揃って勝てば問題ない…/原ゆみこのマドリッド
2018.11.23 12:30 Fri
▽「まずは出だしが肝心よね」そんな風に私が結論づけたのは木曜日、ようやく各国代表戦のparon(パロン/停止期間)が終わり、リーガ再開を前に順位表を見直していた時のことでした。というのもマドリッド勢を応援する自分にとって現在、悩みの種は首位と残留争いで、13節の口火を切る金曜のカードでは弟分のレガネスと2位グループにいるアラベスがブタルケで対決。ここでペレグリーノ監督が2シーズン前、コパ・デル・レイ決勝まで導いた古巣を破ってくれれば、その日だけでも降格圏の18位から16位までジャンプアップすることになるから。
▽となると、まずはここ3試合、ずっと2得点はしていて攻撃陣が上向いてきた感のあるラージョが、来週火曜にグループリーグ生き残りが懸かったCLユベントス戦を控え、選手の温存もありうるバレンシアを倒して代理リベンジ。その恩をボルダラス監督のチームが返すなんてことになれば理想的なんですが、まあ実際、勝てば11位のヘタフェもヨーロッパリーグ出場圏が近づきますからね。今週はまた非公開練習も増え、秘策を練っていたようですし、前節、アトレティコ戦で2ゴールを挙げたウィリアムスには用心して、勝ち点3の奪取を目指してほしいものです。
▽え、それで兄貴分たちの今週末の予定はどうなっているのかって?はい、レアル・マドリーは土曜午後1時(日本時間午後9時)からのアジアンゴールデンタイムでエイバル戦なんですが、今回はFIFAウィルスにも罹らず、木曜には各国代表に行っていた総勢11人の選手たちが全員、バルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドで練習。ええ、筋肉痛で親善試合だったボスニア・ヘルツェゴビナ戦には参加せず、スペイン代表から早帰りしたセルヒオ・ラモス、前節セルタ戦で足首を腫らしながら、ネイションズリーグのデンマーク戦だけでなく、親善試合のアルバニア戦にも30分、ウェールズ代表としてプレーしたベイルにも支障はまったくないようでしたっけ。
▽ええ、というのもGK、DF陣を除く6人でレギュラーと見なされるのはベンゼマ、ベイル、クロース、モドリッチですが、残り2枠をルーカス・バスケス、アセンシオ、イスコ、セバージョスで争うことになりますからね。とりわけ、スペイン代表合宿中に「Yo tampoco soy el que tiene que tirar del carro del club/ジョ・タンポコ・ソイ・エル・ケ・ティエネ・ケ・ティラール・デル・カロ・デル・クルブ(ボクもクラブを牽引する選手じゃない。もっと在籍年数が長くて、経験もあって、自分よりステータスが高い選手たちが牽引しないと」と発言。それを野心がないと世間から大きく批判されたアセンシオなど、水木両日に渡ってマルカ(スポーツ紙)に掲載されたロングインタビューで、「ボクだってもちろん、チームメートと一緒にチームを牽引したいよ。あれは全て誤解だった」と実際、そう言っているビデオも残っているのに打ち消すのに必死でしたからね。
▽それだけにプレーする機会をもらえれば、汚名挽回してくれるんじゃないかと思いますが、さて。ちなみに彼によると、ロペテギ監督とソラリ監督の違いは「Ahora somos un equipo más vertical/アオラ・ソモス・ウン・エキポ・マス・ベルティカル(今はもっと縦に攻めるチーム)。守備ではよりコンパクトになって、プレーをシュートで終わらせるようにしている。効率的に点が取れるように」というところにあるそうですが、うーん、そうなるとやはりイスコの復権はちょっと難しいかも。ただマドリーも来週火曜にはCLローマ戦を控えているため、この代表戦週間、クロアチアのファイナルフォー進出を懸け、ネイションズリーグの公式戦2試合にフル出場してきたモドリッチ辺りには温存の可能性があるかも。
▽相手のエイバルもアルビージャ、ディオップが出場停止、正GKドミトビッチも手術したばかりで出られずとハンデがあるため、メンディリバル監督も競争力のあるチームを組むのに苦労しているようですけどね。本当にマドリーが通常状態に戻ったか、ここはお手並み拝見というところでしょうか。ちなみにこの試合はイルプアで開催、ローマ戦もアウェイとここしばらく、ホームゲームがなかったマドリーはいよいよ、12月1日(土)のバレンシア戦でサンティアゴ・ベルナベウに帰還。それまでに首位バルサとの勝ち点差も4から、もっと縮めておきたいところですが…ええ、そのためには彼らもお隣さんの力を借りないといけないんです!
