【原ゆみこのマドリッド】でも過信は禁物…
2018.03.31 12:00 Sat
▽「具合が悪いんじゃ仕方ないけどね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのラス・パルマス戦を控え、久々にレアル・マドリーのジダン監督の会見を聞いた時のことでした。いやあ、先日のスペイン戦の前にはアルゼンチンのサンパオリ監督が、これでもかというようにメッシについて質問されていたんですけどね。今度はその親善試合のヒーローにお鉢が回り、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場プレスルームではやたら、イスコの名前ばかりが聞こえてくることに。
▽そして、その当人はというと、まあ、もちろん最近はクラブの方で2試合連続先発など、ずっとなかったことなので、ドイツ戦、アルゼンチン戦に続けて出たのが堪えたのか、水曜からジムごもり。ジダン監督よると、180分間フル出場し、丁度、この30日に32歳のバースデーを迎えたセルヒ・ラモス同様、体に痛みがあるため、土曜のグラン・カナリア(ラス・パルマスのホームがあるカナリア諸島)遠征には同行しないそうなんですけどね。スペイン代表に比べ、マドリーでのプレゼンスが低いのは、「No es un problema de Isco/ノー・エス・ウン・プロブレマ・デ・イスコ(イスコの問題ではない)。問題はウチには25人の選手がいて、プレーできるのは11人だけということ」(ジダン監督)とはいえ、折しもポルトガル代表のお勤めを果たしてきたクリスチアーノ・ロナウドはミッドウィークのCLユベントス戦を見据えてお休み予定。こんなチャンスを利用できないのはやっぱり、自己責任と言えなくもない?
▽まあ、週末のリーガについてはまた後でお話しすることにして、そのイスコが大活躍したワンダ・メトロポリターノでのアルゼンチン戦がどうだったかというと。実はスペインが薄い水色のモザイク模様が入っているため、パンツの白と微妙にトーンが違うW杯用の第2ユニを披露したこの試合、お昼のニュースではその前2日間、マドリーの練習場を借りてのセッションに参加。サンパオリ監督もアテにできると確信していたメッシの状態が急変し、結局、最初の親善試合、イタリア戦に続いて、休場することになったのが報道され、応援に駆けつけた1万人のアルゼンチン・サポーターもいきなり、鼻先に水をかけられたような状態でキックオフを迎えたんですけどね。
▽それに輪をかけたのがCFの決定力の差で実際、先にGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を破るチャンスを得たイグアイン(ユベントス)が見事に撃ち損ねてしまったのと対照的に前半12分、アセンシオ(マドリー)からスルーパスをもらったジエゴ・コスタ(アトレティコ)は先日のドイツ戦でこそ、ロドリゴ(バレンシア)にスタメンを譲ったものの、ロペテギ監督がホームスタジアムで花を持たせてくれたのも嬉しかったんでしょうか。ブストス(インディペンディエンテ)のタックルも、目の前に迫るGKロメロ(マンチェスター・ユナイテッド)もものともせず、先制ゴールをねじ込んでしまうって、いかにも彼らしいじゃないですか!
▽いえ、正直に言えば、その時、ロメロにぶつかってヒザを痛めた当人を見て、「また戦力が減るかも」と心配になったのは私だけでなく、パルコ(貴賓席)で観戦していたシメオネ監督も同じだったんじゃないかと思うんですけどね。結局、この衝突で大きなダメージを受けたのは相手の方で、22分には控えのカバジェーロ(チェルシー)と交代。コスタはピッチに戻り、26分には再びアセンシオがイスコをアシスト、39分にはバネガ(セビージャ)のCKからオタメンディ(マンチェスター・シティ)がヘッドで1点を返すのを見て、ハーフタイムでようやく退くことに。
▽ええ、まずはエリア内からアスパスにパスをもらったイスコがこの試合2本目のゴールを決めると、その3分後には当人がアスパスにラストパスをお返し。その場は上手くホールドできなかったアスパスがチアゴ・アルカタラ(バイエルン)に繋ぎ、スペインの4点目が入ったなれば、満員のスタンドがどれ程、歓喜したことか。おかげで試合開始からpito(ピト/ブーイング)を受けていたピケ(バルサ)ですら、jugadon(フガドン/ナイスプレー)を称えられ、拍手でアスピリクエタ(チェルシー)に交代することができましたが、28分にはパスサッカーが基調の彼らには珍しい光景も発現。モウリーニョ監督の下でロングフィードを磨いてきたデ・ヘアがゴールキックを蹴ったところ、アスパスが素早くこれに追いついて、今度は自分でゴールを決めてしまったから、こちらもただただ、驚くしかなかったかと。
