【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】新天地アンデルレヒト適応もバッチリ。攻撃的MF枠で最も活躍しているのがこの男! 森岡亮太2018.03.13 12:00 Tue

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▽欧州時間3月3日夜(日本時間4日未明)に行われたベルギー1部のズルテ・ワレゲム戦。開始早々の2分、アウェイに乗り込んだアンデルレヒトの背番号10・森岡亮太が目の覚めるような先制弾を相手ゴールに叩き込んだ。右サイドバックのデニス・アピアーのクロスに鋭い反応を見せた彼は、相手最終ラインの間の狭いスペースに巧みに侵入。ヘディングで一撃をお見舞いしたのだ。この1点がチームに勢いを与え、アンデルレヒトは前半だけで3-1でリード。終盤に2失点目を献上したものの、3-2で勝利を収め、2位に浮上した。▽さらに翌週11日のアントワープ戦でも森岡はトップ下で先発。1-1の状況で迎えた後半22分にペナルチィエリアでPKをゲットし、決勝点をお膳立てする大仕事をしてみせた。この試合も白星で飾ったアンデルレヒトは、4月1日からスタートする順位決定プレーオフに向け、大きな弾みをつけることに成功。背番号10をつける男も「優勝したい」と意欲を前面に押し出している。

▽1月末にワースランド・ベフェレンからベルギー屈指のビッグクラブ・アンデルレヒトへステップアップしてから1カ月余り。デビュー戦のメヘレン戦でPK失敗という苦い結末を余儀なくされながらも、森岡はそれを引きずることなく、新天地に着実に適応している。

▽最初のゲームでは2シャドウの一角という不慣れなポジションでプレーすることになり、彼自身も「やりづらさはあった」と本音を吐露したが、その後はトップ下や2トップで起用され、攻撃チャンスに顔を出す回数が着実に増えている。指揮を執るハイン・ファンハーゼブルック監督もそのポジションで使った方が攻撃センスをより発揮させられるという判断があるのだろう。「新しい監督は戦術的に細かいけど、適応はそんなに問題はないと思う」と森岡自身も手ごたえを口にしていただけに、新指揮官といい関係を形成できているようだ。最近2試合で3ゴールという数字が彼の好調ぶりを物語っている。

▽アンデルレヒトでブレイクしつつある森岡をヴァイッド・ハリルホジッチ監督も放っておけないだろう。昨年11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦招集時も「現地での評価が非常に高い」と発言。欧州での世論に押される形で抜擢したことを示唆していた。その代表2連戦では続けてジョーカー起用されながら結果を出せず、本人は「まだまだですね」と不完全燃焼感をにじませた。だが、あれから4カ月が経過し、森岡はビッグクラブへ行っても十分やれることを示している。その評価はハリルホジッチ監督の耳にも届いているに違いない。しかも、今回も試合会場がベルギーということで、注目度を考えても森岡を呼ばないわけにはいかないはず。3月のマリ・ウクライナ2連戦(リエージュ)でボスニア人指揮官が再テストに踏み切る可能性が極めて高そうだ。

▽森岡が争う攻撃的MFの枠には香川真司(ドルトムント)を筆頭に、清武弘嗣(セレッソ大阪)、柴崎岳(ヘタフェ)と実績ある選手が並ぶ。しかしながら、香川と清武は負傷離脱中。香川は間もなく復帰すると見られるが、どこまでパフォーマンスが戻ってくるか未知数だ。柴崎にしても長期離脱から戻ってきたが、試合に出たりでなかったりで、コンスタントな活躍は見せられていない。リーグのレベルはやや下がるものの、欧州での活躍度という意味では、森岡がダントツなのだ。

▽本田圭佑(パチューカ)とも同ポジションを争うことも考えられるが、ハリルホジッチ監督の中では本田はあくまで右サイド要員。これまでも久保裕也(ヘント)や浅野拓磨(シュツットガルト)らと競わせてきた。本田自身はインサイドハーフやトップ下を熱望しているが、その意向に沿う起用法を今から指揮官が採るかどうか分からない。

