【原ゆみこのマドリッド】ようやく決勝に行った甲斐があった…
2018.08.18 10:30 Sat
▽「早くもcrisis(クリシス/危機)状態ね」そんな風に私が対岸の火事を眺めていたのは金曜日、深夜1時にようやくタリンからマドリッドへ辿り着いた翌朝、ボンヤリした頭でスポーツ紙を読んでいた時のことでした。いやあ、少しでも安い航空券を手に入れようと四苦八苦した挙句、どうせ着くのが夜になるなら、ついでに乗り継ぎ地でも観光しようと計画。元々、午前6時発という早朝発着だったのもあって、予定外の延長戦に睡眠時間が1時間にも満たない状態でオスロをウロウロしてきたため、疲れが抜けていなかったのは自分が悪いんですけどね。
▽試合後にはチャーター機で木曜朝7時に帰国。お祝いに集まった数百人のファンもすでに引けたネプトゥーノの噴水広場を経由して帰宅したリュカとヒメネス(https://twitter.com/Atleti_Goleador/status/1030147367964749827)みたいな例外はあったものの、総じて自宅で休養をとった後、アトレティコの選手やスタッフがAmazonico(アマソニコ/マドリッド市内にある流行りの国際創作料理レストラン)に集まった祝勝ディナーも帰宅する前に終わっていたんですが、でもねえ。UEFAスーパーカップの結果が逆だったら、今頃、クライシス入りしていたのは彼らの方だったかと。
▽ええ、現在、レアル・マドリーではプレシーズンマッチ好成績のおかげで一時は下火になっていた補強選手探しが再燃。ユベントスに行ってしまったクリスチアーノ・ロナウドの1シーズン50ゴールを穴埋めするFWを始め、プレー時間を増やしたい希望が叶ってチェルシーに移籍したコバチッチの代役となるMF、更に今季初の公式戦直前にまたしてもバジェホが負傷してしまったため、頭数不足が心配されるCBなど、とにかくベンチの選手層が薄くて、戦力が足りないという話になっているんですが、もし負けたのがアトレティコだったら、クラブ史上最高の移籍金7000万ユーロ(約90憶円)のレマル(元モナコ)獲得やグリーズマンの引き止めに大枚はたいても全然、意味がなかったと言われかねない?
▽それが今では“Supercampeon/スーペルカンペオン(スーパーチャンピオン)”と持ち上げられ、今季の彼らは全てのタイトルを狙っているなんて、大望はなはだしい扱いをされているんですから、まったく世の中って調子いい。うーん、もちろん2014年にはリスボン、2016年にもミランでのCL決勝でお隣さんに失意のどん底に落とされながら、タリンなんて辺境の地にも1300人のファンが移動。私が知り合った中には試合前々日の朝6時にマドリッドを出発し、リスボン経由でラトビアのリガから、バスで4時間かけて着いたなんて猛者もいましたが、共々、長い帰京の道のりを明るい気分で過ごせたのは何より有り難ったんですが…。
▽え、それより試合がどうだったか、早く知りたいって?そうですね、私も火曜にはタリンに着き、ア・ル・コック・スタジアム(フローラ・タリンのホーム)でマドリーの練習を見学したんですが、いえ、先にピッチを踏んだアトレティコを見なかったのは単に到着時間の問題で、先週土曜のインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の親善大会)最後のインテル戦で不甲斐なく、0-1で負けていたため、ここまで来て再度、実力の差を確認したくなかったという訳ではないんですけどね。両チーム共、ファンの大半が現地入りしたのは当日の水曜、徒歩で回れてしまう、中世の趣きを残したコケットな旧市街はcamiseta(カミセタ/ユニフォーム)やbandera(バンデラ/旗)をまとったスペイン人で溢れていたんですが、新市街にあるスタジアムまで徒歩30分で行けてしまうというのがちょっと曲者だったんです。
▽それでも何とか、スタジアムに辿り着き、午後10時(エストニアはスペインと時差が1時間ある)という遅い時刻にはエストニアの民族舞踊によるオープニングセレモニーを経て、無事にキックオフを迎えたんですが、驚かされたのは両チームのサポーターが陣取るのが対面するfondo(フォンド/ゴール裏席)の半分だけという、UEFAの出場チームファン向け割り当てチケットの少なさ。いえ、前日、空港から乗ったタクシーの運転手のお兄さんなど、片言の英語で「ファン同士が衝突したりするのかな」と騒ぎを心配していたぐらいですから、あまり多く出回って、うっかりウルトラたちが紛れ込んでも困るんですけどね。
▽私など、あの無数のパスミスやロストチャス、おまけに相手が永遠のライバルとなると大抵、守り一辺倒で耐えるアトレティコのサッカーに耐えられるのはまず、アトレティコファンしかいないと思っていたため、世紀のイベントに期待している地元民や他の国から来たサッカーファンたちにどう思われるか心配だったんですが、とんでもない。ユーロダービーでの不安な気持ちをなだめようと、馴染みのオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継をイターネットラジオで探している間、まさか開始49秒、ゴディンがセンターから放ったロングパスをジエゴ・コスタがセルヒオ・ラモスとの争いに勝ってゲット。バランもかわすと、GKケイロル・ナバスの左脇を抜いてゴールを決めてしまったから、意表を突かれるとはまさにこのこと?
