【原ゆみこのマドリッド】アブ・ダビは暖かいに違いない…

2017.12.16 12:30 Sat
▽「この寒さじゃ、早く行く気はしないわよねえ」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日、今年最後となるワンダ・メトロポリターノのアラベス戦は土曜の午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からと遅いキックオフながら、いい稼ぎ収めになるとクラブも思ったんでしょうかね。午前中にはスタジアムツアーを開催、恒例のファンゾーンやフードトラックも午後6時には営業開始と、ファンに試合の数時間前から来てもらいたいようなアピールをしているのをアトレティコのオフィシャルウェブで見た時のことでした。いやあ、最近はマドリッドの冬も本格化、夜になると気温3、4度とかなり寒くなる上、ワンダ周辺は広大な更地とあって、まったくの吹きっさらしなんですけどね。
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▽いくら食べたり飲んだりはできるとはいえ、それだったらメトロ(地下鉄)7号線、エスタディオ・メトロポリターノ駅1つ手間のラス・ムサス駅下車して、途中にあるバル(スペインの喫茶店兼バー)で暖まっている方がいいと思ってしまう私は軟弱?実際、当日はお隣さんのクラブW杯決勝が午後6時(日本時間翌午前2時)からという時間にあるため、いっそそのグレミオ戦をワンダ近隣で見てしまおうかとも考えたものでしたが、うーん、アトレティコファンに囲まれてレアル・マドリーの応援をするのはかなり微妙。ビセンテ・カルデロン時代は続いて始まる試合をスタジアム併設のバルで見たりもしましたが、悪態が飛ぶ中、ゴールを大っぴらに喜べなかったという経験がありますしね。▽となると、ここはやっぱり自宅近くのバルで途中まで観戦して、優勝祝いのシーンなどは後日、ニュースで確認するのでもいいかなと思ったりもするんですが…え、万が一、セルヒオ・ラモスがその中心におらず、ブラジルのチームのキャプテンがトロフィーを掲げていたら、どうするんだって?うーん、その場合、運が悪かったと諦めるしかないものの、どうして火曜の準決勝で本田圭佑選手のいるパチューカ(メキシコ)と延長戦に突入、かろうじて1-0で決勝進出を決めた相手にそんな心配をしなければならないのかというと。そりゃあ、マドリーの準決勝、水曜のアル・ジャジーラ戦もかなりドキドキさせられたからなんです!
▽そう、開催国のアラブ首長国連邦リーグ優勝チームとして参加したアル・ジャジーラを率いるテン・カテ監督はかつて、ロナウジーニョ全盛期で覇権を謳歌したバルサでライカールト監督のアシスタントを務めていたせいか、マドリーのことを熟知。前日記者会見でも「Necesitamos tres autobuses/ネセシタモス・トレス・アウトブセス(ウチはバス3台が必要だ)」と宣言していた通り、守備に特化していたんですが、予想外だったのは序盤から攻め続けだったマドリーが、GKハセイフの「息子や孫たちに語り継げる歴史的な」奮闘もあって、なかなか点を取れなかったこと。いえ、30分にはイスコのクロスをカセミロがヘッドで決めて、ようやく先制点ゲットかと思われたんですけどね。

▽ところが最初はカセミロのファールを吹いた主審が選手たちの抗議でそれを撤回して得点を認めたながら、今度はVAR(ビデオ審判)から異議が。都合3分近くのプレー中断の末、最後はベンゼマのオフサイドがあったとしてノーゴールって、あまりに間が長すぎたかと。すると今度は40分、「Sabiamos que iban a estar abiertos y por eso hemos tenido dos delanteros/アビアモス・ケ・イバン・ア・エスタル・アビエルトス・イ・ポル・エソ・エモス・テニードー・ドス・デランテーロス(オープンなゲームになるとわかっていたから、FWを2人入れた)」というテン・カテ監督の読みが的中。カウンターからブスファとロマリーニョが抜け出すと、後者がGKケイロル・ナバスをかわしてゴールって一体、何の冗談でしょう!
▽おまけに後半2分にも敵はカウンターを成功させ、今度はブスファがアル・ジャジーラの2点目を挙げたかに見えたんですが、この時はVARがマドリーに味方。オフサイドを取られて無効になったため、命拾いした彼らだったんですが、むしろ有難かったのはそれから数分もしないうちに前半から、負傷を抱えていたGKハセイフが交代してくれた方だったかと。ええ、7分にはモドリッチのスルーパスから、とうとうクリスチアーノ・ロナウドがシュートを沈めてくれましたからね。これで同点となったため、一旦はホッとできたんですが、そのから先が長かったの何のって。ええ、勝ち越し点がなかなか生まれず、ベンゼマなどGKアル・セナニとの1対1で弾かれるわ、2回もシュートを枠に当てるわって、えー、これじゃお隣さんのビエットと同じじゃない?