▽こういったさまざまな要素を踏まえても、攻撃的MF枠の目下のファーストチョイスは森岡だろう。現状を3カ月後に迫った2018年ロシアワールドカップ本大会まで維持できれば代表滑り込みが見えてくる。本人もそういうことを具体的に考え始めているのではないか。

▽ただ、森岡にはオフ・ザ・ボールと守備面の課題がある。11月のブラジル・ベルギー戦を見ても、ボールのない時の運動量やアグレッシブさ、守りの強度や球際の強さなどで見劣りする部分が感じられた。

「自分はもともと自由を愛する男で、ボールをつないだり、パスを展開したりと攻撃面に重きを置いてきた。だけどポーランド、ベルギーと欧州でプレーしてきて、球際の重要性を強く感じるようになった。年に一度、昔の仲間と初蹴りをしていても『球際行け、球際』といつの間にか叫んでいるくらい」と本人も自身の変化に苦笑していたほどだ。

▽その意識はアンデルレヒトというビッグクラブへ赴いて、より一層高まっているはず。それを3月の代表2連戦で示すことができれば、ハリルホジッチ監督の評価も急上昇すると見られる。

▽実績面では本田、香川、清武に劣る森岡が一発逆転を狙うなら、自身の劇的な変貌ぶりを指揮官の目に焼き付けるしかない。早稲田大学eスクール卒業というサッカー選手屈指のインテリジェンスを誇るこの男なら、自分の進むべき道を明確に見極めることができるだろう。ここからの森岡亮太の一挙手一投足から目が離せない。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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【2022年カタールへ期待の選手㉕】海外移籍の噂もある中、得点の取れるアタッカーへ進化を目指す!/中村敬斗(ガンバ大阪/FW)

