守備は課題も攻撃陣&ボランチコンビの変化は収穫/日本代表コラム

2018.10.17 23:55 Wed
twitterfacebookhatenalinegplus
photo
Getty Images
「選手たちは個の特徴を発揮すること+チームのコンセプトとして一体感を持って戦うところで現段階のバランスは良いですし、良いトライをしてくれています」▽ウルグアイ代表戦後、森保一監督が記者会見で語った言葉だ。日本代表は、FIFAランキング5位のウルグアイ相手に互角に戦い、4-3で勝利。森保ジャパンは、新体制発足から3連勝を飾った。

▽韓国代表とのアウェイゲームを2-1と落としたウルグアイ。時差ボケや移動の疲労、チームとしてのトレーニング時間の不足など、エクスキューズはあった。そして、日本はホームゲームであり、サポーターもチケットが完売するほど集まった。有利な点は多かったが、4-3で勝利することは予想できなかったはずだ。

▽試合を通じて、個人の良さが出たシーンもあった一方で、ミスも散見。チーム作りの途中ということもあるが、収穫と課題が明確に出た一戦となった。

◆収穫は攻撃陣の躍動
Getty Images
▽ウルグアイ戦で最も大きな収穫は4得点を奪った攻撃陣だ。特に2得点を記録したMF南野拓実(ザルツブルク)の活躍は圧巻だった。9月のコスタリカ代表戦、そして先日のパナマ代表戦でもゴールを決めた南野は、3試合で4得点を記録。日本の攻撃陣をけん引している。

▽パナマ戦、ウルグアイ戦と縦関係でコンビを組んだのはロシア・ワールドカップでもゴールを決めているFW大迫勇也(ブレーメン)だ。日本代表を1トップで支えてきた大迫との関係は良好。タイプの違う2人が前後を入れ替わることで、相手DFの対応に混乱をもたらせた。

▽持ち味である身体の強さを発揮した大迫は、マッチアップしたDFディエゴ・ゴディン(アトレティコ・マドリー)にも競り合いで負けず。背負ってタメを作り、2列目の選手の攻撃参加を促した。一方の南野は、相手とタイミング良く入れ替わるポストプレーを披露。パナマ戦でも見せたターンの上手さを見せた。

▽南野の活躍が刺激となったか、MF中島翔哉(ポルティモネンセ)、MF堂安律(フローニンヘン)も躍動。堂安は、DF酒井宏樹(マルセイユ)との鮮やかなパス交換から代表初ゴールを記録した。中島はゴールこそなかったが、サイドでの仕掛けやカットインからのシュートで攻撃を活性化。大迫のゴールに繋がるシュートを見せた。

◆最大の収穫は攻守の切り替え
Getty Images
▽前線の選手が4得点を奪ったが、それ以上の収穫は攻守の切り替えだろう。堂安のゴール、そして、南野の2点目に繋がったMF柴崎岳(ヘタフェ)のプレーは特筆すべきとも言える。その他にも、大迫のゴールに繋がった堂安の守備、さらには終盤のCKのシーンでの戻りなども同じだ。

▽堂安の初ゴールは、日本のCKの流れから生まれた。右CKからのクロスがクリアされるが、すぐさま柴崎が拾いダイレクトで前線へ。一旦はFWエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)にカットされるが、大きくなったボールを堂安が拾い、酒井とのパス交換からゴールを決めた。

▽また、日本の4点目は真価が発揮されただろう。ウルグアイがカウンターを仕掛けるためにパスを交換しようとしたところ、MF遠藤航(シント=トロイデン)と柴崎が連動。相手ボールを奪うと、柴崎がそのまま一気に南野に縦パスを入れ、堂安がこぼれ球をシュート。GKフェルナンド・ムスレラ(ガラタサライ)が弾いたところを南野が詰めた。

▽コスタリカ戦はMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)と遠藤、パナマ戦は青山とMF三竿健斗(鹿島アントラーズ)、そしてウルグアイ戦は柴崎と遠藤がボランチでコンビを組んだ。いずれも補完性を持った2人を並べたが、日本の4点目は攻撃でも持ち味を発揮しつつある遠藤とのバランスを考えた柴崎が、攻撃だけでなく読みを生かした守備面で輝いたシーンだ。

▽クラブでの出場機会が少ない柴崎は、本来のパフォーマンスからは程遠く、目立つプレーは少なかったが、前線の若手3人、そしてコンビを組んだ遠藤を活かすためのプレーを見せたことは、チームとして収穫だったと言える。個の良さがチームに繋がるという点は、森保監督が目指す形の1津と言えるだろう。

◆課題は明確…守備の向上
Getty Images
▽4得点を奪った一方で、コンディションが最高ではないウルグアイに3失点を喫した。勝ったことを素直に喜び切れない失点は、その数よりも内容に課題を感じた。

▽失点には絡まなかったが、前半から右サイドバックの酒井とDF三浦弦太(ガンバ大阪)の間のスペースをウルグアイに使われていた。ゴールこそ決まらなかったが、ウルグアイが本来の力を持っていたらどうなっていたか分からないし、今回遠征に不参加だったFWルイス・スアレス(バルセロナ)がいたら、失点に繋がっていただろう。

