【原ゆみこのマドリッド】いきなりクライシス流行りになった…

2017.11.04 12:00 Sat
「ホントに観光名所よねえ」。そんな風に私が感心していたのは木曜日、用事ついでにサンティアゴ・ベルナベウの近くを通ったところ、ツアー入り口のあるPaseo de Castellana(パセオ・デ・カステジャーナ)側の駐車場に大型観光バスが7、8台横付けされているのを見た時のことでした。いやあ、世界で唯一、11個もの神々しいCLトロフィーがズラリと並んでいるのを目にできるこのスタジアムツアー、レアル・マドリーがホームゲームをやる日はキックオフの何時間か前で入れなくなったり、巡回コースが制限されたりするため、あまりお勧めしないんですけどね。
▽それでちょっと思いついたのが、マドリーがアウェイゲームの日の方が楽しめるんじゃないかということで、例えば、先日のCLトッテナム戦のように夜に試合がある場合。ツアーは平日午後7時、日祝は午後6時半までなので、閉館ギリギリまで楽しんで、あとは最終出口にもなっているスアジタム併設オフシャルメガストアで買い物三昧、お店も平日午後9時、日祝午後7時半とクローズが遅いですし、午後8時45分のキックオフが迫ってきたら、近場のレストラン・バルに入って夕食をとりつつ、試合観戦するのもいいかと。
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▽ちなみに周辺にTVのあるバルはいくつかあるんですが、お勧めはオフィシャルショップを出て、右へ歩いてすぐのショッピングセンター、La Esquina de Bernabeu(ラ・エスキーナ・デ・ベルナベウ)内にあるFriday(フライデー)。ちょっとファミレスっぽいチェーン店ですが、席数も多く、TVがいくつもあるため、見やすい位置を確保しやすのがウリです。北側カステジャーナ大通り近くにあるVolapie(ボラピエ)はワンダ・メトロポリターノの近くにもあるバルで気軽に入れる雰囲気ですし、スタジアムを回ってメトロ(地下鉄)の駅に向かう道、Avenida de Concha Espina(アベニダ・デ・コンチャ・エスピーナ)には信号を渡ってすぐのところに並んだ2軒、El Almacen Argentina(エル・アルマセン・アルヘンティーナ)とCafe & Tapas(カフェ・アンド・タパス)は壁掛け大型スクリーンを設置、迫力あるプレーが楽しめるところがいいですね。

▽ただ、これらのお店、マドリーのアウェイゲーム時にはゆっくり座って食事もできるんですが、ホーム戦の前後はファンで大混雑なんですよ。私もすぐ続いてお隣さんの試合がある時など、利用させてもらっていますが、それがバルサvsアトレティコ戦のようなビッグカードだったりすると超満員。空席待ちするぐらいなら、いっそ自宅近くまで帰った方が、後半だけでも落ち着いて見られていいという気分になったこともあったため、立ち寄るかどうかはケースバイケースかと。日本から来るファンの方々も自分の予定に合わせて、上手くこういったバルを使えるといいのですが…。▽え、昨今、マドリッドでは“crisis/クリシス(危機)”という言葉が飛び交っているのに、そんな呑気な話をしている場合かって? そうですね、実はこのミッドウィークは惨々で、いやあ、もう私なんて、火曜のCLカラバフ戦が引き分けに終わった時点でボロボロで、その翌日にはマドリーまでがウェンブリーであんな目に遭うとは予想もせず。とりあえず、順番に話すことにすると、CLでの生き残りを懸けてワンダ・メトロポリターノにアゼルバイジャンのチームを迎えたアトレティコはまた、サッカーをすることを忘れてしまったんですよ。
▽ええ、序盤こそ攻めて行ったんですが、15分もしないうちに軽快にパスを回すのは敵の方になり、何と前半39分にはCKからスペイン人選手のミチェルにヘッドを決められて、先制を許すとは一体、どうなっている? 冗談ではなく、今季はサイドからのクロスで失点するのが定番になってしまった彼らですが、それでも後半10分にはトマスが名誉挽回の一撃をネットに突き刺してくれたから、ひとまずホッとできることに。そう、何度も恐ろしいパスミスを繰り返しながら、決して下を向かないアトレティコのカンテラーノ(下部組織出身の選手)の芯の強さをエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で示してくれたんですが、どうやら今の彼らは1点を取るのが精いっぱいのよう。

