【原ゆみこのマドリッド】大物はまだ来ない…

2018.07.23 16:00 Mon
▽「意外と大丈夫なのね」そんな風に私がホッとしていたのは日曜日、フェルナンド・トーレスがJリーグのベガルタ仙台戦でサガン鳥栖デビューする映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、何せ彼が日本に行ったのはたった1週間前。11日からマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でプレシーズンのトレーニングを開始したアトレティコの元同僚たちなど、まだ今週は毎日、ダブル、トリプルセッションで体力増強を図っている最中ですからね。この夏、最初の親善試合だって、この木曜にシンガポールで行われるアーセナル戦までないというのに、熱中症が蔓延する日本で彼がもう公式戦に出るなんて、とても正気の沙汰と思えなかったから。
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▽同日はイニエスタもヴィッセル神戸ので湘南ベルマーレ戦でに途中出場したようですが、あちらはもっと大変そうで、ええ、彼はW杯に参加していましたからね。古巣のバルサもそうですが、アトレティコでもスペイン代表組のコケ、サウール、ジエゴ・コスタらはチームがアジア遠征に出た翌日の水曜から、ようやく練習開始。心置きなくバケーションを満喫した後、一から体を作り出すとなれば、日本のチームは随分、無茶させると心配になったものですが、でもこれって、いい方に考えると、先週はパリでのW杯優勝祝勝行事を始め、金曜にも出身地マコンの市役所に招かれて、バルコニーで地元の人たちに挨拶(https://www.bienpublic.com/actualite/2018/07/20/macon-pres-de-9000-supporters-d-antoine-griezmann-sur-l-esplanade-(images-et-video))。お祝いの限りを尽くしていたグリーズマンの練習復帰が8月6日に予定されていたとしても、15日のUEFAスーパーカップでプレーするのは不可能ではないってこと?▽いえ、昨季のEL準決勝アーセナル戦1stレグで退場処分を受け、4試合のベンチ入り禁止となったシメオネ監督はCAS(国際スポーツ仲裁裁判所)にも減刑を認められず、もうタリン(エストニア)のア・ル・コック・アレーナのパルコ(貴賓席)を予約したそうなんですけどね。そこはリヨンでの決勝オリンピック・マルセイユ戦でも問題がなかったことから、あまり気にすることはないと思いますが、何せ今季のアトレティコにはW杯に最終日までいたメンバーが大量4人。バロンドール受賞の可能性さえ、噂されるようになったグリーズマンを始め、フランス代表で左SBのレギュラーとなったリュカ、モナコから移籍したレマル、そして準優勝のクロアチアの右SBだったベルサイコと、バラン、モドリッチ、コバチッチだけのお隣さんより多いのは果たして自慢していいのか、ハンデになるのか。
▽それどころか、コバチッチなど、大会中から移籍希望を公けにして、レアル・マドリーには戻って来ないかもしれないんですが、一方では先週の水曜、サンティアゴ・ベルナベウで入団プレゼンをした後、まだ16日間程残っていた休暇を返上。クラブの渉外担当ディレクター、ブトラゲーニョ氏が休暇中だったのか、右SBの先輩、アルベロア氏に付き添われていた会見で、「マドリーは歴史上、最も偉大なクラブ。Es como cuando de nino te dice tu padre si quieres ir a Disney/エス・コモ・クアンドー・デ・ニーニョ・テ・ディセ・トゥ・パドレ・シー・キエレス・イル・ア・ディズニー(父親に子供にディズニーランドに行きたいかと訊くようなもの)」と言っていたオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)など、その日の午後からバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションに加わることに。

▽いやあ、彼はロペテギ監督にW杯メンバーとして、スペイン代表に呼んでもらったものの、大会では後任のイエロ監督からプレー時間をもらえず。それこそ、この度同僚となったカルバハル、ナチョの後塵を拝してしまったため、7月末のアメリカツアーから合流するライバルたちより、プレシーズンを早く始めて、ポジション争いに名乗りを挙げようという腹積もりでしょうが、当人が選んだ背番号19は昨季、カルバハルの控えだったアシュラフ(ドルトムントへ移籍)のものというのは決して偶然ではありません。
▽そう、セバジョス(昨夏、ベティスから移籍)やテオ(同アトレティコ)といった国内チームから、実力を評価されて移籍した若手も1年目は出場機会を得るのに苦労していたことを考えると、今季はなかなか大変かもしれませんが、ピッチでのお目見えには多くのファンが駆けつけてくれましたしね。まだ22歳ですし、成長が楽しみな選手なのは確かでしょう。