▽そう、折しもマドリーがエイバル(スペイン北部)から戻った頃、アトレティコが午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)にバルサをワンダ・メトロポリターノに迎えるから。いやあ、その辺の隣人愛があるかどうかは別として、一応、彼らも勝ち点差1で首位を追っていますからね。私も水曜夕方にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に見学に行ってみたところ、噂では知っていたんですが、これまで金網の向こうからファンが眺め放題だった下のグラウンドが見事に幕で覆われていたのは圧巻。
▽きちんと角度も測って、覆いのない公道側からも見られないように隣のグラウンドとの境にも幕を張っていたため、私もたった15分程、選手たちがサイドからの攻撃プレーを練習しているところしか目撃していないんですが、うーん、マスコミが敷地から追い出された後、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)で、シメオネ監督が並べた仮想先発メンバーが大手スポーツ紙に載っていたってことは、もしかしてどこかに覗ける穴でも開いている?
▽実際、この状態だと、まったくファンに練習を見る機会がないマドリーと同じになってしまったとしか言えませんが、強いて挙げれば、広い敷地の奥まった場所にグラウンドがあるバルデベバスとは違って、セッション中のシメオネ監督や選手たちの声だけは外からでも聞こえることぐらいでしょうか。ここ数年は私もマハダオンダに行くと時々、出入り口に日本人観光客の姿があって、ちょっぴり嬉しくなったりしたんですけどね。昨今ではどのチームも選手たちを試合でしか見られないのは困った傾向です。
▽まあ、そんなことはともかく、アトレティコの朗報はケガで全滅していたCBのうち、サビッチとリュカが治っていたこと。ヒメネスは隣のグラウンドでコーチと個人メニュー、ゴディンなど、前節セルタ戦での負傷で全治1カ月のため、当てにするべくもないんですけどね。彼もウルグアイの応援に駆けつけたフランス代表の親善試合から、戻って来たばかりのグリーズマンもその日はジムだけだったとはいえ、翌日、芝の全面張替えでキレいになったワンダでのセッションでは、最後にアルゼンチン代表から帰還したコレアと共に無事な姿を見せています。
▽その他、フィリペ・ルイス(ブラジル)やトマス(ガーナ)らの代表組にも異常がなく、更に力強いのはコケやレマルに加え、アスレティック戦で足を痛めたジエゴ・コスタも復活していたことですが、ただねえ、彼は昨季の2月から、リーガ18試合でゴールから見放されているんですよ。実際、シメオネ監督自体、就任から1度もリーガのホームゲームでバルサに勝ったことがなく、最後の勝利が2010年2月、キケ・サンチェス・フローレス監督の時代にフォルランとシモンのゴールで2-1とした時だったとなると、木曜夜にはファンフランがふくらはぎを負傷なんてニュースも舞い込んできただけに、もしや引き分けでもファンは御の字と思うべき?
▽一方のバルサはスペインとのネイションズリーグの試合で負傷したラキティッチが丁度、出場停止処分というのがありますが、どうやらその穴はホンジュラスとの親善試合でチリの2点を挙げたアルトゥーロ・ビダルか、セルジ・ロベルトで補えるよう。この2週間で小さな肉離れを起こしていたコウチーニョも治ったようですしね。スタッド・ド・フランスでフル出場、終盤に交代となったグリーズマンとほぼ同じぐらいプレーしていたルイス・スアレスとは体力的に互角でも、あちらはメッシが今回もアルゼンチン代表に行かず、週末は家族でドバイに行って充電したりと、休養十分なのは怖いところ。
▽とはいえ、そのメッシが出ていた代表戦週間前のベティス戦で3-4とバルサは負けていて、そのベティスにアトレティコはワンダで1-0と勝っていることを思い出すと、ちょっと自信が出てきたりもするんですが、こればっかりはねえ。いよいよマドリッドも夜はかなり気温が下がり、風通しのいいワンダでの観戦はしっかり防寒していかないと辛そうですが、今季になって初めてスタンドもモザイクを作って応援してくれると聞きますし、とにかくファンが胸を張れるような試合をしてくれるといいですよね。