▽メンバーが変わったことで、連携面が不足している点はある。また、世界の舞台での経験値が三浦に足りないことも影響しただろう。2点目のバックパスの判断ミスも同様だ。カバーニが残っていることが目に入っていなかった。後方でパスを回す際に、安易にGKまでボールを戻してしまったこと。MFルーカス・トレイラ(アーセナル)が前線からプレスをかけていたこともあったが、判断力は鍛える必要がありそうだ。

▽1失点目はセットプレーから。ファーサイドに振られて、折り返しを決められてしまった。MFガストン・ペレイロ(PSV)に決められてしまった。ワールドカップでのベルギー戦でも見られたように、ファーサイドに振られて高さを使われることは日本が苦手としているパターン。世界と戦う上では、改善が必要となるだろう。

▽そして最も良くなかったのは3失点目だ。オープンな展開となった中、ウルグアイのカウンターが発動。しかし、日本は数的同数であったため、守り切ることも可能だったはずだ。カバーニにボールが入った際、対応したDF吉田麻也(サウサンプトン)はDF長友佑都(ガラタサライ)に指示。しかし、左サイドに開いていたホナタン・ロドリゲスを誰も見ておらず、三浦もカバーニを警戒。結果、フリーでクロスを送られて失点した。

▽三浦個人だけの責任ではない。チームとしての守り方の問題であり、数的同数でありながら、パスを通され、しっかりと決められしまったことをどう対応するか。細部を詰める時間はあまりなかったとは言うものの、来年1月のアジアカップまでには守備面の改善を期待したい。

◆それでも期待値の高いチームに
Getty Images
▽アジアカップまで残された試合は2試合。11月に行われるベネズエラ代表戦、キルギス代表戦だ。攻撃面では、これまでにない期待が持てる日本代表。特に2列目の3選手の連係とゴールへの意欲は評価すべきものだ。しかし、勢いに乗っていると言う見方もできなくはない。

▽しかし、本調子でなかったとはいえ、しっかりと守備を作るウルグアイに4得点を奪えたことは、大きな変化と言えるだろう。ミドルシュートのこぼれ球から2点を決めたことも、これまでの日本代表ではあまり見られなかったパターンだ。攻撃面は、大いに期待できる。

▽守備面に関しては、GKが代表チームとしての経験値の低さもあるだろう。連係が重要になってくるだけに、酒井、吉田、長友とワールドカップ組が入っても3失点を喫した。11月の合宿では、攻撃面だけでなく、守備面にも手をつけてもらいたい。

▽勝ったことを喜ぶだけでなく、しっかりと課題を見つけることが今は重要だ。本番であるアジアカップまでに、個人がクラブでどのように成長、変化するかが代表チームの強化となる。そして、合宿に集まった際には、しっかりとチームとして戦い方を落とし込むこと。その戦い方を発揮するためにも、各選手には自らを磨き上げて、1カ月後の活動に繋げてもらいたい。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
コメント
関連ニュース
thumb

