【原ゆみこのマドリッド】5チームあっても強いのは1つだけ…

2018.09.03 11:00 Mon
▽「あれって縁起が悪かったのかしら」そんな風に私が溜息をついていたのは日曜日、リーガ3節はマドリッド勢の試合がもう終わっていたため、ゆっくり新聞を読みながら、前日の結果を反芻していた時のことでした。いやあ、この夏はUEFAスーパーカップでお隣さんを倒し、FIFA処分で補強ができなかった昨夏の反動か、新戦力が6人も加わって、クラブ史上最強のチームとまで評されていたアトレティコだったんですけどね。それが3試合終わってみれば、シメオネ監督時代、最も悪い1勝1分1敗。

▽逆にクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍で年間およそ50ゴールを失ったと言われていたレアル・マドリーは、いえ、ホームの2試合がまだ新チームが出来上がっていない弟分相手だったというツキはあったんですけどね。3試合で計10得点を挙げて破竹の3連勝となれば、ちょっと思い出してしまうのが昨季のバルサ。ええ、ネイマールのPSG移籍直後に迎えたスペイン・スーパーカップでは2試合合計5-1でマドリーに敗れ、先行きが心配されたものの、リーガが開幕すると大変身したんですよ。

▽8節でアトレティコと引き分けるまで勝ち点をまったく落とさなかった一方、ロナウドがカンプ・ノウのスーパーカップ初戦で退場。リーガ最初の4試合に出られなかったせいもあり、マドリーはシーズン序盤からホームゲームでの躓きが目立つことに。CLこそ3連覇を遂げたものの、最後はバルサに17差をつけられ、リーガ優勝を逃しているんですが、やっぱり最初の試合で宿敵に勝つと油断が生じてしまう?
▽まあ、バルサなど、今年のスペイン・スーパーカップで優勝したものの、相手がセビージャだったからか、選手たちが過信することもなく、日曜のウエスカ戦でも8-2と異常な程のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露。こちらも3連勝とマイペースを保っていますけどね。その辺の心理はともかく、マドリッド勢の様子をお伝えしていくことにすると、金曜の夜は私も12号線の工事により、代替バスに乗ることになるメトロを避け、セルカニアス(国鉄近郊路線)でヘタフェの試合を見に行くことに。

▽いやあ、それが最近のマドリッドは残暑が厳しいのに、Sol(ソル)駅には冷房の入っておらず。Las Margalitas Universidad(ラス・マルガリータス・ウニベルシダッド)駅に行くC4線は14分も待たないといけないとわかった時には頭がクラクラしましたが、大丈夫。同じホームにすぐ来たC3線を捕まえて、El Casar(エル・カサル)駅で降りれば、こちらからも徒歩15分程でコリセウム・アルフォンソ・ペレスに着けるのを思い出したのはラッキーでしたっけ。
▽ただ先日、ポルトゥをセビージャに獲られてしまうかもしれないジローナへ玉突き移籍の懸念が発覚し、「Angel quedate!/アンヘル・ケダテ(アンヘル、行かないで)」というカンティコ(メロディのあるシュプレヒコール)で始まった試合の方は少々、残念な内容だったかと。昨季、バジャドリーで35得点を挙げ、チームの1部昇格に貢献。ヘタフェへ移籍するキャリアアップを遂げたマタも古巣に遠慮があったんでしょうかね。セルヒオ監督の指導の下、しっかり守る相手にゴールを奪うことができず、チャンスも後半、マキシモビッチのシュートがゴールポストを直撃したぐらいに留まったヘタフェはスコアレスドローで終わってしまうことに。

▽え、それよりアンヘル共々、金曜午後12時を恙なく迎え、少なくとも今季前半、マドリッド在住が決まった柴崎岳選手が先週のエイバル戦に続き、この日も出場機会がなかったのは心配じゃないかって?そうですね、試合後、ボルダラス監督は「ガクはイロイロなポジションでプレーできるが、一番やり易いのは4-3-3か4-1-4-1だろう。Ahora no jugamos de esa manera, de momento/アオラ・ノー・フガモス・デ・エサ・マネラ、デ・モメントー(今のところ、ウチはそれでプレーしていないから)」と言っていたんですが、確かに開幕戦でマドリーに0-2で負けた後、ヘタフェはFWを2人入れる4-4-2を採用していますからね。

▽柴崎選手にとってもなかなか、辛いところですが、ここは辛抱が肝心。今回のインターナショナルマッチウィークは日本代表に招集されていないため、リーガがparon(パロン/停止期間)に入るこの2週間、じっくり練習に専念して、16日のセビージャ戦でチャンスがもらえるように頑張るしかありません。まだ今週の日程は出ていませんが(http://www.getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx)、大体、朝は午前10時から、スタジアムの右側の道を下りて行くとあるグラウンドでヘタフェはセンションを行うため、マドリッドを訪れる予定のあるファンはセルカニアスに乗って、見学に行くのも一興かもしれませんよ。

▽そして土曜、先に試合をしたのはアトレティコだったんですが、冷房の効いたバル(スペインの喫茶店兼バー)から見ているだけでも、陽光照りつけるガリシア地方(スペイン北西部)のビーゴ(セルタのホームタウン)が何とも暑そうだったことか。ただ、それ以上に暑苦しかったのは彼らのプレーで前半こそ、イアゴ・アスパスがラストパスに届かなかったり、シュートをネット脇に当ててくれたりしたため、無失点で済んだんですが、まったく攻撃陣が機能していないって一体、どうなっている?