▽とはいえ、相手は天下のマドリー。ほとんど0-1でゲームをスタートさせたからって、安心するにはほど遠く、すぐにボールを持たれるようになったアトレティコは、アセンシオの天才的なゴール前からのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるシュートこそ、GKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。だからマドリッドに戻って来たかったクルトワは河岸を変えざるを得ず、選手登録も間に合わなくて、この日はスタンド観戦するしかなかったんだと納得させてくれたんですが、そのオブラクも27分、ベイルのクロスをベンゼマにヘッドされた時にはどうしようもありません。ええ、この1点で試合が振り出しに戻った上、後半18分にはファンフランがエリア内でハンドの反則。ロナウド退団で第1キッカーになったラモスにPKを決められて、とうとうリードされてしまったとなったら…。
▽だってえ、その時にはもう、グリーズマンがコレアに代わっていたんですよ。確かにフランス代表がW杯に優勝したため、まだ10日程しかトレーニングをしておらず、本来のキレがまったくなかった彼ですけどね。UEFA処分のため、その日もパルコ(貴賓席)見学をしていたシメオネ監督も、ベンチで指揮を執っていたブルゴス第2監督も勇気あるなあと思ったものですが、時折、レマルが奮闘。ボランチでバランスを取っていたロドリゴ(ビジャレアルから移籍)から、ビトロに代えて攻撃の駒も増やしていたものの、ゴールが遠いまま、刻々と時間が経過していくことに。
▽いよいよ、「アトレティコはマドリーと違ってremontada(レモンターダ/逆転)体質じゃないから」と自分もネガティブになっていた34分、まさかサイドスローを避けようとしたマルセロからファンフランがボールを取り返し、パスを受けたコレアがエリア内奥からキラーパス、それをゴール前からコスタが押し込んで同点にしてしまうとは!うーん、丁度、マドリーはやはりプレシーズン開始が遅れ、本調子でなかったカセミロとはいえ、中盤の守備の要がセバジョスと代わったばかりだったせいもあったんでしょうかね。
▽おまけに1-1のまま、勝負が延長戦に入ると、ブルニコ(イタリア)でのキャンプにも帯同せず、「Ya le dije al Cholo que si quería ganar títulos tenía que ficharme/ジャー・ディヘ・アル・チョロ・ケ・シー・ケリア・ガナール・ティトゥロス・テニア・ケ・フィチャールメ(もうチョロにはタイトルを獲りたいなら、自分をチームに入れないといけないと言っていたよ)」という約束を実行するべく、猛暑のマドリッドで身体を鍛えていたコスタも含め、アトレティコは自慢の体力を発揮。思い返せば、シメオネ監督が初めてマドリーを倒して優勝した2013年コパ・デル・レイ決勝も延長戦でしたが、この日は90分が終わる頃、レマルに代え、「試合前、ガーナ代表でプレーしている位置で使うことを話していた。カリニッチ(インテルから移籍)は来たばかりだし、ジェルソン(同スポルティグCP)はチームの動きをまだ知らないから」(シメオネ監督)という理由でトマスをトップ下に起用したのも当たったかと。
▽ええ、そのおかげで延長戦前半8分にはバランからボールを奪ったトマスが折り返し、サウールのvolea(ボレア/ボレーシュート)によるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が生まれたとなれば、その頃から就寝時間が気になっていた自分もどんなに嬉しかったことか。それどころか、14分にはガビ(アウ・サッドへ移籍)とフェルナンド・トーレス(同ヴィッセル神戸)が去った後、カンテラーノ(下部組織出身の選手)一番の古株となり、責任感に目覚めたんでしょうかね。それともW杯でスペインが16強対決で敗退する原因となったPK戦での失敗から、そこまで行くのだけは避けたかったか、コケがビトロのアシストで4点目を決めているって、これ、本当にアトレティコ?
