【原ゆみこのマドリッド】夢はヨーロッパの大会で果たす…

2018.04.03 13:00 Tue
▽「きっと火曜はマドリーファンで商売大繁盛ね」そんな風に私が想像していたのは月曜日、レアル・マドリーのトリノ入りはこの日の午前中とあって、先乗りレポーターもまだネタがなかったんでしょうね。マルカでもAS(スポーツ紙)でも、更にはお昼のニュースでも市内にある「ジダン監督がユベントス時代に行きつけだったレストラン」、Da Angelino(ダンジェ゛リーノ)を紹介。コックに扮した姿や産後間もない長男のエンツォ君を抱いた、まだ黒髪だった当人の写真、ユニフォーム、グッズなどのコレクションが沢山、飾られた店内に加え、当時、彼がよく注文していたというトマトソースとバジルのパスタ、リガトーニ・ア・ラ・ジダンなんて見せられた日には、あらやだ、何だか私まで行きたくなってしまったじゃないですか。
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▽そう、要はチームもファンも心待ちにしていたCL準々決勝ユベントス戦1stレグがいよいよ、やって来たということなんですが、まあ、首位と先週末、ちょっとは縮まったとはいえ、勝ち点差13のリーガでこの先、何がある訳もなし。となればもう、マドリーはCLに、勝ち点差が9になったアトレティコだって、キャプテンのガビが逆転優勝への展望を聞かれて苦笑していましたしね。こちらもヨーロッパリーグに懸けるのは当然ですが、折しも来季のCLとELの出場権を分ける4位と5位の差も15ポイントまで拡大。降格圏も該当3チームと残留ラインであるレバンテの差が7、その上は11差のアラベスですらから、ほぼ決まったようなものとあって、残り8試合ではELの3席を争う7チームはともかく、他はかなり焦点のぼやけた戦いになりそうなんですが…ええ、予兆はもうこの30節でも十分、見ることができましたっけ。▽とりあえず、マドリッド勢の前節を順番にお伝えしていくと、せっかくのセマナ・サンタ(イースター週間)ということもあり、私もセントロ(市内中心部)にプロセシオン(キリストやマリアの像が乗せられたスペイン風お神輿)を眺めに行った帰り、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で向かった土曜はマドリーがトップバッターとしてラス・パルマスとグラン・カナリア島でアウェイ戦。先週半ばまで各国代表でお勤めしていた選手も多かったため、出場停止のカルバハルに加え、クリスチアーノ・ロナウド、セルヒオ・ラモス、イスコ、クロース、マルセロらはお留守番と、火曜のCLを見据えて、ジダン監督は大幅なローテーションを実施したんですが、今回はあまり影響なかったかと。
▽いえ、相手もまだ残留を諦めていないため、開始からしばらくは拮抗していたんですけどね。前半26分、モドリッチのスルーパスを見事な走りで追ったベイルが先制点を挙げると、39分にはラス・パルマスのFWカレリがルーカス・バスケスをエリア内で倒し、PKを献上してしまうんですもの。このPKは、うーん、ロナウドがいない時の担当はラモスかベイル、更にラモスもいなければ、ベイルが蹴るのが常道だと思うんですが、マルセロもいなかったため、この試合のキャプテンを任されたベンゼマがキッカーを務めるって、やっぱりキャプテン権限は絶大?

▽おかげでマドリーが2点リードしてハーフタイムを迎えることになりましたが、彼らは再開後も7分にルーカス・バスケスがチモ・ナバロに引っ掛けられて2つ目のPKをゲット。今度はベイルが決めて、0-3になったところで、あとは省エネモードに入ってしまったものの、何せ相手は実力的に「Al menos hemos tirado más que otras veces, y eso también es una buena noticia/アル・メノス・エモス・ティラードー・マス・ケ・オトラス・ベセス、イ・エソ・タンビエン・エス・ウナ・ブエナ・ノティシア(少なくともウチは他の試合より枠内シュートを撃った。それもいいニュースではある)」(パコ・ヘメス監督)という程度で満足しないといけない、18位のチームですからね。
▽むしろ2点はPKで、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らわなかったことが、次節レバンテとの直接対決に挑む自信になったようでしたが、実は思わぬアクシデントに見舞われたのはマドリーの方だったんですよ。そう、前半途中、これまでのプロ生活、1度もケガをしたことがなかったナチョが太ももを痛めて交代。「Ha salido del campo por precaución/ア・サリードー・デル・カンポ・ポル・プレカウシオン(用心のためピッチを出た)」とジダン監督は言っていたものの、マドリッドに戻って検査したところ、全治3、4週間の重傷であることが判明しから、さあ大変!