▽おまけに前節、「Contra el Rayo ya habiamos tenido diez minutos no buenos en el final/コントラ・エル・ラージョ・ジャー・アビアモス・テニードー・ディエス・ミヌートス・ノー・ブエノス・エン・エル・フィナル(ラージョ戦終盤の10分間、ウチは良くなかった)」という経験をしながら、「Hoy nos paso en el arranque del segundo tiempo/オイ・パソ・エン・エル・アランケ・デル・セグンド・ティエンポ(今日はそれが後半序盤に起こった)」(シメオネ監督)って、え、これって反省をまったくしないという、大昔のアトレティコの悪癖そのものじゃないですか。

▽実際、ダメダメ時代を彷彿させる大ポカが起きたのは後半開始直後のことで、PSG移籍が流れ、その日は先発に抜擢されたフィリペ・ルイスが何気にバックパスを送ったところ、受け手のゴディンが転んでしまったから、さあ大変!すかさず「Me aproveche del resbalon de Diego para irme/メ・アプロベチェ・デル・レスバロン・デ・ディエゴ・パラ・イルメ(ゴディンのミスを抜け出すために利用した)」と、ウルグアイ代表の大先輩に先んじてボールに駆け寄ったマキシ・ゴメスのシュートをGKオブラクも止められず、先制点を奪われてしまいます。更にその7分後、今度はマキシ・ゴメスのクロスを反対側から、こっそりエリアに入って来たアスパスにヘッドされ、2点差になってしまった日には呆れて物も言えないとはまさにこのこと?

▽そこでようやくシメオネ監督はその日、全員ベンチに置いていた新戦力を投入。コレアとトマスをレマルとカリニッチにしたんですが、何でしょうかね。私もサンティアゴ・ベルナベウに向かうため、その辺りでバルを出たところ、メトロから出た時には負傷中のファンフランの代役をしていたサビッチが2枚目のイエローカードで退場済みに。その直前にはヒメネスが新加入の右SBと交代していたなんて、チグハグなこともあったようですが、どちらにしろ、前日には昨季のヨーロッパリーグ最優秀選手に選ばれたグリーズマンを含め、90分間枠内シュートが1つもないというのであれば、終盤、カブレラのゴールがVAR(ビデオ審判)でオフサイドとなり、セルタに3点目は取られなかったなんて、どうでもいいことですよね(最終結果2-0)。

▽うーん、7歳の頃から一緒にサッカーをプレーした仲のモハメド監督に初めて、指揮官として1本取られたシメオネ監督は、「Este partido es una buena llamada de atencion, primero para mi/エスタ・パルティードー・エス・ウナ・ブエナ・ジャマダ・デ・アテンシオン、プリメーロ・パラ・ミー(この試合はいい注意喚起になる。まず私のね)」と特に怒った様子も見られなかったんですけどね。サウールなども「El paron nos tiene que venir bien para pensar y corregir los errores/エル・パロン・ノス・ティエネ・ケ・ベニール・ビエン・パラ・ペンサル・イ・コレヒル・ロス・エローレス(リーガの停止期間がミスを考えて正すいい機会になる)」と前向きだったんですが、え、本気で言っています?

▽だってえ、金曜にルイス・エンリケ監督が発表したスペイン代表招集リストから漏れ、悔しさをゴールという形で表したアスパスと対照的にこの日も言及に値する働きが見られなかったコケこそ、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で特訓に励めますけどね。月曜からラス・ロサス(同)のサッカー協会施設で合宿入りするサウールとジエゴ・コスタ、ロドリゴを始め、アトレティコの選手で今回、各国代表に呼ばれていないのはW杯開始早々、時間稼ぎの交代出場を断り、ダリッチ監督の不況を買ってクロアチア代表を追放されたカリニッチ、体調不調で招集を免除されたオブラク、そして控えGKアダンだけなんですよお。ファンフランとビトロも負傷のリハビリ中となれば、15日のエイバル戦の準備すら、来週木曜以降にならないとできないのはわかりきっているじゃないですか。