永遠のライバル・韓国にまさかの苦杯を喫し、8強入りの夢が絶たれた2019年U-20ワールドカップ(ポーランド)から1カ月。世界の厳しさを体感した18歳のアタッカー・中村敬斗(ガンバ大阪)が7月7日、J1首位を走るFC東京戦のピッチに立っていた。今季のガンバは4バックと3バックを併用しているが、この日の中村は左ウイングバックで先発出場。開始早々の5分には、自らのパスを矢島慎也が展開し、ゴール前に飛び込んだ小野瀬康介が決めて先制。最初のゴールの起点を作った。 しかし、前半38分と40分に連続失点し、瞬く間に試合をひっくり返されると、中村らしい突破力とフィニッシュの迫力が影をひそめるようになる。 「崩し切れない場面が多かったですね。いい形で何回か仕掛けられたし、クロスも上げれたし、ボールに関与する回数も多かったけど、どうしてもフィニッシュまで持ち込めない。室屋(成)選手プラス、東(慶悟)選手のカバーリングがあって1対2になる場面が多かったので、僕としては中に下げざるを得なくなってしまった。相手のスキがなかったっていうのが正直なところです」と本人も悔しさをにじませる。結局、ガンバは後半も攻めあぐね、今季J1得点ランキングトップを走るディエゴ・オリヴェイラにダメ押しとなる3点目を食らって敗戦。中村も1つの壁にぶつかったという。 「今回みたいに観客の多い中、最高のピッチでそんなにミスなくできたのは収穫だけど、やっぱり1対2でも抜けるようになりたいですね。僕自身、(2017年U-17ワールドカップに続く)2度目の世界大会を経験して、自信を持ってやることが大事だとすごく感じた。J1で戦い抜くにはそれが一番。U-20の後、ルヴァンも天皇杯もJ1も全部ベンチに入ってますけど、とにかく試合に出続けること、活躍することを大切にしたいです」と彼は改めて語気を強めた。 ガンバで存在価値を高めつつある彼には目下、欧州移籍の噂も出ている。堂安律と板倉滉が所属するフローニンヘンを筆頭に、いくつかのクラブが興味を抱いているとされ、今夏にも移籍に踏み切る可能性が高まっている。実際、この1か月間には久保建英がレアル・マドリー、菅原由勢がAZに赴いていて、安部裕葵(鹿島アントラーズ)のバルセロナ移籍も秒読み段階に入るなど、同世代の欧州挑戦が続いている。こうした動向に、中村も少なからず刺激を受けていると話す。 「Jリーグのレベルが上がっているからこそ、そういう目で見られると思うし、チャンスが沢山あるとも思います。外に出た建英や由勢もJリーグで実績のある選手。この舞台で活躍すれば自ずと自分にも声がかかると思います。それに応えるかどうかも自分次第。今は自分の立ち位置を大事にしたいです」と彼は慎重なスタンスを取っている。 確かに18歳で海外に行ったとしても、必ずしも出番がコンスタントに得られる保証はない。そこは17歳だった昨年、ガンバ大阪入りし、レヴィー・クルピ監督体制でいきなり出場チャンスを与えられながら、指揮官交代によって構想外に近い状態に陥ったことのある中村にはよく分かっているはずだ。 「レヴィー監督には得点感覚が優れていた部分を買われたと思いますけど、それ以外のところを見たら、おそらくプロの平均以下。通用するレベルになかった。『走れないし、戦えないし、球際行かないし、オフの動きも足りない』と宮本(恒靖)監督に指摘された。昨年の7〜11月くらいまでJ1からほぼ姿を消してて、11月後半に倉田(秋)選手が出場停止になったタイミングでスタメンに抜擢され、変わった姿を見せられたかなと思ったけど、まだまだ足りないっていう現実を突きつけられました。結局、今季も頭からはJ1には出られなくて、U-23からのスタート。そこで森下(仁志)監督に鍛えてもらいました。守備とか球際とかサッカーに向き合う姿勢とかに取り組むようになって、少しずつ変わって今があると思います」 彼がしみじみとこう語ったように、この1年間は紆余曲折の連続だった。だからこそ今、手にしている試合出場機会を大事にしたいという気持ちが強いはず。それを手放してリスクを冒して海外に行くか、もう少しJで実績を残すのかは本当に判断が分かれるところだろう。 どういう選択になったとしても、目指すべきなのは「どんな状況でもゴールを奪える怖いアタッカーになること」だ。そこだけは、本人も強く意識している。 「自分の武器はドリブルで仕掛けて、ゴール前まで持ち込んでシュートを決められること。守備とかいろんなことをやってるとそれを忘れそうになりますけど、森下監督から『武器を発揮しなきゃいけない』と言われたのが大きかった」と中村自身も述懐するが、自分の幅を広げながら強みを研ぎ澄ませていくことは難しい。そこにトライし続けることで、より高い領域に辿り着けるに違いない。間もなく19歳になるが、まだまだ彼は若いし、いくらでもトライ&エラーを繰り返していい時期。この貴重なタイミングを最大限生かしつつ、さまざまなアクションを起こして、近い将来、日本サッカー界を背負って立つ大物になってほしい。中村敬斗にはそれだけのポテンシャルがあるはずだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">G大阪の中村敬斗に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.07.09 12:15 Tue
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【2022年カタールへ期待の選手㉔】柴崎岳のパートナーとして高いポテンシャルを見せた新時代の守備のマルチプレーヤー/板倉滉(フローニンヘン/DF)

