まだ信用する訳にはいかない…/原ゆみこのマドリッド

2018.11.03 13:30 Sat
▽「でも次は1部のチームだからなあ」そんな風に私が疑念を抱いていたのは金曜日、この週末のリーガ戦でビニシウスの先発を希望するレアル・マドリーファンがマルカ(スポーツ紙)のアンケート回答者4万人強のうち、87%に達したという記事を読んだ時のことでした。いやあ、確かにソラリ新監督の初陣となったコパ・デル・レイ32強対決1stレグではこの夏、マドリーに加入してから、もっぱらRMカスティージャ(マドリーのBチーム)の試合に出場していたおかげもあったんでしょうか。同じ2部Bに所属するメリージャ戦では、先日のクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)での惨敗を始め、ファンを失望させることが多かった今季のチームに新風を吹き込んでくれたんですけどね。
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▽だからと言って、いきなり1部の相手に同様の活躍を期待するのは何せ、彼はまだ18才ですからね。21才になってからバルサに来たネイマールと違い、プロ経験もブラジルのフラメンゴでプレーした1年だけ、エムバペもフランス育ちでヨーロッパのサッカーに慣れているとあって、とても比べられないと思うんですが、要はこれって、マドリーファンがベイルやベンゼマに愛想を尽かしたってこと?まあ、その辺は土曜のバジャドリー戦でサンティアゴ・ベルナベウの様子を伺ってみないとわからないんですが、とりあえず、そんなマドリーを含め、今週ミッドウィーク開催のコパ初戦でマドリット勢がどうだったかをお伝えしていくと。▽まず火曜、最初にあったのはレガネスとラージョ、弟分同士のコパ・ミニダービーで、どちらもケガ人がいるため、レギュラーと控えの混合したスタメンでスタート。キックオフからしばらくして降り始めた雨のせいで、ブタルケが屋根のある正面スタンド以外、ガラガラになっていく中、前半15分、シオバスがアルバロ・ガルシアを逃がしてしまったせいで、この夏、ウクライナのゾリャ・ルハンシクからマドリーに加入した19才、今季はレガネスにレンタルで修行に出ているGKルニンがデビュー戦で初失点を記録する破目に。前線が活発だったラージョは20分にもポソのラストパスをアレックス・アレグリアがゴール前から決めてリードを2点に広げ、バジェカスから駆けつけたブカネーロス(ラージョの過激なファン集団)を喜ばせていたんですが…。
▽レガネスの反撃の火ぶたを切ったのはモロッコ人FWのエン・ネシリでした。ええ、30分にはCKから混戦になったボールを蹴り込み、スコアを1点差にすると、後半26分にもゴール右前からGKディミトリエフスキを破って、とうとう同点に持ち込んでしまったから、驚いたの何のって。その直後、ペレグリーニ監督はエースのカリージョを投入し、勝ち越し点を狙ったものの、そのまま2-2で終了しています。これで決着は12月第1週にある2ndレグに持ち越されることになりましたが、うーん、両チームとも現在、リーガでは降格圏で停滞。そろそろ順位の方を上げていかないと、その頃にはとてもコパなど構っていられない状況になっているかもしれませんが、逆に勝ち上がった方が1月にミッドウィーク試合が入って、ますます大変になるっていうのも皮肉ですよね。