▽彼はCBですが、両サイドのSBとしても常にカウントされている控えですからね。Aチームではカルバハル、バラン、ラモス、マルセロら、一流DFたちによるラインを形成できるマドリーとはいえ、このCL準々決勝中、誰かに何かあったら、一気に不安の種が増しかねないかと。そんなマドリーはそのナチョも連れて、トップチームメンバー全員でトリノに乗り込んだんですが、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのユベントス戦1stレグで唯一、スタメン予想が立てられないのは1人のみ。いえ、前日記者会見で喋ったモドリチなどは、「Si juega Gareth o Isco, para mí es lo mismo/シー・フエガ・ガレス・オ・イスコ、パラ・ミー・エス・ロ・ミスモ(ベイルがプレーしてもイスコがプレーしても、ボクにとっては同じだよ)。どちらもチームの大きな戦力だ」と言っていましたけどね。

▽実際、「代表でプレーする時の彼はおそらく違うのだろう。あちらでは8試合、ウチでは60試合あって、3日おきにプレーしないといけないのだから」というジダン監督のコメントもありますが、同じユベントスと戦った昨季の決勝で先発、マドリーのCL2連覇達成に大きく貢献したイスコも捨てがたいですし、ベイルもラス・パルマス戦で2得点挙げたばかりですからね。他にもアセンシオ、ルーカス・バスケスと候補はいるんですが、監督が「ウチはいい試合をするつもりだが、no tiene nada que ver con lo que pasó hace diez meses/ノー・ティエネ・ケ・ベル・コン・ロ・ケ・パソ・アセ・ディエス・メセス(10カ月前に起きたこととはまったく関係ないよ)」とも言っていたのは何かのヒントになる?

▽ちなみにユベントスのアッレグリ監督の予想はベイルでしたが、あちらではこの試合、ベナティア、ピアニッチが出場停止。ベルナルデツキはヒザの負傷、マンジュキッチは回復したものの、ベンチ待機となり、イグアインやディバラ、ドグラス・コスタらが前線を担うよう。マドリーサイドとして心配なのは、これまで決勝では2度、倒してきた相手ですが、2試合制の決勝トーナメントとなると、勝ち抜けたことがないことで、更には昨季、バルサが準々決勝でユベントスに負けてしまったなんて前例もありますからね。決して油断せず、すでにチケット完売となっている来週水曜、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでファンが奇跡のremontada(レモンターダ/大逆転)を願わなくてもいい結果を持って帰ってくれるといいのですが。

▽そしてまた、話をリーガに戻すと、翌日曜は私も久々のダブルヘッダー。まずお昼を食べてすぐ向かったのはマドリッド近郊にあるブタルケで、その日は風も弱く、夏時間になったこともあって、午後4時頃はまだ陽光が燦々と降り注いでいたため、ようやく寒い思いをせずに済んだんですけどね。バレンシアとの一戦は後半17分、ロドリゴがエリア外から撃ち込んだシュートにより、レガネスが0-1で惜敗してしまうことに。

▽いえ、ガリターノ監督も「アウェイで取られたカウンターでの2ゴールを避けたかった」という理由で、彼らにしては珍しい5人DF制を採用。これには相手のマルセリーノ監督も「ellos jugaron con 5-4-1 y nos impedia progresar/エジョス・フガロン・コン・シンコ・クアトロ・ウノ・イ・ノス・インペデイア・プログレサール(彼らは5-4-1のシステムでプレーして、ウチが前に行くのを妨げた)」と戸惑ったのを後で告白していたんですけどね。ただ、そんな逆境も先日、スペイン代表のドイツ親善試合でゴールを挙げ、脚光を浴びたばかりのロドリゴの才能溢れる一発で解決してしまうんですから、やはりそこはCL出場を目指して作られたチームと残留すればOKのチームの差?

▽おまけにどちらもすでに目標をほぼ果たしていたため、ゲームの展開もそこはかとなく、倦怠感が漂っていない気もしなくはなかったんですが、次節のレガネスは来週土曜にカンプ・ノウでのバルサ戦。折しも相手はCL準々決勝ローマ戦の谷間とあって、前日は残り30分で登場、2点差を追いついて、セビージャと2-2で引き分ける原動力となったメッシもお休みするかもしれませんしね。「No nos vamos a relajar, iremos a muerte en cada partido/ノー・ノス・バモス・ア・レラハール、イレモス・ア・ムエルテ・エン・カーダ・パルティードー(ボクらはリラックスしない。どの試合も全力で行くよ)」(ディエゴ・リコ)という言葉通り、レガネスが勝ち点1でも取ってくれれば、兄貴分たちから先々、感謝されることになるかも…いや、むしろクラシコ(伝統の一戦)でバルサ戴冠を見せられる方が迷惑とか、マドリーからは言われちゃいますでしょうか。

▽そしてブタルケを後にした私はセルカニア(国鉄近郊路線)のサラケマダ駅からセントロに戻り、メトロ(地下鉄)を乗り着いで1時間10分程。ワンダ・メトロポリターノに無事到着したんですが、そういえば、先週はここで、アルゼンチンに6-1と大勝した夢のようなスペイン代表の親善試合を見たのよねと思い出す暇もあらばこそ。その時、先制点を挙げたジエゴ・コスタが大事をとって、デポルティボ戦では控えだったのもあるんですが、まさか19位のチームにアトレティコが攻め込まれる破目になろうとは。それでも幸い、ルーカス・ペレスのシュートは2本ともGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。無失点のままでいたところ、どうやら最近は彼らのPK運も変わったんですかね。

