【原ゆみこのマドリッド】決めるべき人が決めて勝ったけど…

2018.03.13 12:00 Tue
▽「控えになってもいいんだろうか」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、スポーツ紙のウェブページでグリーズマンが「アトレティコとの契約延長を拒否、来季はもう仮契約をしているバルサに移籍予定」という記事を見つけた時のことでした。いやあ、この系統では前日にも奥さんのエリカさんが先週、カンプ・ノウでアトレティコの試合があるのを利用してバルセロナを訪問。メッシやルイス・スアレス、コウチーニョらが住む、地中海沿岸の近郊にあるカステルダフェルスや、テア・シュテーゲンが住む市内のパセオ・デ・ガルシア近辺の家を見て回ったという報道がカタルーニャ・ラジオからあったんですけどね。

▽どちらの地区も彼女が満足するには至らなかったというのはともかく、ここ数日は中足骨骨折でCL16強対決レアル・マドリー戦2ndレグに出場できずに、PSGも敗退。現在、母国ブラジルで手術後の静養中のネイマールにも、昨年の夏に出て行ったばかりのバルサに復帰を希望しているという噂があったから。

▽いえ、ネイマールの不在を補おうと、デンベレ(移籍金1億6000万ユーロ/約211憶円)、コウチーニョ(1億2000万ユーロ/158億円)に大枚をはたいたのに加え、グリーズマン(1億ユーロ/約132億円)、再びネイマール(4億ユーロ/約528億円)もの出費をどうクラブが賄うかなんて、下々の者には想像もつかないんですけどね。それより気になるのは来季のバルサの前線で、だってえ、メッシやルイス・スアレスが出て行く訳ないじゃないですか。となれば、アトレティコでは上にも下にも置かない扱いをされているグリーズマンとて、彼らの中ではワン・オブ・ゼム。
▽正直言って、ネイマールとポジション争いをして勝てるのかという疑問もありますし、アトレティコから移籍してからの2年間、ほとんど白紙で過ごした上、現在は故郷のイスタンブール・バシャクシェヒルにレンタル移籍しているアルダ・トゥランの例もありますからね。MSN(メッシ、スアレス、ネイマールの頭文字)再結成となれば、それこそ昨夏、BBC(同ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウド)優先にうんざりして、レアル・マドリーからチェルシーへ行ってしまったモラタのような破目にもなりかねない?

▽おまけに先週末は奥さんのアントネッラさんが第3子を出産したため、メッシがお休みをもらっても、ルイス・スアレスとコウチーニョのゴールで0-2と簡単にマラガを退けてしまったバルサですよ。今季はすでにコパ・デル・レイで決勝進出、リーガも2位に勝ち点差8と独走状態、CLだけはまだ16強対決で、チェルシー戦1stレグを1-1で引き分けた後の2ndレグがこの水曜に控えているため、ちょっと先行き不透明な感はあるものの、上手くいけば21世紀になって、4度目のtriplete(トリプレテ/リーガ、コパ、CLの三冠優勝)もできるとなれば、そうまでクラック収集にこだわらなくてもと思うんですが…シメオネ監督も「憶測よりも現実について話さないといけない。Mañana es mañana/マニャーナ・エス・マニャーナ(明日は明日)」と言っていたように、今は下手に気を揉まない方がいいのかも。
▽まあ、その辺は私も忘れて、先週末のマドリッド勢のリーガ戦がどうだったのかをお伝えしていくことにすると、土曜のアジアン・ゴールデンタイムに先陣を切ったのはマドリー。もちろんこれは相手に乾貴士選手がいるための配慮なんですが、残念ながら、「Ellos fueron mejores, hicieron un gran partido/エジョス・フエロン・メホーレス、イシエロン・ウン・グラン・パルティードー(彼らの方が良かった。素晴らしい試合をしたよ)」と後でジダン監督に褒められていたエイバルも今年になって、ゴール量産態勢に入ったロナウドを止めることはできませんでした。ええ、先日のPSG戦ではベンチ待機をしていた、負傷明けのモドリッチが調子に乗ってきた前半33分、その彼のロングパスから決められて、先制を許してしまうことに。