▽ええ、トマスの同点弾の前にもガメイロが空のゴールを前に外していましたし、フィリペ・ルイスが撃ったシュートも枠を捉えられず。相手が13分に退場者を出した後、終盤などはガビやフアンフラン、ゴディンら、ベテランがチームを引っ張って、総攻撃体制に入っていたんですが…ロスタイム、最後にガイタンが至近距離から放ったシュートも敵GKに弾かれ、ここ数年、すっかり姿を消していたホームチームへのpito(ピト/ブーイング)がワンダ・メトロポリターノのスタンドから初めて聞こえたとあっては、かつてあの「Si se cree y trabaja, se puede/シー・セ・クレエ・イ・トラバッハ、セ・プエデ(信じて努力すれば、可能になる) 」という名言を残したシメオネ監督まで、「En el segundo tiempo hicimos meritos, el destino no quiere.../エン・エル・セグンド・ティエンポー・イシモス・メリトス、エル・デスティーノ・ノー・キレ(後半のウチはよくやったが、運命が欲してくれないのでは…)」と嘆いていたのも仕方なかった?
▽結局、試合は1-1で終わり、同グループのローマがチェルシーに3-0と勝ったため、この4試合で勝ち点3しか溜まらなかったアトレティコはほぼ敗退が決定。ほぼというのは残り2試合、彼らが連勝して、カラバフが勝ち点1でも取ってくれれば、2位通過できるからですが、何せアトレティコが次のローマ戦に勝つ姿も、チェルシーがスタンフォード・ブリッジでポイントを落とす姿も同じぐらい想像できませんからね。そのせいもあってか、これまで運の悪さを努力で変えてきたという自負のあるキャプテンのガビなど、試合後、「A dia de hoy, la Liga Europa es una mierda/ア・ディア・デ・オイ、ラ・リーガ・エウロッパ・エス・ウナ・ミエルダ(今日の時点ではヨーロッパリーグなんてクソみたいなもの)」とか、「1月までこの調子が続いたら、ジエゴ・コスタが来ても何の役にも立たない」なんて極論に走っていたんですが、まあ理解はできますって。

▽そんな彼らはもうこの土曜、午後4時15分(日本時間翌午前零時15分)から、リーガのデポルティボ戦に挑むんですが、とにかくあまり朗報がなくってねえ。ここ数試合休場中のコケとカラスコもまだ回復せず、加えてフィリペ・ルイスが太もものケガで出られない上、「No tenemos un jugador que el solo gane un partido/ノー・テネモス・ウン・フガドール・ケ・エル・ソロ・ガネ・ウン・パルティドー(ウチには1人で試合を決められる選手はいない)」というシメオネ監督の言葉から察するに、とうとうグリーズマンもtitular indiscutible/ティトゥラル・インディスクティブレ(不動のレギュラー)ではなくなってしまったようなんですが、だからって代わりがいる訳でもなし。

▽よって、メンツは同じまま、2節前にペペ・メル監督を解任、現在はBチームを率いていたクリストバル監督が昇格したデポルティボにうっかり頭でのゴールを入れられないように用心、あとは何かの間違えでもいいから、1点を取れることを祈るしかありません。うーん、木曜夜にはガビ、ゴディン、コケ、モヤら、チームの重鎮が集まって決起ディナーを開いたというアトレティコですが、どうせなら来週の国際代表戦週間を利用して、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのマドリーダービーに勝てるよう、チーム全員でお祓いにでも行く方がいいんじゃないかと思ってしまうのはきっと、私だけではないはずです。

▽え、いくらトッテナムには負けたとはいえ、水曜にはドルトムントがアポエル2試合目でも引き分けたため、グループ2位で突破は順調に決まりそうなお隣さんなのに、クライシスという声がアトレティコどころではなく高まっているのはどうしてなのかって? いやあ、それは世間の反響の大きさが違うせいもありますが、彼らの場合は先週末のリーガ、ジローナ戦に続いての黒星。しかもCLグループリーグで負けるのは5年ぶりともなれば、騒がれるのも当然なんですけどね。

▽ただ実際、その試合のマドリーはまるでアトレティコが憑依したかのような状態で、ジローナ戦同様、マルセロ、クロース、モドリッチ、カセミロが次から次へとパスをミス。それが前半27分に敵のカウンターを招き、ウィンクスのロングパスを受けたトリッピアーはオフサイドだったんですが、見咎められずにデル・アリがフィニッシュして、トッテナムに先制されてしまったから、さあ大変! 再び、カセミロを下げての3CB制に入った後半も11分にはデレ・アリのシュートがセルヒオ・ラモスに当たって2点目を奪われると、20分にはエリクセンにも決められて、とうとう3点差って、我が目を疑うとはまさにこのことだったかと。

▽うーん、どういう訳か、最後にエリクセンを追う役目になっていたモドリックなど、後で「Tenemos que hacer todo para recuperar nuestro juego/テネモス・ケ・アセール・トードー・パラ・レクペラル・ヌエストロ・フエゴ(ウチは何としても自分たちのプレーを取り戻さないといけない)。フィジカルやメンタル的に問題はないんだから」と言っていましたけどね。今季はお隣さん程ではないものの、効率的に得点するのにも苦しんでいるマドリーは結局、35分にはエリア内の混戦からクリスティアーノ・ロナウドが決めて1点を返したんですが、3-1なんて、トッテナムのポチェッティーノ監督も「Me esperaba la mejor version del Madrid/メ・エスペラバ・ラ・メホール・ベルシオン・デル・マドリッド(最高のバージョンのマドリーを期待していた)」と拍子抜けしていたように、まったく2年連続CLチャンピオンにあるまじき惨状と言っていいでしょう。

