【原ゆみこのマドリッド】どちらも崖っぷちだった…

2017.11.18 13:00 Sat
▽「そっか、勝ち点は同じなんだっけ」。そんな風に私が思い出していたのは金曜日、今節はマドリッドの4チームが全て土曜にプレー、しかも最後を飾るのがワンダ・メトロポリターノで初となるマドリーダービーというビッグデーを前に順位表を確認していた時のことでした。いやあ、この代表戦週間、スペインは親善試合だけだったとはいうものの、さすがparon(パロン/リーガの停止期間)で2週間も空くと、前節の出来事も遥か記憶の彼方へ。
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▽そこでスポーツ紙の各クラブ試合結果ページをチラ見して、そういえば、アトレティコは2試合連続のトマスのゴールで辛くも引き分けを逃れ、0-1でデポルティボに勝ったんだっけとか、レアル・マドリーは3-0とラス・パルマスに快勝したものの、待望のクリスチアーノ・ロナウドの今季リーガ2得点目は出なかったんだっけとか、おさらいしていたんですが、よく見ると、首位バルサとの差はどちらも勝ち点8。つまり双方共、すでに逆転がかなり難しい状況の中、このダービーで負けて、差が11ポイントに広がった暁にはシーズン3分の1経過時点で優勝戦線脱落どころか、今季は優勝絶望という扱いをされる悲しい未来が待っているってことじゃないですか。▽まあ、その辺はまた後で語っていきますが、とりあえず、スペイン代表今年最後となったロシアとの親善試合がどうだったのか報告しておくことにすると。先週土曜のコスタリカ戦ではかつての黄金時代を彷彿させるポゼッションサッカーを披露して、5-0と大勝。W杯に向けて、ファンの期待を高めてくれた彼らだったんですが、サンクトペテルスブルクでのこのロシア戦はかなり異なった展開に。いえ、開始9分でアセンシオ(マドリー)のクロスをジョルディ・アルバ(バルサ)がヘッドで決め、35分にも怪しいハンドでペナルティの判定をゲット。キャプテンのセルヒオ・ラモス(マドリー)が「Hoy es cumpleanos de mi hijo/オイ・エス・クンプレアーニョス・デ・ミ・イホ(今日はボクの息子の誕生日なんだ)」という、かなり個人的な理由でPKキッカーをイニエスタ(バルサ)に譲ってもらい、それが無事に決まったため、リードも2点に広がったんですけどね。
▽そこに加え、相手がW杯開催国として、この1年間、公式戦をしていないロシアだったせいもあって、気が緩んだんでしょうか。41分にはピケ(バルサ)を切り返してスモロフ(クラスノダール)が放ったシュートで1点差に迫られてしまいます。更に「Cuando perdemos el control no nos sentimos comodos/クアンドー・ペルデモス・エル・コントロル・ノー・ノス・センティモス・コモドス(試合のコントロールを失い、ウチは落ち着かなく感じた)」(ロペテギ監督)スペインは、前半のうちに同点にされてもおかしくない程、攻められていたんですが、それが現実になったのは後半間もなくのこと。ええ、エリア内左奥からジルコフ(ゼニト)が出したボールがナチョ(マドリー)に当たり、ゴール前からミランチュク(ロコモティフ・モスクワ)に押し込まれてしまうとは、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)もとんだ外れクジを引かされたもんですよ。

▽ただその2分後、今度はセットプレー時にラモスを倒したとして、普通は見過ごされるペナルティをもらえたため、再び当人がPKを決めて、2-3とまたリードしたスペインだったんですけどね。イスコが打撲で代表を離脱、シルバ(マンチェスター・シティ)も後半途中に投入という事情もあり、コスタリカ戦のような優位性を見せられなかった彼らはそれ以降、追加点を奪うことができず。実際、守備の方もロペテギ監督がCB3人制とか、慣れないことを試してみたせいで、選手たちも混乱したんでしょうかね。
▽25分にスモロフがエリア前から自身2ゴール目を入れて、ロシアに再度同点にされた後は、最後のチャンスもロスタイムにロドリゴ(バレンシア)がGKルネフ(ゼニト)と衝突して、頭を打った相手が担架退場。交代枠がもうなかったため、急遽、グローブをはめたMFグルシャコフ(スパルタク・モスクワ)が活躍する時間もなく、終了の笛が鳴ることに。何せ、せっかく盛り上がりかけていたスペイン代表ですからね。3-3の引き分けは大いに不満の残る結果。それでもロペテギ監督などは、「ウチはW杯にグループ首位として出場を決めた。イタリアやチリが出られないんだから、la nota es alta/ラ・ノタ・エス・アルタ(高成績と言っていいよ)」と就任以来、1敗もしていないこの予選の道のりを評価していましたけどね。

