まだ先は長い…/原ゆみこのマドリッド

2019.01.08 21:30 Tue
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「すぐさまゴールを当てにできる訳じゃないわよね」そんな風に私が首を傾げていたのは月曜日、サンティアゴ・ベルナベウでブラヒム・ディアスの入団プレゼンが行われているのを見た時のことでした。いやあ、今年の6月まで待てばマンチェスター・シティとの契約が満了となり、移籍金を一銭も払わなくていいにも関わらず、レアル・マドリーが1500万ユーロ(約19億円)、プラス達成オプション500万ユーロ(約6億円)という大金を出したり、契約解除金額がイスコやアセンシオの7億ユーロ(約900億円)を上回る7億5000万ユーロに設定されているのを見ると、それだけ期待されている選手だというのはわかりますけどね。

もちろん2025年までの契約を結んだ当人も「シティから出る決断をした時、考えたのは3つの選択肢だけ。La primera, jugar en el Madrid; la segunda, jugar en el Madrid y la tercera, jugar en el Madrid/ラ・プリメーラ、フガール・エン・エル・マドリッド;ラ・セグンダ、フガール・エン・エル・マドリッド・イ・ラ・テルセーラ、フガール・エン・エル・マドリッド(1番目がマドリーでプレーすること、2番目もマドリーでプレーすること、そして3番目もマドリーでプレーすること)」とベルナベウのアンテパルコ(貴賓席前ホール)での晴れの舞台で話し、移籍が叶った喜びを強調していたのは初々しくて良かったかと。

ただちょうど、前日は18歳のビニシウスがやはりまだ、クリスチアーノ・ロナウドどころか、ベイルの代わりをするまでにも至っていないのを確認したばかりだったせいもあるんでしょうか。いくらグアルディオラ監督が出したがらなかった将来有望な選手とはいえ、ブラヒムはまだ19歳。確かにその年齢のイスコはマラガでペレグリーニ監督(現ウェストハム)の信頼を受け、当時、ユースチーム所属でラ・ロサレダ(マラガのホーム)の試合ではrecogepelota(レコヘペロータ/ボールボーイ)を務めていた当人にとって、憧れの先輩だったとはいえ、ここは毎シーズン、全てのタイトルを争うことが義務付けられているマドリーなんですよ。
どの対戦相手も常に気合いを入れて挑んでくるため、イングランドでの3年間、公式戦5試合出場2得点という実績しかない彼はまだ、プレー時間の獲得を目指す段階じゃない?それ以上に夏のUEFAスーパーカップでお隣さんに負け、リーガでも首位に水を開けられ、10月末にはロペテギ監督が解任。クラブW杯で優勝したことで評価が上がったものの、後任のソラリ監督も年明けからの2試合に勝利できず、再びクライシス入りが噂されているチームにはもっと即戦力、ゴールをガンガン決めてくれるクラックが必要なんじゃないかと思ってしまうファンはきっと、私だけではなかったかと。

まあ、ブラヒムがマドリーの救世主になってくれるかどうかはともかく、弟分のレガネスとラージョが先だって試合した後、日曜にあったマドリー勢残り3チームの18節がどうだったか、お伝えしていくことにすると。それがマドリー以外についても嬉しいお知らせができなくて、先陣を切ったアトレティコはサンチェス・ピスファンで3位のセビージャとガチンコ対決。どうやら左SB絶賛修行中ながら、最近は「Tengo ganas de volver al medio, de acomodarme en el centro del campo/テンゴ・ガナス・デ・ボルベル・アル・メディオ、デ・アコモダールメ・エン・エル・セントロ・デル・カンポ(中盤に戻りたいという気持ちはある。ピッチの中央で落ち着きたいっていうね)」と本音も出てしまうサウールの前にレマルを置いたせいだったんでしょうか。
彼らでは33歳になっても血気盛んなヘスス・ナバスをコントロールすることができず、直前のアンドレ・シウバのシュートはGKオブラクが触ってゴール枠に逃げたものの、とうとう前半36分には失点してしまうことに。ええ、ナバスのパスをカリーソが繋ぎ、ゴール前のベン・イェデルに決められてしまったから、さあ大変!とはいえ、この時の失点は前半終了間際、トマスの獲得した敵エリア近くのFKをグリーズマンが見事にゴールに変え、「Esto es el Atlético, con muy poquito te crean ocasiones/エスト・エス・エル・アトレティコ、コン・ムイ・ポキート・テ・クレアン・オカシオネス(これがアトレティコ、ほんの少しのことからでもチャンスを作る)」(カリーソ)と、セビージャにショックを与えてハーフタイムに入ったんですが…。