1年後の2020年東京五輪を目指すU-22世代と川島永嗣(ストラスブール)、岡崎慎司(レスター・シティ)、柴崎岳(ヘタフェ)ら2018年ロシア・ワールドカップ出場の経験豊富なオーバーエージを組み合わせて戦った今回の2019年コパ・アメリカ(ブラジル)。 日本は17日の初戦・チリ戦(サンパウロ)で0-4の大敗を喫するところからスタート。いきなり暗雲が立ち込めたが、続く20日のウルグアイ戦(ポルトアレグレ)で立て直して2-2のドロー。24日のグループ最終戦・エクアドル戦(ベロオリゾンテ)に勝てば8強入りというところまで巻き返した。 だが、その最終決戦は中島翔哉(アル・ドゥハイル)の先制点を守り切れず、前半のうちに追いつかれ、最後まで突き放せないままタイムアップの笛。結局、初戦の4失点が響いて得失点差でパラグアイを下回り、予選敗退を余儀なくされた。 不完全燃焼に終わった森保ジャパンだが、希望を感じさせた選手は何人かいた。その1人がウルグアイ・エクアドルの2戦でボランチに入り、柴崎のパートナーを務めた板倉滉(フローニンヘン)だろう。今年1月にマンチェスター・シティへの完全移籍が発表され、名門からレンタルされる形で堂安律の同僚になった彼だが、今季オランダ後半戦ではリーグ戦出場ゼロ。コンディションや試合勘の部分が大いに懸念されていた。 「全然試合やれます。もちろん公式戦はなかなかできていないというのはありますけど、実際試合に入ったらそんなの関係ないと思うし、あとはやるだけだなという思いです」 本人は開幕直前に自信を口にしたが、ウルグアイ戦の入りは少し不安定さも垣間見せた。ただ、チリ戦で同ポジションに入った中山雄太(ズウォレ)のようにミスで自滅する方向に行くことはなく、徐々に調子を上げていく。板倉が最終ラインの前に陣取ることで守備の穴を埋め、柴崎がその前でボール出しや攻撃の組み立てに専念するという関係性も確立されていく。ウルグアイ相手に日本が主導権を握る時間帯を作れたのも、両ボランチが安定したことが大きい。 相手のホセ・ヒメネス(アトレティコ・マドリー)も「日本はヌメロ・クアトロ(背番号4)が脅威だった」とコメントしたように、板倉の一挙手一投足がウルグアイに少なからず脅威を与えていたのは確かだ。 「個人的には入りのところでミスを繰り返していたし、ちょっとバタついていた。真ん中の自分がバタついてしまうとボールがうまく回らない。もっと研ぎ澄ませてやらないといけなかったと思います。ただ、徐々にやるべきことがハッキリしてきた。自分がディフェンスの1こ前でバランスを取って、岳君がその1こ前でボールをさばきながら前進していくという役割が明確になってやりやすかった」と板倉自身も90分間で修正を図れたことに自信と手ごたえをつかんだ様子だった。 まずまずのA代表デビュー戦で森保一監督の信頼も勝ち取り、迎えたエクアドル戦。