▽え、私が呑気にブタルケで観戦している間、アトレティコのサン・アンドレウ戦も始まっていたんだろうって?いやあ、そうなんですが、相手はこの32強対決に唯一、残った3部のチームでしたしね。昨季のコパ準々決勝セビージャ戦2ndレグで退場したシメオネ監督が3試合のベンチ入り禁止、この日もスタンド最上段で"モノ"・ブルゴス第2監督の指揮を見守っていたとはいえ、今年だけでもヨーロッパリーグ決勝やUEFAスーパーカップで同じ経験をしている当人も「Ya estoy acostumbrado/ジャー・エストイ・アコストゥンブラードー(もう自分は慣れている)」と言っていたようにもう、そんなのはアトレティコファンにとってはよくあることの1つ。
▽ローテーションをしているとはいっても、スタメンにいたカンテラーノ(アトレティコBの選手)はCBのモンテロだけでしたし、あまり心配はしていなかったんですが、どうやらあちらも雨降りだったのに加え、会場となったナルシス・サラが人工芝だったのが良くなかった?開幕戦でケガをして今季、まだほとんど出場していないビトロなども「Al final este tipo de campos es dificil/アル・フィナル・エステ・ティポ・デ・アンポス・エス・ディフィシル(こういうタイプのピッチはとにかく難しい)。ボクらは慣れてないから」と後で言っていましたが、彼らは前半33分にジェルソン・マルティネスのゴールで先制したものの、追加点を奪えず、あまつさえ、終盤など敵の猛攻に苦しむことに。

▽それでも最後は0-1で逃げ切り、何とか体面を保ってくれたため、翌日はバルサも2部Bのクルトゥラル・レオネサ相手にようやく後半45分、CBレングレのヘッドが決まり、同じスコアで勝ったなんてこともありましたしね。2ndレグはワンダ・メトロポリターノですし、別に心配する程ではないんですが、木曜に私がマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションを見学に行ったところ、それどころではない懸念があったことが発覚。というのも、てっきりローテーションでコパは免除されたと思っていたジエゴ・コスタ、ゴディン、コケの姿がグラウンドになく、クラブのメディカルリポートによると前者2人は筋肉の疲労。コケは前節レアル・ソシエダ戦で受けた打撲で太ももを内出血と3人共、この土曜午後1時(日本時間午後9時)からのレガネス戦に出ないって、本当に大丈夫?

▽うーん、来週火曜にはアウェイで4-0の大敗をしたリベンジをしないといけないCLドルトムント戦が控えているため、ムリをさせないという意味もあるんでしょうけどね。ただここ2年、ブタルケで戦ったミニダービーはどちらもスコアレスドローだったなんてことを思い出すと、ヒメネスとリュカにalta medica/アルタ・メディカ(全快通知)が出たDF陣より、頼りのグリーズマンがこのところ、ゴールに恵まれていない攻撃陣の方が心細いかと。ええ、18位のレガネスも大変なんですが、今回は19位のラージョが土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時34分)から、エスタディオ・バジェカスでバルサと対戦ですからね。

▽ミチェル監督は「El 98% del mundo piensa que vamos a perder/エル・ノベンタイオッチョ・ポル・シエントー・デル・ムンドー・ピエンサ・ケ・バモス・ア・ペルデル(世界の98%はウチが負けると思うだろう)。だが、自分たちは2%の勝利を欲する者たちだ)」と言っていましたし、事実、6節にはそれこそ、レガネスがバルサを破ったなんてサプライズはあったものの、前節は前腕骨折のリハビリ中のメッシ抜きでもマドリーに5-1で大勝できる強さを見せつけられたばかりですからね。首位と勝ち点差2で4位にいるアトレティコとしては下も詰まっているため、ここは座して弟分の奇跡を待っている訳にもいかないというのが本音かと。

▽そして翌水曜がマドリーのコパだったんですが、もしや自分がクラブに勧めたロペテギ監督が開幕から3カ月で解任となってしまったことに多少の責任を感じたんですかね。相手は2部Bの格下とあって、例年だったら、ローテーションでのお留守番を満喫しているはずだったセルヒオ・ラモスが先発だったのは意外でしたが、何せ現在、カルバハル、マルセロ、バラン、バジェホと負傷禍が守備陣に集中。マリアーノもケガしてしまったせいで、ベンゼマもスタメンに名を連ねたのは仕方ないところもあったんですが、チームの危機的状況が選手たちに緊張感を与えていたのは確かでしょう。