後半はシメオネ監督がコケを左サイドに回し、カンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の後輩に手を貸すように配慮、ベン・イェデルやナバスのシュートを凌いだ彼らでしたが、残念なのは37分、せっかく1対1のチャンスを掴んだグリーズマンがGKバシリクに止められてしまったこと。いやあ、これも他の選手だったら、そういう日もあるさと諦められるんですけどね。昨夏、2000万ユーロ(約25億円)という破格の年棒で契約延長、そのせいでクラブの人件費枠がいっぱいになり、彼の5分の1しか給料をもらっていないオブラク、今季いっぱいで契約が終わるゴディンら、ベテランとの延長交渉もままならないといった事情を鑑みると、ここは絶対決めて欲しかったところですが、まあ、こればっかりはねえ。

結局、最後はトマスのシュートもバシリクにそらされてしまい、1-1の引き分けで試合は終わったんですが、おかげでアトレティコのアウェイ勝利数は2つのまま(9試合2勝6分け1敗)。セビージャとの差は勝ち点2のままで、2位の座は死守しましたが、いつの日か、首位に立ちたいと願うなら、とにかくこの内弁慶な性格を直してくれないと。うーん、今週控えている水曜午後7時30分(日本時間翌午前3時30分)からのコパ・デル・レイ16強対決ジローナ戦1stレグもモンティリビですしね。相手が1部に上がってきてから、まだ1勝もできていないスタジアムというのは気になりますが、16日にはワンダ・メトロポリターノで2ndレグがあるため、こちらは引き分けでもいいかもしれません。

そして続きの時間帯でレアル・ソシエダをベルナベウに迎えたお隣さんだったんですが、いやあ、年明け最初のビジャレアル戦で学ばなかったんですかね。何と開始2分、カセミロがミケル・メリーノをエリア内で倒し、ウィリアム・ホセにPKを決められて、この日もマドリーは1点ビハインドで試合を始めることに。ただその後が違っていて、彼らはいつになっても同点ゴールを挙げられないんです。そうこうするうち、後半16分にはルーカス・バスケスが2枚目のイエローカードをもらって退場って、いえ、往年の彼らだったら、DNAに染み込んだ「奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)」体質が発現しても決しておかしくない状況だったんですけどね。

この日はその2分後、ビニシウスがGKルリに倒されながら、主審がVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)による見直しをしてくれないという不運も重なり、後で前半のセットプレーでかつての同僚、イジャラメンディにバランスを崩されたセルヒオ・ラモスも「Los penaltis son clarisimos. El de Vinicius es escandaloso/ロス・ペナルティス・ソン・クラリシモス。エル・デ・ビニシウス・エス・エスカンダローソ(ペナルティなのははっきりしていた。ビニシウスのに至ってはもうスキャンダルそのもの)。せめて笛を吹いてから、訊くこともできたのに」と怒っていたんですけどね。

惜しいベンゼマやラモスのシュートがGKルリにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったせいもありましたが、すでに負傷中のベイルがパルコ観戦を切り上げ、スタジアムを出ていた38分、ウィリアム・ホセのクロスをルーベン・パルドにヘッドで決められ、最後は0-2で負けてしまったから、一体どうしたものか。いやあ、この惨状にはモドリッチなど、「Hay que ver por que no metemos goles/アイ・ケ・ベル・ポル・ケ・ノー・メテモス・ゴーレス(どうしてゴールを挙げられないのか考えないといけない)。物事が上手くいく時、ツキも伴っているのに理由があるように、ダメな時にはその理由もあるのだから」と試合後のミックスゾーンでコメント。