▽そして最後はまたしてもアスパスがイスコにアシストして6点目が入ったんですが、いやあ、やっぱりアトレティコではハットトリックを目撃することが滅多にないせいか、それともお隣さんの選手だからですかね。サンティアゴ・ベルナベウでお馴染みの「Hattrick de Ronaldo!/ハットトリック・デ・ロナウド」のイスコバージョンをスピーカーに期待したんですが、ただの「Gol de Isco/ゴール・デ・イスコ」だったのはちょっと拍子抜けだったかも。これでスコアが6-1となったため、ロペテギ監督も余裕を持って、マルコス・アロンソ(チェルシー)やパレホ(バレンシア)を代表デビューさせたりできたんですが、終盤のアルゼンチンはちょっと頂けませんでしたね。カルバハル(マドリー)やコケ(アトレティコ)が荒いタックルを受け、時折、tangana(タンガナ/小競り合い)になっていましたが、幸いながらケガ人は出ていません。
▽え、W杯まではまだ3カ月もあるのにいきなりこんな大勝ちして、スペインの選手たちが調子に乗ったら困るんじゃないかって? まあ、その辺は「Argentina sin Messi es otra cosa/アルヘンティーナ・シン・メッシ・エス・オトラ・コーサ(メッシ抜きのアルゼンチンは別物)」とコスタも言っていた通り、彼らもわかっているようですしね。むしろ、6点目を取られてすぐ退席、ロッカールームで「Levanten la cabeza. Esto lo vamos a sacar adelante juntos/レバンタン・ラ・カベッサ。エストー・ロバモス・ア・サカール・アデランテ・フントス(頭を上げて、この事態を皆で乗り切ろう)」と、チームメートにメッシがキャプテンとして檄を飛ばしたというアルゼンチンより、ずっとムードがいいのは確かかと。
▽実際、この2試合ではデ・ヘア、カルバハル、ラモス、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、イニエスタ(同)、チアゴ、コケ、イスコら、9人がリピートと、本大会の先発メンバーもかなり固まったとはいえ、とりわけFW陣など、モラタ(チェルシー)やロドリゴら、リスト入り当確線上にいる選手もいますしね。ロペテギ監督のポゼッションだけには頼らない戦法もいい感じになってきたようですし、今のところは程ほどの期待を懸けておくぐらいが丁度いい? 彼らが6月、W杯直前に挑むテストマッチはスイス戦とチェニジア戦ですが、それまでのシーズン残りに負傷者が出ないかだけが懸念の種になるでしょうか。
▽え、それにしても国際メジャートーナメントでの復権を狙うスペイン代表で、これだけお役立ちのイスコがマドリーでは控え扱いなのは、このままだと当人だって調子の維持が難しいだろうし、納得いかないって? そうですねえ、彼自身は殊勝気に「Julen me demuestra la confianza con minutos/ユーレン・メ・デムエストラ・ラ・コンフィアンサ・コン・ミヌートス(ロペテギ監督はボクへの信頼をプレー時間の形で示してくれる)。マドリーではサッカー選手に必要な信頼がなくて、悪いのはそれを勝ち取れていない自分だろう」とピッチインタビューで言っていましたが、何せ、あのチームはスペシャルなタレントの持ち主ばかりですからね。
▽イスコのサッカーのテンポがマドリーには合わないとかいう意見はともかく、そういう場合は「La confianza no se la da el entrenador, sino el jugador al entrenador/ラ・コンフィアンサ・ノー・セ・ラ・ダ・エル・エントレナドール、シノ・エル・ウガドール・アル・エントレナドール(信頼は監督が選手に与えるものではなく、選手が監督に与えるもの)」(ロペテギ監督)を実践するのも難しいかと。逆にとりわけこの冬、選手を4人も放出してフィールドプレーヤーがたった17人に、フィリペ・ルイスの腓骨骨折で今は16人と極めて少人数でスタメン争いをしているコケなどにしてみれば、「イスコは最高だよ。あっちでレギュラーになれなくても、アトレティコならなれるかも」という次元のようですが、まあ実際、世の中、そんなものかもしれません。
▽そして19人の各国代表参加メンバーもイスコとラモス以外、特に問題もなく戻ったマドリーは水曜から3日間、バルデベバスで練習。金曜夕方には飛行機で移動となりましたが、いやあ、ジダン監督も思いきりましたねえ。リーガは首位と勝ち点差15と、もう今季のタイトル獲得可能性はCLしかないため、来週火曜の準々決勝ユベントス戦1stレグを睨み、ローテーションがあるのは予想できましたが、最初に言ったロナウド以外にもクロース、マルセロをお留守番に。そこへカルバハルの出場停止まで重なるとなると、もしや現在18位、何とか17位のレバンテとの勝ち点差6を縮めようと必死なパコ・ヘメス監督のラス・パルマスにもチャンスがある?