▽いやまあ、それでも臆病者の私など、土壇場で相手の奇跡のレモンターダ体質が発現しないか、怖くて仕方なかったんですけどね。さすがに2点差、しかも後でカセミロも「Claro que echamos de menos a Cristiano/クラーロ・ケ・エチャモス・デ・メノス・ア・クリスティアーノ(クリスチアーノがいないのを残念に思うのは当然)」と言っていたように、頼りのロナウドもいなかったせいか、延長戦後半もマドリーは得点することができず。最後は2-4でアトレティコが勝利して、誰より多い16キロを走り倒したコケなども「Claro que teníamos ganas. Nos da igual el rival/クラーロ・ケ・テニアモス・ガナス。ノス・ダ・イグアル・エル・リバル(もちろん意欲はあったよ。ライバルは誰でも同じだった)。でもヨーロッパの決勝でレアル・マドリーに勝ちたかったのは確かだね」と嬉しさの余り、何だか訳のわからないコメントをすることに。
▽その辺、後輩ながら、サウールの方は「チームやファンは舞い上がっているけど、平常心を保つメッセージを送らないと。Si ya lo sabes, ¿para qué lo preguntas? Partido a partido. Ya está/シー・ジャー・ロ・サベス、パラ・ケ・ロ・プレグンタス?パルティードー・ア・パルティードー(もうわかっているなら、何で訊くの?1試合1試合、それだけさ)」と落ち着いたもの。まあ、この日はマドリーも守備がガタガタでしたし、就任後、最初のタイトル獲得のチャンスを逃したロペテギ監督も「El fútbol son aciertos o errores que te aúpan o te castigan/エル・フトボル・ソン・アシエルエトス・オ・エローレス・ケ・テ・アウパン・オ・テ・カスティガン(サッカーは当たるかミスるか、それで上向きになるか、罰を与えられるかだ)」と言っていた通り、枠内シュートが5回しかなかったアトレティコが珍しく、4点も取れたというツキもありましたからね。
▽キャプテンのラモスや移籍騒動の収束したモドリッチもSNSでチームを鼓舞するメッセージを送っていましたし、何より、まだシーズンは始まったばかり。ええ、金曜からリーガも開幕し、日曜にはエスタディオ・バジェカスに先日、バルサとのスペイン・スーパーカップには1-2で負けてしまったものの、木曜にはリトアニアのジャルギリスを0-5で破り、EL予選プレーオフでチェコのシグマと対戦することになったセビージャを迎えるラージョに続き、マドリーにもサンティアゴ・ベルナベウに弟分のヘタフェとのミニダービーが午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)に待っていますからね。
▽今週は水木金とpuerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)で練習を行った相手も、「El Real Madrid es un grande/エル・レアル・マドリッド・エス・ウン・グランデ(マドリーはビッグクラブ)。1回悪い結果があったとしてもその実力や可能性が減ることはない」(ボルダラス監督)と、UEFAスーパーカップでの敗北で自分たちが有利に立てるとは決して過信していないだけに早めに気合を入れ直すことが必要かと。今のところ、人事面での注目はヘタフェ側では柴崎岳選手の出場があるかないか、マドリーではGKがナバスからクルトワに代わるのか辺りでしょうか。
▽そして月曜まであるこの第1節、残り2つのマドリッド勢は平日営業になっていて、午後8時にはレガネスのペジェグリーノ新監督がアスレティック戦で初陣を飾り、午後10時(日本時間翌午前5時)からはアトレティコがバレンシアにメスタシジャで挑むことに。うーん、親切にもマルセリーノ監督のチームがpasillo(パシージョ/花道)を作って、スーペルカンペオンを迎えてくれるのには感謝ですが、今季3年ぶりにCLグループリーグ復帰をする相手はガメイロ(アトレティコから移籍)だけでなく、バチュアイ(同チェルシー)も加入し、FW陣が厚くなっているみたいですからね。新入団選手のおかげでスタメン選びが難しくなったアトレティコも決して撃ち負けることなく、いい形でリーガを始めてもらいたいものです。