▽とはいえ、彼らが3点も取られたのは、それこそ2014年W杯ブラジル大会グループ初戦のオランダ戦で1-5と負けて以来だそうですから、やっぱりかつての強さを取り戻した気になるのはまだ早い? 12月1日にはいよいよ、本大会グループリーグ組み合わせ抽選もありますし、ほぼ18~19人は決まったと言われているW杯用招集メンバーも、残りの席を懸けて争っている選手たちもこの先、しっかり精進を続けて、来年6月には最高のチームでロシアに乗り込めるといいのですが…。

▽そして話をリーガに戻すと、実は今週は天気も良かったため、マドリッドのチームの練習見学にせっせと足を運んでいた私だったんですけどね。まずは火曜、今節はバルサをホームのブタルケに迎えるとあって、兄貴分の期待を一身に背負っているレガネスを偵察。ロッカールームやジムなどがある新しいクラブハウス前にオープンしたインスタラシオン・デポルティボ・ブタルケの新グラウンドは、以前のように四方から丸見えでは訳ではないものの、ファン見学用のスペースもちゃんと用意されていました。丁度、モロッコがW杯出場を決めた後だったのもあって、国旗を持ってアムラバットの応援に来ていた男性などもいましたが、ちょっと厄介なのはまだ施設で工事が続いているせいで、よく出入り口が変わることでしょうか。

▽ちなみにこの土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのバルサ戦、1つ嬉しいニュースがあって、昨季は1部昇格後のホーム2試合目というタイミングだったため、チケットが早くに完売していたのが今回、試合当日午前10時から600枚が売り出されるということ。値段は50~80ユーロ(約7000~1万円)だそうですが、マドリッドにいるものの、ダービーのチケットが手に入らなかったというファンにはお勧めかも。エスタディオ・ブタルケへはアトーチャ駅から、セルカニアス(国鉄近郊路線)C5でZaraquemada(サラケマダ)駅下車して徒歩20分、もしくはメトロ(地下鉄)5号線のAluche(アルーチェ)駅から、482、491、492、493番のバスに乗って、セントロ(市内中央)から1時間ぐらいで行けますよ。

▽え、でも相手はメッシがアルゼンチン代表から早帰り、今季無敗の首位だけにマドリッドの弟分チームには難しい相手なんじゃないかって? うーん、確かにガリターノ監督も「去年は前方でプレスをかけるという思い切った策を試して、1-5で負けた。Si vamos con la intencion de disfrutar nos meteran cinco o seis/シー・バモス・コン・ラ・インテンシオン・デ・ディスフルタール・ノス・メテラン・シンコ・オ・セイス(ウチが試合を楽しもうという気持ちで挑めば、5、6点取られるだろう)」と言っていましたけどね。ここ2試合、セビージャに2-1、バレンシアに3-0と上位チームにはとても歯が立たないことも判明してしまったんですが、このバルサ戦で彼らはホームながら、Violencia de genero/ビオレンシア・デ・ヘネロ(異性間暴力)撲滅運動に賛同する紫色の第2ユニフォームを着てプレー。せっかく社会の意識改革に貢献するんですから、ここは何とか、意地を見せてくれることを祈るばかりでしょうか。

▽そして水曜はアトレティコの夕方練習を見学にマハダオンダ(マドリッド近郊)に行った私ですが、何せあそこはお隣さん同様、ファンが入れる一般公開練習がない上、マスコミも開始から15分しか見られないという徹底ぶりですからね。運良く下のグラウンドでのセッションならば、敷地の外から覗くという手が使えるんですが、ミニスタジアムだとアップで参加選手の顔を確認するぐらいがせいぜい。それだけにモンクロア(市内のバスターミナル駅)から653、654、655番のバスに払う運賃がもったいない気もしないではないんですが、そんな日の私の楽しみは施設のすぐ横にあるカフェテリア、アトゥエルでお茶をすること。

▽こちら、最近はあまりないんですが、以前はアグエロやコケなどにも店内で遭遇。小腹が空けばサアンドイッチやキッシェなども食べられますし、ケーキ類も充実しているのがウリです。午前11時とかの昼間のセッションであれば、テラスに陣取って、真向かいにある駐車場出口を見張りながら、練習を終えて車で出て来る選手たちを待つにもいい位置かと。ビールの方が嬉しい人には横にバル(スペインの喫茶店兼バー)、ラ・ラソンもありますし、このブロック、裏側もハンバーガーや食事の取れるレストランが鈴なり。ただし、たまにシメオネ監督も姿を見せるデ・マリア(アルゼンチン風肉料理店)も含め、スペインでは午後1時半を過ぎないとキッチンが開かないことが多いため、ランチするなら選手たちのサインをゲットした後の方がいいかもしれませんね。

