【原ゆみこのマドリッド】勝利に浮かれはしても現実は厳しい…

2017.11.25 11:01 Sat
▽「ホントにここって何もないよね」そんな風に私が嘆きながら、IFEMA(イフェマ/マドリッドにある大型展示場施設)の横を歩いていたのは木曜日、バルデベバス(バラハス空港の近く)にあるレアル・マドリーの練習場に向かっている時のことでした。いえ、選手たちの出入りを見たいのであれば、セルカニアス(国鉄近郊路線)C1線のValdebebas(バルデベバス)駅で降りて徒歩1分、関係者用ゲート前で待てばいいだけなんですけどね。練習見学などで内部に入る場合、そちらからだと、広大な施設の敷地外周をグルリと回らないと入り口がないため、メトロ(地下鉄)8号線のFeria de Madrid(フェリア・デ・マドリッド)駅から徒歩30分の方が、乗り継ぎの関係で楽という面も。
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▽実際、まだ今のマドリッドは天気の良い昼間は寒さも厳しくなく、そこここで黄色に色づいた街路樹や高速道路を超えた後、野っぱらに生えているススキのような雑草に秋の情緒を感じながら歩くのも悪くないんですが、難点は猛暑の時に水が買える売店や、極寒に耐えかねた時に熱いコーヒーが飲めるバル(スペインの喫茶店兼バー)などが、練習場の付近一帯にまったくないこと。おかげで思い出してしまったのは、いえ、アトレティコのマハダオンダ(マドリッド近郊)のシュダッド・デポルティバ・ワンダのように、お隣に飲食店の並んだブロックがあるなんて環境は珍しいんですけどね。弟分のヘタフェもそういう意味ではかなり恵まれているかと。▽というのもコリセウム・アルフォンソ・ペレス右脇の道を下って行くと着く練習場では、トップチームのグラウンドの少し手前にバルがあるため、まだ誰もいない時はここでお茶をして待っていればいいし、毎回、2時間以上ある長いセッションをずっと見ているのに飽きてもテラスに座っていれば、柴崎岳選手を含め、引き揚げてくる選手たちを見逃す心配はゼロ。更にチームが朝食を取るスタジアム内のバルは試合のない日も開いており、Menu del dia(メヌー・デル・ディア/本日の定食)もあるため、セントロ(市内中心部)に戻る前に腹ごしらえしていくこともできます。
▽他にも最寄のメトロ・スールの駅、Los Espartales(ロス・エスパルタレス)の出口前ある、カーニャ(グラスビール)やコーラなど、コールドドリンクを頼むとtapita(タピータ/おつまみ)をつけてくれる(ただし試合前は混雑しているためか、出ない)バルも重宝しますし、セルカニアスC4線のLas Margaritas(ラス・マルガリータス)駅へ向かう途中、大通りより1本外側のEmilia Prado Bazan(エミリオ・プラド・バサン)通りにも数軒、テラスで食事のできるレストランバルが並んでいるため、ランチをする場所に事欠かないのがいいところ。その辺は一番近いお店がショッピングセンターながら、そこまでスタジアムからも練習場からも10分以上歩かないといけない同じ弟分のレガネスより、立地がいいと言えますね。

▽まあ、そんなことはともかく、木曜の私はスポンサーのアウディが恒例の選手への車の貸与式をやると聞いてバルデベバスへ向かったんですが、なかなか面白かったのはプレイベントのカーレースゲーム。バスケチームが練習に使うバビリオン内に作られた舞台で、F1レーサーのようなつなぎを着た選手たちがオンラインで繋がれた運転席に座り、8人ずつの予選を戦った後、決勝レースという運びでしたが、贅沢なカーコレクションが自慢のクリスチアーノ・ロナウドが最下位で予選落ちしてしまったのはかなり意外だったかと。もちろん普段、どんなに高性能の車に乗っていようが、自宅と練習場の往復では超高速を出す機会などある訳ないということでしょうが、この日、チーム一の器用さを発揮したのはカルバハル、以下、セルヒオ・ラモス、アセンシオと続いて表彰台に立つことに。
▽その後、パビリオンの外に移動して1人ずつ、車を受け取ったんですが、ジダンの息子さん、第3GKのリュカを始め、セバジョス、アクラフ、マジョラル、コバチッチら、一番安い物でも7万5000ユーロ(約1000万円)、最高額はケイロル・ナバス、ロナウドのRS7の15万ユーロ(約2000万円)を超える、ラモスの選んだスポーツカー、R8スパイダーで21万ユーロ(約2800万円)だったそうですが、どれにしても一般人にしてみれば、何とも羨ましい限り。ええ、このイベントにはレースはベンゼマ、マルセロと共に欠場したものの、久方、ピッチでご無沙汰しているベイルもしっかり出席しています。