▽とは言っても、ベイルはウェールズ代表の中国戦でハットトリック、マジョラルもU21スペイン代表のユーロ予選2試合で計5得点と当たっていますし、フランス代表と縁が切れてしまったベンゼマも休養十分ですからね。ジダン監督も「Para preparar el martes hay que estar bien mañana/パラ・プレパラール・エル・マルテス・アイ・ケ・エスタ^ル・ビエン・マニャーナ(火曜の準備をするには明日の試合でいい状態でないと)」と自信を見せていたように、やはり土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からの一戦はマドリーの勝利に賭ける人が多いでしょうね。
▽一方、GKオブラク(スロベニア)が臀部の痛みで2試合目を免除されて戻ったり、ヒメネス(ウルグアイ)がチャイナカップ決勝で足を打撲。ブルサイコ(クロアチア)もメキシコ戦の序盤で交代、加えてコスタの件があったアトレティコは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、ワンダ・メトロポリターノにデポルティボを迎えるんですが、こちらも相手は降格圏の19位だけに実力的には勝っているものの、何せ人出不足が心配でねえ。私も水曜の午後セッションにはポカポカ陽気にも誘われて、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に偵察に行ってしまいましたが、思った通り、代表帰りの選手たちの大半は、スペイン戦では馴染みのベンチをアルゼンチン代表のユニで温めることになったコレアや途中出場だったサウール以外、グラウンドに現れず。
▽だからかどうかは知りませんが、シメオネ監督など、バーベル上げなど、フィジカルトレに励む選手たちをよそにカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちにポジショニングの指導をしているって、もしやそれって、緊急事態を想定してのもの?その一方でフランスの2試合目、ロシア戦では30分程の出場にとどまったグリーズマンの元気な姿も見られたものの、彼はビトロと一緒に今週末は出場停止ですからね。いくら、フェルナンド・トーレスやガメイロと並んでシュート練習、おまけに柵の外から覗くギャラリーを意識してか、ゴールが決まった後のパフォーマンス練習までしてくれてもまったく、助けにならないんですが、幸い翌日の練習ではヒメネスを除いて皆、普通にセッションに参加できたとか。ただシメオネ監督は2トップをガメイロとコレアでリハーサルと、コスタを外していたため、こちらも来週木曜のヨーロッパリーグ準々決勝スポルティング戦1stレグを視野に入れているのかもしれません。
▽そしてようやく春が来たのが嬉しくて、翌日の午前中にはヘタフェの様子を探りに行った私だったんですが…いやあ、周辺が荒野のため、風吹きすさぶシュダッド・デポルティバ(練習場)の寒かったの何のって。おまけにその日から、セマナ・サンタ(イースター週間)の祝日に入ったせいか、同じ敷地内で普段は週末にあるユースチームのリーガ戦が開催。ゲートで入場料10ユーロ(約1300円)と言われてしまったせいで、裏からグラウンドの反対側に回ってみたところ、辺りは一面、菜の花満開ながら、ええ、ボルダラス監督の練習は2、3時間と他より長いこともありますよ。ヒートテックを着て来なかったことを激しく後悔する破目に。
▽そのセッションにはベルギーでの日本代表親善試合に参加、2試合目のウクライナ戦で先発した柴崎岳選手も普通に混じっていたんですが、実はこの代表戦期間中、ヘタフェには今季、3番目の中足骨骨折患者が発生。それはボランチのアランバリで、最初は柴崎選手、次はベルガラとどちらも回復に2、3月かかっていますからね。今季は絶望ということで、入れ替わりでそのベルガラが戻って来るんですが、当人は先週、鼻中骨骨折をしてマスクをつけてプレーって、何ともツイていない。ただ月曜午後9時(日本時間翌午前4時)にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにベティスを迎える彼らは1部残留をほぼ達成。あとは勝ち点差4を覆して、来季のEL出場権をもらえる7位に喰いこめるかどうかぐらいが焦点になるため、ムリをしないでいいのは助かります。その辺は土曜にバレンシアをブタルケに迎えるもう1つの弟分、12位のレガネスも同じと言ったところでしょうか。
▽そして、その当人はというと、まあ、もちろん最近はクラブの方で2試合連続先発など、ずっとなかったことなので、ドイツ戦、アルゼンチン戦に続けて出たのが堪えたのか、水曜からジムごもり。ジダン監督よると、180分間フル出場し、丁度、この30日に32歳のバースデーを迎えたセルヒ・ラモス同様、体に痛みがあるため、土曜のグラン・カナリア(ラス・パルマスのホームがあるカナリア諸島)遠征には同行しないそうなんですけどね。スペイン代表に比べ、マドリーでのプレゼンスが低いのは、「No es un problema de Isco/ノー・エス・ウン・プロブレマ・デ・イスコ(イスコの問題ではない)。問題はウチには25人の選手がいて、プレーできるのは11人だけということ」(ジダン監督)とはいえ、折しもポルトガル代表のお勤めを果たしてきたクリスチアーノ・ロナウドはミッドウィークのCLユベントス戦を見据えてお休み予定。こんなチャンスを利用できないのはやっぱり、自己責任と言えなくもない?
