【原ゆみこのマドリッド】今熱いのはマドリッド南部のチームかも…

2018.02.03 13:30 Sat
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▽「ファンだって、これに懸けるしかないものね」そんな風に私が呟いていたのは金曜。14日にサンティアゴ・ベルナベウであるCL決勝トーンメント16強対決のPSG戦1stレグで一般チケットが売り出しからたったの37分間でソールドアウト。ネット上のreventa(レベンタ/ダフ屋)では300ユーロ(約4万2000円)から、果ては2万4000ユーロ(約330万円)の高値で取引されているという記事をマルカ(スポーツ)紙)で見つけた時のことでした。いやあ、コパ・デル・レイ準決勝1stレグが行われた今週、すでにマドリッドの両雄は敗退済みとあって、各紙のクラブページもミニマムに。だからといって、翌15日にヨーロッパリーグ決勝トーナメント32強対決1stレグを戦うアトレティコの相手、コペンハーゲンの情報など、皆無に等しかったんですけどね。

▽ネイマールやムバッペにレアル・マドリー移籍の噂があったことや、スペイン人のエメリ監督が率いているのも話題を作りやすかったんでしょうか。ここ数日、マドリーページの半分がPSG関連で埋まっているのにうんざりしていた私でしたが、まあ確かに。いくらリーガのレバンテ戦を土曜に控え、前日記者会見で久々に話したジダン監督が、「La Liga dices que está sentenciada y yo no lo creo/ラ・リーガ・ディセス・ケ・エスタ・センテンシアーダ・イ・ジョ・ノー・ロ・クレオ(君はリーガの結果はもう決まっていると言うが、私はそうは思わない)」と主張しても、首位バルサとの間には厳然たる勝ち点19の壁が。どこから見ても逆転優勝はムリそうとなれば、来季はUEFAの規則が変わって、スペインは2位から4位まで直接CLグループリーグに出場できますからね。

▽となれば、4位から落ちないことさえ気をつけていれば、「Tenemos que terminar la Liga lo más alto posible/テネモス・ケ・テルミナール・ラ・リーガ・ロ・マス・アルトー・ポシーブレ(ウチはできるだけ高い順位でリーガを終えないといけない)」(ジダン監督)ということもなさそうですが、それより大事なのはCLで3連覇できる可能性をシーズン終盤まで残しておく方。万が一、決勝トーナメントの最初で躓いたりしたら、マドリーファンは残りの3カ月、夢も希望もない日々を送る破目になるとなれば、とにかくPSG戦はスタジアムに駆けつけて、チームを応援しようという心理もチケット高騰の原因になっているんでしょうか。
▽まあ、マドリーについてはまた後で話すことにして、今週の主役はその兄貴分を逆転で準々決勝敗退に追いやって堂々、マドリッド唯一のコパ生き残りとなったレガネスで、水曜にはブタルケで準決勝1stレグが開催。その相手は同じ兄貴分のアトレティコを連勝で破ったセビージャだったんですが、さすがここまでの高みまで来たのはクラブ史上初とあって、マドリー戦同様、平日の午後9時30分という遅いキックオフだったにも関わらず、スタジアムから人が溢れんばかりの盛況ぶりでしたっけ。正面スタンドとfondo norte/フォンド・ノルテ(北側ゴール裏席)の間の角に陣取ったセビージャ応援団から開始直前、発煙筒が投げ入れられたり、爆竹の煙でそのエリアが真っ白になったりと、ちょっと過激な雰囲気もあったんですが、大丈夫。他の席にホームサポーターに混じって座っていたセビージャファンはまったく問題を起こしていませんって。

▽試合の方は序盤から優勢だったビジターアウェイチームが20分、サラビアのパスをムリエルがシュートしたところ、ボールがポストに当たってゴールとなり、レガネスは先制点を奪われてしまうことに。それからもGKシャンパンの連続セーブなど、危険なシーンもあったんですが、後半頭から、イエローカードをもらっていたブラサナツに代わり、先日、ベルナベウでエリア外から殊勲の同点弾を決めたエラソが入ったのがいい刺激になったんでしょうか。しばらくの間、攻勢に転じたレガネスは55分、彼の放ったCKをファーポストでブスティンサが敵DFと争いながらヘッド、高く上がって落ちてきたボールをGKセルヒオ・リコがパンチングでクリアしようとしたんですが…何と空振りしてしまったから、さあ大変! 丁度、その下にいたシオバスの頭にボールがミートして同点ゴールになるなんて、目が点になるとはまさにこのこと?
▽いやあ、実はそのセルヒオ・リコは先週末のリーガ戦でも後半アディショナルタイムに似たようなハイボールのクリアミスを犯し、お隣さんのヘタフェがアンヘルのゴールで勝ち点1をゲットと、ラッキーボーイになってくれていたんですけどね。その後は辛くも守り切り、1-1で「hemos conseguido el empate y mantenemos viva la eliminatoria/エモス・コンセギードー・エル・エンパテ・イ・マンテネモス・ビバ・ラ・エリミナトリア(ウチは引き分けをもぎ取り、対戦を生きたものに保った)」(ガリターノ監督)レガネスは、初戦に1-2と負けたアトレティコよりいい状況で来週の水曜の2ndレグに挑むことに。ただ、怖いのはサンチェス・ピスファンの雰囲気で、いえ、ほとんど観客がセビージャファンになるため、発煙筒や爆竹の数が比べものにならないなんてこと、まったくありませんよ。