▽さすがにこれにはジダン監督も同じフランス出身のFWのツキのなさを確信したんでしょうか。残り10分になったところで3人目の交代選手として、ベンゼマに代えてベイルを送り出すことにしたんですが、まさか、あんなにすぐに効果が表れるとは!ええ、彼がピッチに入って最初のタッチでルーカス・バスケスから折り返しに足を出したところ、待望の勝ち越し点になってしまうって、あまりに話が出来すぎのような気がしますが、そういえば、11月末にケガが治って久々の出場で、コパ・デル・レイ32強対決フエンラブラダ戦2ndレグの後半途中に入った時も同じでしたからね。その日も2部Bのチームに意表を突かれ、リードされていた場面で登場したベイルは最初のプレーでマジョラルの同点ゴールをアシスト。同選手の2点目も助けて、チームの16強進出に貢献したんですが、問題はその後。

▽というのも翌日には再びふくらはぎを痛め、このアル・ジャジーラ戦までお休みしていたからですが、そのまま1-2でマドリーが勝利した後、「辛抱強く自分の体の声を聞かないと。まだ100%じゃないから、ピッチに立つ時間がいる。少しずつリズムを取り戻していくよ」と言っていた当人は幸い、今回は具合の悪いところが出なかったよう。翌日のフリータイム、チームメートがモスクやルーブル美術館分館見学に精を出している際もホテルに残り、マッサージを受ける程、用心していますし、練習も普通に参加できたそうですからね。

▽この準決勝をふくらはぎと首の痛みでベンチ観戦したラモスなども金曜には、「他の機会だったら考えるけど、決勝だから出たいし、そう努力するよ。Mañana con una ayudita médica, pues es más fácil/マニャーナ・コン・ウナ・アジュディータ・メディカ、プエス・エス・マス・ファシル(明日は薬の力も借りるから、もっと楽にやれる)」と言っていたように、いえ、彼の場合、うっかり退場して、FIFA規則で今年最後のリーガ、クラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦)に出られなくなるという危険もあったりするんですけどね。このグレミオ戦は曲りなりにもタイトルの懸かった大一番とあって、たとえ、先発ではなくとも、ベイルもチームの危機時には出て行く覚悟は決めているはずかと。

▽今度は19歳のアクラフに代わって右SBにカルバハルと、守備の方も改善が期待されますし、大体、35回もシュートして2点しか取れないなんて、カセミロも「Nunca tuvimos tan mala suerte/ヌンカ・トゥビモス・タン・マラ・スエルテ(こんなに運がなかったことはない)」と言っていたように、そうそうマドリーに起こることではないですしね。クラブW杯通算得点を6にして、メッシやルイス・スアレルを超える最多記録を達成したばかりのロナウドも更に差をつけたいと張り切っているはずですし、やっぱり今年もクラブ世界王者は彼らになるんじゃないんでしょうか。

▽え、そんなこんなでマドリーが遠い中東の地でスポットライトを浴びている間、マドリッドの他のチームは何をしていたのかって?いやあ、丁度この週末、その兄貴分とのミニダービーの節に当たっていたレガネスはその試合が来年まで行われないため、来週火曜の年内最終戦、レバンテとのアウェイ戦を目指して、ひたすら練習していますが、最初にお話しした通り、土曜にアラベス戦を迎えるアトレティコには前節をケガでお休みしたグリーズマンが復帰という朗報が。そのベティス戦で決勝点を挙げたサウールも週前半は筋肉痛でジムにこもっていたりしたものの、金曜に発表された招集リストに間に合うように回復。今回、負傷欠場するのはヒメネスのみですが、いくらシメオネ監督でもホームで4人もCBを投入して、守り抜く采配はしないでしょうからねえ。

▽相手もアベラルド新監督の元で再生、ここリーガ2試合に連勝して順位を18位へと上げ、ヘタフェを32強敗退させたコパ・デル・レイの試合も含めると3連勝と乗っているアラベスとはいえ、極寒の中、応援に駆けつけるファンを失望させることはないのでは?ちなみに金曜の記者会見でシメオネ監督は最近、レキップ(フランスのスポーツ紙)へのインタビューで移籍の噂が絶えないグリーズマンに関して、「彼のような選手が出て行きたいと言うなら、邪魔はできない」と発言したことを肯定。これはもう、ファルカオ(現モナコ)、ジエゴ・コスタ(2014年リーガ優勝後にチェルシーへ移籍)、ラウール・ガルシア(現アスレティック)らで経験した道で、「No puedo cerrar la puerta a alguien que nos dio la vida/ノー・プエド・セラール・ラ・プエルタ・ア・アルギエン・ケ・ノス・ディオ・ラ・ビダ(ウチに命を懸けてくれた選手の扉を閉ざすことはできない)」からだそうですが、でもそれって、来年の夏以降の話ですよね。