▽まあ、週末のリーガについてはまた後でお話しすることにして、そのイスコが大活躍したワンダ・メトロポリターノでのアルゼンチン戦がどうだったかというと。実はスペインが薄い水色のモザイク模様が入っているため、パンツの白と微妙にトーンが違うW杯用の第2ユニを披露したこの試合、お昼のニュースではその前2日間、マドリーの練習場を借りてのセッションに参加。サンパオリ監督もアテにできると確信していたメッシの状態が急変し、結局、最初の親善試合、イタリア戦に続いて、休場することになったのが報道され、応援に駆けつけた1万人のアルゼンチン・サポーターもいきなり、鼻先に水をかけられたような状態でキックオフを迎えたんですけどね。
▽いえ、正直に言えば、その時、ロメロにぶつかってヒザを痛めた当人を見て、「また戦力が減るかも」と心配になったのは私だけでなく、パルコ(貴賓席)で観戦していたシメオネ監督も同じだったんじゃないかと思うんですけどね。結局、この衝突で大きなダメージを受けたのは相手の方で、22分には控えのカバジェーロ(チェルシー)と交代。コスタはピッチに戻り、26分には再びアセンシオがイスコをアシスト、39分にはバネガ(セビージャ)のCKからオタメンディ(マンチェスター・シティ)がヘッドで1点を返すのを見て、ハーフタイムでようやく退くことに。
▽うーん、ここまでは2-1とまだ逆転の可能性もあったアルゼンチンだったんですけどね。代わって入ったイアゴ・アスパス(セルタ)がこれまた、敵DF陣にとって悪鬼のような存在だったようで、後半は「Espana nos golpeo por todos los lados/エスパーニャノス・ゴルペオ・ポルトードス・ロス・ラドース(スペインはウチをそこら中から打ちのめした)」(サンパオリ監督)という状態になったんですよ。もちろん、それには本来であれば、前も後ろも全員でメッシを止めることに集中しているはずの選手たちが、当人はパルコで見学、おまけにアグエロ(マンチェスター・シティ)やディ・マリア(PSG)まで、負傷で離脱していたため、攻撃に専念できたおかげもあると思うんですが、早くも7分にはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったから、さあ大変!