▽え、彼らが呑気に新しい車をもらって喜んでいられるのも火曜のCLアポエル戦で今季初めて、トレードマークのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を達成したからじゃないのかって?そうですね、その試合、イスコやカセミロをベンチに置き、アセンシオとルーカス・バスケスでローテーションしたマドリーでしたが、前半23分に敵がエリア内からクリアしたボールをモドリッチが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で決め、口火を切るともう止まらず。39分にはクロースのスルーパスからベンゼマが2点目を挙げると、その1分後にはCKからナチョが3点目、ロスタイムにもロナウドがベンゼマにアシストして、前半だけで0-4になるなんて一体、いつ以来のことでしょう。

▽後半も序盤にロナウドの2ゴールで、とうとう0-6としたマドリーは勝ち点3を積み上げて、グループリーグ突破を決めたんですが、同日、トッテナムもドルトムントのホームで2-1と勝ったため、最終節に何をしても2位で変わらないことも確定。いえ、昨季もトップ通過できずにCL2連覇を果たしたジダン監督のチームですしね。12月6日にサンティアゴ・ベルナベウを訪れるドルトムントにはアポエルと3位を争って、ヨーロッパリーグ出場権を得るという目標があるため、香川真司選手も出場すれば、真剣に向かってきてくれると思いますが、実はキプロスでの試合の後、大勝にも関わらず、不機嫌だった選手が約1名。それは今季のCL5試合で8得点として、ランキングトップを走るロナウドでした。

▽というのも前節、ウェンブリーでトッテナムに3-0と負けた際、「ペペ(ベシクタシュ)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン)、モラタ(チェルシー)のいた昨季程、経験の足りない選手の多い今季のウチは強くない」と発言したせいで揚げ足を取られ、キャプテンのラモスに「今、そういうことを言うのはご都合主義」と批判されたことを根に持ったんでしょうかね。「Digo una cosa y poneis otra... ?como quereis que hable con la prensa?/ディゴ・ウナ・コーサ・イ・ポネイス・オトラ…コモ・ケレイス・ケ・アブレ・エン・ラ・プレンサ(自分が何か言うと、他のことを書かれる。何で自分がプレスにコメントしないといけない)」とインタビューなしで行ってしまうから、まったくもって気難しい。

▽ただ、後でマルセロなども「Paz no vamos a tener nunca, la gente no esta acostumbrada a eso/パス・ノー・バモス・ア・テネール・ヌンカ、ラ・ヘンテ・ノー・エスタ・アコストゥンブラダ・ア・エソ(ウチが平穏になることはない。皆、そういうのには慣れていないからね)」と言っていたように、この決勝トーナメント進出決定で来年2月まで、CLのことは考えなくて良くなったからとて、心配事がなくなった訳じゃないのがマドリーの辛いところ。ええ、すぐに週末にリーガ戦が来てしまうため、再び首位バルサとの勝ち点差10という、ジダン監督もシーズン前には「No me lo imaginaba, para nada/ノー・メ・イマヒナバ、パラ・ナーダ(まったく想像もしなかった)」逆境に立ち向かわないといけないんですよ。

▽うーん、相手は前節、ようやくデポルティボに勝って最下位を脱出したマラガですが、リーガでのロナウドはベンゼマと共にまだ1ゴールで全然、調子が出ていませんからね。ベイルはもちろん、アセンシオも全治10日のケガを左足に負ってしまったそうで、マドリーダービーで鼻骨を骨折したラモスも木曜には1個300ユーロ(約4万円)相当のカーボンファイバー製フェイスマスクが完成し、インスタグラム(https://www.instagram.com/p/Bb33pdVjhzL/?taken-by=sergioramos)で披露していたものの、招集リストには入らず。この試合ではナチョが累積警告で出場停止になっているため、CBにバランとバジェホしかいないというのはちょっと心配かと。

▽朗報はとうとう、GKナバスとコバチッチが復帰したことですが、今季はホームでベティスに負け、レバンテとバレンシアに引き分けるという失態をすでに犯している彼らですからね。日曜の頂上決戦、バレンシアvsバルサ戦がどういう結果になるにしても、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのマラガ戦では絶対、勝ち星を落とすことは許されないかと。そうそう、その永遠のライバル、バルサは水曜のCLユベントス戦で前節オリンピアコス戦に続いてスコアレスドロー。それでもメッシを後半まで温存しつつ、グループ首位通過が決まっているんですから、今季はヨーロッパの大会に参加していないバレンシア同様、ここ当分、リーガに集中できるのが怖いですよね。

▽え、それで火曜には後半に劇的な追い上げを見せ、リバプールと3-3で引き分けたセビージャが最終節にマリボルと引き分け以上なら、グループ突破ができることになっていたけど、カラバフとの2連戦を両方共ドローで終えた時点で勝ち点がたったの3。CLスペイン勢4チーム目、今季最後のCLホームゲームになる可能性が限りなく高かったアトレティコはどうだったのかって?いやあ、アゼルバイジャンで当日、先に試合をしたチェルシーが0-4とカラバブに大勝、もうこれじゃ、選手もやる気にならないんじゃないかと放心して、ワンダ・メトロポリターノのスタンドに座っていた私でしたけどね。その上、ローマ戦のキックオフ前にフアンフランの負傷離脱が発覚、元々、ベルサイコも背筋痛で欠場が決まっていたため、右SBがトマスになると聞いた日にはもう一体、何を期待していいのやら。