柴崎とのバランスや連携は1試合をこなしたことでより磨きがかかり、息の合ったパス交換やポジショニングが見られるようになった。このいいリズムが開始15分の中島翔哉の先制弾にもつながる。序盤の日本は十分に勝てるだけのパフォーマンスを見せていた。 ところが、1点をリードした後から守備陣にミスが出始める。エクアドルのハイプレスと強硬日程の疲れが重なり、ゴール前でパスカットされて決定機を作られるシーンが続き、バタバタした印象が強くなった。そして前半のうちにCKの流れから失点。後半に入ると相手が高い身体能力をより前面に押し出してきて、オープンな展開になる。板倉と柴崎もその対応に追われ、コンパクトな戦いができなくなってしまう。結果的に日本は勝ちきれず、南米大陸における南米勢初勝利のチャンスも、ホスト国・ブラジルへの挑戦権も失った。チーム全体がいいリズムで戦えていない時、いかにゲームをコントロールするのか…。若い板倉には新たな課題が突き付けられたと言っていい。 「岳君がすごい気を使ってポジションを取ってくれたので、やりやすさがありました。あれだけ試合の状況判断だったり、チーム全体のことを考えてくれる選手が1人いると、落ち着きが作れる。そういうところは見習わないといけないと感じましたね」 板倉は2試合ともにプレーした柴崎のすごさ改めて再認識したという。ロシア以降、日本代表の攻守両面のつなぎ役に君臨する先輩ボランチの動きを目の当たりにして、自分が進むべき方向もハッキリしたようだ。それはA代表でのキャリアを踏み出したばかりの彼にとって非常に大きな収穫に違いない。 板倉には柴崎を上回る身体能力と守備力があるだけに、状況判断力やチームマネージメント、攻撃の組み立てと言った柴崎のいい部分を吸収すれば、もっともっとスケールの大きなボランチになれる。その可能性を垣間見せたのは確かだ。彼はボランチだけでなく、センターバックや3バックのDFでもプレーする機会も多いだろう。どの役割を託されてもレベルの高いプレーができれば、森保監督も板倉を起用する回数は間違いなく増えるはず。そういう信頼を寄せてもらえるように、今後は自己研鑽を図らなければならない。 いずれにしても重要なのは新シーズンだ。欧州で出場機会をコンスタントに得られなければ、遠藤航(シント=トロイデン)ら先輩ボランチの牙城は崩せない。そこをしっかりと頭に入れ、1シーズンフル稼働すること。そこに全力を注いでもらいたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2019.07.01 13:20 Mon
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【2022年カタールへ期待の選手㉓】U-20ワールドカップ回避の悔しさをぶつけるコパアメリカ。残り2戦で攻撃の起点に!/安部裕葵(鹿島アントラーズ/FW)

