですが、サプライズがあったのは翌日曜のことでした。ええ、土曜の最後の試合ではバルサがバジャドリーに1-0で辛勝していたと知りながら、今まさに昇り調子にあったマドリーがリーガでここ9試合勝っていない相手に躓いてしまうとは一体、どうしたことでしょう!

正午開催のサンティアゴ・ベルナベウは天気も良く、暖かくてスタンドで見ているファンには快適な試合だったんですけどね。始まってすぐ、GKクルトワがストゥアニのシュートを顔で止め、治療を受けるというアクシデントはあったものの、前半25分にはクリアされたCKをクロースが再びエリアに放り込み、カセミロのヘッドで先制もしたというのにその後、「コパ準々決勝での対戦より、敵のボールを出しにくくした」(エウセビオ監督)ジローナから、追加点を奪えず。それが相手に「向こうは1-0で勝てると思い、nosotros con solo un gol en contra hemos creido/ノソトロス・コン・ソロ・ウン・ゴル・エン・コントラ・エモス・クレイドー(1点しか取られていないウチは信じることができた)」(同)という結果に繋がるんですから、まったくリーガは油断がならないったらありません。

実際、後半頭から、ポロとポンスをロサノとアレックス・ガルシアに代えたジローナは後者がゴール前から撃ち上げて、せっかくの同点のチャンスを台無しにしたかと思ったら、とんでもない。13分にはストゥアニのヘッドがゴールポストを直撃した後、ドグラス・ルイスのシュートをセルヒオ・ラモスが手で触ってしまい、PKを献上。これをストゥアニに沈められ、1-1となったんですが、いやあ、この少し前にはソラリ監督もここ12試合、先発出場が続いていたため、ベンチスタートにしたビニシウスをルーカス・バスケスと交代で投入、追いつかれた後にはアセンシオに代えてベイルも出し、29分にはセバージョスをマリアーノへと、ベンゼマも含めて4人FW体制にしていたんですけどね。

まさかその1分後、ロサノのシュートはクルトワが弾いたものの、マルセロのカバーが遅れ、すでにゴールバーに当たるシュートも撃っていたポルトゥに頭で決められてしまったから、さあ大変!おまけに根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)モードに入っていた44分、アルカラの目の前でchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を試みたラモスがjuego peligroso/フエゴ・ペリグローソ(危険なプレー)と判定され、ペナルティのプレーに続いて2枚目のイエローカードで退場してしまったんですよ。

いえ、先週水曜のCLアヤックス戦1stレグで2ndレグに出場停止となるカードをわざともらった容疑でUEFAの調査が始まっている中、リーガでもこの試合前にあと1枚で累積警告だった彼が2節先のバルサ戦での出場を確かなものするため、カードを意図的にゲットするんじゃないかという予想はあったんですけどね。確かにこの退場で今週末のレバンテ戦は出場停止、よってリーガ・クラシコには出られることになったラモスですが、イエロー累積は4枚のままというのはアテ外れもいいところだったかと。

そしてロスタイムには「al ser el último minuto y como yo soy alto, mido dos metros/アル・セル・エル・ウルティモ・ミヌート・イ・コモ・ジョ・ソイ・アルト、ミド・ドス・メトロス(最後の分だったし、ボクは大きくて、身長2メートルある)。敵はそれで神経質になるからね」という理由でクルトワも加わったCKの全員攻撃では目論見通り、高い打点でボールをミートした彼だったんですが、残念ながら、そのヘッドは枠の外へ。結局、マドリーは1-2で負けてしまうことに。うーん、「El desgaste no es solo fisico, es mental, de concentracion/エル・デスガステ・ノー・エス・ソロ・フィシコ、エス・メンタル、デ・コンセントラシオン(疲労はフィジカル面だけじゃなくてメンタル的、集中力にも影響する)」という理由でアヤックス戦からスタメンを6人代えたとはいえ、今週のマドリーはミッドウィークに試合はなし。とりわけビニシウス温存やマルセロ先発など、ちょっとソラリ監督も選手ローテーションのサジ加減を誤りましたかね。

そんなこんなで先週にはお隣さんを抜いた彼らもまた3位に逆戻り、といっても勝ち点差は2だけなので、しばらくは熱い2位争いが繰り広げられるんじゃないかと思いますが、何せ首位のバルサとはアトレティコが7差、マドリーは再び9差ですからね。もうこうなると、本当にマドリッドの両雄はCL優勝を目指すしかない?もちろん、マドリーにはカノウ・ノウでの1stレグを1-1と拮抗して終えたコパ準決勝2ndレグが27日にあるため、こちらの方でのタイトル獲得の可能性もあるんですけどね。とりあえず、今週はバルサが火曜にCLオリンピック・リヨン戦1stレグに挑むのを横目で見ながら、日曜のレバンテ戦、来週のコパ、リーガのクラシコ連戦に備え、態勢を立て直してくれるのを期待するばかりでしょうか。

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