久保建英は右サイドの一番手にはなれないのか? エメリ監督に続き森保一監督も左で起用/日本代表コラム

約1年ぶりの活動となった日本代表。オランダ遠征で行ったカメルーン代表戦、コートジボワール代表戦の2試合は、非常に有意義なものとなった。 日本代表の親善試合と言えば、国内で行われるキリンチャレンジカップが大半。かつてはヨーロッパや南米、北中米カリブ海、アフリカの国を招待して実施してきた。 しかし、どの対戦相手も長距離の移動を伴う上、時差ボケも起こり、各国に散らばる選手が集合するのは試合の直前。お世辞にもコンディションが良いとは言えない状態の相手との試合ばかりで、まさにフレンドリーマッチだった。 この件については、別の機会に触れようと思うが、今回の2試合に関してはフレンドリーマッチでありながらも、しっかりと強化に繋がる内容に。コンディションの良いヨーロッパでプレーする選手が揃うアフリカ勢との対戦自体が、何よりも大きな意味があった。 <span class="paragraph-title">◆しっかりと機能した守備陣</span> コートジボワール戦の結果については、しっかりと守備を構築して決定機をほとんど作らせなかった中、終盤に投入されたDF植田直通(セルクル・ブルージュ)がMF柴崎岳(レガネス)のFKからヘディングで代表初ゴールを記録し、1-0で日本が勝利。鹿島ラインが開通して、日本に勝利を呼び込んだ。 守備面では、カメルーン戦に続いて4バックでスタート。DF吉田麻也(サンプドリア)、DF冨安健洋(ボローニャ)のセリエAコンビがしっかりと中央を固め、右サイドバックに起用されたDF室屋成(ハノーファー)、左サイドバックで起用されたMF中山雄太(ズヴォレ)もしっかりとサイド攻撃に対応。中央の2人のカバーリングもしっかりと機能し、ピンチの数は数えるほどだった。 また、ボランチで起用されたMF遠藤航(シュツットガルト)の守備も大きく効いていた。ブンデスリーガでもデュエル勝利数2位を誇る遠藤は、ボール奪取。柴崎との関係性もバランスが取れ、カメルーン戦で躊躇していた前に出るタイミングもしっかりと改善され、コートジボワールのシステム変更にもしっかりと対応でき、収穫の多い試合となった。 <span class="paragraph-title">◆左サイドの久保建英</span> 一方の攻撃陣で気になるところは、やはりMF久保建英(ビジャレアル)だろう。カメルーン戦では終盤に途中投入された久保だが、コートジボワール戦では先発出場。しかし、本来の2列目右サイドではなく、左サイドで起用された。 不慣れな左サイドでの起用となった久保は、ボールを持てば周りとのコンビネーションで崩すシーンや、縦に抜けてクロスを上げるシーンも。開始2分には決定機でシュートをミスしてしまったが、鈴木のあわやゴールというシーンを作るなど、多少は見せ場を作った。 森保一監督も「久保は今持っている力をプレーする時間内に発揮してくれたと思う」と試合後に語るなど、及第点と言ったところ。期待値が高いだけに、厳しい目で見られる部分も大いにあるはずだ。 実際のところ、スペインではビジャレアルのウナイ・エメリ監督が久保に極端に出場機会を与えていないことが話題となり、レアル・マドリーがレンタル契約を破棄するのでは?という憶測さえ上がっている。それだけ注目度が高く、持っている能力が評価されているということだろう。 しかし、右サイドで起用されなかった久保は、試合中に中央や右サイドへポジションを移す場面があり、やはり右の方がプレーしやすい感覚を持っているようだ。局面を見てポジションを移動する事はよくあるが、左ではどうもやりにくさを感じているように見えた。 <span class="paragraph-title">◆右の一番手にはなれないのか</span> 一方で、視点を変えれば「なぜ久保が右サイドで起用されないのか」ということがある。それはエメリ監督の下、ビジャレアルでも同様のことが言えるが、森保監督もエメリ監督も似たような理由、そして似たような考えがあるのではないかと推測する。 まず1つ考えられる事は、右サイドに適任者がいるという事だ。コートジボワール戦で久保が左サイドに起用された理由は定かではないが、伊東純也(ヘンク)を起用することを考えると右サイドに配置した方が良いということになる。カメルーン戦も後半から出場し、右ウイングバックとしてプレーしたが、日本が後半盛り返す要因の1つとなるほど、素晴らしい出来を見せた。 コートジボワール戦でも2列目の右サイドとしてプレー。右サイドを縦に仕掛けること、3バックの脇を突く動きを果敢に見せ、相手を苦しめた。決定機とまでは行かないが、何度も仕掛けることで攻撃を牽引していた。その伊東を起用したいと考えれば当然右サイドという結論が出て、久保が右サイドに入る余地はない。もちろんカメルーン戦の後半のように[3-4-2-1]のシステムにすれば右ウイングバックと右シャドーで同時起用も可能だが、現在の日本代表は[4-2-3-1]がベースであり、その可能性は今後も高いとは言えない。 一方、ビジャレアルでも同様のことが言える。エメリ監督率いるビジャレアルは、開幕から[4-4-2]を採用していたが、直近の2試合は[4-1-4-1]に変更。いずれも右サイドのポジションがあるシステムだが、ナイジェリア代表FWサムエル・チュクウェゼ、そしてスペイン代表FWジェラール・モレノが務めていた。 ウインガーとしての能力ではチュクウェゼが上であり、得点力という点ではモレノが優先される。久保は、このポジション争いに勝つ必要があり、現状で出場時間が短い理由もそこにある。 森保監督にしても、エメリ監督にしても、久保の能力の高さに関しては当然認めているはず。一方で、右サイドのポジションでしか輝けないことも当然ながら理解しているはずだ。だからこそ、心地よい右サイドでしか使えない選手にならないように、今のような久保にとっては厳しいプロセスを踏んでいると考えることもできるだろう。 <span class="paragraph-title">◆ポジションに拘らない選手に</span> エメリ監督は「日本人として初めて最高のレベルに達するという挑戦の中にいることを認識している」と久保についてコメントしていた。まさに、久保が挑戦していることであり、多くの人が望んでいることでもある。 久保の目標はビジャレアルで右サイドのポジションを確保することではない。あくまでもレンタル先であり、本来であればレアル・マドリーでポジションを確保すること。そのレベルでプレーできる可能性を秘めており、世界のトップ・トップでプレーすること、そしてそこで結果を出すことを求めている選手だ。 もちろん、日本代表としてもこの先の中心選手になってもらう必要があり、その能力も秘めている。ただ、右サイドでしかその能力を発揮できない選手なのであれば、そこに到達することは難しいだろう。 そういった意味では、右サイドだけでなく、中央でも、左サイドでもしっかりとパフォーマンスを出せる選手にならなくてはいけない。仮に右サイドで起用されるのであれば、文句の出ない結果を残さなくてはいけない。その次元の選手だということだ。 エメリ監督に言われせれば「彼は全てのオプションとポジションで競争できるよう、順応し成長しなければならない。中央では改善に努めているが、左ではもっと成長しなければならない」とのことだ。出場機会を与えないということがフォーカスされがちだが、個人的にはエメリ監督の考えは理解できなくもない。 右に拘るのではなく、左でも中央でも遜色なく使えるようになった方が、日本代表にとっても、ビジャレアルにとっても、そしてレアル・マドリーにとっても、久保という選手の価値がより高くなるだろう。それは久保自身も理解している。「誰も立場を約束された選手ではないですし、自分もその1人だと思うので全力を尽くしたいです」。この先の更なる成長に期待したい。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2020.10.15 19:30 Thu
twitterfacebook
thumb