▽前半33分にはFKからのボールを争った時、サウールが「Primero me agarra el a mi/プリメーロ・メ・アガラ・エル・ア・ミー(最初、彼がボクを引っ張った)。それで自分も引っ張り返したんだけど」(モスケラ)という状態で倒れ、ペナルティを吹いてもらえたため、ガメイロがPKを決めて、先制点を奪っているんですから、驚いたの何のって。ただそれ以降、チャンスらしきものも、後半15分過ぎにフアンフアン、ベルサイコの右SB同時負傷のため、トップチームデビューしたカンテラーノ(アトレティコBの選手)のイサークがポジションをトマスに譲り、コスタと交代。その彼のシュートがゴールポストをかすめたぐらいしかなかったんですが、逆に心臓に悪いシーンはいくつもあったんです!

▽ええ、もうその頃にはボールを受けるたび、即効ロストするコレアに対するpito(ピト/ブーイング)もだんだんボリュームが上がっていたんですが、23分など、ボルハ・バジェがアトレティコ陣内を独走。オブラクと1対1となる寸前、爆走で追いついたリュカのタックルで間一髪、ピンチを脱した時なと、またドローになるのかと予感したファンはきっと、私だけではなかったはず。そこへトマスまでふくらはぎがつってしまい、コスタとフェルナンド・トーレス以外、Bチームの選手しかいなかったベンチから、20歳のモヤまで駆り出されたため、ロスタイムの3分など、永遠のように感じられたものでしたが…。

▽大丈夫、最後は崖っぷちにいるデポルティボに余裕がないのが有利に働いたか、彼らの反撃は実を結ぶことなく、アトレティコはそのまま1-0で逃げ切りに成功。いやあ、試合後、シメオネ監督は「ボールロストは別として、誰よりリスクを取って、ドリブルとか仕掛けていた。Creemos mucho en el/クレエエモス・ムーチョ・エン・エル(彼のことは大いに信頼している)」とその日、散々だったコレアを庇っていたんですけどね。あんなではワンダでの開催にも関わらず、スペイン戦でアルゼンチン代表のサンパオリ監督が、ご当地選手の彼をベンチ見学に留めていたのも仕方なかったかと。

▽そうは言っても、アトレティコもタイトル獲得の望みが唯一、残った木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からのEL準々決勝スポルティング戦1stレグでは、デポルティボ戦で出場停止だったグリーズマンがプレーできますからね。おそらくファンフラン、ベルサイコのどちらかも出られるはずなので、リーガではもう、お隣さんの上で2位になるぐらいの野望しかない彼らもちょっとはマシなプレーを見せてくれるはずですが、はあ。試合をすればまた、ケガ人が出るかもしれませんし、正直、日曜のマドリーダービーが怖いですよ。

▽え、前節は月曜夜の日程に当たったもう1つの弟分、ヘタフェはどうしたんだって?いやあ、こちらもレガネス同様、残念なことになってしまって、実はこのベティス戦、序盤にアンヘルが2度もチャンスを失敗したのを見た時から、イヤな予感はしたんですけどね。ハーフタイム前、セットプレーから入った当人のゴールもオフサイドで認めらえなかったものの、やはり明暗を分けたのは後半19分、エリア内でのアマトのハンドによりもらったPKをポルティージョがGKアダンに弾かれ、その跳ね返りを押し込もうとしたシュートも体で防がれてしまったプレーでしょうか。

▽更にアントゥネスのFKがゴールポストに阻まれた後、43分にはおそらく、ポゼッション主体でスピードのない相手に油断してしまったんですかね。カウンターからバラガンにエリア奥まで持ち込まれ、折り返しのパスをセルヒオ・レオンに決められてしまうんですから、平日の遅い時間、しかも雨が降りだしたにも関わらず、応援を続けていたファンがどんなにショックを受けたことか。うーん、ロスタイムにはCKからカブレラのヘッドが炸裂し、アダンが掻き出したものの、実はゴールラインを越えていたという疑惑のプレーもあったんですけどね。

▽審判が認めてくれず、リーガにはまだVAR(ビデオ審判)もホークアイもないため、スコアは0-1のまま、試合は終了。ええ、残り10分に「PK失敗を悔んで、no paraba de mirar al cielo/ノー・パラバ・デ・ミラール・アル・シエロ(天を見上げてばかりだった)」というポルティージョと交代で入った柴崎岳選手の見せ場もなく、これで7位と勝ち点差7となったヘタフェはEL出場権争いから一歩後退してしまうことに。どうやら残り8試合、ダレずに来季に繋がるような試合をするのがマドリッドの弟分たちの課題になりそうです。

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