キックオフ直後の失点が続いているのにも「Esto es solo falta de concentración/エスト・エス・ソロ・ファルタ・デ・コンセントラシオン(あれは集中力不足なだけ)で、今は避けないといけない。ウチはゴールがなかなか入らないからね。それだけじゃなくて、足りないことは他にもある」と反省していましたが、ごもっとも。ロナウドのいない今、そう簡単に取られたら取り返すという訳にはいかないんですから、当面は失点が少ないチームを目指す方が論理的?ええ、とりわけこの水曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)からのコパ・ミニダービー、レガネスを迎えての1stレグではまあ、クロースがソシエダ戦で左太ももの肉離れを起こし、全治3週間となってしまったのもありますが、基本、ソラリ監督もローテーションで対応するはずですからね。

その日がブラヒムのデビューとなるかはわかりませんが、ベイル、アセンシオ、マルコス・ジョレンテ、マリアーノも負傷のリハビリ中なため、バジェホやレギロン、バルベルデ、セバージョスといったところから、まず気合いの入った守備を見せてもらうことにして、週末のベティス戦でリーガの立て直しを図っていくしかないかと思いますが…とにかく奮闘空しく、日曜最後の試合でバルサをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えた弟分が力及ばなかったことは決して責めてはいけませんって。

そう、これはマドリーだけでなく、セビージャで躓いたアトレティコもちょっとは期待していたんですが、その日のヘタフェもVAR介入なしの被害者に。序盤にはマキシモビッチがアルトゥロ・ビダルにエリア内で倒されたプレーも、せっかくマタの先制ゴールが決まったのにファールを取られて無効になったプレーも主審は1人で判定。これには後でボルダラス監督も「Ha sido un gol legal/ア・シードー・ウン・ゴル・レガル(あれは正当なゴールだった)。何度リプレーを見てもウチに偏見があるように感じる。0-0だったから、あれでゲームも変わったはずだ」とカンカンでしたけどね。

とはいえ、前半20分にメッシが決めたゴールには文句のつけようがなく、だって周りを5人の敵に囲まれていながら、ボールを持って抜けてしまったんですよ。ゴールラインぎりぎりからのシュートで1点を奪われると、40分にも今度はルイス・スアレスがその才能を遺憾なく発揮。ヘッドでクリアされたボールを完璧なvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込まれてしまってはどうしようもありませんって。それでもハーフタイム入り直前にはアンヘルのパスをマタがゴール前から押し込んで、何とか1点差に迫ったヘタフェだったんですが…。

後半は「El cesped estaba un poco lento, siempre que venimos aqui no riegan el campo/エル・セスペッド・エスタバ・ウン・ポコ・レント,シエンプレ・ケ・ベニモス・アキー・ノー・リエガン・エル・カンポ(芝が少し遅かった。ウチがここに来る時はピッチに水を撒かないからね)」(ピケ)という理由であまり活発なプレーがなかったバルサですが、ヘタフェもアンヘルやマタが絶好機で失敗。いえ、彼らの場合、そういうこともあると納得できる給料レベルとあって、本当に仕方ないんですけどね。GKダビド・ソリアが2度もメッシを止めてくれたおかげで、最後は1-2と競ったスコアで終わっただけでもヘタフェは立派だったかと。これなら水曜のコパ16強対決、ホームにバジャドリーを迎える1stレグでもきっといい試合を見せてくれるのでは?

ただ結果、ヘタフェが7位に留まったのに比べ、首位バルサと上位陣の差が広がり、2位のアトレティコとは勝ち点5、5位まで後退してしまったマドリーとは10と恐ろしいことになってしまったんですが、それも自業自得ですからね。このまま独走状態でリーガを持っていかれないためにはそれぞれ、地道に勝利を積み上げていくしかないんですが、今週末はシーズン前半戦最後となる19節。まずは金曜にスタートするラージョがセルタ戦で勝利を重ねて、勝ち点3差の残留ライン、17位のアスレティックに追いついてくれるといいですね。

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