【原ゆみこのマドリッド】今年は地元で始めるチームが多い…

2018.07.09 14:00 Mon
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▽「月曜の朝7時45分?」そんな風に私が驚いていたのは日曜日、そろそろマドリッドのクラブのプレシーズン練習開始日を確認しておくかと調べていたところ、弟分のレガネスがこの週明けから、シュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5番線のアルーチェ駅からバスで10分)に集まることがわかった時のことでした。いえ、昨季のメンバーから、レンタルや契約が終わった11人が退団。すでに入団が決まった6人の新人を含め、レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督に代わって指揮を執るペジェグリーノ新監督の下、メディカルテストなどを終えた選手たちがグラウンドに姿を現すのは午前9時からのようですけどね。

▽ラージョも昇格して加わり、史上最多の5チームとなったマドリッド勢でどこより早くスタートする辺り、今季こそ、ここ2シーズンの定位置だった降格圏ギリギリの17位から脱却を目指す意気込みを感じられて好ましいんですが、実はリーガではもう、先週木曜に動き出しているチームがあるんですよ。それは現スポーツディレクターのカパロス氏が暫定監督となり、昨季終盤の数試合で8位のヘタフェに差をつけてヨーロッパリーグ出場権を獲得。その予選2回戦1stレグを26日に迎えるセビージャなんですが、彼らには8月2日の2ndレグの後、例年通り、5日と12日の2試合制にするか、サッカー協会の提案した中立地、モロッコのタンジェで12日に一発勝負とするか、まだ結論が出ていない、バルサと対戦するスペイン・スーパーカップ(バルサがリーガとコパ・デル・レイ2冠だったため、コパ準優勝のセビージャが出場)も控えているとなれば、仕方がなかったかと。

▽そのおかげでヘタフェの方は8月第3週のリーガ開幕まで公式戦がないため、スタートは今週木曜、W杯に16強対決まで参加していた柴崎岳選手も移籍していなければ、16~21日のカンポアモール(スペイン南東部)での第1次キャンプの後、30日から始まるセゴビア(マドリッドから1時間の高原地帯)キャンプ辺りから参加とゆっくりしていられるんですが、折しもその前日、水曜にはラージョもシュダッド・デポルティバ・ラージョ・バジェカーノ(メトロ1号線ビジャ・デ・バジェカス駅から徒歩15分)で活動開始するよう。こちらも19日にマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)キャンプに行くまで、暑いマドリッドでトレーニングとなりますが、ちょっと心配なのは木曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)のシュダッド・デポルティバ・ワンダに集まるアトレティコ。
▽というのもこの夏は恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(セゴビアにある高原リゾート)での地獄のキャンプを行わず、2週目からは車で5分のACラ・フィンカ・ホテルで合宿するようですが、このところかなり気温が上がってきたマドリッドですよ。そんな中、ダブル、トリプルセッション当たり前のフィジカルトレをやるのはどう考えても自殺行為じゃない? いえ、まだロシア滞在組もいますし、先週月曜に帰国したスペイン代表のコケ、サウール、ジエゴ・コスタもこのステージには参加しないんですけどね。更に23日から30日まではインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の国際親善試合)でアーセナル、PSGと試合するため、シンガポールに滞在となったら、お隣さんにはとても叶わないテクニックの差を補うための体力は一体、どこでつけたらいいんでしょう。

▽うーん、その後は8月3日から10日までイタリアのチロル地方でキャンプするようですけどね。それより深刻になのは8月15日にCLチャンピオンのレアル・マドリーとエストニアのタリンでUEFAスーパーカップのタイトルを懸けて、この夏の初公式戦に挑むELチャンピオンですが、金曜のW杯準々決勝ではウルグアイとフランスでアトレティコ勢が対決。軍配は後者に挙がり、ゴディンとヒメネスが大会を後にしたものの、この先は3位決定戦もあるため、グリーズマン、リュカ、レマル(モナコから移籍)の3人がほぼ間に合わないって、かなり困るかも。
▽ちなみにその試合がどうだったか、簡単にお伝えしておくと、フランスは前半40分、「ボクが頼んだ通り、グリーズマンは完璧なFK蹴った」というバラン(マドリー)のヘッドで先制。後半16分にも今度はグリーズマンが直接ゴールを狙ったところ、GKムスレラ(ガラタサライ)が弾き損ね、リードが2点になったから、ビックリしたの何のって。いえ、当人は「Les tengo mucho respeto, tenia delante a amigos y companeros/レス・テンゴ・ムーチョ・レスペート、テニア・デランテ・ア・アミーゴス・イ・コンパニェロス(彼らをとてもリスペクトしているし、前にいたのは友達でチームメートだった)」という理由でこのゴールを祝わなかったんですけどね。

