【原ゆみこのマドリッド】勝って負けて引き分けた…

2017.11.21 12:00 Tue
▽「こうも首位決戦が縁遠いものになるとは」そんな風に私が嘆いたのは月曜日。今週末の日曜にあるバレンシアvsバルサの話題でTVのスポーツニュースが盛り上がっているのを見た時のことでした。確かにこの日曜、エスパニョールに0-2と快勝したリーガ2位の前者が勝てば、1位との差はたったの勝ち点1に。退場したマルセリーノ監督はメスタジャのベンチに入れないものの、ピッチでの影響が大きいのはピケが累積警告で出場停止になる相手の方でしょうし、大体、その前にバルサは水曜のCLでユベントスとのアウェイ戦に挑まないといけませんからね。今季はヨーロッパの大会に参加していないバレンシアにとって、願ってもないチャンスかと思いますが、それにしても寂しいのは両者があまりに高みにいすぎるため、マドリッド勢にしてみれば、どっちが勝とうが、どうでもいいような状態になっていること。
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▽だって、レアル・マドリーもアトレティコも首位とは勝ち点10、2位とも6ポイントも差があるんですよ。こうなるともう、直接ライバルとも言えなくて、そりゃあ、ジダン監督もリーガは長いと言っていた通り、先々を考えると、シーズン後半戦での息切れがありそうなバレンシアより、バルサとの差が縮まった方がいいのかもしれませんけどね。ただ、現在のマドリッドの両雄の調子が続くなら、10差が7差になったって焼け石に水。この先はCLグループリーグ直接出場権のある3位争いとなるのか、後ろにつけているセビージャやビジャレアルといったチームに追いつかれないようにするのが先決なのか、何にしろ、はなはだパッとしない未来が待っていそうにない気がするのは私だけではない?▽いえ、まずはその原因となった先週末のリーガについて、話さないといけませんね。珍しく、マドリッドの4チームが揃って試合となった土曜日は私も忙しいスケジュールをこなすことに。ええ、まず午後1時から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにアラベスを迎えるヘタフェを見に行ったんですが、こちらはメトロ(地下鉄)10番線終点Puerta de Sur(プエルタ・デ・スール)でメトロ・スールに乗り換え、Los Espartales(ロス・エスパルタレル)下車、徒歩1分と、セントロ(市内中心部)から1時間ぐらいかかるのを別にすれば、慣れた道ですから、まったく大したことはありません。
▽実際、試合も先日のコパ・デル・レイベスト32 1stレグでは同じ相手に終盤、サントスのヘッドでゴールを奪われ、0-1で負けていたヘタフェでしたが、この日はベストメンバーを並べたのが奏功。5分から、アランバリのクロスをベルガラが頭で押し込んで先制したのを皮切りに、8分にはホルヘ・モリーナがPKを決めて追加点を挙げると、後半にはアンヘルの2ゴールで、30分を残して4点差になっていたから、デイゲームに駆けつけたファンもどんなに喜んだことか。うーん、ここまでリードすると、今季の彼らの悪い癖、ラスト10分間での失点も致命傷にはなりませんからね。その日も35分にサントスに1点を返されていたものの、4-1での勝利なら、誰も文句を言いやしませんって。

▽え、ここリーガ4試合を2勝2分けと調子に乗ってきたヘタフェだけど、このままガンガン、行かれると、柴崎岳選手が回復してもスタメンに入るのが難しくなってしまうんじゃないかって? そうですね、ボルダラス監督も「モリーナとアンヘルは正直、上手くやっているよ。互いにわかり合っていて、チームはその成果を享受している」と言っていましたしね。アマトやポルティージョもだんだん1部の水に馴染んできたようで、おまけに11月30日のコパ2ndレグでアラベスに逆転し損ねると、年明けの試合数がめっきり減ってしまうのは辛いかと。まだ次の月曜、エスパニョール戦には間に合わなさそうな柴崎選手ですが、早く万全の状態になって、ヘタフェの更なるレベルアップに貢献できるといいのですが。
▽そして勝利の余韻に浸ったまま、次は午後4時15分からバルサを迎えるレガネスを応援しにブタルケへ向かった私でしたが、実は同じマドリッド近郊で町同士が並んでいる弟分同士ながら、移動が便利とは言えないのが難点。いえ、車なら簡単なんですけどね。地図で事前に調べた通り、メトロ・スールで数駅引き返し、Julian Besteiro(フリアン・ベルテイロ)駅から10分程歩いてバスを捕まえたところ、運転手さんから「本当に乗るの?」と問われてしまうことに。そのオチは次の停留所で下車しても、そこから徒歩で向かっても、バスは下の道を通るため、丘の上にあるスタジアムまでは同じぐらいの道のりだったからなんですが…何でも初めてには失敗がつきものです。

