【六川亨の日本サッカー見聞録】代表メンバー23名発表から見る西野監督の選考基準

2018.06.01 07:00 Fri
Getty Images
▽5月31日、ロシアW杯に臨む23名の日本代表が発表された。4年前のブラジルW杯の大久保嘉人、8年前の南アW杯の矢野貴章のようなサプライズはない。強いてサプライズを上げるとすれば、2016年9月6日のアジア最終予選タイ戦以来出場の機会がなかった武藤嘉紀がロシア行きのチケットを取ったことだろう。

▽ハリルホジッチ元監督からは、昨年11月と今年3月のフランス・ベルギー遠征でも海外組でありながら招集されなかった武藤。しかしブンデスリーガで結果を残したことで、滑り混みでのロシア行きとなった。西野監督も「武藤は得点率の高い選手、シュート数に比べ確率の高い選手。得点を追うなかでチャンスの数を増やしたいが、想定のなかでは(増やせる自信を)持てないので、武藤のような選手も必要になる」と選考理由を語った。

▽その他では負傷で全体練習に参加できなかった乾貴士と、キャンプ前半は別メニューながらガーナ戦に出場した岡崎慎司は「6月19日のコロンビア戦に間に合う」(西野監督)との判断から23名のリスト入り。その一方で、W杯出場となる2017年8月31日のオーストラリア戦でゴールを決めた浅野拓磨と井手口陽介、そして三竿健斗の3人が最終メンバーから外れた。
▽西野監督は、浅野と井手口に関してはW杯出場の功労者として感謝しながら、海外移籍したものの試合に出場する機会に恵まれず、コンディションがトップフォームではないこと。21日から始まった9日間のキャンプでもコンディションが上がらず、6月19日のコロンビア戦までにピークに戻すことは難しいと判断してメンバー外とした。

▽それはそれでやむを得ないが、21日から始まったキャンプ前半はリカバリーの練習が多かった。試合に出ていない浅野と井手口はキャンプ初日から“追い込んだ”別メニューの練習を課すべきだったのではないかと、今さらながら思ってしまう。もちろん、そんなことは代表スタッフも承知済みかもしれない。ちなみに選考外となった3人のガーナ戦での背番号は浅野25、三竿26、井手口27とラスト3。彼らも選考外を薄々は感じていたかもしれない。
▽いずれにせよ、浅野と井手口のリオ五輪組がメンバー外となり、同じ五輪組の久保裕也と中島翔哉も追加招集とはならなかった。蓋を開けてみれば、主力は2008年の北京五輪世代である吉田麻也、長友、本田圭、香川、岡崎に変わりはない。ここに2012年ロンドン五輪組の酒井宏樹と酒井高徳、宇佐美貴史、山口蛍が入った形で、日本代表の世代交代は遅遅として進んでいない。

▽西野監督には選手選考の時間も、新たに選手を呼んでテストする場もなかったことを考えれば仕方のないことだろう。本大会で結果を残すことに割り切っての選手選考でもあったと感じざるにはいられなかった。改めて、このタイミングでの監督交代が良かったのかどうか、疑問はつきまとうが、その答えは6月19日のコロンビア戦で明らかになるだろう。

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