【原ゆみこのマドリッド】意外なチームがコパに残った…

2018.01.27 10:00 Sat
▽「つまり大一番は2月の3週目まで来ないってことか」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、コパ・デル・レイ準決勝の組み合わせが決まり、来週ミッドウィークのお出かけ予定はできたものの、マドリッドの両雄の顔を拝むのは週末までないことに気づいた時のことでした。いやあ、それでもまだ来月、CL16強対決PSG戦に挑むレアル・マドリーとヨーロッパリーグ32強対決コペンハーゲン戦に挑むアトレティコにはタイトルを獲る可能性が残されているんですけどね。クリスチアーノ・ロナウドなど、丁度、木曜に中国のスポーツメディアから表彰を受けた席で「Si al final ganamos la Champions sera un año increíble/シー・アル・フィナル・ガナモス・ラ・チャンピオンズ・セラ・ウン・アーニョ・インクレイブレ(最終的にCLに優勝すれば信じられない程いい年になる)」と話していましたが、まあ確かにCL3連覇なら威張れる記録と言えなくはなし。

▽翻って、アトレティコファンからコパ敗退の埋め合わせはEL優勝でという声はあまり聞こえてこないんですが、実際、シメオネ監督はジダン監督のように責められてはいませんからね。もちろん、このミッドウィークのコパ準々決勝2ndレグに関しては同様に、足りないところもありましたが、それがない袖は振れなかったのと、原因不明の出し惜しみをしてしまったせいだったのは彼岸の差。おかげで就任以来、トロフィーを8つも獲ってきた指揮官が、あれよあれよという間に進退を問われる騒ぎになってしまう辺り、やっぱり世間からの要求が高いマドリーなればこそと気の毒になってしまったんですが…。

▽とりあえず、順番にコパ準々決勝の顛末を話していくことにすると、1stレグで1-2と負け、火曜にサンチェス・ピスファンに乗り込んだアトレティコは見事にremontada(レモンターダ/逆転勝ち抜け)に失敗。まあ元々、お隣さんと違って得意分野ではありませんでしたし、頼りのジエゴ・コスタがリーガ前節のジローナ戦で負傷して、お留守番だったため、期待もあまりできなかったんですけどね。まさか自分たちがキックオフしてからたったの26秒、サラビアのクロスをエスクデーロに決められて、先制点を奪われるとはもしや、伝説の悪癖、「眠ったままピッチに出る」が復活した?
▽ただ幸い、この時はすぐにアトエティコもショックを克服し、12分にはリュカのロングパスをガメイロが落とし、そのボールをグリーズマンがエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)にして同点に追いつくことに。あと1点を取れば、少なくとも延長戦に入れるため、その後も再三、ベルサリコがクロスを入れてチャンスを作ったんですが、フィニッシュを担当したフランス人FWコンビは追加点を挙げることができず。1-1のままハーフタイムに入ったところ、またしても後半開始早々、不運が降りかかります。それは3分、エリア内に入ったセビージャのコレアをサウールが倒し、ペナルティを献上しているってもう、シメオネ監督が来る前の悪しき慣習、「Falta de concentracion/ファルタ・デ・コンセントラシオン(集中力不足)」(ヒメネス)に加え、生来のツキのなさが戻ってきたとしか思えないじゃないですか。

▽GKモヤはバネガのPKを止められず、2-1とされたアトレティコは3分後、コレアがGKセルヒオ・リコと1対1のシュートを撃つも当然のごとく弾かれて、得点できませんでしたしね。交代でカラスコ、フェルナンド・トーレスが入るも敵ゴールには近づけないまま、逆に33分にはカウンターからサラビアに3点目を決められたとなれば、その数分後、シメオネ監督が審判への抗議で退場してしまったのもこれ以上、まともにプレーも繋げないチームを見ているのがイヤになったから?ええ、最後は総合スコア5-2と、モンテッラ監督に「セビージャとの契約にサインした時から夢見ていたような夜」をプレゼントしているんですから、呆れたもんじゃないですか。
▽いえ、シメオネ監督は「Tengo la responsabilidad de caer eliminados de la Champions y de la Copa/テンゴ・ラ・レスポンサビリダッド・デ・カエール・エリミナードス・デ・ラ・チャンピオンズ・イ・デ・ラ・コパ(CLとコパで敗退したのは自分の責任)」と言っていましたけどね。CLグループリーグはFIFA処分でまだコスタがプレーできず、この日もケガでいなかったのは仕方ないんですが、それ以外のFWがほとんどゴールを決められないのは監督にはどうしようもありませんし、コケ、サウールといったMFたちも最近はパスをまともに送れない状態となれば…そうそう、次は日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)に降格圏にいるラス・パルマスをワンダ・メトロポリターノに迎える彼らですが、金曜のマハダオンダ(マドリッド郊外)での練習には予想外に早く回復したコスタが参加。

