【六川亨の日本サッカー見聞録】ブラジル戦で秘策を使うのはまだ早い
2017.11.09 18:00 Thu
▽日本代表は11月10日にフランスのリールでブラジル代表と対戦する。日本が初めてブラジルと対戦したのは1989年、横山ジャパンのブラジル遠征だった。当時は当然ながらテレビ中継などなく、0-1という結果が報道された程度だった。
▽もしも来年のロシアW杯で日本がブラジルと同じグループになったら、参考になるのが昨夏のリオ五輪でのコロンビアの戦い方だ。日本はコロンビアとグループリーグで戦い、2-2のドローに終わった。グループBの首位は初戦で日本を5-4で破ったナイジェリア。コロンビアに2位で決勝トーナメントに進出し、準々決勝で地元ブラジルと対戦した。
▽コロンビアにはハイメ・ロドリゲスという好選手がいたものの、彼らがブラジル戦で採用したのは8人で守備を固め、前線の中央と左に2人の選手を残すという徹底した堅守速攻だった。そしてブラジルの選手がボールを持ったら、ひたすら肉弾戦を挑んだ。それは、もはやサッカーと言えるプレーではなかった。
▽しかし、コロンビアは知っていたのだろう。ブラジルを倒すにはこれしか方法がないことを。それでも0-2で敗れた。そして状況は日本も同じだろう。ミラクルを起こすには何かを犠牲にしなければならない
▽ただし、それは11日のブラジル戦ではない。最後の手は来年のW杯に残しておいた方がいい。11日の試合では、攻守において日本のデュエルがどこまで通じるかを試すべきだし、直近の2試合(14年の親善試合と13年のコンフェデ杯)では、ほんの一瞬の隙、マークの甘さ、ゴール前での寄せの甘さを突かれて失点しているだけに、集中力が90分間続くか、駆け引きで後手を踏まないかがブラジル戦では試される。
8日の練習後、井手口は「個人の能力も凄いですけど、組織的なサッカーもしてくるので、こっちも組織で守れるようにしたい」と抱負を語れば、原口は「攻守にパーフェクトな試合をしないといけない。90分間、苦しみますからね。でも、苦しまないと勝ちにつながらない」と決意を口にした。
▽“ブラジル”という名前に臆することなく、ネイマールやジェズス、ウィリアンらに果敢に挑んで欲しい。現時点で失うものは何もないし、得るものの方が大きいことを選手らも理解しているだけに、11日の試合が楽しみだ。
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▽その後、日本はコンフェデ杯やW杯、テストマッチなどで10回対戦したものの、通算成績は2分け9敗と、一度も“サッカー王国”の牙城を崩せていない。唯一、公式戦での勝利は1986年アタランタ五輪のグループリーグでの勝利、いわゆる「アタランタの奇跡」の1回のみだ。▽その点はハリルホジッチ監督も織り込み済みで、ブラジルとベルギーの強さを認めた上で、「前回の2ゲームのようではダメで、より相手に近く、それぞれのゾーンで守備を受け持たないといけない。オフェンスでは相手の背中でフリーになること。ボールのあるなしにかかわらず、しっかりスプリントすること。1人でスペースを作り、使うこともあれば、誰かがスペースを作り使用する。しっかり阿吽の呼吸でやらないといけない」とブラジル戦でのテーマを語っていた。▽コロンビアにはハイメ・ロドリゲスという好選手がいたものの、彼らがブラジル戦で採用したのは8人で守備を固め、前線の中央と左に2人の選手を残すという徹底した堅守速攻だった。そしてブラジルの選手がボールを持ったら、ひたすら肉弾戦を挑んだ。それは、もはやサッカーと言えるプレーではなかった。
▽そしてクリアは左サイドのハーフライン付近にいる味方FWに蹴り、あとは2人のコンビによるドリブル突破でブラジル・ゴールに迫るという、「運を天に任せる」ような場当たり的な攻撃だった。
▽しかし、コロンビアは知っていたのだろう。ブラジルを倒すにはこれしか方法がないことを。それでも0-2で敗れた。そして状況は日本も同じだろう。ミラクルを起こすには何かを犠牲にしなければならない
▽ただし、それは11日のブラジル戦ではない。最後の手は来年のW杯に残しておいた方がいい。11日の試合では、攻守において日本のデュエルがどこまで通じるかを試すべきだし、直近の2試合(14年の親善試合と13年のコンフェデ杯)では、ほんの一瞬の隙、マークの甘さ、ゴール前での寄せの甘さを突かれて失点しているだけに、集中力が90分間続くか、駆け引きで後手を踏まないかがブラジル戦では試される。
8日の練習後、井手口は「個人の能力も凄いですけど、組織的なサッカーもしてくるので、こっちも組織で守れるようにしたい」と抱負を語れば、原口は「攻守にパーフェクトな試合をしないといけない。90分間、苦しみますからね。でも、苦しまないと勝ちにつながらない」と決意を口にした。
▽“ブラジル”という名前に臆することなく、ネイマールやジェズス、ウィリアンらに果敢に挑んで欲しい。現時点で失うものは何もないし、得るものの方が大きいことを選手らも理解しているだけに、11日の試合が楽しみだ。
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