▽そこへ追い打ちをかけたのがマドリーの好調ぶりで、いえ、弟分のレガネスも前半19分にセルヒオ・ラモスのクロスをカルバハルが頭でゴール前に送り、ベイルに強烈なvolea(ボレア/ボレーシュート)で先制されたのにもめげず、5分後にはカセミロにエラソがエリア内で倒されてPKをゲット。キックオフ前にはモドリッチ、ラモスと共にUEFA表彰のトロフィーをファンに披露したケイロル・ナバスをベンチ待機にして、初先発を果たしたGKクルトワの裏をかいたカリージョが同点ゴールを挙げたんですけどね。1-1で始まった後半、早くも3分にアセンシオのクロスから、ベンゼマにヘッドで勝ち越し弾を決められたのが分岐点となることに。

▽いえ、最初は線審にファールを取られ、ゴールが認められなかったにも関わらず、VAR判定で得点となったせいじゃないですよ。後でペレグリーニ監督も「luego nos vinimos abajo y ellos cogieron confianza/ルエド・ノス・ビモス・アバホ・イ・エジョス・コヒエロン・コンフィアンサ(あの後、ウチは落胆し、相手は自信をつけた)」と言っていたように以降、ボールポゼッションの長い、流れるようなマドリーのプレーが続いたからで、16分にはマルセロからボールをもらったベンゼマがモドリッチとのワンツーを経て、最後は斜めにエリアを横切るシュートで3点目。その5分後、今度はブスティンサが走り込んで来たアセンシオを倒してしまい、ラモスのPKで4点目が入ってはゴール貧者のレガネスに勝ち目はありませんって。

▽え、これでラモスは今季PKでもう3得点目となると、ロナウドがこれまで挙げてきたゴールのPK分、年間7、8本は補えるんじゃないかって?そうですね、ここはその全てのペナルティを引き起こし、試合後、「La Juve sera una gran familia pero el Madrid tambien/ラ・ユーベ・セラ・ウナ・グラン・ファミリア・ペロ・エル・マドリッド・タンビエン(ユーベは偉大な家族かもしれないけど、マドリーもそうだよ)。クリスチアーノがいない方がよりチームらしいかっていうのはわからない」と若輩ながら、移籍したクラックの当てつけみたいなコメントにしっかり反論したアセンシオも褒めてあげたいんですが、この3試合でベンゼマは4ゴール、ベイルも3ゴールと量産体勢に入った気配がしますからね。

▽とりわけ、シュートよりロナウドにパスを回すことを優先する義務から解放されたベンゼマなど、代表招集がないため、今季はかなりの数を期待してもいいかと。そうそう、この日は代表監督となって、初めてのリストでマドリー勢を6人招集したルイス・エンリケ監督もパルコ(貴賓席)で観戦していましたが、月曜夕方には公開練習で盛況となりそうなラス・ロサスのグラウンドとは対照的に、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場も今週はかなりスカスカな状態に。いえ、ナバスはコスタリカ代表を免除され、15日のアスレティック戦ではクルトワからスタメンを奪回すべく、調整に励むんですけどね。あとはジョレンテ、オドリオソラ、ルーカス・バスケス、金曜に入団プレゼンがあったマリアーノ、GKカシージャぐらいとなれば、日曜にはロペテギ監督が練習ヘルプ要員の観察にマハダオンダまで、アトレティコBとRMカスティージャのダービーを見学に行ったのも当然だった?

▽いやまあ、これにはフラメンゴに4500万ユーロ(約59億円)の移籍金を払い、ベルナベウで入団プレゼンも行ったものの、まだ18歳ということでRMカスティージャに籍を置いて、出場機会を増やすことにしたビニシウスの成長ぶりを見守るという意味もあったんですけどね。その目の前でゴールを2本も挙げた当人も偉かったんですが、まさか、アトレティコのカンテラーノが交錯プレーの後、相手の頭に噛みついてしまう程のパニックを巻き起こしたという話にはビックリhttp://videos.marca.com/v/0_ng72538x-el-mordisco-que-indigno-a-vinicius-y-acabo-en-tangana-le-dan-un-bocado-en-la-cabeza?uetv_pl=futbol&count=0)。結果が2-2の引き分けだったのはともかく、マリアーノに加え、こんなFWまでいるとなれば、移籍市場最終日にマジョラルがレバンテにレンタルで行ってしまったのも仕方ないかと。

▽一方、金曜に駆け込みでFWサビン・メリーノ(アスレティックからレンタル)、MFレシオ(マラガから移籍金200万ユーロ/約2億6000万円で買い取り)を補強したレガネスは、キャプテンのブスティンサも「ボクらにとって練習する大事な1週間」と言っていたように16日のビジャレアル戦に向けて、17人にも及ぶ新戦力がチームに融合する貴重な時間ができるんですが、気になるのはそれまで、この2年間、ガリターノ前監督の下では1度もなかった降格圏19位が続くこと。いや、ホームのエスタディオ・バジェカスの改修工事のせいでスタンドが閉鎖され、3節のアスレティック戦が延期になってしまったラージョなど、14日のウエスカ戦まで最下位で過ごすんですけどね。まだ順位表はあまり意味のない時期とはいえ、どちらも9月後半にはもっと居心地のいい位置まで上がってくれるといいのですが。

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