▽だってえ、今はようやく引き分け地獄を脱して、リーガ順位もお隣さんに勝ち点2差で単独3位。鬼の居ぬ間の洗濯で今節は更にリードを広げてやろうという野望のみならず、クラシコのおかげで首位バルサとの差を6から3に縮められれば、3年ぶりの優勝の可能性も出てくるアトレティコですからね。ファンも年が明ければ、グリーズマンとFIFA処分明けで出場できるようになるジエゴ・コスタの2人でコパ快進撃、決勝開催スタジアムに選ばれる予定のワンダでの戴冠や、2月から始まるヨーロッパリーグ決勝トーナメントでもあわよくばと期待に満ちているんですよ。大体、グリーズマンはチームを後にした偉大な先人たちと違って、まだタイトル獲得に貢献していないのですから、やっぱりこの冬の移籍は時期尚早かと。

▽まあ、その辺はリーガがクリスマスのparon(パロン/停止期間)に入ってからでもあれこれ出て来るでしょうが、とりあえず今は日曜正午(日本時間午後8時)にジローナ戦を控えるもう1つの弟分、ヘタフェの様子もお伝えしておかないと。実は今週は木曜に彼らを偵察に行った私ですが、クラブのオフィシャルページの練習予定(http://www.getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx)に当日朝には書いてなかったにも関わらず、非公開セッションとのことで練習場の入り口で追い返されてしまうことに。

▽いやあ、そうは言ってもグラウンドの向こうの丘にはいつも散歩している近所の住人がいるし、私も探せばたどり着けたはずですけど、その日はあいにく天気も冴えませんでしたしね。すごすご引き返すことにしたんですが、先週のエイバル戦でとうとう途中出場。ケガが完治した柴崎岳選手に会いたくて日本から来て、日を改めて出直すことができないファンがこのような目に遭った場合は練習場ゲート、あるいはコリセウム・アルフォンソ・ペレスの右側にある出入り口で待機するのがお勧め。選手たちは歩いてスタジアムのロッカールームとグラウンドを行き来するため、見逃すことはありませんし、ここでダメでも正面ゲート右手の関係者用駐車場出口という最終チャンスがありますからね。

▽ちなみにヘタフェの練習時間が長すぎて、すっかり体が冷えてしまったという人に教えてあげたいのは最近、マドリッドにも流行が訪れたらしいラーメン屋さんで、メトロのオペラ駅近くにあるRamen Kagura(calle de las Fuentes 1/ フエンテス通り1)と、同じ道をもう少し上がったところにあるKurayaは兄弟店のようで、ツケ麺が売りの後者では1度、私も柴崎選手と遭遇してビックリしたことが。メニュー・デル・ディア(本日の定食)は9.8ユーロ(約1300円)、トンコツ系で麺増量とかも頼めるため、どちらかというと男性向きでしょうか。

▽もう1つはサンティアゴ・ベルナベウに隣接したショッピングモールに入っている爛々亭(Ranrantei)で、いやあ、ここは営業時間が午後1時から3時と妙に短いのが欠点なんですが、スタジアムツアーの後に寄ったりするには便利かと。定食は12.50ユーロ(約1600円)、本格的な家系ラーメンですが、お店はフードコートにあるような感じで1人でも入りやすいかも。あと、私が気に入っているのはビルバオ駅近くにオープンしたてのKonnichiwa(Calle de Fuencarral, 98/フエンカラル通り98)で、ここは中国人経営なんですが、コンセプトが居酒屋。「鳥焼いた丼」には笑わせられましたが、メニューだと11.50ユーロ(約1500円)で食べられる、あっさり系スープのラーメンはスペイン料理でこってりしすぎた胃にはありがたいんです。

▽あ、そんなことを話しているうちにヘタフェの情報がどっかに行ってしまったんですが、このジローナ戦は同じ勝ち点20で並んでいる者同士の対決で、ボルダラス監督のチームにとってはやはり同じ位置にいて、今節試合のないお隣さん、レガネスに差をつける絶好のチャンス。EL出場圏6位のビジャレアルともたった勝ち点1差ですしね。ただ、ここに来るまで、ホルヘ・モリーナとアンヘル、FW2人の起用で成功してきただけに、柴崎選手が元気になったとはいえ、今回、先発に喰い込めるかはまだ不明。いやあ、ベイルみたいに途中出場でおいしいところをさらっていくのも悪くはないと思いますが、丁度、パチェコも復帰したため、アタッカーは激戦区になっちゃいましたからね。何はともあれ、マドリッド勢の試合が2つしかない今週末、どちらも白星を飾ってくれるといいのですが。

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