▽ええ、まずはエリア内からアスパスにパスをもらったイスコがこの試合2本目のゴールを決めると、その3分後には当人がアスパスにラストパスをお返し。その場は上手くホールドできなかったアスパスがチアゴ・アルカタラ(バイエルン)に繋ぎ、スペインの4点目が入ったなれば、満員のスタンドがどれ程、歓喜したことか。おかげで試合開始からpito(ピト/ブーイング)を受けていたピケ(バルサ)ですら、jugadon(フガドン/ナイスプレー)を称えられ、拍手でアスピリクエタ(チェルシー)に交代することができましたが、28分にはパスサッカーが基調の彼らには珍しい光景も発現。モウリーニョ監督の下でロングフィードを磨いてきたデ・ヘアがゴールキックを蹴ったところ、アスパスが素早くこれに追いついて、今度は自分でゴールを決めてしまったから、こちらもただただ、驚くしかなかったかと。
▽そして最後はまたしてもアスパスがイスコにアシストして6点目が入ったんですが、いやあ、やっぱりアトレティコではハットトリックを目撃することが滅多にないせいか、それともお隣さんの選手だからですかね。サンティアゴ・ベルナベウでお馴染みの「Hattrick de Ronaldo!/ハットトリック・デ・ロナウド」のイスコバージョンをスピーカーに期待したんですが、ただの「Gol de Isco/ゴール・デ・イスコ」だったのはちょっと拍子抜けだったかも。これでスコアが6-1となったため、ロペテギ監督も余裕を持って、マルコス・アロンソ(チェルシー)やパレホ(バレンシア)を代表デビューさせたりできたんですが、終盤のアルゼンチンはちょっと頂けませんでしたね。カルバハル(マドリー)やコケ(アトレティコ)が荒いタックルを受け、時折、tangana(タンガナ/小競り合い)になっていましたが、幸いながらケガ人は出ていません。
▽え、W杯まではまだ3カ月もあるのにいきなりこんな大勝ちして、スペインの選手たちが調子に乗ったら困るんじゃないかって? まあ、その辺は「Argentina sin Messi es otra cosa/アルヘンティーナ・シン・メッシ・エス・オトラ・コーサ(メッシ抜きのアルゼンチンは別物)」とコスタも言っていた通り、彼らもわかっているようですしね。むしろ、6点目を取られてすぐ退席、ロッカールームで「Levanten la cabeza. Esto lo vamos a sacar adelante juntos/レバンタン・ラ・カベッサ。エストー・ロバモス・ア・サカール・アデランテ・フントス(頭を上げて、この事態を皆で乗り切ろう)」と、チームメートにメッシがキャプテンとして檄を飛ばしたというアルゼンチンより、ずっとムードがいいのは確かかと。
▽実際、この2試合ではデ・ヘア、カルバハル、ラモス、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、イニエスタ(同)、チアゴ、コケ、イスコら、9人がリピートと、本大会の先発メンバーもかなり固まったとはいえ、とりわけFW陣など、モラタ(チェルシー)やロドリゴら、リスト入り当確線上にいる選手もいますしね。ロペテギ監督のポゼッションだけには頼らない戦法もいい感じになってきたようですし、今のところは程ほどの期待を懸けておくぐらいが丁度いい? 彼らが6月、W杯直前に挑むテストマッチはスイス戦とチェニジア戦ですが、それまでのシーズン残りに負傷者が出ないかだけが懸念の種になるでしょうか。
▽え、それにしても国際メジャートーナメントでの復権を狙うスペイン代表で、これだけお役立ちのイスコがマドリーでは控え扱いなのは、このままだと当人だって調子の維持が難しいだろうし、納得いかないって? そうですねえ、彼自身は殊勝気に「Julen me demuestra la confianza con minutos/ユーレン・メ・デムエストラ・ラ・コンフィアンサ・コン・ミヌートス(ロペテギ監督はボクへの信頼をプレー時間の形で示してくれる)。マドリーではサッカー選手に必要な信頼がなくて、悪いのはそれを勝ち取れていない自分だろう」とピッチインタビューで言っていましたが、何せ、あのチームはスペシャルなタレントの持ち主ばかりですからね。
▽イスコのサッカーのテンポがマドリーには合わないとかいう意見はともかく、そういう場合は「La confianza no se la da el entrenador, sino el jugador al entrenador/ラ・コンフィアンサ・ノー・セ・ラ・ダ・エル・エントレナドール、シノ・エル・ウガドール・アル・エントレナドール(信頼は監督が選手に与えるものではなく、選手が監督に与えるもの)」(ロペテギ監督)を実践するのも難しいかと。逆にとりわけこの冬、選手を4人も放出してフィールドプレーヤーがたった17人に、フィリペ・ルイスの腓骨骨折で今は16人と極めて少人数でスタメン争いをしているコケなどにしてみれば、「イスコは最高だよ。あっちでレギュラーになれなくても、アトレティコならなれるかも」という次元のようですが、まあ実際、世の中、そんなものかもしれません。
▽そして19人の各国代表参加メンバーもイスコとラモス以外、特に問題もなく戻ったマドリーは水曜から3日間、バルデベバスで練習。金曜夕方には飛行機で移動となりましたが、いやあ、ジダン監督も思いきりましたねえ。リーガは首位と勝ち点差15と、もう今季のタイトル獲得可能性はCLしかないため、来週火曜の準々決勝ユベントス戦1stレグを睨み、ローテーションがあるのは予想できましたが、最初に言ったロナウド以外にもクロース、マルセロをお留守番に。そこへカルバハルの出場停止まで重なるとなると、もしや現在18位、何とか17位のレバンテとの勝ち点差6を縮めようと必死なパコ・ヘメス監督のラス・パルマスにもチャンスがある?