▽ただ、マドリーのゴールが減ったのには、ロナウドによると、どうやら選手の控え層の変化も影響していたようで、「ペペ(現ベシクタシュ)、モラタ(チェルシー)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン)はチームを強化してくれたけど、los de ahora son mas jovenes/ロス・デ・アオラ・ソン・マス・ホベネス(今の選手たちはもっと若い)。その分、経験が少なくて、それは大事なことだからね」とのこと。まあ、確かにアセンシオ、セバジョス、マジョラル、テオ、バジェホと控えはほとんど皆、20代前半ですからね。このところ、カルバハルの代理で右SBを務めているアクラフに至っては18歳となれば、比べるのも気の毒なんですが、え、その前にロナウドは今季、CLでこそ6得点とランキング首位とはいえ、リーガでまだ1ゴールしか挙げられていない我が身を振り返った方がいいんじゃないかって?

▽そうですね、CLは次のアポエル戦で勝てば、決勝トーナメント進出が決まるため、別にいいんですが、先日、ジローナ戦で1-2と負けた後、ラモスも「No es la primera Liga en la que se remontan ocho puntos/ノー・エス・ラ・プリメーラ・リーガ・エン・ラ・ケ・セ・レモンタン・オチョ・プントス(勝ち点差8を覆したリーガは初めてじゃない)。ボクは勝ち点8以上を逆転して優勝したことがあるよ」とラジオのインタビューで言っていたように、ちょっと誤解があるんですよ。というのも過去、リーガで8差以上から追い上げて優勝したチームはバルサ、バレンシアだけで、マドリーの最大記録は7差。ジダン監督初年度の2015-16シーズンこそ、バルサに4試合で11ポイント詰めたりしたんですが、結局、1差で優勝はできていないから。

▽そう考えると、ジダン監督も「No estamos en crisis/ノー・エスタモス・エン・クリシス(ウチはクライシスにある訳じゃない)」なんて悠長に構えている場合ではないはずですが、この日曜のラス・パルマス戦、それぞれウェールズ代表、フランス代表に招集されたものの、トッテナム戦は負傷欠場しているベイルとバランが復帰できるのかどうかはまだ不明。カルバハルも一緒でもう、今はバルデベバス(バラハス空港の近く)での全体練習に参加しているんですけどね。気がせいてまたケガされても困りましますし、いくら昨季は2引き分けを演じた相手とはいえ、ここは慎重になった方がいい?

▽そんなラス・パルマス戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)にサンティアゴ・ベルナベウでキックオフ。火曜にオリンピアコスとスコアレスドローながら、相変わらずCLグループ首位のバルサはスパルタク・モスクワに2-1と勝ったセビージャを土曜にカンプ・ノウに迎えるため、下手したら、試合前に勝ち点11差になっていることもありえますが、12月23日午後1時と決まったホームでのクラシコ(伝統の一戦)までは、少なくとも現状を維持してほしいですね

▽おっと、マドリーの両雄の話をしているうちに金曜試合だったヘタフェのベティス戦が終了。いやあ、せっかく前半にベルガラとポルティージョのゴールで2点リードしながら、後半23分にはサナブリアに決められ、更に残り3分にブアデスに同点弾を許す辺り、やっぱり終盤に弱いという弟分の今季の宿命、前節のレアル・ソシエダ戦で逆転勝利したぐらいでは変わっていなかったのは残念だったかと。まあ、それでも2-2でアウェイのベニト・ビジャマリンで勝ち点1をゲットとしたとなれば、健闘したと褒めるべきなんでしょうが、こういう勝ち切れない試合を後で悔やむことがないよう、この代表戦週間はみっちり練習に集中してもらいたいところです。

▽そしてもう1つのマドリッドの弟分は土曜にメスタジャでバレンシア戦ですが、何せ現在、2位のこの相手は唯一、勝ち点差4でバルサを追っているチームですからね。とりわけ、今季はヨーロッパの試合がないだけに、もしかしたらこのままかなり長い間、高みを維持しかなないとなれば、ここは無理は承知でレガネスに一肌脱いでもらうしかない? 前節はセビージャに負けて7位に後退してしまった彼らとはいえ、勝ち点は6位のビジャレアルと同じ17とあって、きっと選手たちもEL出場圏内復帰を目指して張り切っているはずですが…そうそう兄貴分たちにいいようには転がらないような気がします。


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