▽それにも関わらず、ルイス・スアレス(バルサ)など、「Para que vean que no es uruguayo, es frances y nos hizo un gol/パラ・ケ・ベアン・ケ・ノー・エス・ウルグアジョ、エス・フランセス・イ・ノス・イソ・ウン・ゴル(彼はウルグアイ人じゃなくてフランス人だってわかったろう。ウチにゴールを入れた)」と文句を言っていましたが、そりゃあそうですよ。いくらレアル・ソシエダ時代にウルグアイ人監督や選手たちから薫陶を受け、それから常にマテ茶のカップとポットを手放さず。アトレティコ残留を決める際にもゴディンの影響が大きかったそうで、ウルグアイを第2の祖国と慈しむグリーズマンとはいえ、「Pero esto es el futbo/ペロ・エスト・エス・エル・フトボル(でもこれはサッカー)」ですからね。

▽一方、16強対決のポルトガル戦でカバーニ(PSG)が負傷、この試合に出られなかったことも響き、0-2のまま終盤を迎えたウルグアイではFKの際に壁を作っていたヒメネスが、「敗退して応援してくれたウルグアイの人たちに何も返してあげられないと思ったら、辛くて」と早くも涙モードに突入。これには今回のW杯フランス代表で成長著しい、同じDF仲間のリュカが試合後、「He ido a hablar con ellos cuando les he visto llorando/エ・イドー・ア・アブラル・コン・エジョス・クアンドー・レス・エ・ビストー・ジョランドー(泣いているのを見たから、彼らと話しに行ったよ)」と思いやりを見せていましたが、大丈夫。リュカより1つ年上とはいえ、まだヒメネスは23歳ですからね。しかも4年前のブラジル大会から出場しているとなれば、この先もチャンスはきっと、複数回ありますって。むしろ32歳のゴディンの方が気の毒な気がしますが、とにかく今はゆっくり休んで、UEFAスーパーカップに備えてほしいものです。

▽そして同日、次の準決勝ではブラジルが元アトレティコのGKクルトワ(チェルシー)、アンデルベイレルト(トッテナム)、カラスコ(大連一方)らのいるベルギーに1-2で敗退。出場停止だったカセミロの代わりに入ったフェルナンジーニョ(マンチェスター・シティ)のオウンゴールとデ・ブルイネ(同)の一発でリードされ、後半はレナト・アウグスト(北京国安)が1点を返したものの、最後のネイマール(PSG)のシュートもこの夏、マドリー入団を決めるにふさわしいのは自分の方だという、競争心があったんでしょうかね。別れた彼女とマドリッドに住むお子さん2人の側にいたいクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、カセミロ、マルセロ(マドリー)、フィリペ・ルイス(アトレティコ)の3人を新シーズン最初のダービーに間に合うべく、帰してあげることに。

▽え、となると火曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの準決勝1戦目はフランスvsベルギーとなって、クルトワには再び、マドリーの補強候補として挙げられているエムバペ(PSG)を阻む任務が課せられるんじゃないかって?まあ、そうなんですけど、ブラジル戦でチェルシー行きが濃厚となっているGKアリソン(ローマ)との差は見せつけることができましたし、来季で契約が切れる彼の移籍金は4000万ユーロ(約52億円)と比較的安いですからね。大体、そんなこと言ったら、代表でも同じチームのエデン・アザール(チェルシー)が今大会での活躍度も高く、一番のライバルとなってしまうんですから、ここは攻撃陣と自分は違うという割り切りが大事かと。

▽それより翌土曜、0-2で勝ったスウェーデン戦だけでなく、コロンビアとの16強対決のPK戦で大きく評価を高めたイングランドの新星、24歳のGKピックフォード(エバートン)の方が要注意で、いえ、グループリーグ最終戦でヤヌザイ(レアル・ソシエダ)にゴールを許した際には「ボクなら止められたけど、彼は10センチ身長が低いからね」と揶揄。更にブラジル戦後も「背の高さをからかった訳じゃないよ。ただボクは彼より15センチ大きいから、届いただろうって言っただけ」と全然、フォローになっていないことをクルトワは言っていましたが、199センチの彼から見れば185センチは小さくても、マドリーのペレス会長はW杯でスターになった選手がお気に入りですからね。