▽おかげで先週のジローナ戦から始まった3CBプラス2SBのシステムが、通常の4-4-2に戻ったというニュースもあったため、ワンダでのコパ決勝でアトレティコを応援する夢が消えたファンにお詫びする意味でもいい試合をしてくれることを期待。年明けからパコ・ヘメス新監督を迎えた相手は前節、バレンシアに2-1と勝利して、ちょっと勢いをつけているようですが、幸いセビージャ戦での退場によるシメオネ監督の3試合ベンチ入り禁止処分も来季のコパで済ませればいいようですしね。首位バルサとの勝ち点差も今や11にもなりますし、2位をキープできれば、後はゆっくり、EL決勝トーナメントのために調子を整えてくれればいいですよ。

▽そして翌水曜は早い試合でアラベスvsバレンシア戦が延長戦にもつれ込み、結局、PK戦で後者がコパ準決勝の切符を手に入れたんですが、その頃にはすでにサンティアゴ・ベルナベウでもマドリーvsレガネス戦がスタート。先週の1stレグでは終了間際にアセンシオがゴールを決め、兄貴分が0-1で先勝していたため、優勢と見られていたんですが、何と前半31分、アムラバットのプレスに驚いたか、アクラフが後ろに送ったパスをナチョが取り損ね、そのボールを奪ったエラソがエリア外から豪快なシュート、これで先制点を挙げたレガネスが総合スコアをタイに持ち込んでしまったから、さあ大変!

▽そのままマドリーに得点がなく、前半が終わった時にはパルコ(貴賓席)にいたペレス会長も「心配して、周りの人にベンチに誰がいるのか訊いていたわ」と、レガネスのビクトリア・パボン会長が後日、AS(スポーツ紙)のインタビューで暴露していましたが、いやいや。コパではここまで格下のフエンラブラダ(2部B)、ヌマンシア(2部)双方共、ホームでの2ndレグで2-2と引き分けていた彼らですし、曲りなりにもこの日の相手は同じ1部ですからね。リードも1点しかなかったため、キックオフ前、メンバー表が出た時から、控えにクロースやマルセロはともかく、前節のデポルティボ戦でそれぞれ2ゴールと活躍したロナウドもベイルもいないのを不安に思わなかったのは、「Yo tenia un equipo competitivo ante el Leganes/ジョ・テニア・ウン・エキポ・コンペティティボ・アンテ・エル・レガネス(自分はレガネス相手に競争力のあるチームを持っていた)。少なくとも紙の上ではね」というジダン監督だけだったかと。

▽それでも後半2分にはルーカス・バスケスのアシストでベンゼマが同点ゴールを決め、危機は去ったかと思われたんですが、10分のCKでテオがガブリエル・ピレスのマークに失敗、ヘッドを決められて再びリードされてはねえ。元々、守備が堅いことに定評があるレガネスですし、点を取るべくピッチに入ったのがまずはカルバハルとモドリッチ。30分を過ぎてようやくFWのマジョラルが加わったものの、交代したのがイスコとあって、スタンドからはpito(ピト/ブーイング)が響き渡ることに。ふくらはぎのケガが治り、今年初出場を果たしたセルヒオ・ラモスも終盤、CFとして頑張ったんですけどね。デポルティボ戦では3人目のdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を果たしたナチョもこの日は不発とあって、結局、試合は1-2でレガネスが勝利。そう、総合スコア2-2、アウェイゴールによる弟分の逆転勝ち抜けです。