1年ぶりの試合で感じたアフリカ特有の“距離”、カギはアグレッシブさと連動性/日本代表コラム

A代表としては昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権以来となる活動となった9日のカメルーン代表戦。オールヨーロッパ組で編成されたチームにとっては、国内組で臨んだE-1選手権でプレーしていない選手が多く、およそ1年ぶりの試合となった。 それぞれが各クラブで1年間積み上げたものを出すべく臨んだ試合。キックオフ直後のプレーでMF南野拓実(リバプール)がファウルこそ取られたが、そこからもチームとしての入りを間違えないよう、高い意識を感じさせた。 <span class="paragraph-title">◆アグレッシブな姿勢を見せたが…</span> それは前半から守備面では多く見られた。先発起用となったMF中山雄太(ズヴォレ)も積極的にボールを奪いに行き、前線で起用された選手たちもそれぞれ前からプレスをかけて行った。 その圧力に負けたのか、カメルーン代表も立ち上がりは浮き足立ち、GKへのバックパスがあわやオウンゴールになりそうな場面もあったが、10分過ぎからカメルーンが徐々にペースをつかんで行った。 この辺りから日本のアグレッシブに行く姿勢が徐々に空回りし始める。1つは前線の4枚とボランチの距離が開いてしまったことが理由だろう。プレスというのはチーム全体が連動して行ってこそ効果があり、単独でのプレスは高いレベルでは殆どボール奪取には繋がらない。 カメルーンも徐々に日本のプレスを回避し、サイドバックからセンターバックへつなぎ逆サイドへと展開。そこから中に戻したり、前を使ったりと攻撃に転じていた。プレス回避をさせてしまったという点では、久々の実戦ということで、全体の連動性が少し落ちていたことも理由の1つだろう。この点は時間が経過するにつれて解消されて行っただけに、大きな問題ではなかった。 また、奪ってから早く攻めようという意識がありすぎたのか、ボール奪取からのパスが通らないシーンも多く見られた。アグレッシブなだけでは通用せず、いかに冷静さとバランスを取るかが重要になってくるだろう。 <span class="paragraph-title">◆アフリカ特有の“距離”</span> もう1つの問題は、アフリカ人選手特有の“間合い”だ。よく言われる“懐の深さ”というものがあるが、日本代表の選手が奪いに行っても、ボールが少し届かない位置に置かれてしまう場面が多かった。取れた気になっても取りきれず、入れかわられてパスを繋がれるという場面が多かった。 また、攻撃時でもパスやドリブルを仕掛けた際、絶妙に足が伸びてカットされる場面が散見された。パスを出した側も、ドリブルを仕掛けた側も、普段の感覚なら抜けているであろうシーンだったが、さらに足が伸びるアフリカ人選手の特徴に苦しめられたと言える。 ヨーロッパでプレーし、アフリカ人選手との対戦や、チームメイトとして知ることは多くとも、すべての局面でその感覚が求められることはそうそうない。加えてトニ・コンセイソン監督が規律をチームもにもたらしたことで、カメルーン代表はチームとしても機能。選手間の距離が非常に保たれており、ビルドアップがうまくハマっていたのも、その距離がカギだったように見えた。 個々能力の高さだけでなく、チームとして連動されたことは、日本にとっては大きな壁となったはず。コートジボワール代表戦では、カメルーン戦で感じた微妙な距離の違いを加味して、選手たちにはプレーしてもらいたい。 <span class="paragraph-title">◆システム変更への対応力</span> 一方で評価すべき点がないわけでもない。もちろんゴールを奪えなかったが、無失点で終わり、決定的なシーンすらあまり作らせていなかった。加えて、前半と後半でシステムを変更し、選手たちがそこにアジャストしたことは大きい。 「ハーフタイムでどう話そうかと思った」と柴崎岳(レガネス)が語っていたように、選手の中でもハマっていないことは感じていたとのこと。そこで森保一監督がシステム変更に打って出た。 後半は3バックにし、MF伊東純也(ヘンク)を入れてピッチの幅を使うことを選んだ。結果として、右サイドの伊東が相手の裏を取る動きを何度も見せ、日本の攻撃の形が作られていった。 ラストプレーのシーンでも伊東が特徴であるドリブルで縦に抜けた結果、ボックス手前でFKを獲得。惜しくもMF久保建英(ビジャレアル)のシュートはGKにセーブされてしまったが、こういったシーンをもう少し早く作れていればゴールも奪えていただろう。 また、守備に奔走していた中山も前にしっかりと出て奪い、攻撃にも参加。選手が入れ替わる中、カメルーンのパフォーマンスが落ちてきたこともあったが、終盤はしっかりと主導権を握っていた。 2つのシステムをしっかりとこなしたこと、勝ち切れないまでも、ピッチ上の状況に合わせて対応できたことは、1年ぶりの合宿となったことを考えても、プラス材料だと言えるだろう。コートジボワール戦では、勝利、ゴールといった結果を求めたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2020.10.11 21:45 Sun
twitterfacebook
thumb