▽2010年にはドイツのエジル(アーセナル)、2014年にはコロンビアのハメス・ロドリゲス(バイエルン)加え、正GKのケイロル・ナバスもコスタリカを準々決勝まで導いたのを高く評価されて入団という例もありましたから、むしろ、イングランドと決勝や3位決定戦で当たった場合を考えていた方がいいかもしれませんよ。

▽そして準決勝進出最後のチームはクロアチアだったんですが、何より驚かされたのは16強対決でスペインを破ったロシアの変わりよう。この日は積極的に攻勢に出て、前半31分にチェリシェフ(ビジャレアル)のエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した後こそ、自陣で守り倒す態勢に入り、一時はクロアチアも無限ロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)状態になりかけたんですけどね。それでも辛抱強くスルーパスを狙ったり、ベルサイコ(アトレティコ)が右サイドからエリアにクロスを送ったりと努力を続けた結果、40分にはカウンターからマンジュキッチ(ユベントス)が敵エリア奥に切り込み、クラマッチ(ホッフェンハイム)の同点ヘッドを呼び込んでしまったとなれば、やっぱりスペインには創意工夫が足りなかった?

▽ただその後は両者とも追加点が取れず、延長戦前半にビダ(ベシクタシュ)が勝利に決定的とも思えるゴールを奪ったものの、後半にブラジル出身のマティアス・フェルナンデス(CSKAモスクワ)に頭で決められて、どちらも2試合連続となるPK戦に突入。第1キッカーのスモロフ(クラスノダール)がGKスバシッチ(モナコ)に弾かれた後、クロアチアもコバチッチ(マドリー)が失敗してイーブンになったんですが、ロシアは次のマティアス・フェルナンデスが枠を外してしまったのが運の尽きでした。ええ、クラブの先輩、モドリッチも危ないながら決めて、最後はデンマーク戦同様、ラキティッチ(バルサ)が勝負に決着をつけてくれましたっけ。

▽これで水曜の準決勝はクロアチアvsイングランドとなったんですが、移籍希望を表明しているコバチッチはまあ、いいんですけどね。ここまでW杯の5試合で3回、MVPを受賞しているモドリッチが決勝翌日、来週月曜から、バルデベバス(バラハス空港の近く)で始まるマドリーのプレシーズントレーニングはもちろんのこと、8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦、5日のユベントス戦、8日のローマ戦といったインターナショナル・チャンピオンズカップのアメリカ遠征にも間に合わず、UEFAスーパーカップ前後にチーム合流というのはアトレティコファンにとって、いいニュースじゃないかって?

▽そうですね、ロシア戦の延長戦で交代となったベルサイコの容体が気にならなくもないんですが、中盤は先日、ガビがアル・サッド(カタール)へ移籍となったものの、ロドリ(ビジャレアルから移籍)も加入していますし、W杯に行っていないトマスやロシアではプレー時間をまったくもらえなかったサウールもいるため、ちょっと強気になっていいかも。

▽それどころか、ここ数日、お隣さんではポルトガルが16強対決でウルグアイに敗退したため、早帰りとなったクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍が秒読みとされていて、契約破棄金額は10憶ユーロ(約1300億円)ながら、マドリーは1億ユーロ(約130億円)でOKしているとか、トリノで済む豪邸もすでに決まっているとか、おかげでユーベの株価が30%も上がったとか、イロイロ話は聞くんですが、当人は家族とギリシャでバカンス中。

▽ペレス会長が昨年のCL優勝後に約束した年棒アップがなかったことや、PSGにはネイマールのため、3億ユーロ(約390億円)の移籍金を払うつもりなのに、自分はその3分の1の値段をつけられたことなど、クラブ幹部との確執がかなり深いようなので、近日中に決まってもおそらく、サンティアゴ・ベルナベウでのお別れセレモニーはないかと思いますが、いやあ、これはスペイン代表をW杯2日前に解任されて以来、マドリーの業務に専念しているロペテギ新監督もちょっと貧乏クジを引いた感じですかね。

▽といっても、ロナウド移籍を期に5月のキエフでのCL決勝でも2得点を挙げたベイルが奮起することになるのかもしれませんし、フランス代表に呼ばれていないベンゼマも休養十分。ドイツの予想外のグループリーグ敗退で早期帰国しているクロースやセルヒオ・ラモス、イスコ、ルーカス・バスケス、ナチョ、カルバハルらのスペイン勢がギリギリ戻って来るとなると、決して楽観はできませんが、何せUEFAスーパーカップはまだ遠い先。とりあえず今は私もW杯の決着がつくのを待ちながら、各チーム始動の様子を見守っていくことにしましょうか。

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