▽え、これじゃ試合後の場内は凄いブーイングだったろうって?そうですね、スピーカーからはいつものように大音響でクラブ歌が流れてきたものの、隠しきれなかった程だったんですが、そんなのことはピッチで歓喜を爆発させていたレガネス陣営には知ったことじゃなし。ガリターノ監督などは、「まだ祝うことは何もない。Salir de Segunda B a Segunda fue lo mas importante para este Leganes/サリール・デ・セグンダ・ベー・ア・セグンダ・フエ・ロ・マス・インポルタンテ・パラ・エステ・レガネス(このレガネスにとって、一番重要だったのは2部Bから2部に昇格した時だった)」とクールだったんですが、後でTVで見たロッカールームの光景や応援に駆けつけたファンに呼ばれて再びピッチに出て来た選手たちの喜びよう、バスでインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケに戻った夜中の2時にファンがお出迎えしていた様子など、まるで優勝でもしたかのような騒ぎでしたっけ。

▽一方、まさかの敗退を喫したマドリーでは、いえ、試合終了の笛が鳴ったすぐ後、このBチームの中では唯一、昨季と同じ働きを披露していたルーカス・バスケスが「Que puta verguenza todo esto!/ケ・プータ・ベルグエンサ・トードー・エスト(全てが最悪の赤っ恥だ)」と吐き捨てていたのはともかく、「Es un fracaso y lo asumo, soy el responsable/エス・ウン・フラカソ・イ・ロ・アスモ、ソイ・エル・レスポンサブレ(これは失態だと受け入れているし、自分の責任だ)」というジダン監督を始め、ミックスゾーンに現れたカルバハルやラモスもコパ優勝の目標が道半ばにして潰えてしまったのを嘆くことに。ええ、実際、もうリーガも首位と勝ち点差19では望みはほとんどありませんし、だったら、どうして週末に備えて、ロナウドやベイルを温存したんだという疑問は湧くものの、後悔先に立たず。

▽それこそ「Solo nos queda la Champions/エオロ・ノス・ケダ・ラ・チャンピオンズ(ボクらにはCLが残っているだけ)」(カルバハル)となれば、もう後はPSG戦が来るまで力を蓄えて、土曜午後4時15分からのメスタジャではコパ準々決勝で力を使い果たしている上、来週は木曜にエスパニョールを2-0と勝利、総合スコア2-1で逆転突破を果たしたバルサと準決勝を戦うことになり、気もそぞろなバレンシアを前にマドリーらしい試合を見せてくれることを期待するしかありません。そうそう、金曜にはラモスがケガを再発、イスコも練習で腰を痛めて遠征に参加できなくなったなんて悪い知らせも入ってきましたが、向こうもベソとパウリスタが出場停止。ガライしかCBがいませんからね。久々に先発で揃い踏みするBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)には、CL出場圏のライバル相手にゴールを稼ぐいい機会になるかもしれません。

▽そしてレガネスは日曜にこちらは、コパ逆転敗退で落ち込んでいるエスパニョールをブタルケに迎えた後、水曜のコパ準決勝1stレグでセビージャとホームで対戦することになったんですが、偶然にも今回、週末のリーガでそのセビージャと当たるのはお隣さんのヘタフェ。何せ、こちらは早くにミッドウィークの戦いから敗退しているため、休養十分で体力がありますからね。エースのホルヘ・モリーナが累積警告、左SBのダミアンがケガで出場できませんが、ここは柴崎岳選手にも頑張ってもらって、サンチェス・ピスファンで兄貴分の敵討ちプラス、同じ弟分のため、できるだけ相手を消耗させてほしいかと。そんなセビージャvsヘタフェ戦は日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からキックオフ。シーズンが折り返して、また強敵相手の試合が続くヘタフェなんですが、実は今節、そして次のレガネスとのダービー、そしてバルサ戦と、コパにどっぷり浸っているチームとばかり当たるのは、ちょっとラッキーな偶然ですよね。

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