▽まあ、どちらにしても40分もあれば着くので、またヘタフェとレガネスが同じ日に試合する節があれば、マドリッド観光で訪れるサッカーファンも簡単に梯子が楽しめるということがわかったのは良かったかと。ただ、ホームのレガネスがViolencia de genero/ビオレンシア・デ・ヘネロ(異性間暴力)防止運動を後押しするため、その日は紫色のユニでプレー、対するバルサも水色の第2ユニだったため、一見、どことどこの対戦かわからず。おまけに夕日が落ちて行く時間帯だったため、逆境となる正面スタンドからは非常に見づらかったこの試合、いえ、キックオフ前のサポーターたちは大いに盛り上がっていたんですけどね。
▽結果はまさに、後でガリターノ監督も「Hemos generado ocasiones, pero ahi esta la diferencia/エモス・ヘネラードー・オカシオネス、ペロ・アイー・エスタ・ラ・ディフェレンシア(ウチはチャンスを作ったが、差が出たのはそこだった)」というもので、序盤から決して首位チームに引けを取っていなかった彼らだったんですが、29分、パコ・アルカセルのシュートを弾いたGKクェジェルがこぼれたボールに反応できず。すかさずルイス・スアレスに蹴り込まれ、まさか先制点を喰らってしまうなんて一体、誰に予想できる? うーん、その日はクェジェルが大殺界だったのか、60分にもまたしてもアルカセルのシュートを弾いたところ、スアレスに決められてしまっていましたけどね。逆にアムラバトやエル・ザールが撃ってもGKテル・シュテーゲンに止められてしまうのでは、「Ellos con nada nos hicieron los goles/エジョス・コン・ナーダ・ノス・イシエロン・ロス・ゴーレス(彼らは何でもないところからゴールを挙げた)」(エル・ザール)と、レガネスの選手たちが嘆いていたのも仕方なかったかと。
▽最後は90分、ゴール右脇で地面に倒れたメッシが押し出したボールをパウリーニョが決め、0-3でバルサが勝ったんですが、これにはバルベルデ監督も「このスコアはちょっと大袈裟だね。ウチは決定力が高くて相手は違った」と苦笑。それでも「Le reconozco al Leganes el esfuerzo que ha hecho/レ・レコノスコ・アル・レガネス・エル・エスフエルソ・ケ・ア・エッチョー(レガネスのやった努力は認めるよ)」と言ってくれていたため、ホームチームはかなり頑張ったんだと思いますが、「La diferencia en Primera son las areas/ラ・ディフェレンシア・エン・プリメーラ・ソン・ラス・アレアス(1部での差はエリア内での違い)」(ガリターノ監督)というのも事実ですからね。このセビージャ、バレンシアと続く強豪3連戦、全敗したのを見てもわかるように、こればっかりはお金のないレガネスにはどうしようもない?

▽でも大丈夫、上位候補チームには敵わなくても数時間前、降格圏のアラベスに快勝したヘタフェのように下位の相手から着実に勝ち点を奪っていけば、シーズン序盤は強敵続きで苦労していた弟分の同僚だって、今ではヨーロッパリーグ出場圏の6位にあと5ポイント。いきなりユーロ・ヘタ復活の期待を懸けられ、ボルダラス監督が「Europa? Eso da mucho vertigo/ヨーロッパ?エソー・ダ・ムーチョ・ベルティーゴ(そんなのは凄い眩暈を感じるよ)」と言っていたように、巡りあわせ次第ですからね。いつの間にやら、勝ち点差1で10位のヘタフェと1つ違いの9位になってしまったレガネスもこの金曜のセルタ戦から、白星を稼いでいってくれればいいですよ。

▽そして土曜のクライマックスはもちろんマドリーダービーで、何せワンダ・メトロポリターノへはマドリッド南部から東部への大移動とあって、今度は私も速度を重視してセルカニアス(国鉄近郊路線)を選択。ええ、幾つか経路はあるんですが、まずはブタルケの最寄駅、Zaraquemada(サラケマダ)からC5線でAtocha(アトーチャ)駅へ。C2もしくはC7線に乗り換えて、Coslada(コスラダ)駅で降りた後、メトロで2駅なんですが、まさかそこまで来て券売機前に長蛇の列ができているとは! うーん、丁度今、メトロが紙の切符を廃止して、カード(金額のデポジットではなく、買った切符が記憶される)に切り替えている最中なため、マドリッド住民でさえ、勝手がよくわからず、駅員のアドバイスを受けないと切符が買えない状態なのも困ったもんなんですけどね。

▽幸い私は手持ちのセントロとメトロ・スール乗り継ぎ回数券がここでも使えたため、並ばずに済んだんですが、この現象はワンダやサンティゴ・ベルナベウで試合が終わった後にメトロに乗る時も同じ。よって、試合観戦の際は着いた時に帰りの切符も買っておくことをつとにお勧めしますが、まあ、順調に行けばレガネスーワンダ間はヘタフェーワンダ間同様、1時間半というところでしょうか。次の時間帯に1試合が入る場合はこちらも十分、梯子が可能ということがわかりましたが、すでにバルサの勝利で勝ち点差が12に開いていたのを知っていた3位、4位で並ぶマドリッドの兄貴分、どちらが最悪の状態を回避できたかというと…。