形なくして勝利なし…森保一監督率いる東京五輪代表に覚える不安/日本代表コラム

チームの主力を務めてきた海外組が不在だったというエクスキューズはあるが、屈辱以外の何物でもない結果となった。 森保一監督率いるU-23日本代表は、AFC U-23選手権の第2戦のシリア代表戦で1-2と敗戦。初戦のサウジアラビア代表戦に続く連敗で、大会を後にすることが決定した。 <div id="cws_ad"><script src="//player.daznservices.com/player.js#44a12140e3dda008f998a5a1a9.1tybkqliqmgvi1ndbmyxnzxqc3$videoid=sy77dnqytg7e18a4vgo3kgr9x" async></script></div> お粗末と言えばそれまで。サウジアラビア戦同様に、先手を奪われるゲーム展開となり、追いつくものの、試合終盤に失点し連敗を喫した。 「勝つためのメンバーで戦いたい」と試合前に語っていた森保監督は、サウジアラビア戦から6名のメンバーを変更。勝ち上がりに望みをつなぐべく、シリアに挑んだ。 ◆11月から変わらない守備の問題 しかし7分、スルーパスを通されるとGKと一対一のピンチに。ここはGK大迫敬介のセーブで凌ぐも、その流れから与えたCKではニアでフリックされると、ボックス中央で町田浩樹がファウル。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によるチェックが入り、PKを与えることとなった。 直接的な原因は町田が相手選手の頭部を蹴り上げる形となったことだが、そもそもはCKを与えることとなったシーンの守り方にある。ハーフウェイライン付近で齊藤未月が相手選手に寄せるも、体勢を崩しながらスルーパスで通されてしまう。渡辺剛が寄せ、コースを限定したことで大迫がセーブできたが、このスルーパスを出すところまでのリスク管理がなっていなかった。 前半のうちに相馬勇紀のミドルシュートで追いついた日本。後半は若干修正されてペースを掴んだ時間帯もあり、決定機も作ったが決められず。88分にロングカウンターを受けると、失点を喫し、1-2で敗れた。 2失点目のシーンも相手選手がドリブルで抜け出した際、町田がボールホルダーにチャレンジすることが可能だった。しかし、並走するバラカト(9番)のケアを選択したためにボックス内に侵入。そのままノープレッシャーでシュートを決められてしまった。 サウジアラビア戦の2失点、そしてシリア戦の2失点。ひいては失点につながらないシーンであっても、守備の対応のまずさは同じだ。それは昨年11月に広島で行われたU-23コロンビア代表戦から何も成長していないと言える。後手を踏む守備、寄せの甘さ、ボールを奪い切るという意識。12月のU-23ジャマイカ代表戦は相手のレベル、コンディションの問題もあり計算できるものではなく、それを除けば3試合連続で同じやられ方をしていると言っていい。 ◆オーガナイズされていないチーム 今大会、選手の招集に関しては強制力がないため、海外組の選手は食野亮太郎(ハーツ)のみの参加となった。その食野もグループステージのみの参加となることが濃厚と言われていた状況だ。今となっては、グループステージしか戦えないため、ハーツとしては予定通り食野を戻すことができて安心だろう。 この数年で東京オリンピック世代の多くの選手が日本を飛び立った。キャプテンを務めるDF中山雄太(ズヴォレ)を筆頭に、DF冨安健洋(ボローニャ)、DF菅原由勢(AZ)、DF板倉滉(フローニンヘン)、MF三好康児(アントワープ)、MF久保建英(マジョルカ)、FW安部裕葵(バルセロナ)、FW前田大然(マリティモ)がヨーロッパへ。MF堂安律(PSV)もオランダでプレーしており、主力の大半が居ない大会という事実もある。 しかし、日本のサッカーがレベルアップしていくのであれば、この流れはこの先も止まることはないことであり、4年後のパリ・オリンピックの出場権が獲得できなくなる可能性は、現実問題として考えなくてはいけない状況に陥ったと言えるだろう。 前述のコロンビア戦は、久保、堂安をA代表から外してまで臨んだものの0-2で惨敗。