▽試合後にはチャーター機で木曜朝7時に帰国。お祝いに集まった数百人のファンもすでに引けたネプトゥーノの噴水広場を経由して帰宅したリュカとヒメネス(https://twitter.com/Atleti_Goleador/status/1030147367964749827)みたいな例外はあったものの、総じて自宅で休養をとった後、アトレティコの選手やスタッフがAmazonico(アマソニコ/マドリッド市内にある流行りの国際創作料理レストラン)に集まった祝勝ディナーも帰宅する前に終わっていたんですが、でもねえ。UEFAスーパーカップの結果が逆だったら、今頃、クライシス入りしていたのは彼らの方だったかと。
▽ええ、現在、レアル・マドリーではプレシーズンマッチ好成績のおかげで一時は下火になっていた補強選手探しが再燃。ユベントスに行ってしまったクリスチアーノ・ロナウドの1シーズン50ゴールを穴埋めするFWを始め、プレー時間を増やしたい希望が叶ってチェルシーに移籍したコバチッチの代役となるMF、更に今季初の公式戦直前にまたしてもバジェホが負傷してしまったため、頭数不足が心配されるCBなど、とにかくベンチの選手層が薄くて、戦力が足りないという話になっているんですが、もし負けたのがアトレティコだったら、クラブ史上最高の移籍金7000万ユーロ(約90憶円)のレマル(元モナコ)獲得やグリーズマンの引き止めに大枚はたいても全然、意味がなかったと言われかねない?
▽え、それより試合がどうだったか、早く知りたいって?そうですね、私も火曜にはタリンに着き、ア・ル・コック・スタジアム(フローラ・タリンのホーム)でマドリーの練習を見学したんですが、いえ、先にピッチを踏んだアトレティコを見なかったのは単に到着時間の問題で、先週土曜のインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の親善大会)最後のインテル戦で不甲斐なく、0-1で負けていたため、ここまで来て再度、実力の差を確認したくなかったという訳ではないんですけどね。両チーム共、ファンの大半が現地入りしたのは当日の水曜、徒歩で回れてしまう、中世の趣きを残したコケットな旧市街はcamiseta(カミセタ/ユニフォーム)やbandera(バンデラ/旗)をまとったスペイン人で溢れていたんですが、新市街にあるスタジアムまで徒歩30分で行けてしまうというのがちょっと曲者だったんです。
▽ええ、知らない国でトラムやバスに乗って、エストニアはユーロが使えるものの、切符の買い方や降りる停留所がわからず、変なところに行ってしまうのが怖いという心理も手伝っているんでしょうけどね。今はgoogle mapが誘導してくれるため、多少なら歩いた方が気楽という面はあるんですが、実はあれ、万全ではなく、注意していないと、変な遠回りをしていたり、操作のたびに経路が変わってしまったりするんですよ。更に市内中心部からは鉄道線路を越えないといけないものの、踏切が少ないといったハードルもあったため、スマホを見ながら、まったく反対に歩いていくファンと途中、何度すれ違ったことか。
▽それでも何とか、スタジアムに辿り着き、午後10時(エストニアはスペインと時差が1時間ある)という遅い時刻にはエストニアの民族舞踊によるオープニングセレモニーを経て、無事にキックオフを迎えたんですが、驚かされたのは両チームのサポーターが陣取るのが対面するfondo(フォンド/ゴール裏席)の半分だけという、UEFAの出場チームファン向け割り当てチケットの少なさ。いえ、前日、空港から乗ったタクシーの運転手のお兄さんなど、片言の英語で「ファン同士が衝突したりするのかな」と騒ぎを心配していたぐらいですから、あまり多く出回って、うっかりウルトラたちが紛れ込んでも困るんですけどね。
▽私など、あの無数のパスミスやロストチャス、おまけに相手が永遠のライバルとなると大抵、守り一辺倒で耐えるアトレティコのサッカーに耐えられるのはまず、アトレティコファンしかいないと思っていたため、世紀のイベントに期待している地元民や他の国から来たサッカーファンたちにどう思われるか心配だったんですが、とんでもない。ユーロダービーでの不安な気持ちをなだめようと、馴染みのオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継をイターネットラジオで探している間、まさか開始49秒、ゴディンがセンターから放ったロングパスをジエゴ・コスタがセルヒオ・ラモスとの争いに勝ってゲット。バランもかわすと、GKケイロル・ナバスの左脇を抜いてゴールを決めてしまったから、意表を突かれるとはまさにこのこと?