▽え、それよりマドリーではもっと若い、18歳の新鋭FWビニシウスが金曜に入団プレゼンされていなかったかって?その通りで、彼は昨年中にフラメンゴからの移籍が決まり、成人年齢になるのをブラジルで待っていたんですが、ただねえ。いくらネイマール、エムバペ(どちらもPSG)が残留宣言したからって、これを持ってクリスチアーノ・ロナウド(ユベントスに移籍)の穴埋めとするのはちょっとムリがあるかと。

▽だってえ、当人はロペテギ監督の信頼を得ようと、先週月曜のプレシーズン初日から、意欲満々で練習に参加していますが、まだヨーロッパでのプレー経験もありませんし、実際、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)での修行も検討されているように背番号も未定。マスコミは早くもBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)転じて、BBVを売り込みたいようですが、むしろ実戦力としてはW杯ベルギー代表で活躍したアザール(チェルシー)などの方が頼りになるかと。

▽その一方で月曜には19歳のGKルニン(ウクライナのゾリャ・ルハンシクから移籍)のプレゼンがあるんですが、こちらはジダン前監督の次男、ルカの後を継いで第3キーパーになる予定。ケイロル・ナバスとレギュラーを懸けてガチンコ対決するはずのクルトワ(チェルシー)ともすでに合意ができ、あとはクラブ間の交渉だけと言われているんですが、何せ相手がアリソン(ローマからリバプールに移籍)を逃してしまいましたからね。古巣帰還となるチェフ(アーセナル)なり、ドンナルンマ(ミラン)なり、後任を獲得するまで、移籍はできないようで、クルトワも今はテネリフェ(カナリア諸島)でバカンスに勤しみながら、じっと待機しているようです。

▽どうもこの辺はW杯初戦後、ダリッチ監督にクロアチア代表を追放されたカリニッチ(インテル)なり、グリーズマンのお勧めながら、ロシアでは1ゴールも挙げられなかったジルー(チェルシー)なりが到着するまで、すでにバレンシアとの交渉は済んでいるものの、ガメイロを出せないアトレティコに似ていますが、うーん、もしやそのせいですかね。5年前まではリュカと一緒にカンテラ(下部組織)にいたロドリ改め、ロドリゴ(ビジャレアルから移籍)も木曜にワンダ・メトロポリターノであったプレゼンでは、「Llevo una semana pero que semana... intensa/ジェボ・ウナ・セマーナ・ペロ・ケ・セマーナ…インテンサ(1週間いるけど、何て1週間…激しいよ)」と打ち明けていたハードトレーニングをガメイロだけ、週の途中からジムに変更。それこそ、シメオネ監督のサッカーでなければ、そんなに体力をつける必要はないということでしょうが、同様に先週最後のセッションとなった土曜の午前中もトップチームメンバーが実質8人しかいない中、ヘルプに駆り出されていたカンテラーノたちの半分がお休みをもらっていましたっけ。

▽そしてアトレティコではロドリゴに続いて、この月曜にもGKアダン(ベティスから移籍)もワンダのプレスコンファレンスルームでプレゼンされるんですが、こちらは現在、コンサート仕様でピッチに芝がないため、ユニフォームでのお披露目はなし。要はファンはスタジアムに入れてもらえないということで、折しも時間が午前12時30分と丁度、先週はバレンシアのオリバルでキャンプを行っていたヘタフェが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでGKダビド・ソリア(セビージャから移籍)とマキシモビッチ(同バレンシア)をプレゼンするのと重なっているんですが、同じ理由でピッチでのお決まりポーズは見られなくてもスタジアムの正面ホールにファンサービスしに選手が来てくれるだけ、弟分の方が親切かも。ちなみにマドリーのルニンのプレゼンは午後1時、知名度はなくても、サンティアゴ・ベルナベウでは選手がボールを20個程スタンドに蹴って、歓迎に来たファンにプレゼントしてくれるため、たまたまマドリッド訪問をしている方などは覗いてみるのもいいかもしれませんよ。