チームとしての形はなく、攻撃は単発、守備は軽率という体たらくぶりを見せることとなってしまった。 もちろん集まる時間が少ないということは十分理解できるが、今回は国内組がメインとなって臨んでおり、タイに入ってからも時間はあった。これまでの海外遠征でも一緒にプレーしていたことはあり、チーム力が欠落している言い訳はできない。 ◆再現性のない攻守のプレー しかし、守備面での約束事はこの2試合でも見られていない。カバーに入るのか、ボールホルダーに寄せるのか。どの位置でボールを奪いに行くのか、それとも遅らせるのか。どの局面で、何を選択するという最低限の約束事があるとは考えにくい失点の仕方を4つしている。(1つはバックパスのミスだが、これも含めてだ) 一方で、攻撃面も課題は一緒だ。サウジアラビア戦は小川航基を1トップに、食野と旗手怜央をシャドーに配置し、右WBに橋岡大樹、左WBに杉岡大暉を配置。シリア戦は上田綺世をトップに、食野と森島司をシャドーに、右WBは橋岡、左WBに相馬勇紀を配置した。 サウジアラビア戦は前線のコンビネーションがハマらず、良い形でボールが入るシーンが少なかった。食野の強引なシュートによって1点は奪ったが、クロスも合わず、コンビネーションも合わないというシーンが目立った。 そして迎えたシリア戦。組み合わせを変更したものの、サウジアラビア戦の課題は継続。上田が動き出しているのを見る選手は少なく、頼みの綱は相馬の突破と橋岡のクロスのみ。食野はスペースが少なかった影響もあり、強引なプレーが目立った。森島はバランスを取りながらボールを繋いでいたが、決定的な仕事はできなかった。 攻撃の形というものが確立されていないチームにおいては、選手の組み合わせ、意思の疎通が重視される。しかし、チーム作りが進んでいない中で、それを求めるのは酷というもの。ゴールこそ2つ奪っても、強引なシュートからであり、再現性は皆無だ。この完成度では、攻守ともに東京オリンピック本大会が不安でならない。 ◆個に頼る戦いには不安 シリア戦では、左WBの相馬、そしてボランチに入った齊藤未月の活躍が目立った。相馬は、日本代表の一員として臨んだ昨年12月のEAFFE-1サッカー選手権で見せた通り、この突破と攻守にわたる戦う姿勢を見せていた。右の橋岡とともに、チャンスメイクをし、結果自身のミドルシュートで得点も記録している。 また、齊藤は攻守にわたってハードワークを続け、中盤では相手選手への寄せの早さで何度となくボールを奪い、攻撃につなげていた。後半は前線まで顔を出すプレーも増え、ゴールへの意欲も見せていた。湘南ベルマーレでプレーしていることをしっかりと出せた印象だが、勝利には繋がらなかった。 チームの形がない状況で求められるのは個の能力だ。兼任するA代表でもその事象はすでに起こっており、試合の展開を読む力、選手間でのコミュニケーションによる連携プレーが重要となっている。結果を見ればまずまずな2019年だったが、11月のベネズエラ代表戦は最悪の出来。日本代表としての試合出場が少ない選手が揃った結果、何も生み出せない試合となり1-4の大敗を喫した。 前述の通り、今大会に出場していない海外組の選手やオーバーエイジ枠を採用するのならば、ある程度のパフォーマンスが期待される選手が揃い、ピッチ内の修正も可能なのかもしれない。しかし、この2試合ではそこが見られなかったとすると、本気でメダルを目指して臨んでくる対戦国を前に、しっかりと戦えるかはいささか疑問が残る。 本大会まで予定されている試合はあと3試合。国内合宿などを組めたとしても、海外組を招集することは不可能だ。メンバーを絞りきれていないところも気になるが、残り半年でどこまで精度を上げられるのか、正直なところ不安しかない。 まずは残りのカタール戦。ちょうど1年前には、A代表として臨んだアジアカップ決勝で苦杯をなめた相手だ。育成に力を入れており、今大会も優勝候補に挙げられているカタールを相手に、しっかりと最後まで戦い、ピッチで体現してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2020.01.13 08:30 Mon
twitterfacebook
thumb