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▽そうなれば、同時にアラベスの1日天下という、近年のリーガではあまり例を見ない奇特な状況を避けることができますし、兄貴分のアトレティコが順位を下げることもありませんしね。ただ心配なのはこのレガネス、先週は2部の弟分、お隣さんのアルコルコンを招いて親善試合をしたところ、1-3とあっさり敗戦。もちろん相手は今、空を飛ぶ鳥も落とす勢いの首位チームとあって、降格圏にいる彼らとは甲乙つけがたいまでに実力が伯仲してしまっているのもしれませんが…頼りのGKクエジェルも前節でのケガが治らず、レアル・マドリーからレンタル移籍している19歳のルニンが予告先発するのもちょっと怖いところです。▽そして土曜にはもう1つの弟分、19位のラージョがメスタジャでバレンシアに挑み、17位のアスレティックと同じ勝ち点に並ぶべく、勝利を目指すんですが、この残留ラインへの詰めが上手くいくかどうかの鍵はヘタフェが握っていると言っても過言ではないかと。というのも日曜正午(日本時間午後8時)から、サン・マメスでアスレティックと対戦するのが彼らだからですが、ヘタフェ自身も前節、そのバレンシアに悔しいPKでの0-1負けを喰らったという因縁が。▽え、それで兄貴分たちの今週末の予定はどうなっているのかって?はい、レアル・マドリーは土曜午後1時(日本時間午後9時)からのアジアンゴールデンタイムでエイバル戦なんですが、今回はFIFAウィルスにも罹らず、木曜には各国代表に行っていた総勢11人の選手たちが全員、バルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドで練習。ええ、筋肉痛で親善試合だったボスニア・ヘルツェゴビナ戦には参加せず、スペイン代表から早帰りしたセルヒオ・ラモス、前節セルタ戦で足首を腫らしながら、ネイションズリーグのデンマーク戦だけでなく、親善試合のアルバニア戦にも30分、ウェールズ代表としてプレーしたベイルにも支障はまったくないようでしたっけ。
▽加えて、この2週間でカルバハル、マルセロの両SB、そしてマリアーノが完全復帰したという嬉しいニュースもあったんですが、レギロン、カセミロ、ナチョはまだリハビリ中。とはいえ、人手不足には程遠く、ロペテギ監督解任後の4連勝を評価され、クラブと2021年までの正式契約を締結。「それ程、サッカースタイルの違いはないと思う。No era normal que perdieran tantos partidos. Lo normal es lo de ahora/ノー・エラ・ノルマル・ケ・ペルディエラン・タントス・パルティードス。ロ・ノルマル・エス・ロ・デ・アオラ(あんなに試合に負けるのが普通じゃなかった。普通なのは今の状態)」という、エイバルのメンディリバル監督の意見もありますが、いよいよ真価を問われることになるソラリ監督にとってはむしろ、スタメン選びの方が大変かと。
▽ええ、というのもGK、DF陣を除く6人でレギュラーと見なされるのはベンゼマ、ベイル、クロース、モドリッチですが、残り2枠をルーカス・バスケス、アセンシオ、イスコ、セバージョスで争うことになりますからね。とりわけ、スペイン代表合宿中に「Yo tampoco soy el que tiene que tirar del carro del club/ジョ・タンポコ・ソイ・エル・ケ・ティエネ・ケ・ティラール・デル・カロ・デル・クルブ(ボクもクラブを牽引する選手じゃない。もっと在籍年数が長くて、経験もあって、自分よりステータスが高い選手たちが牽引しないと」と発言。それを野心がないと世間から大きく批判されたアセンシオなど、水木両日に渡ってマルカ(スポーツ紙)に掲載されたロングインタビューで、「ボクだってもちろん、チームメートと一緒にチームを牽引したいよ。あれは全て誤解だった」と実際、そう言っているビデオも残っているのに打ち消すのに必死でしたからね。
▽それだけにプレーする機会をもらえれば、汚名挽回してくれるんじゃないかと思いますが、さて。ちなみに彼によると、ロペテギ監督とソラリ監督の違いは「Ahora somos un equipo más vertical/アオラ・ソモス・ウン・エキポ・マス・ベルティカル(今はもっと縦に攻めるチーム)。守備ではよりコンパクトになって、プレーをシュートで終わらせるようにしている。効率的に点が取れるように」というところにあるそうですが、うーん、そうなるとやはりイスコの復権はちょっと難しいかも。ただマドリーも来週火曜にはCLローマ戦を控えているため、この代表戦週間、クロアチアのファイナルフォー進出を懸け、ネイションズリーグの公式戦2試合にフル出場してきたモドリッチ辺りには温存の可能性があるかも。
▽相手のエイバルもアルビージャ、ディオップが出場停止、正GKドミトビッチも手術したばかりで出られずとハンデがあるため、メンディリバル監督も競争力のあるチームを組むのに苦労しているようですけどね。本当にマドリーが通常状態に戻ったか、ここはお手並み拝見というところでしょうか。ちなみにこの試合はイルプアで開催、ローマ戦もアウェイとここしばらく、ホームゲームがなかったマドリーはいよいよ、12月1日(土)のバレンシア戦でサンティアゴ・ベルナベウに帰還。それまでに首位バルサとの勝ち点差も4から、もっと縮めておきたいところですが…ええ、そのためには彼らもお隣さんの力を借りないといけないんです!