▽え、先週のマドリッドはプレゼン三昧だったようだけど、一番大事なのを忘れていないかって?そうですね、実は木曜にはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でスペイン代表のルイス・エンリケ新監督の就任イベントがあったんですが、うーん、W杯3日前のロペテギキ監督解任の不手際からのイメージチェンジの思惑もあったんですかね。あまりに舞台が華々しかったため、私も驚いたんですが、当人は今回も16強対決で敗退となり、ここ3回の国際メジャートーナメントで結果を残せていないチームに対して、「No habra revolucion. Hay que evolucionar/ノー・アブラ・レボルシオン。アイ・ケ・エボルシオナール(革命はない。進化しないといけない)」とコメント。

▽散々議論に挙がっているスペインのサッカースタイルについては継続で、それに自身のニュアンスを加えるそうですが、「Tiene que circular muy rapido, dando muy pocos toques/ティエネ・ケ・シルクラール・ムイ・ラピドー、ダンドー・ムイ・ポコス・トケス(ボールをとても速く回さないといけない。なるたけ少ないタッチで)」というのは私も大賛成。どちらにしろ、最初の試合はネイションズリーグの始まる9月までないとなれば、今はじっくり、スペインをまた強くする策を1年間の充電期間で愛想の良くなった元バルサの指揮官には考えてもらいたいものです。

▽そして最後にいよいよ、始まったマドリッドの弟分チームたちのプレシーズンマッチの様子をお伝えしておくことにすると、トップバッターとなったのは金曜にキャンプ先で2部Bの後輩、ウニオン・アダルベと対戦したヘタフェ。もちろん中継なんかなかったんですが、メルベイユ、ホルヘ・モリーナ、アンヘル、マタ(1部昇格したバジャドリーから移籍)がゴールを挙げて4-1で勝利と貫録を示しています。ただまだ、この試合は本当に足慣らしみたいなもんで、この夏、加入した7選手のうち6人を使うなど、ボルダラス監督もイロイロ試しているようですが、この先もヘタフェのテストマッチは全てアウェイ。今週は再び、地元の練習場でのセッションとなるものの、リーガ開幕まで生で実戦が見られないのはちょっと残念ですね。

▽そして翌土曜、今季からまた1部に戻って来たラージョがこちらもキャンプ先、マルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でイングランド2部のブリストル・シティと対戦して1-0で勝利したのはともかく、夕方にはレガネスが2部の弟分、アルコルコンとシュダッド・デポルティバ・レガネスで練習試合をすると聞いて、私も足を運んでみることに。またしても真逆の入り口に行ってしまい、高速道路沿いに道なき道をグルリと回らないと施設に入れなかったのはもう、私にとって、彼らの練習を見に行く時にはお馴染みの逆境なので仕方ないとしても、正面から西日の照りつける中での観戦はご近所さんということで、丁度半々ぐらいでスタンドを満員にした両チームのファンですら、時折、雲で太陽が隠れると拍手が湧くぐらいの辛さ。

▽おまけに隣に座ったレガネスユニ姿の地元男子ですら、「知らない選手が多すぎて全然、わからない」と嘆いていたように、私も目を細めながら、GKクェジェルやCBシオバス、11人総取っ替えをした後半にはエル・ザールやブスティンサ、グンバウ、ディエゴ・リコら、見知った顔が出て来たのを喜ぶしかなかったんですが、どうやらこのチーム、ガリターノ監督(今季からレアル・ソシエダ)からペレグリーニ監督に代わっても相変わらず、ゴールが足りていないよう。ええ、アルコルコンのGKのparadon(パラドン/スーパーセーブ)は何度かあったものの、後半33分、至近距離のシュートを何度か失敗していたエル・ザールがようやく1点を取ってくれた時には、ファンたちもどんなにホッとしたことか。

▽それも結局、残り3分にはペレイラにエリア内から決められて、1-1の引き分けに終わってしまいましたけどね。一応、サザンプトンからレンタルで大型FWのカリージョが入ったものの、司令塔のガブリエル・ピレスもベンフィカ移籍が濃厚となった今、攻撃陣はもっと補強した方が良さそうな。そんなレガネスは水曜にアラベスとサン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)で試合した後、再び土曜には練習場で今季から2部に上がったラージョ・マハダオンダと対戦。多分、今度も午後7時からで暑いと思いますが、入場料も5ユーロ(約660円)と格安なため、時間のある方は覗いてみたらどうでしょうか。

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