▽そうではなく、私もアトレティコとの2ndレグをTVで見た時、感じたんですが、キックオフ前、暗くした場内にレーザー光線が飛び交う中、ファンが合唱するhimno de centenario(イムノー・デ・センテナリオ/クラブ生誕百周年記念の歌)が響き渡る光景は鳥肌が立たんがばかり。そのせいかどうかは知りませんが、ボヤッとしてゲームを始めたアトレティコなんて、開始23秒でゴールを喰らっていましたからねえ。おまけに相手はコパ5回、EL5回に優勝と準決勝慣れしていますし、やはりこの日の押し込まれぶりを見ると、レガネスが勝ち抜けて4月21日、兄貴分ご自慢の新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノで翌木曜の準決勝1stレグでは好カードにも関わらず、ガラガラだったカンプ・ノウでバレンシアに1-0と先勝。来週木曜のメスタジャは満員御礼でremontada(レモンターダ/逆転突破)を後押しするようですが、このままだとコパ4連覇を果たしそうなバルサと晴れの決勝の舞台に立つのは難しいような気がしますが、いえいえ、諦めてはいけません。

▽そう、相手にアキレス腱があるとすれば、まあ、これはブタルケで一緒になった顔見知りのガーディアン(イギリスの一般紙)の記者の冗談でしょうが、「マンチェスター・ユナイテッドとのCL16強対決に勝つのを諦めて、コパに懸けているのかもしれない」と言っていたように、セビージャはモンテッラ新監督になってから、トップのムリエルとベン・イェデル以外、選手のローテーションがほとんどないということ。実際、同じベストメンバーでずっとリーガもコパも戦っているのは諸刃の剣で、土曜のエイバル戦も選手を変えず、2ndレグまで来るようだと、いい加減、疲労が半端ないと思うんですが、さて。それとも冬の移籍市場で補強したFWサンドロ(エバートン)、右SBラユン(ポルト)、ロケ・メサ(スワンジー)らが、いよいよ登場となるんですかね。

▽え、そんなセビージャに比べればかなりローテーションをしているレガネスだけど、さすがにこの日曜のマドリー郊外ダービー、ヘタフェ戦では体力の限界に近いんじゃないのかって? そうですね、ガリターノ監督は「Si no jugamos un buen partido, no será por el cansancio/シー・ノー・フガモス・ウン・ブエン・パルティードー、ノー・セラ・ポル・エル・カンサンシオ(いい試合をしなかったとしてもそれは疲労のせいじゃない)」と言っていたものの、ケガが治ったのはルーベン・ペレスだけ。補強もLEP(スペイン・プロリーガ協会)がサウジアラビアからスポンサー料付きで連れて来たアル・シェーリ(アル・ナセル・リヤド)だけと、フル出場はしなくても皆勤しているガブリエル・ピレスやアムラバットら、かなりしんどいところはありそうですけどね。

▽そこはもう、選手たちの根性で頑張ってもらうしかないんですが、一方のヘタフェはコパ早期敗退のおかげで新年からずっと週1ペースで試合。だからって訳ではないものの、丁度、今週は寒さも少し緩んだため、私も木曜にコリセウム・アルフォンソ・ペレスの側にあるシュダッド・デポルティバに偵察に行ってみたところ、いやあ相変わらず、このチームはセッションが長いこと。その日は午前11時に始まり、終わったのは午後1時近くで、やれやれと私も引き上げようとしたんですが、あら? 居残って、CKを蹴り始めた選手が2人いて、その片方が柴崎岳選手だったとなれば、動けないじゃないですか。

▽いやあ、ヘタフェに来てからはセットプレーのキッカーを務める姿を1回ぐらいしか見かけたことのない彼だったんですけどね。昨季後半から入団したテネリフェ(2部)でも担当するようになったのは2カ月ぐらい経ってからだったため、そろそろボルダラス監督もアントゥネス、ダミアン以外のキッカーを試してみたくなった? 最初はファジルがエリア内のフィニッシャーを務め、後は交互にCKを蹴って、コーチ2人がシュート役。何度もいいところに来たと褒められていましたが、とうとう最後にはファジルも帰ってしまい、柴崎選手だけ更に数分、FKにもトライ。結局、全体練習終了後、30分も追加特訓って、もしやこれはレガネス戦で彼の蹴ったセットプレーから得点が生まれるのを期待してもいい?