▽とはいえ、相手は天下のマドリー。ほとんど0-1でゲームをスタートさせたからって、安心するにはほど遠く、すぐにボールを持たれるようになったアトレティコは、アセンシオの天才的なゴール前からのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるシュートこそ、GKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。だからマドリッドに戻って来たかったクルトワは河岸を変えざるを得ず、選手登録も間に合わなくて、この日はスタンド観戦するしかなかったんだと納得させてくれたんですが、そのオブラクも27分、ベイルのクロスをベンゼマにヘッドされた時にはどうしようもありません。ええ、この1点で試合が振り出しに戻った上、後半18分にはファンフランがエリア内でハンドの反則。ロナウド退団で第1キッカーになったラモスにPKを決められて、とうとうリードされてしまったとなったら…。
▽だってえ、その時にはもう、グリーズマンがコレアに代わっていたんですよ。確かにフランス代表がW杯に優勝したため、まだ10日程しかトレーニングをしておらず、本来のキレがまったくなかった彼ですけどね。UEFA処分のため、その日もパルコ(貴賓席)見学をしていたシメオネ監督も、ベンチで指揮を執っていたブルゴス第2監督も勇気あるなあと思ったものですが、時折、レマルが奮闘。ボランチでバランスを取っていたロドリゴ(ビジャレアルから移籍)から、ビトロに代えて攻撃の駒も増やしていたものの、ゴールが遠いまま、刻々と時間が経過していくことに。
▽いよいよ、「アトレティコはマドリーと違ってremontada(レモンターダ/逆転)体質じゃないから」と自分もネガティブになっていた34分、まさかサイドスローを避けようとしたマルセロからファンフランがボールを取り返し、パスを受けたコレアがエリア内奥からキラーパス、それをゴール前からコスタが押し込んで同点にしてしまうとは!うーん、丁度、マドリーはやはりプレシーズン開始が遅れ、本調子でなかったカセミロとはいえ、中盤の守備の要がセバジョスと代わったばかりだったせいもあったんでしょうかね。
▽おまけに1-1のまま、勝負が延長戦に入ると、ブルニコ(イタリア)でのキャンプにも帯同せず、「Ya le dije al Cholo que si quería ganar títulos tenía que ficharme/ジャー・ディヘ・アル・チョロ・ケ・シー・ケリア・ガナール・ティトゥロス・テニア・ケ・フィチャールメ(もうチョロにはタイトルを獲りたいなら、自分をチームに入れないといけないと言っていたよ)」という約束を実行するべく、猛暑のマドリッドで身体を鍛えていたコスタも含め、アトレティコは自慢の体力を発揮。思い返せば、シメオネ監督が初めてマドリーを倒して優勝した2013年コパ・デル・レイ決勝も延長戦でしたが、この日は90分が終わる頃、レマルに代え、「試合前、ガーナ代表でプレーしている位置で使うことを話していた。カリニッチ(インテルから移籍)は来たばかりだし、ジェルソン(同スポルティグCP)はチームの動きをまだ知らないから」(シメオネ監督)という理由でトマスをトップ下に起用したのも当たったかと。
▽ええ、そのおかげで延長戦前半8分にはバランからボールを奪ったトマスが折り返し、サウールのvolea(ボレア/ボレーシュート)によるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が生まれたとなれば、その頃から就寝時間が気になっていた自分もどんなに嬉しかったことか。それどころか、14分にはガビ(アウ・サッドへ移籍)とフェルナンド・トーレス(同ヴィッセル神戸)が去った後、カンテラーノ(下部組織出身の選手)一番の古株となり、責任感に目覚めたんでしょうかね。それともW杯でスペインが16強対決で敗退する原因となったPK戦での失敗から、そこまで行くのだけは避けたかったか、コケがビトロのアシストで4点目を決めているって、これ、本当にアトレティコ?
