女性への不適切行為にJFAは素早い対応/六川亨の日本サッカー見聞録
2018.11.10 12:00 Sat
▽今週水曜の7日、JFA(日本サッカー協会)はキリンチャレンジ杯で16日にベネズエ、20日にキルギスと対戦する日本代表23名を発表した。招集メンバーは10月のウルグアイ戦とほぼ同じで、試合中に胸部をボールが痛打し肺気腫となった長友佑都、J1リーグの試合中に相手選手の肘が顔面を強打し眼底骨折した小林悠がメンバーから外れた。
▽代わりに招集されたのが、レフティーの左サイドバック山中亮輔(横浜FM)と、屈強なフィジカルから対人プレーに強さを発揮する鈴木優磨(鹿島)の2人だった。山中は25歳、鈴木は22歳と、選手として脂の乗り切った年代での選出だけに、どんなプレーを見せてくれるか楽しみである。
▽そして今回の招集で明らかになったことがある。森保監督は海外組といえども試合に出ていない選手、今回では香川真司、武藤嘉紀、岡崎慎司らロシアW杯組のベテランを招集しないということだ。トップ下の候補が南野拓実しかいないことに不安を覚えるが、アジアカップは今回のメンバーが中心となって臨むことは間違いないだろう。
▽当日は11月11日から21日にかけて、UAEで開催されるドバイカップU-21日本代表のメンバーも発表された。こちらはU-21世代の板倉滉(仙台)、小川航基(磐田)と、U-19世代の橋岡大樹(浦和)、田川亨介(鳥栖)に加え、U-17世代の久保建英(横浜FM)と3世代の混成チームだ。
▽そしてA代表の横内昭展コーチがU-21代表の監督代行を務め、逆にA代表のコーチにU-19コーチの秋葉忠宏、U-16コーチの齋藤俊秀を起用したのは、森保監督がテーマに掲げる世代間の融合を意図してのことだろう。こうした試みは初めてのことなので、どのような成果と弊害が出てくるのか興味深い。
▽あわせて監督責任として田嶋幸三会長、須原清貴専務理事、女子委員会の今井純子委員長、手塚貴子副委員長が役員報酬の10パーセントを3か月間、自主返納することを決めた。
▽楠木氏の辞任はすでに11月1日で報道されていたが、最初は「強敵に勝ったり、W杯出場を決めたりしたら、思わず近くにいたら女性でもハグしてしまうだろう」と、ちょっと厳しい対応だなと思った。しかし詳細を聞くと、出張先の勤務時間中だったり、JFAハウス内での会議後だったりと、ハグする必要のない場面で同じ女性にハグしたという。
▽これでは「お疲れ様という意味だった」という言い訳は通用しない。今回は不快に感じた女性職員が上司に相談したことで明らかになり、JFAの対応も素早かった。ここ1年、体操女子や柔道女子ではパワハラが明るみに出たり、8月のアジア大会ではバスケットボール選手の回春行為が明らかになったりした。
▽バスケットボールの選手がわざわざ「JAPAN」のロゴが入った公式ウェアを着て繁華街に繰り出したことを不審に思うかもしれないが、アジアで開催される大会では「JAPAN」のロゴが入っていればアスリートだとすぐに分かるため、モテるのだ。そうした伝統を彼らは受け継いだのだと推測できる。
▽そうした意味で、今回のJFAの対応は賞賛していい。他競技の不祥事を「他山の石」としたのだろう。被害女性は、最初の1回くらいはガマンしたのかもしれない。しかし2度目となると確信犯である。もしかしたら楠木氏も1回目のハグで何も抗議されなかったので、自分に好意を抱いていると勘違いしたのかもしれない。一般社会でもよくありそうな事例だが、スポーツ界に携わる関係者は、諺にも「李下に冠を正さず」とあるように、疑われる行為は慎むべきである。
▽代わりに招集されたのが、レフティーの左サイドバック山中亮輔(横浜FM)と、屈強なフィジカルから対人プレーに強さを発揮する鈴木優磨(鹿島)の2人だった。山中は25歳、鈴木は22歳と、選手として脂の乗り切った年代での選出だけに、どんなプレーを見せてくれるか楽しみである。
▽そして今回の招集で明らかになったことがある。森保監督は海外組といえども試合に出ていない選手、今回では香川真司、武藤嘉紀、岡崎慎司らロシアW杯組のベテランを招集しないということだ。トップ下の候補が南野拓実しかいないことに不安を覚えるが、アジアカップは今回のメンバーが中心となって臨むことは間違いないだろう。
▽そしてA代表の横内昭展コーチがU-21代表の監督代行を務め、逆にA代表のコーチにU-19コーチの秋葉忠宏、U-16コーチの齋藤俊秀を起用したのは、森保監督がテーマに掲げる世代間の融合を意図してのことだろう。こうした試みは初めてのことなので、どのような成果と弊害が出てくるのか興味深い。
▽さて、翌8日はJFAの定例理事会が開催され、先月31日に女性職員にハグなどの不適切な行為でリトルなでしこ(U-17日本女子代表)の監督を辞任した楠瀬直木監督に代わり、監督代行を務めていた池田太氏の正式な監督就任を承認した。
▽あわせて監督責任として田嶋幸三会長、須原清貴専務理事、女子委員会の今井純子委員長、手塚貴子副委員長が役員報酬の10パーセントを3か月間、自主返納することを決めた。
▽楠木氏の辞任はすでに11月1日で報道されていたが、最初は「強敵に勝ったり、W杯出場を決めたりしたら、思わず近くにいたら女性でもハグしてしまうだろう」と、ちょっと厳しい対応だなと思った。しかし詳細を聞くと、出張先の勤務時間中だったり、JFAハウス内での会議後だったりと、ハグする必要のない場面で同じ女性にハグしたという。
▽これでは「お疲れ様という意味だった」という言い訳は通用しない。今回は不快に感じた女性職員が上司に相談したことで明らかになり、JFAの対応も素早かった。ここ1年、体操女子や柔道女子ではパワハラが明るみに出たり、8月のアジア大会ではバスケットボール選手の回春行為が明らかになったりした。
▽バスケットボールの選手がわざわざ「JAPAN」のロゴが入った公式ウェアを着て繁華街に繰り出したことを不審に思うかもしれないが、アジアで開催される大会では「JAPAN」のロゴが入っていればアスリートだとすぐに分かるため、モテるのだ。そうした伝統を彼らは受け継いだのだと推測できる。
▽そうした意味で、今回のJFAの対応は賞賛していい。他競技の不祥事を「他山の石」としたのだろう。被害女性は、最初の1回くらいはガマンしたのかもしれない。しかし2度目となると確信犯である。もしかしたら楠木氏も1回目のハグで何も抗議されなかったので、自分に好意を抱いていると勘違いしたのかもしれない。一般社会でもよくありそうな事例だが、スポーツ界に携わる関係者は、諺にも「李下に冠を正さず」とあるように、疑われる行為は慎むべきである。
|