後手を踏み対応しきれなかった日本、光明となった相馬勇紀の可能性/日本代表コラム

3大会ぶり2度目の優勝を目指して臨んだEAFF E-1サッカー選手権の韓国代表戦。しかし、結果は1-0で敗れ、逆転で韓国の3連覇、初の自国開催での優勝を見届けることとなってしまった。 「勝利にこだわる」と森保一監督は常々語り、タイトル獲得を目指していた日本代表。しかし、結果は望んでいたものではなかった。そこにある問題は何なのか。 <div id="cws_ad"><script src="//player.daznservices.com/player.js#44a12140e3dda008f998a5a1a9.1tybkqliqmgvi1ndbmyxnzxqc3$videoid=1aiq7v4310zmp13lxw3y7i37m2" async></script></div> <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆後手を踏んだと言わざるを得ない前半</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191219_00_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;" id="cws_ad">Getty Images<hr></div> 試合後の記者会見で森保監督は「戦術的に後手を踏んだとは思っていません」と言い切った。この言葉を額面通り受け取るならば、後手は踏んでしまっていたと言わざるを得ない。 日本は今大会採用している[3-4-2-1]のシステムでこの韓国戦に臨んだ。一方で韓国は[4-3-3]のシステムで臨んでいる。 初戦の中国代表戦のメンバーを10名起用し、離脱した橋本拳人(FC東京)の代わりに田中碧(川崎フロンターレ)を起用した日本に対し、韓国は香港代表戦と中国代表戦のメンバーをミックスさせて臨んだ。 「戦術的に後手を踏んだとは思っていません」という言葉は、「3バックの両サイドにロングボールを入れられることも予想できたと思うが?」という質問に対する森保監督の答え。「韓国の分析に関しては昨日、映像を使ってミーティングで攻守の特長の部分を伝えて、トレーニングの中で確認して今日の試合に臨みました」と返し、その後に出た言葉だった。 韓国は、[4-3-3]の基本システムだったが、攻撃時は[3-3-4]の形に近くなり、日本のシステムでは立ち位置にギャップが生まれてしまう。 1トップのイ・ジョンヒョプに対し、右のキム・インソンがワイドにポジショニング。左のナ・サンホがハーフスペースへと入り、左サイドバックのキム・ジンスが高い位置を取ることで、4枚を前線に持ってくる仕組みだ。 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191219_00_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;" id="cws_ad">Getty Images<hr></div> この形になると、日本は3枚では守ることができず、両ウイングバックも下げた5枚、または右WBの橋岡大樹やボランチの田中が下がって4バックに近い形で守る時間が長くなっていった。 この形になると、日本はボランチも引いて最大7枚で守ることになるが、ワイドに起点を作る韓国は、そこから中央へと戻し、ギャップを作った状態で攻撃を仕掛けることが可能となった。 日本が前半ほとんど良い形を作れなかった要因は、枚数を後ろに割かざるを得ない状況となり、韓国がそのブロック前でセカンドボールを拾い続けたことが1つ。その他、前線からのプレスやその強度、フィジカルコンタクトなどもあるが、その辺りは映像でも対策を練れていたはずだ。 それ以上に、選手のポジショニングが攻守にわたって上手くハマっていなかった印象があり、修正しきれないまま押し込まれた状態で失点。前半を終えることとなった。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆可能性を感じさせた相馬勇紀</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191219_00_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;" id="cws_ad">Getty Images<hr></div> 押し込まれ続け1点を先制された後半、スタートから遠藤渓太に代えて、香港戦で出色の出来を見せた相馬勇紀が投入され、流れを変えにいった。 遠藤と橋岡のウイングバックコンビの場合、なかなか縦に仕掛けるシーンが見られなかった。これは初戦の中国戦も同じであり、攻撃が停滞し、相手を押し込むポジション取りが難しい状況となっていた。 しかし、投入された相馬は香港戦とは逆の左ウイングバックに入っても、その突破力を見せた。縦に仕掛け続ける相馬に対し、韓国のサイドが機能しなくなっていく。 さらに、大島僚太を途中投入したことで、よりサイドを効果的に使う攻撃が加速。相馬だけでなく、田中やシャドーの森島司も動きを取り戻し、日本の時間帯を作っていった。 最後までゴールを割ることができなかったものの、相馬の投入で流れが変わり、大島の投入で加速したことは間違いない。ゴールを奪い切ることができなかったが、相馬が戦える選手であるとわかったことは、東京オリンピック代表にとっては良いニュースと言えるだろう。 そして、相馬のプレー判断も目を見張るものがある。縦への仕掛けをファーストチョイスとしていたが、同サイドのシャドーに入った森島の動きを常に観察。また、中の動きも考え、上田、鈴木がどのポジションにいるかでクロスも変化。さらに、縦に仕掛けるか、カットインにするか、持ち替えて展開するかを使い分けていた。突破力に目が行きがちだが、相馬の考える力と選択する力は大きな収穫だろう。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆五輪への強化か、A代表の底上げか</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191219_00_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;" id="cws_ad">Getty Images<hr></div> 今回の大会は、Jリーグ終了直後に行われたというエクスキューズもあり、海外組がいない中でのベストメンバーが組めたかというと、決してそうではない。 そのため、半数以上が東京オリンピック世代の選手となり、代表キャップのない選手が多く集まることとなった。 しかし、それは他国も同じ。香港こそベストに近いメンバーを組んだが、韓国も1.5軍、中国は2軍という状況。戦力や日程での差はないと言っても良いだろう。 一方で、この大会の位置付けは「経験と底上げ」というワードをメンバー発表時に出していた森保監督。大会の位置付けは難しく、どういった位置付けにしたか本当のところは分からないが、「試合の中で戦える選手、プレッシャーのかかった中で自分の良さを、チームのコンセプトを勇気を持ってチャレンジできる選手が分かったことは収穫」と語ったように、メンバー選考へのヒントは手にしたようだ。 東京オリンピック世代は、来年1月にAFC U-23選手権が控えている。東京オリンピックの予選を兼ねている大会だけに、日本以外の国の本気度は計り知れない。一方で、予選ではない日本としても、アジアの中で本気の相手にどこまで戦えるかを測るチャンスではある。本大会になれば世界の強豪が集い、トップクラスのクラブでプレーする選手も多く出場するだけに、レベルの高さはアジアの比ではないだろう。 11月のU-22コロンビア代表戦では、久保建英や堂安律を擁しながらも、コロンビアの前に完敗。残り半年余りでどのようなチームに仕上げていくのか。今回のE-1選手権で、森保監督の中にどれだけ手応えがあったかはわからないが、反省材料も多く、この先の残された少ない時間で、修正する力、そして選手は自身の能力を上げる必要がある。 何れにしても、まずは来年1月のAFC U-23選手権の戦いが重要。メンバー選考を含め、アジアで頂点に立つ戦いをしっかりと見せてもらいたい。そして、3月に控えるA代表の試合に向けても、どのような準備をするのか。東京オリンピック世代も含まれるかどうかは定かではないが、チームとしての精度を上げていくステップをそろそろ踏み出したいところだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2019.12.20 06:45 Fri
twitterfacebook
thumb