▽とは言っても、ベイルはウェールズ代表の中国戦でハットトリック、マジョラルもU21スペイン代表のユーロ予選2試合で計5得点と当たっていますし、フランス代表と縁が切れてしまったベンゼマも休養十分ですからね。ジダン監督も「Para preparar el martes hay que estar bien mañana/パラ・プレパラール・エル・マルテス・アイ・ケ・エスタ^ル・ビエン・マニャーナ(火曜の準備をするには明日の試合でいい状態でないと)」と自信を見せていたように、やはり土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からの一戦はマドリーの勝利に賭ける人が多いでしょうね。
▽一方、GKオブラク(スロベニア)が臀部の痛みで2試合目を免除されて戻ったり、ヒメネス(ウルグアイ)がチャイナカップ決勝で足を打撲。ブルサイコ(クロアチア)もメキシコ戦の序盤で交代、加えてコスタの件があったアトレティコは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、ワンダ・メトロポリターノにデポルティボを迎えるんですが、こちらも相手は降格圏の19位だけに実力的には勝っているものの、何せ人出不足が心配でねえ。私も水曜の午後セッションにはポカポカ陽気にも誘われて、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に偵察に行ってしまいましたが、思った通り、代表帰りの選手たちの大半は、スペイン戦では馴染みのベンチをアルゼンチン代表のユニで温めることになったコレアや途中出場だったサウール以外、グラウンドに現れず。
▽だからかどうかは知りませんが、シメオネ監督など、バーベル上げなど、フィジカルトレに励む選手たちをよそにカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちにポジショニングの指導をしているって、もしやそれって、緊急事態を想定してのもの?その一方でフランスの2試合目、ロシア戦では30分程の出場にとどまったグリーズマンの元気な姿も見られたものの、彼はビトロと一緒に今週末は出場停止ですからね。いくら、フェルナンド・トーレスやガメイロと並んでシュート練習、おまけに柵の外から覗くギャラリーを意識してか、ゴールが決まった後のパフォーマンス練習までしてくれてもまったく、助けにならないんですが、幸い翌日の練習ではヒメネスを除いて皆、普通にセッションに参加できたとか。ただシメオネ監督は2トップをガメイロとコレアでリハーサルと、コスタを外していたため、こちらも来週木曜のヨーロッパリーグ準々決勝スポルティング戦1stレグを視野に入れているのかもしれません。
▽そしてようやく春が来たのが嬉しくて、翌日の午前中にはヘタフェの様子を探りに行った私だったんですが…いやあ、周辺が荒野のため、風吹きすさぶシュダッド・デポルティバ(練習場)の寒かったの何のって。おまけにその日から、セマナ・サンタ(イースター週間)の祝日に入ったせいか、同じ敷地内で普段は週末にあるユースチームのリーガ戦が開催。ゲートで入場料10ユーロ(約1300円)と言われてしまったせいで、裏からグラウンドの反対側に回ってみたところ、辺りは一面、菜の花満開ながら、ええ、ボルダラス監督の練習は2、3時間と他より長いこともありますよ。ヒートテックを着て来なかったことを激しく後悔する破目に。
▽そのセッションにはベルギーでの日本代表親善試合に参加、2試合目のウクライナ戦で先発した柴崎岳選手も普通に混じっていたんですが、実はこの代表戦期間中、ヘタフェには今季、3番目の中足骨骨折患者が発生。それはボランチのアランバリで、最初は柴崎選手、次はベルガラとどちらも回復に2、3月かかっていますからね。今季は絶望ということで、入れ替わりでそのベルガラが戻って来るんですが、当人は先週、鼻中骨骨折をしてマスクをつけてプレーって、何ともツイていない。ただ月曜午後9時(日本時間翌午前4時)にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにベティスを迎える彼らは1部残留をほぼ達成。あとは勝ち点差4を覆して、来季のEL出場権をもらえる7位に喰いこめるかどうかぐらいが焦点になるため、ムリをしないでいいのは助かります。その辺は土曜にバレンシアをブタルケに迎えるもう1つの弟分、12位のレガネスも同じと言ったところでしょうか。
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