▽いえ、エイバルも後半5分には、今季はずっとケガに悩まされてきたペドロ・レオンの蹴ったCKからラミスがヘッドを叩き込み、同点に追いついたんですけどね。マドリーには珍しい昼の時間帯開催の試合だったためか、急に便意をもよおしたセルヒオ・ラモスがピッチを外していた30分には乾選手も頭で勝ち越しゴールを狙ったんですが、ボールは枠を外れてしまいます。そうこうするうち、39分にはカルバハルのクロスをドンピシャのタイミングでロナウドがネットに送り込んだため、最後は1-2でマドリーが勝ち点3を持ち帰ることになりましたっけ。

▽え、後でエイバルのメンディリバル監督も「Otros equipos no te meten gol con un fallo, pero estos sí/オトロス・エキポス・ノー・テ・メテン・ゴル・コン・ウン・ファジョ、ペロ・エストス・シー(他のチームなら、1回のミスでゴールを奪われることはないが、こういう相手はそうだ)」と言っていたけど、本当に最近のロナウドはチャンスに失敗しなくなったって?そうですね、当人が出場したここ5試合のリーガ戦で計10得点しているおかげで、とうとう得点ランキングでもトップのメッシと6本差の18ゴール、3位まで追い上げてきたんですが、後悔先に立たず。

▽そう、シーズン前半戦でも彼が今と同じ頻度で決めてくれていたら、首位と勝ち点差15という絶望的な状況にはなっていなかったはずですからね。それを思うと、素直に喜べないマドリーファンもいるかもしれませんが、まだCL決勝への道は遠し。この金曜に対戦相手が決まる4月の準々決勝までチームの調子を維持するため、日曜に好調ジローナをサンティアゴ・ベルナベウに迎える試合を含め、足慣らしは続けていってもらわないといけません。

▽そして同じ土曜、夕方からの試合だったのは弟分のヘタフェで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにレバンテを迎えたんですが、こちらはダブルの意味で残念。というのも前半はアンヘルやホルヘ・モリーナにチャンスが再三あったものの、決めきれず。15試合白星がないため、降格圏が近く、先週はムニス監督をパコ・ロペス監督に代えていた相手も必死だったため、何度もピッチでtangana(タンガナ/揉み合い)が起きたり、イエローカードが飛び交ったりしていたんですが、まさか後半33分、レバンテが唯一、チャンスを作れていたCKから、コケにヘッドを決められてしまうとは!

▽おまけに柴崎岳選手はカンテラーノ(下部組織の選手)のメルヴェイユ、久々にベンチ入りをしたアルバロ・ヒメネスの後、残り3分からの出場でしたしね。結局、そのまま0-1で試合は終わり、「Hemos errado ocasiones claras y lo hemos pagado/エモス・エラードー・オカシオネス・クラーラス・イ・ロ・エモス・パガードー(ウチは絶好機にミスして、そのツケを払った)」(ボルダラス監督)という結果になってしまいましたが、実はこれ、彼らにとって10試合ぶりのホーム敗戦だったとか。うーん、すでに勝ち点36あって、1部残留はほぼ確定しているヘタフェですが、このままだと、tierra de nadie/ティエラ・デ・ナディエ(誰のものでもない場所)の順位で締まらないシーズン終盤になってしまうこともありえますからね。次のレアル・ソシエダ戦では気合を入れてくれるといいんですが。

▽え、翌日曜にはお隣さん同様、リーガ逆転優勝の目がほぼなくなったアトレティコも頑張ったじゃないかって?その通りで、前節はバルサに1-0と負け、勝ち点差が8に広がったにも関わらず、ワンダ・メトロポリターノでのセルタ戦ではベストメンバーを並べてスタート。もちろん先週のヨーロッパリーグ16強対決ロコモティブ・モスクワ戦1stレグで3-0の快勝と、この木曜の2ndレグでは楽ができそうだったからもありますが、何より驚かされたのは絶対ムリと言われていたGKオブラクが手と臀部の負傷を超特急で乗り越えて、ゴールを守ってくれたことでしょうか。