「(自分が入った後半21分は)ビハインドからの展開で、素早い攻撃をしないといけなかった。でも試合頭から速い攻撃しかなかったので、タメを作らないといけないっていう。ホント、矛盾してるかもしれないけど、そういう頭だったので、タメを作ることと素早く攻撃するってことの両方を、難しいけど頭に置きながら入りました」 U-22世代中心の編成とはいえ、記念すべき国際Aマッチデビューを飾った17日のコパアメリカ初戦・チリ戦(サンパウロ)。安部裕葵(鹿島アントラーズ)は極めて冷静な状態でゲームを全体を俯瞰していた。 この日の日本は前線に上田綺世(法政大学)、2列目に前田大然(松本山雅FC)、久保建英(レアル・マドリー)、中島翔哉(アル・ドゥハイル)というスピードを武器とする選手が数多く陣取ったこともあり、タテに速い攻めに偏った状態になっていた。そのリズムを安部は何とか変えようと試みた。 その思惑よりも、どちらかというとサイドアタッカーのように左コーナー付近までえぐる仕事が多くなったが、安部の意図を久保も理解し、2人のコンビから何度かチャンスが生まれた。「彼らがU-20ワールドカップ(ポーランド)に揃って参戦していたら、韓国ではなく日本が決勝に進んでいたかもしれない」という感想を抱いた人も多かったのではないか。それを誰よりも痛感しているのは安部本人に違いない。だからこそ、今大会に賭けるものは大きいに違いない。チリ戦では惜しくもゴールをこじ開けることはできなかったが、次への可能性を垣間見せたのは確かだ。 20日のウルグアイ戦でも彼ら2人のフレッシュなコンビを見たいところ。ただ、前田と原輝綺(サガン鳥栖)の負傷欠場によって、4バックの継続自体が微妙になっている。4バックの場合は2列目が3枚あるため、安部と久保の併用の道が大きく開けるが、3バックだと前線は1トップ・2シャドウになり、アタッカーの枚数が1枚減る。こういった状況はあるにしても、安部はチリ戦よりも出場時間が長くなるのは間違いないだろう。 「僕はいつも試合前にどういうプレーをするかっていうのは何も考えないんで。試合には行って流れを見つつ、自分がやるべきことを試合の中で考えるタイプなんで。ただ、ウルグアイは昨年10月のキリンチャレンジカップ(埼玉)の時よりは強い。そう思って取り組めばいいんじゃないかと思います」と本人は状況を見ながら臨機応変に攻めを組み立てていく考えだ。 ウルグアイの守備陣はご存知の通り、長友佑都(ガラタサライ)の同僚であるGKムスレラが最後尾に陣取り、センターバックにヒメネスとゴディンとアトレティコ・マドリーコンビが並ぶ。右サイドバックはカセレス(ユベントス)、左サイドバックはラクサール(ACミラン)といずれも百戦錬磨の猛者ばかりだ。2006年から指揮を執る名将・タバレス監督の堅守速攻スタイルはすでに浸透していて、守備のオートマティズムは南米随一と言っていい。それを安部が個の力だけで攻略するのは容易ではない。組織的な崩しが要求されてくるのだ。 2列目要員には久保、中島、三好康児(横浜F・マリノス)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)と個性豊かな技巧派タレントが揃っているだけに、安部が入った場合は彼らを巧みに使いながら変化をつけていくことが求められる。冒頭のコメント通り、チームの流れとは反対のプレーが必要だと感じ、それをピッチで実行に移せる冷静沈着なアタッカーであれば、難敵に対しても十分向かっていけるはず。彼の非凡な創造性が今こそ発揮されるべき時だ。 「コパ・アメリカはメディアの数、見ている人の数だったり、国を背負って戦う責任、プレッシャーが違うだけで、自分がプレーする内容や質は練習から一緒。それにウルグアイのアウェー状態になったとしても、僕はACL決勝のアウェーのイランを経験しているんで、あれを超えることはないですね。ブラジルが相手ならあれ並みになるかもしれないけど、全然大丈夫です」 こう語気を強めたように、どんな大舞台でも恐ろしいほどの冷静さを貫けるのが、常勝軍団・鹿島でエースナンバー10をつける20歳の若武者だ。今季は鹿島で白崎凌兵や中村充孝らと激しいポジション争いを強いられ、ベンチを温めることが多くなっているが、この苦境を打破するためにも、コパ・アメリカで確固たる自信を取り戻したいところ。 そういう意味でも今回のウルグアイ戦は最高の試金石と言っていい。FIFAランキング8位という世界的強豪国に何らかのインパクトを残せれば、彼自身の前々からの希望である欧州移籍の道も開けるかもしれない。さらに24日にはグループ最終戦・エクアドル戦(ベロオリゾンテ)も残されている。こうした残されたチャンスを生かして、大きな成果を手にすべく、日本のファンタジスタにはブラジルの地で思う存分、躍動してほしいものだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">鹿島の安部裕葵に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />2カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.06.21 08:15 Fri
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【2022年カタールへ期待の選手㉒】偉大な先輩・内田篤人を超える可能性を秘めたインテリジェンスの高い右サイドバック/菅原由勢(名古屋グランパス/DF)