▽ええ、そこに就任会見を兼ねた試合前記者会見で「La idea es ir a Melilla manana y jugar con dos cojones/ラ・イデア・エス・イル・ア・メリージャ・マニャーナ・イ・フガール・コン・ドス・コホネス(明日はメリージャに行って、ガッツでプレーするのが考え)」という新監督による刺激が加わり、前半28分にはこれまでロペテギ監督の下でほとんど使ってもえなかったオドリオソラが発奮。敵エリアまで上がってベンゼマに1点目をアシストすると、ハーフタイム入り直前にはいよいよ、まだトップチームで12分間しかプレー時間がなかったビニシウスの番が来たんです!ええ、ユベントスに移籍したクリスチアーノ・ロナウドの代わりとして、開幕からトップ3の一角に選ばれながら、このところ失速気味だったアセンシオにチームの2点目をアシストしてくれたから、ホッとしたの何のって。

▽後半はラモスがナチョに、ベンゼマがバルベルデに代わったマドリーでしたが、その勢いは衰えず、いえ、残念ながら、ビニシウスのエリア外からのシュートはゴールバーに弾かれ、34分に敵GKがこぼしたボールに駆け寄った時もシュートはできず、後ろから駆けつけたオドリオソラが押し込んで3点目となったんですけどね。ロスタイムにはアセンシオから代わったRMカスティージャのFWクリストもオドリオソラのクロスからヘッドでトップチーム初ゴールを挙げ、最後はメリージャに0-4の快勝。もちろん、この日のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で先日、manita(マニータ/5得点のこと)を喰らったクラシコの汚名がそそげるとは誰も思いませんが、選手たちにとって、勝利は何よりの妙薬だったかと。

▽とりわけ当面、カルバル、マルセロの代理をしないといけないオディオソラやレギロン、このチャンスに出場機会を増やしたいビニシウスらにとってはプラスになる試合でしたが…いやあ、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのバジャドリー戦に先発するであろう、ベイル、イスコ、クロース、モドリッチ、カセミロは参加していないんですよねえ。とりあえず、ソラリ暫定監督が任された11月の各国代表戦週間前までのあと3試合で、"暫定"が取れる結果を残すためにはそれこそ、彼らに本気を出してもらわないといけないんですが、果たしてそんな急に調子が上向くものなのか。

▽ええ、というのもあのギャラクティコ時代にマドリーの看板FWだったロナウドが今は会長をしているバジャドリーは昇格組ながら、ここリーガ6試合で無敗の4勝2引き分けと絶好調。順位も6位で9位のマドリーに勝ち点差2をつけていますし、水曜のコパでもマジョルカ(2部)にベルデがエリア外から2ゴールを挙げ、1-2で勝っていますからね。通常でしたら、楽勝のカードでも今季はレバンテやアラベスに負けている彼らだけに何があってもおかしくないんですが、とにかくここ最近、見放されていたゴール運が回復したようなのは心の支えになりますかね。

▽え、それでマドリッド勢最後の1つ、ヘタフェのコパはどうだったのかって?いやあ、こちらはマドリーから1時間遅れで始まったんですが、前半26分にはブルーノのオウンゴールでコルドバ(2部)に先制されてしまう逆境に陥ることに。それでも前半終了間際にはそのブルーノがPKをゲット、マタがPKを決めて同点にしたんですが、勝ち越し点が入ったのは後半45分という遅い時間でした。今回はリーガで8位という余裕の高みにあるのを利用して、ボルダラス監督がコパにも多くのレギュラー選手を起用した甲斐があったか、アンヘルのラストパスからマタがその試合、2点目を挙げてくれています(最終結果1-2)。

▽ちなみに柴崎岳選手は後半23分からの出場だったんですが、今週末はヘタフェだけが日曜試合で午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から最下位のウエスカとアウェイで対戦。相手はアスレティックとのコパの予定がサン・マメスで今週、コンサートが開かれたため、延期となり、1週間、じっくりフランシスコ新監督の下で練習していますからね。フルキエがリーガ戦2試合連続ゴール、出場停止だったポルティージョも戻るとあって、柴崎選手がスタメンに入るのはなかなか難しいかと思いますが、コルドバ戦でのように、途中からでもチームの勝利に貢献できるような働きができるといいですね。

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