攻撃のタクトを振った大島僚太、ゲームメイク力が必要な森保ジャパン/日本代表コラム

初戦の中国代表戦からスタメン11名を入れ替えて臨んだ香港代表戦。東京オリンピック世代の6名がA代表デビューとなり、デビュー済みの3名を含め9名がスタートからピッチに立った。 相手との実力差もある中、若い選手たちが立ち上がりからアグレッシブにプレー。結果として5得点を奪い、無失点で試合を終えたことは評価すべきところだろう。 中国戦に比べ、スムーズに仕掛けることができた攻撃面では、中盤の構成と攻撃の組み立て方に変化があったから。タイトルを懸けた韓国代表戦に向けても良いテストができたと言える。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆効果的なサイドの活用</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191215_00_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 初戦の中国戦に比べて大きな違いとなったのは、ボランチの組み合わせだ。初戦は橋本拳人(FC東京)、井手口陽介(ガンバ大阪)がコンビを組んだが、この試合は大島僚太と田中碧の川崎フロンターレコンビが務めた。 特に違いを見せたのは大島だ。予てから高い評価を下されながらも、肝心の場面で負傷離脱する悪循環が続いていた大島。思い起こせば、2年前に日本で行われたE-1選手権でも第2戦の中国戦で前半に負傷交代していた。 この試合ではキャプテンマークを巻いた大島だったが、特徴でもある長短のパスを使い分け、ゲームをコントロールしていた。 初戦ではほぼ見られなかったサイドへの長いパス。右ボランチを務めた大島から、左ウイングバックの菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)へのパスが多く見られた。もちろん、そのパスを引き出した菅の動きも重要だったが、全体をよく見ている大島の能力が生かしたと言えるだろう。 また、2シャドーやトップへの縦に入れるパスも多く見られた。初戦の中国代表戦は、攻撃が中央へ寄る傾向があり、中国も中を固めていただけに効果的な攻撃が見られなかったが、両サイドへの展開を多用したことで中央へも活路を見いだすことができていた。 最も、森保一監督は中央から崩す志向が強く、特に[3-4-2-1]のシステムでは2シャドーの使い方、サイドも縦への突破よりカットインという選択肢が増える。そのため、アジアで格下と戦う時は苦しめられる傾向にある。その点を踏まえてしっかり準備できたことはプラスと言えるだろう。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆出色の出来を見せた両ウイングバック</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191215_00_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> その大島と同様に、チームを活性化させたのが両ウイングバックだ。初戦では左に遠藤渓太(横浜F・マリノス)、右に橋岡大樹(浦和レッズ)が起用されたが、香港戦は左に菅、右に相馬勇紀(鹿島アントラーズ)を起用した。 中国戦は左の遠藤がボールを持ち、仕掛けるシーンはあったが、縦への突破よりは中央へのカットインが目立ち、崩し切るというシーンが少なかった。 しかし、この試合は右サイドに起用された相馬が躍動。最初の仕掛けから相手に警戒させると、再三縦へ仕掛け、チャンスを演出していた。この点は近くでプレーした仲川輝人(横浜F・マリノス)の動きも大きかった。 仲川はクラブではワイドに開いてプレーするものの、この試合はシャドーということもあり外から中へ動く場面が多かった。その分、スペースが生まれ、相馬が仕掛けやすい状態に。また、3バックの右を務めた渡辺剛(FC東京)のサポートもあったため、積極的にドリブルを仕掛けられたと言える。 一対一を制する場面も多かった相馬。グラウンダーやハイボール、ニア、ファーとクロスも使い分けており、中央でもう少し仕留められればアシストという数字も残っただろう。ただ、数字が残らなくとも、相馬の出来は次も見たいと思わせるには十分だった。 また、逆サイドの菅の働きも目立った。先制ゴールはYBCルヴァンカップ決勝を彷彿とさせる豪快ボレー。仲川がチャレンジした結果浮き球となったボールを、ボックス内で見事に叩いた。そのゴールだけでなく、菅は終始上下動を繰り返し、右サイドからの仕掛けが多くなることもあり、逆サイドのケアを行なっていた。 この試合はファーサイドにボールが流れることも多く、菅のカバーリングがあることで、2次攻撃が生まれた。小川の2点目はまさにその働きの賜物と言えるだろう。後半にはサイドを崩しに行くシーンも増え、この試合は両サイドが機能。縦を意識したことが結果として5ゴールに繋がった。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆タイトルが懸かる日韓対決へ</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20191215_00_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 2試合でGK小島亨介(大分トリニータ)以外の22人を起用した森保一監督。[3-4-2-1]と東京オリンピック世代で採用するシステムで2試合を戦い、一定の結果を残せた。 12名をA代表デビューさせ、アプローチの違う2試合を戦ったわけだが、この中から最も実力のある韓国代表戦のメンバーを選ぶことになる。 香港戦は中国戦を受けた反省から、準備してきたことが結果に繋がった。あとは、ピッチ内での連携と、各選手の対応力が求められる状況。東京オリンピックだけでなく、この先のA代表の活動に生き残れる選手たちを見極める場にもなるだろう。 今回は招集されていない海外組のA代表の主力メンバーとの競争もその先にはまっているが、この[3-4-2-1]システムでも、[4-2-3-1]システムでも求められるものは変わらない。チームのバランスを保ちつつ、局面で個の力を発揮できるか。そして何よりもカギになるのが、ゲームを作る能力だ。 アピールに成功した者、そうでない者。また、力を出し切れなかった者。どの選手であっても、最後の日韓戦で持てるものを全て出し切ってもらいたいもの。チームとして試合を支配し、試合を決める仕事に期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2019.12.15 11:45 Sun
twitterfacebook