▽ちなみにヘタフェは契約解除をしたラセンに代わるMFを移籍市場クローズまでに獲れず、ようやくこの金曜にフリーだったフラミニ(昨季はクリスタル・パレス)が入ったんですが、その日の練習のpartidillo(パルテディージョ/ミニゲーム)では柴崎選手がボランチに入る時間も。同日、入団プレゼンだったFWロイク・レミ(ラス・パルマス)はシーズン前半5得点という実績もありますし、すぐベンチに入れるかもしれませんが、アーセナルやミランで活躍したベテラン33歳のフラミニにはブランク期間が結構、ありますしね。これまでは第2FWやトップ下で使われていた柴崎選手にも時にはポジションを下げて、ベルガラが負傷で全治2、3カ月と手薄になったゾーンを助けてもらいたいという意図が監督にはあったのかも。そんなヘタフェvsレガネス戦は日曜正午(日本時間午後8時)からコリセウム・アルフォンソ・ペレスでキックオフ、前半戦の対決ではアランバリとアンヘルのゴールで1-2とヘタフェが勝っていますが、今回はどんな結果になるでしょうかね。

▽そして「Hemos tenido semana larga y es el momento para echar gasolina/エモス・テニードー・セマーナ・ラルガ・イ・エス・エル・モメントー・パラ・エチャール・ガソリーナ(ウチは長い1週間を過ごして、今は給油する時)」(ジダン監督)というお隣さん同様、日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)から、とんでもない寒波到来の予想が出ているワンダにバレンシアを迎えるのがアトレティコなんですが、こちらも私が水曜にマハダオンダ(マドリド近郊)の練習場に見学に行ったところ、やっぱりミッドウィークに試合がないせいでしょうね。いつもは1時間で終わるセッションが1時間半あったのには驚いたんですが、取材陣用にある敷地内の高台から見ていた15分間はゴムでできた半球のクッションを使ったエクササイズとパス回しだけ。

▽外に出された後、敷地をグルリと回って金網のフェンス越しに眺めていたメインの方は選手たちを2班に分け、仮想先発組、仮想控え組がそれぞれカンテラーノ(下部組織の選手)のチームと対戦するというものでしたが、そのお題の開き直りぶりはあっぱれの一言。ええ、まず前線がボールを敵陣で失ったところからプレーが始まり、GKオブラクの近くで取り戻して速攻カウンターというのが筋書きなんですが、まあゴディンやヒメネスのロングパスの狙いが外れ、すぐに敵が戻って来るのは昨今のアトレティコでは日常茶飯事ですから、批判はできませんよね。かといって、後方から几帳面に繋いでいく器用さもない彼らとなれば、この週末はケガが完治したジエゴ・コスタもグリーズマンとコンビを組めそうともあって、シメオネ監督がカウンターに懸けるのは正解だったかも。

▽その上、相手はコパで疲労困憊、ガライ、ゲデス、コンドグビア、そしてバルサ戦でセルジ・ロベルトのレッド相当、でもイエローカードだった足を上げてのタックルで打撲したペレイラもケガで出られないバレンシアとなれば、かなりアトレティコの勝率は上がるんじゃないかと思いますが、こればっかりはねえ。とりわけ気になるのは前節のラス・パルマス戦でもハーフで交代させられたコケの目に余る不調ぶりで、いえ、丁度、帰りがげに敷地の横にあるパステレリア(パンやケーキの食べられるカフェ)前の駐車場出入り口から出て来た当人はいつものように愛想良く、サインや写真を頼むファンに応じていましたけどね。

▽この冬の移籍市場でGKモヤがヘタフェに戻ることはなかったものの、MFはアウグストが中国の北京人和に行ってしまったため、ボランチがガビ、コケ、サウール、トマスら、ゲームメーカーの概念とは程遠いカンテラーノの独壇場になってしまうのがちょっと心配なんですが、長年アトレティコファンをやっている、私の家の前にあるキオスクのお兄さんによると、「昔からチームの司令塔なんていなかった」のだとか。要はバルサやマドリーとはまったく別次元のサッカーだと思って見るしかないんですが、何はともあれ、ELが始まるまで、できるだけ沢山ゴールを挙げて勢いをつけるのと共に、勝ち点差11で逆転優勝の目はお隣さん同様、ほとんどなくても現在、3位バレンシアと6差の2位の座は死守してほしいかと。

▽そして最後に土曜午後8時45分から、アウェイでのレバンテ戦に臨むマドリーについてですが、ジダン監督は前節、バレンシアを1-4と破ったことを良しとして、再びBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)をリピートするよう。うーん、最初の2点はPKでしたし、終盤の2点はベイル、ベンゼマが退いて、ルーカス・バスケス、アセンシオが入ってから決まったんですけどね。リーガ20チーム中、この1月に補強を一切しなかったのがマドリーだけだったのを見てもわかるように、看板アタッカーへの信頼は絶大とはいえ、レバンテも今は降格圏まで勝ち点2の16位とあって、必死ですからね。シーズン前半戦にはベルナベウで1-1の引き分けと健闘していますし、この冬、7人も加入したとあって、油断は禁物。そうそう、マドリーでは前節お休みしたセルヒオ・ラモスとイスコが復帰するようですが、PSG戦まであと2週間を切りましたし、今はまだ、あまりムリして長い時間プレーさせない方がいいかもしれませんね。

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