▽ただこの日も試合はなかなか動かず、セルタがオブラクを煩わすことも前半のうちはなかったんですが、恒例の0-0でハーフタイムを迎えなくて済んだのは44分、ガビのCKをヒメネスが落としたボールを拾ったグリーズマンのおかげ。ええ、前を塞いだジョニーとGKルベンを見事な切り返しで座らせて、ゴール右上隅に決めてくれるんですから、チームメートだって、「彼に頼むのは、ウチにいる間は全力でプレーして違いを見せてほしいということ、porque es de los pocos de este equipo que lo puede hacer/ポルケ・エス・デ・ロス・ポコス・デ・エステ・エキポ・ケ・ロ・プエデ・アセール(それができるこのチームの少ない選手だからね)」(ガビ)と持ち上げない訳にはいかないかと。

▽おまけに後半11分にもグリーズマンはその才能を発揮して、ビトロにアトレティコ移籍後リーガで初となるゴールをプレゼント。その直後、ビトロと交代したコレアも24分にはコケのスルーパスから2度撃ちして3点目を入れてくれたんですが、うーん、返す返すも惜しいのは、この日の効率の良さがカンプ・ノウでは見られなかったこと。まあ、だからこそバルサは首位で、アトレティコは2位なんでしょうけどね。とりあえずは、「Mi deseo es llegar con opciones a las ultimas cinco jornadas/ミ・デセオ・エス・ジェガール・コン・オプシオネス・ア・ラス・ウルティマス・シンコ・ホルナーダス(自分の望みはオプションを持って残り5節を迎えること)」とシメオネ監督も言っていたように、1試合1試合、勝っていけば、何かいいこともあるかもしれませんよ。

▽そんなアトレティコはマドリッド勢で唯一、今週のミッドウィークに試合があるチームで、いやあ、木曜のロコモティブ戦は時差のあるロシアで開催のため、キックオフが午後5時(日本時間翌午前1時)とイレギュラー。妙に早い時間とあって、私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で流してくれるか、ちょっと心配なんですけどね。次の日曜はアウェイでビジャレアル戦と油断はできないため、セルタ戦の終盤はゴールキックをヒメネスに頼んでいたオブラクなどは気温零下のモスクワでまた風邪を引かないようにお休み、若いベルネルに任してみてもいいかと思いますが、カラスコ、ガイタン、モヤ、アウグストの退団で、今のアトレティコは総勢たったの19人。うちサビッチだけ、まだケガから復帰していないため、おそらく全員、飛行機には乗せられるんでしょうね。

▽一方、日曜の遅い時間にはアトレティコとは真逆の状態、ELオリンピック・マルセイユ戦1stレグで3-1と負けて帰ってきたアスレティックにサン・マメスでレガネスが挑んだんですが、remontada(レモンターダ/逆転突破)で頭がいっぱいの相手の状況を利用することはできず。ええ、前半10分と16分にラウール・ガルシアにゴールを決められ、まったく反撃できずに2-0で負けるって、やっぱり未だにコパ準決勝敗退の影響が続いている?

▽うーん、こうなるとこの日曜の相手、セビージャが火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのCLマンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグ(1stレグは0-0)に負け、念願の準々決勝初進出を逃してショックを受けたとしても、レガネスが優位に立つことは難しいそうですが、さて。ちなみにコパ準々決勝でセビージャに敗退したアトレティコは3節前のリーガで2-5勝利とリベンジに成功。きっとレガネスファンも兄貴分に倣って、初のコパ決勝の夢を砕いてくれた相手にブタルケで一泡ふかせてやりたいと思っているんじゃないでしょうか。

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