▽双方共倒れだったんですよ。いやあ、新スタジアムで最初のダービーを迎えたアトレティコはコケが先発に戻ったこともあり、開始から積極的にプレーしていたんですけどね。3分に誰もが「ゴール!」と叫びかけたシュートをコレアが外した後も気落ちせず、「En los 25-30 minutos se vio el equipo que somos/エン・ロス・ベインティシンコ・トレインタ・ミヌートス・セ・ビオ・エル・エキポ・ケ・ソモス(25~30分までウチがどういうチームか見せた)」(シメオネ監督)という状態を維持していたんですが、徐々に相手に主導権を奪われてしまうことに。それでもサビッチがクロースの足首を踏むようなタックルをしても、セットプレーでリュカが頭で合わせようとしてきたセルヒオ・ラモスの顔面を蹴ってしまっても、誰もレッドカードで退場させられることはなく、アトレティコはいつもの0-0でハーフタイムを迎えます。

▽後半もラモスがナチョに交代したものの、マドリーの優位は揺るがず、もういつ点を取られるか、取られるかと、私など、生きた心地もしなかったんですが、どうやら今季は両チーム共、「falta de gol/ファルタ・デ・ゴル(ゴール不足)」に苦しんでいるせいですかね。加えて、「falta de futbol/ファルタ・デ・フトボル(サッカー力不足)」もあるアトレティコから、グリーズマンが完璧に消えていたのに歩調を合わしてくれたのか、いえ、マドリーにもチャンスはあったんですけどね。前半にはモドリッチのパスで1人抜け出しながら、何とフアンフランに先回りされてしまったクリスティーノ・ロナウドが得意のFKもGKオブラクに弾かれるわ、ゴディンやサビッチ、とりわけフィリペ・ルイスの代わりに抜擢されたリュカの奮闘に阻まれるわで、ゴールを決めることができず。

▽75分にはシメオネ監督もグリーズマンとコレアを見限り、フェルナンド・トーレスとガメイロを投入。後者のvaselina(バセリーナ/ループシュート)がゴール前でバヴァランにクリアされてしまったのは残念でしたが、ベンゼマをアセンシオに代えた後、あちらのベンチにはルーカス・バスケスやセバジョスら、アタッカーがまだ残っていたにも関わらず、ジダン監督が3人目の選手を入れなかったのもアトレティコにはラッキーだったのでしょう。後でマルセロが「Tres o cuatro penaltis, yo que se/トレス・オ・クアトロ・ペナルティス、ジョ・ケ・セ(3つか4つのペナルティがあったかもしれないけど、ボクは知らないよ)」と言っていたように、エリア内でのハンドなども審判の注意を引くことなく、93分の奇跡の男、ラモスもピッチにいなかったため、結局、どちらもネットを揺らせないまま、試合は0-0で終了です。

▽おかげで両者共、首位との差が絶望的に開いてしまったんですが、何せまだマドリーにはCLの希望が残っていますからね。ええ、この火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのアポエル戦に勝てば、彼らはグループ突破が決定。「Volveria a sangrar una y mil veces mas por este escudo y esta camiseta/ボルベリア・ア・サングラール・ウナ・イ・ミル・ベセス・マス・ポル・エステ・エスクード・イ・エスタ・カミセタ(この紋章とユニフォームにためなら、1000回でも血を流す)」と試合後のツィッター(https://twitter.com/SergioRamos/status/932253732284321798)では威勢が良かったものの、鼻骨を折ったラモス、リハビリ中のGKナバス、ベイル、コバチッチがまだ出られないとはいえ、ここまでリーガでシュートを55回撃ちながら、1得点しかしていないロナウドもCLでは4試合6得点と好調なので、ほとんど問題はないかと。
▽一方、ダービー後の質問が交代の時、スタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛んだグリーズマンのことに集中していたアトレティコは、いえ、サウールやコケ、フアンフランら、チームメートたちは皆、当人を庇っていたんですけどね。この水曜のCLローマ戦で勝たないとグループ敗退してしまうんですよ。しかも最終節に希望を残すには、アゼルバイジャンのカラバフがチェルシーのホームで負けないことを祈るしかないという藁をも掴む状況となれば、誰もがCL話題を避けているのも当然だったかと。いえ、とりあえず、3位で来年ELに回るためにも自身が勝ち点を稼いでおくのにこしたことはないんですけどね。シメオネ監督は「trabajo, trabajo, trabajo y despues talento/トラバッホ・イ・デスプエス・タレント(まず努力、努力、努力、才能はその次)」と信念を失っていなかったものの、とにかくゴールが入らないと良くて引き分けにしかならないのは悲しいですよね。

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