▽続いて木曜には土曜午後1時からアラベを迎えるヘタフェを覗きに行ったんですが、通常の午前10時半の開始時間、グラウンドにトップチームの姿はなし。30分程、Bチームの練習を眺めていたところ、ようやく用具係のスタッフが現れたため、訊いてみると、ビデオセッションをコリセウム・アルフォンソ・ペレスでやっていて、開始が1時間程遅れているのだとか。まあ、そんなこともありますが、ラッキーだったのはおかげで日本での治療を終え、負傷後、初めてグラウンドに降りて来る柴崎岳選手に会えたこと。うーん、その日はサッカー・バレーがメインの軽いメニューながら、まだグループには加われず、当人はコーチと2人でずっとリハビリだったんですけどね。

▽金曜に記者会見したボルダラス監督も「練習はしているが、特別な中敷きが届くのを待っていてサッカーシューズが履けない。復帰までの時間も正確にはわからないし、todavia es pronto/トダビア・エス・プロントー(まだ早いよ)」と言っていたため、今週末の試合に出ないことは確かなんですが、練習姿だけでも見たいファンには朗報かと。こちらはレガネスと違い、メトロ・スールのLos Espartales(ロス・エスパルタレス)駅から徒歩1分にあるスタジアムの右脇の道を下りて行くだけで施設に着けるため、マドリッド観光ついでに訪問するハードルが低いのがいいところでしょうか。

▽え、それでダービー直前情報はどうなっているのかって? いやあ、まず戦力から言うと、アトレティコはコケ、カラスコ、そしてフィリペ・ルイスにも全快通知が出て、ケガ人が皆無に。ただ、木曜にはシメオネ監督が11人だけを集めてビデオセッションを行ったそうで、そのメンツによると、左SBはリュカ、カラスコもベンチ待機になるよう。一方、マドリーではウィルス性の心膜炎で休んでいたカルバハルが復帰、イスコは水曜から練習に参加しており、クロアチアのW杯予選プレーオフ、ギリシャ戦でお疲れだったモドリッチも金曜には回復したようで、負傷欠場はベイル、コバチッチ、GKケイロル・ナバスの3人だけだとか。

▽その他、トピック的にはこの代表戦週間中、フランスのTV番組に出演して、「ネイマール、ムバッペとの前線を夢見ることはある?」と訊かれ、またしれっとして「Oui/ウィ(イエス)」と返答。おかげでまた、批判が集まっていたグリーズマンをワンダ・メトロポリターノでのスポンサー契約延長発表のイベントに出席したコケが、「Yo le veo comprometido/ジョ・レ・ベオ・コンプロメティードー(ボクは彼がチームに集中していると思う)」と言いながら、「アトレティコに100%集中していない選手はそう言って、出て行くだけさ」とドライなところも示したため、同僚にクギを刺したなんて報じられていましたけどね。

▽とはいえ、シメオネ監督も「マスコミがいじりたくなるのもわかるが、es el jugador mas desequilibrante que tenemos/エス・エル・フガドール・マス・デセキリブランテ・ケ・テネモス(彼は我々が持つ一番、均衡を崩せる選手)」というのも事実。ジエゴ・コスタがFIFA処分で来年1月からしかプレーできないため、今はとにかく「Estamos teniendo problemas/エスタモス・テニエンドー・プロブレマス(ウチには問題がある)。練習ではシュートが全部決まるのに、試合になると入らない」(グリーズマン)という逆境を打破していけるよう、当人のご機嫌を損ねないのが大事かと。

▽その傍らでマドリーにもスペイン代表合宿中にラモスが、「ペペ(ベシクタシュ)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン)、モラタ(チェルシー)らに比べて今季の新しい選手には経験がない」というロナウドの言葉を「今、そういうことを言うのはご都合主義的」と反論したなんて騒動も。ただ、ジダン監督によると「Dentro las cosas se arreglan y ya esta arreglado/デントロ・ラス・コーサス・セ・アレグラン・イ・ジャー・エスタ・アレグラードー(内部で片づけることだし、もう解決した)」そうなので、チーム内不和は期待するだけムダというものでしょう。

▽何より、この2週間、ポルトガル代表にも行かず、バルデベバス(バラハス空港の近く)でずっとシュート精度を磨いてきたロナウドですからね。軽く見たら、痛い目に遭うのはアトレティコの選手たちもわかっているはず。フランス代表でゴールを決め、これをツキを変えるキッカケにしたいグリーズマンとの7番対決にも興味を持たれますが、そんなマドリーダービーは土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。果たしてどちらに軍配が挙がるのか、いやあ、今から私も胸がドキドキしています。

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