▽代わりに招集リスト外だったアウグストが中盤に入ったものの、トマス共々、序盤は何度も自陣でボールを失う始末。アポエル戦で面目躍如をしたベンゼマが、「No tengo derecho a fallar cuatro pases, uno ya puede ser un problema/ノー・テンゴ・デレッチョー・ア・ファジャール・クアトロ・パセス、(ボクにはパスを4回失敗する権利はない。1度でも問題にされかねないからね)」なんて言っていたのに比べ、何て寛容なチームだろうと苦い思いもしたものでしたが、幸い相手も鋭い攻撃を繰り出すことはできず、今季恒例の0-0でハーフタイムに入ります。でも…後半はいつもとちょっと違ったんです!

▽いえ、シメオネ監督がアウグストをコレアに、ダービーで引き分けた翌日、落ち込みもせずに彼女のベアトリスさんにプロポーズなんてしていたせいでしょうかね(https://www.instagram.com/p/BbwmNQXg_rr/?taken-by=beatrizespejel)。珍しくコケもガビにと、早々に交代カードを切ったのもグッジョブだったんですが、24分、ピッチにいたFWたちが久々に完璧な連携を見せてくれたから、ビックリしたの何のって。

▽そう、フェルナンド・トーレスの浮き球のパスを追ったコレアがゴールラインぎりぎりからクロスを上げると、反対側にいたグリーズマンがchile(チレナ/オーバーヘッドシュート)で先制点が決まるって、我が目を疑ってしまったのはきっと、私だけではないはず。だってえ、「En los entrenamientos y en la seleccion si que entraba, pero con el Atletico no/エン・ロス・エントレナミエントス・イ・エン・ラ・セレクシオン・シー・ケ・エントラバ、ペロ・コン・エル・アトレティコ・ノー(練習や代表では入るんだけど、アトレティコではゴールにならない)」と本人も言っていた、ここ8試合無得点だったグリーズマンですよ。

▽いくら試合前、先日のダービーではpito(ピト/ブーイング)を浴びせながら、かといって、他に頼る者のないファンが当人の応援歌を歌って励ましていてくれたとはいえ、話が出来過ぎではないかと思ったんですが、その日のアトレティコはリードした後もいつもように後退せず。それどころか、ローマのブルーノ・ペレスが2枚目のイエローカードをもらって退場した後の40分、カラスコの代わりに入っていたガメイロがグリーズマンのスルーパスを受け、GKアリソンをかわすと、角度のないところから2点目のゴールを決めるという嬉しいおまけまでつくことに。うーん、確かにフランチェスコ監督も「アトレティコの方が試合に勝ちたいというハングリー精神があった」と言っていた通りだったんですが、はあ。その気概、カラバフ戦の時に見せてくれていたらなんて、今更言っても仕方ありません。

▽結局、そのまま2-0で勝ったアトレティコは紙一重で数字上、グループ勝ち抜けの可能性を残したんですが、何せ、その日、1位通過を決めたチェルシーにスタンフォード・ブリッジでの最終節で勝ったとしても、木曜にアディダスのイベントに出演したコケも「necesitamos que el Qarabag haga algo/ネセシタモス・ケ・エル・カラバフ・アガ・アルゴ(カラバフが何かしてくれることが必要)」と口にした後、苦笑を抑えられず。ローマがホームで最下位の決定したチームに遅れを取るとは思えませんからね。ここは腹を決めて、もう年明けは5年ぶりのEL優勝に懸けるしかない?

▽まあ、シメオネ監督も「最後の90分が終わるまで、ネガティブなことは考えない。La vida esta para
pensar positivamente/ラ・ビダ・エスタ・パラ・ペンサル・ポシティバメンテ(人生はポジティブに考えるためにある)」と言っていたように、世の中にはたまに奇跡もあるため,その辺は12月5日の試合が終わるまで私も気に病まないようにしようと思いますが、やっぱり心配しない訳にはいかないのは土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのレバンテ戦。何せ、彼らの条件はお隣さんとまったく同じ、首位と勝ち点10差ですからね。ハムストリングを痛めたフアンフランはもちろん出られず、今度の右SBはヒメネスになりそうですが、さて。

▽とにかく1度、ゴールが入り始めたら、調子の波に乗るはずという定説を今は信じたいところですが、一足早く、金曜夜にセルタ戦に挑んだレガネスはここ3連敗という流れを変えられず、イアゴ・アスパスに決められたPKゴールで1-0とまた敗戦。ヘタフェの方は月曜にエスパニョール戦となるため、その前に私も柴崎選手のリハビリがどのくらい進んだのか、偵察してこようと思いますが、来週はコパ・デル・レイ32強対戦2ndレグもありますし、どこのチームも忙しくなりますよ。

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