▽そう、折しもマドリーがエイバル(スペイン北部)から戻った頃、アトレティコが午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)にバルサをワンダ・メトロポリターノに迎えるから。いやあ、その辺の隣人愛があるかどうかは別として、一応、彼らも勝ち点差1で首位を追っていますからね。私も水曜夕方にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に見学に行ってみたところ、噂では知っていたんですが、これまで金網の向こうからファンが眺め放題だった下のグラウンドが見事に幕で覆われていたのは圧巻。
▽きちんと角度も測って、覆いのない公道側からも見られないように隣のグラウンドとの境にも幕を張っていたため、私もたった15分程、選手たちがサイドからの攻撃プレーを練習しているところしか目撃していないんですが、うーん、マスコミが敷地から追い出された後、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)で、シメオネ監督が並べた仮想先発メンバーが大手スポーツ紙に載っていたってことは、もしかしてどこかに覗ける穴でも開いている?
▽実際、この状態だと、まったくファンに練習を見る機会がないマドリーと同じになってしまったとしか言えませんが、強いて挙げれば、広い敷地の奥まった場所にグラウンドがあるバルデベバスとは違って、セッション中のシメオネ監督や選手たちの声だけは外からでも聞こえることぐらいでしょうか。ここ数年は私もマハダオンダに行くと時々、出入り口に日本人観光客の姿があって、ちょっぴり嬉しくなったりしたんですけどね。昨今ではどのチームも選手たちを試合でしか見られないのは困った傾向です。
▽まあ、そんなことはともかく、アトレティコの朗報はケガで全滅していたCBのうち、サビッチとリュカが治っていたこと。ヒメネスは隣のグラウンドでコーチと個人メニュー、ゴディンなど、前節セルタ戦での負傷で全治1カ月のため、当てにするべくもないんですけどね。彼もウルグアイの応援に駆けつけたフランス代表の親善試合から、戻って来たばかりのグリーズマンもその日はジムだけだったとはいえ、翌日、芝の全面張替えでキレいになったワンダでのセッションでは、最後にアルゼンチン代表から帰還したコレアと共に無事な姿を見せています。
▽その他、フィリペ・ルイス(ブラジル)やトマス(ガーナ)らの代表組にも異常がなく、更に力強いのはコケやレマルに加え、アスレティック戦で足を痛めたジエゴ・コスタも復活していたことですが、ただねえ、彼は昨季の2月から、リーガ18試合でゴールから見放されているんですよ。実際、シメオネ監督自体、就任から1度もリーガのホームゲームでバルサに勝ったことがなく、最後の勝利が2010年2月、キケ・サンチェス・フローレス監督の時代にフォルランとシモンのゴールで2-1とした時だったとなると、木曜夜にはファンフランがふくらはぎを負傷なんてニュースも舞い込んできただけに、もしや引き分けでもファンは御の字と思うべき?
▽一方のバルサはスペインとのネイションズリーグの試合で負傷したラキティッチが丁度、出場停止処分というのがありますが、どうやらその穴はホンジュラスとの親善試合でチリの2点を挙げたアルトゥーロ・ビダルか、セルジ・ロベルトで補えるよう。この2週間で小さな肉離れを起こしていたコウチーニョも治ったようですしね。スタッド・ド・フランスでフル出場、終盤に交代となったグリーズマンとほぼ同じぐらいプレーしていたルイス・スアレスとは体力的に互角でも、あちらはメッシが今回もアルゼンチン代表に行かず、週末は家族でドバイに行って充電したりと、休養十分なのは怖いところ。
▽とはいえ、そのメッシが出ていた代表戦週間前のベティス戦で3-4とバルサは負けていて、そのベティスにアトレティコはワンダで1-0と勝っていることを思い出すと、ちょっと自信が出てきたりもするんですが、こればっかりはねえ。いよいよマドリッドも夜はかなり気温が下がり、風通しのいいワンダでの観戦はしっかり防寒していかないと辛そうですが、今季になって初めてスタンドもモザイクを作って応援してくれると聞きますし、とにかくファンが胸を張れるような試合をしてくれるといいですよね。
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