5月23日からポーランドで開催中の2019年U-20ワールドカップ。久保建英(FC東京)や安部裕葵(鹿島アントラーズ)、橋岡大樹(浦和レッズ)らチーム発足時からの主力を欠いた日本は苦戦が予想されたが、ふたを開けてみると、エクアドルに1-1、メキシコに3-0と2戦終了時点で勝ち点4を確保。29日のグループ最終戦・イタリア戦もスコアレスドローに終わり、「死の組」と言われたタフなグループを2位で通過。何とか決勝トーナメントに駒を進めることができた。 ここまで2ゴールの宮代大聖(川崎フロンターレ)、1ゴールの田川亨介(FC東京)と山田康太(横浜F・マリノス)ら攻撃陣の働きが注目されがちだが、守備陣の奮闘も見逃せない。とりわけ、右サイドバック・菅原由勢(名古屋グランパス)の献身的なパフォーマンスは目を見張るものがある。エクアドル戦前半の日本は一方的に攻め込まれ、度重なるピンチに見舞われたが、背番号5は体を張ってクロスを跳ね返し、1対1でも食らいついていく。その集中力の高さがチームを救う場面が大いに目についた。 メキシコ戦は一転、攻め込む展開となり、菅原も前半35分には絶妙クロスで田川のヘディング弾をお膳立てしたかと思われた。が、惜しくもオフサイド。本人は弓矢を引く素振りを見せたが、残念ながら得点は認定されず、パフォーマンスはお預けになった。 「弓矢? ホント、よく見てますね(笑)。なんか結果残したいと思ってやってるので、オフサイドでしたけど見えているところだったり、ボールを蹴る感触はいいので、ポジティブにやれていると思います」と本人は笑顔を見せたが、取材者を笑わせるようなウィットに富んだ会話力も彼の武器。それはU-15世代から変わらない。菅原が笑顔でチームを盛り上げてくれているからこそ、劣勢を予想された今大会で好スタートを切れた部分は少なからずあるだろう。イタリア戦もフル出場した彼の無尽蔵のスタミナは今の影山ジャパンの大きな力になっているのだ。 2000年に愛知県豊川市で生まれ、中学生の時から名古屋に所属する菅原は、U-15世代から継続的に日の丸をつけ、2017年U-17ワールドカップ(インド)にも参戦してきた。右サイドバックを主戦場とし、迫力ある攻め上がりと精度の高いクロスに自信を持ち、コメント力も高いという意味で、日本代表の偉大な先人・内田篤人(鹿島アントラーズ)に似ているという評価もある。 「内田選手に関しては僕も映像はメッチャ見てます。歴代の先輩と比較してもらえるのは嬉しいですけど、僕は僕ですし、内田選手は内田選手。やっぱり追い越さなきゃいけない存在だと思ってます」と本人も「内田超え」を視野に入れながら自己研鑽に励んでいる。もちろん菅原は状況に応じてセンターバックもこなせるし、内田よりも守備面で力を発揮するケースも多い。そういった特徴の違いはあるが、「世界トップレベルを目指せる逸材」という部分では、若かった頃の先輩に通じる部分は少なくないのだ。 振り返ること12年前。内田は2007年カナダ大会に参戦した。当時すでに鹿島アントラーズで定位置を確保していた彼はU-20の経験を経て、翌年にはA代表入り。北京五輪にも出場し、22歳でドイツに渡った。そういったキャリアプランを菅原も描いているはず。今回のポーランドで躍進を遂げれば、1年後に迫った2020年東京五輪出場、A代表昇格の道も開けてくるだろう。東京五輪世代の右サイドバックには傑出した存在がいないだけに、彼には大きなチャンスが広がっている。A代表の酒井宏樹(マルセイユ)とも10歳差で、ちょうど世代交代の位置にいる。奇しくも内田も加地亮(現解説者)と入れ替わるように頭角を現し、A代表での地位をさらった。そういうチャンスが広がっているのは、菅原にとっての大きなプラス要素と言える。 そうなるためにも、まずは今大会でチームを勝たせる仕事をすることだ。そして所属クラブの名古屋で出場機会を得る努力をしなければならない。高校3年だった昨季は風間八宏監督に才能を見出され、序盤の13試合に起用されたものの、シーズンが進んでいくにつれて戦力外と扱われるようになった。迎えた今季もJ1出場はゼロ。ルヴァンカップではフル稼働しているが、宮原和也らライバルを蹴散らして主力の座に君臨しなければ、森保一監督からも認めてもらえないだろう。ただ、若い選手というのはちょっとしたきっかけで急成長することがある。菅原にとっては今が絶好のチャンス。ポーランドの地で世界の同世代の強敵相手に十分やれるのを示すこと。そこに尽きるのだ。 「僕らはU-17の時にイングランドにPKで負けている。本当に悔しい経験をした。でもあの試合があったから、世界基準が分かったし、モチベーションを持ってここまでやってこれた。まだまだ詰めていかなきゃいけないところはあるので、無駄な時間を過ごさないようにしたい」と本人も目の前の敵を倒すことに集中している。その闘志をピッチ上で体現し、タフに戦える勇敢な右サイドバック像を多くの人に焼き付けるべきである。 さし当たってやるべきなのは、6月4日のラウンド16で韓国代表との大一番に勝つこと。2年前のU-17ワールドカップで敗れ去ったステージを超えることができれば、菅原自身のキャリアも大きく変わるかもしれない。その好機を何としてもつかみ取ってもほしいものだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">名古屋の菅原由勢に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.06.04 23:50 Tue
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【2022年カタールへ期待の選手㉑】10番を背負うキャプテン。U-20日本代表をけん引する絶対的リーダー/齊藤未月(湘南ベルマーレ/MF)