▽いやまあ、それでも臆病者の私など、土壇場で相手の奇跡のレモンターダ体質が発現しないか、怖くて仕方なかったんですけどね。さすがに2点差、しかも後でカセミロも「Claro que echamos de menos a Cristiano/クラーロ・ケ・エチャモス・デ・メノス・ア・クリスティアーノ(クリスチアーノがいないのを残念に思うのは当然)」と言っていたように、頼りのロナウドもいなかったせいか、延長戦後半もマドリーは得点することができず。最後は2-4でアトレティコが勝利して、誰より多い16キロを走り倒したコケなども「Claro que teníamos ganas. Nos da igual el rival/クラーロ・ケ・テニアモス・ガナス。ノス・ダ・イグアル・エル・リバル(もちろん意欲はあったよ。ライバルは誰でも同じだった)。でもヨーロッパの決勝でレアル・マドリーに勝ちたかったのは確かだね」と嬉しさの余り、何だか訳のわからないコメントをすることに。
▽その辺、後輩ながら、サウールの方は「チームやファンは舞い上がっているけど、平常心を保つメッセージを送らないと。Si ya lo sabes, ¿para qué lo preguntas? Partido a partido. Ya está/シー・ジャー・ロ・サベス、パラ・ケ・ロ・プレグンタス?パルティードー・ア・パルティードー(もうわかっているなら、何で訊くの?1試合1試合、それだけさ)」と落ち着いたもの。まあ、この日はマドリーも守備がガタガタでしたし、就任後、最初のタイトル獲得のチャンスを逃したロペテギ監督も「El fútbol son aciertos o errores que te aúpan o te castigan/エル・フトボル・ソン・アシエルエトス・オ・エローレス・ケ・テ・アウパン・オ・テ・カスティガン(サッカーは当たるかミスるか、それで上向きになるか、罰を与えられるかだ)」と言っていた通り、枠内シュートが5回しかなかったアトレティコが珍しく、4点も取れたというツキもありましたからね。
▽キャプテンのラモスや移籍騒動の収束したモドリッチもSNSでチームを鼓舞するメッセージを送っていましたし、何より、まだシーズンは始まったばかり。ええ、金曜からリーガも開幕し、日曜にはエスタディオ・バジェカスに先日、バルサとのスペイン・スーパーカップには1-2で負けてしまったものの、木曜にはリトアニアのジャルギリスを0-5で破り、EL予選プレーオフでチェコのシグマと対戦することになったセビージャを迎えるラージョに続き、マドリーにもサンティアゴ・ベルナベウに弟分のヘタフェとのミニダービーが午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)に待っていますからね。
▽今週は水木金とpuerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)で練習を行った相手も、「El Real Madrid es un grande/エル・レアル・マドリッド・エス・ウン・グランデ(マドリーはビッグクラブ)。1回悪い結果があったとしてもその実力や可能性が減ることはない」(ボルダラス監督)と、UEFAスーパーカップでの敗北で自分たちが有利に立てるとは決して過信していないだけに早めに気合を入れ直すことが必要かと。今のところ、人事面での注目はヘタフェ側では柴崎岳選手の出場があるかないか、マドリーではGKがナバスからクルトワに代わるのか辺りでしょうか。
▽そして月曜まであるこの第1節、残り2つのマドリッド勢は平日営業になっていて、午後8時にはレガネスのペジェグリーノ新監督がアスレティック戦で初陣を飾り、午後10時(日本時間翌午前5時)からはアトレティコがバレンシアにメスタシジャで挑むことに。うーん、親切にもマルセリーノ監督のチームがpasillo(パシージョ/花道)を作って、スーペルカンペオンを迎えてくれるのには感謝ですが、今季3年ぶりにCLグループリーグ復帰をする相手はガメイロ(アトレティコから移籍)だけでなく、バチュアイ(同チェルシー)も加入し、FW陣が厚くなっているみたいですからね。新入団選手のおかげでスタメン選びが難しくなったアトレティコも決して撃ち負けることなく、いい形でリーガを始めてもらいたいものです。
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