「インドネシアの最終予選(2018年AFC・U-19選手権)のチームは彼中心にまとまっていた。10番でキャプテンというのはいいんじゃないですかね」 U-20日本代表の影山雅永監督にこう言わしめたのは、チーム最年長のボランチ・齊藤未月(湘南ベルマーレ)。23日に開幕するU-20ワールドカップ(ポーランド)で日本の絶対的リーダーに指名されたのだ。 「10番とかキャプテンとか関係ないです。でもやっぱり周りから見られる目だとか、チームとしての立場は間違いなく大事。しっかり責任と覚悟を持って、地に足付けて戦いたいと思います」と13日の流通経済大学との練習試合後、彼は力強くこう語った。 今回のチームは、最終予選で10番をつけた安部裕葵(鹿島アントラーズ)や攻撃の軸を担っていた久保建英(FC東京)が6月のコパ・アメリカ(南米選手権/ブラジル)参戦のため選外に。守備陣の統率役だった橋岡大樹(浦和レッズ)や守護神の谷晃生(ガンバ大阪)、左サイドの切り札・滝裕太(清水エスパルス)までもがケガで離脱し、戦力的にかなり厳しくなっている。そういう中、99年の早生まれである田川亨介(FC東京)と茂木秀(セレッソ大阪)、齊藤の3人には託される責任はより大きくなる。指揮官も齊藤をキャプテン、2017年韓国大会経験者の田川を副キャプテンに据え、チーム引き締めを図っているのだ。 報道陣の質問にも堂々と答え、外国メディアに対しても湘南インターナショナルスクール時代に磨きをかけた英語で物怖じすることなく回答するなど、確かに彼はリーダーに最適な人物だ。常に勇敢で大人びた立ち振る舞いは同じ湘南下部組織出身の遠藤航(シント=トロイデン)を彷彿させるものがある。そういった人間性を含めて、影山監督も彼を高く評価しているはず。強靭なメンタリティというのは国際舞台で戦い抜くうえで必要不可欠な要素と言っていい。 湘南では17歳になったばかりの2016年にJ1デビューを飾り、2017年にはほぼボランチの定位置を確保。そこからコンスタントに出場実績を積み上げてきた。166㎝と小柄ながらも、凄まじい運動量とハードワークを身上とし、球際も激しく戦うスタイルは、2014年ブラジル・2018年ロシア・ワールドカップメンバーの山口蛍(ヴィッセル神戸)に通じるものがある。 「僕の特長は球際の強さ。山口選手は僕のプレーモデルになる存在だと思います。素早い判断でポジションに戻ったり、相手の逆を突くプレー、つぶすべきところでつぶす動きや姿勢とか、見習う部分が沢山ありますね」と昨年9月のC大阪戦後も目を輝かせていたが、9つ年上の偉大なボランチの一挙手一投足を脳裏に描きながら自己研鑽を続けてきた。 こうした実力を示すべき大舞台が今回のポーランドの大会だ。日本はエクアドル、メキシコ、イタリアという強豪揃いのグループに入っていて、3位以上にラウンド16進出のチャンスがあるとは言っても苦戦が予想される。自国開催だった1979年大会以来、日本は1995年カタール、1997年マレーシア、1999年ナイジェリア、2001年アルゼンチン、2003年UAE、2005年オランダ、2007年カナダと2017年韓国の9回この大会に参戦しているが、1次リーグ敗退を余儀なくされたのは1979年と2001年の2回だけ。駒野友一(FC今治)や佐藤寿人(ジェフユナイテッド千葉)ら2001年組は「谷間の世代」と揶揄され、長い間厳しい評価を受けてきた。そうならないためにも、影山ジャパンは何としても1次リーグを突破する必要がある。齊藤はその絶対的けん引役として奮闘しなければならないのだ。 「大会が始まれば中2日で試合がありますし、先のことを考えるんじゃなくて、1つ1つを見つめて、1つの試合にどれだけパワーをかけられるかが大事だと思います。やっぱり肝心なのはどれだけいいコンディション、いいクオリティでチームを持って行けるか。そこに集中したいです」 キャプテンが言うように、技術戦術レベルで対戦国を下回ったとしても、それだけでサッカーの勝敗が決まるわけではない。走って戦う部分で敵を凌駕できれば日本にも必ず勝機が巡ってくるはずだ。そういう土俵に引きずり込むことが齊藤の大きな役割だ。日本代表で足掛け8年間キャプテンを務めた長谷部誠(フランクフルト)が常にチームを鼓舞し続けたように、若きリーダーには仲間を奮い立たせる声掛けやパフォーマンスが強く求められてくる。 そこで自身の評価を上げることができれば、1年後に迫った2020年東京五輪出場、そして将来的な日本代表入りの道も開けてくる。尊敬する山口やクラブの先輩・遠藤らがひしめくボランチはA代表屈指の激戦区。小兵ボランチの齊藤がそこに割って入るのはそう簡単なことではないが、フィジカル的なマイナス面をカバーできる何かがあれば浮上のチャンスは見出せる。彼にはそれだけのポテンシャルがあるだけに、大いに楽しみだ。まず影山ジャパンで異彩を放つところから始めてもらいたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">湘南の齊藤未月に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.05.17 12:15 Fri
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