【原ゆみこのマドリッド】サッカーだけとはいかない…

2017.10.29 20:00 Sun
▽「悩むところだわ」そんな風に私が決めかねていたのは金曜日、アトレティコの試合が翌日の午後4時15分(日本時間午後11時15分)からだったため、少し早めにワンダ・メトロポリターノ近辺まで行って、お昼を食べるのもいいんじゃないかと思いついたものの、新スタジアムがオープンして以来、ずっと使っているメトロ(地下鉄)7号線の最寄駅、Estadio Metropolitano(エスタディオ・メトロポリターノ)はほぼスタジアム直結ながら、周辺はほぼ荒野。丁度、その日は” el Día de las Peñas/ディア・デ・ラス・ペーニャス(ファンクラブの日)“が開催され、試合日恒例のファンゾーンが午前11時に開場、キッズ向けエリア近くではcallos(カジョス/スペイン風モツ煮)、tortilla(トルティージャ/同オムレツ)、bunuelos(ブニュエロス/揚げ菓子)のコンビプレートが3.5ユーロ(約460円)で食べられるという情報もあったんですけどね。

▽他にもピザやホットドッグ等のフードトラックが多数出ているため、スタジアム周りで過ごすというのも考えたものの、実は先日、7号線の1つ手前の駅、Las Musas(ラス・ムサス)で下車して付近を散歩がてらに探索してみたところ、Avenida de Niza(アベニダ・デ・ニサ)を北上して着くPlaza de Garcia(プラサ・デ・ガルシア)には4、5軒のバル(スペインの喫茶店兼バー)が並んでいるのを発見。どこもテラス席があり、Volapie(ボラピエ)やCerveceria de Niza(セルベセリア・デ・ニサ)といった辺りは食べ物メニューも充実しているようで、スタジアム正面まで徒歩300メートル程とまあ、距離感も良かったんですが…問題はこの方向の新市街地にはそのエリア以外、ほとんどバルがないということ。

▽つまり、ファンによる試合前の大混雑はお約束で、実際、ビセンテ・カルデロン時代なども近隣には何十軒もバルがありながら、座る席を見つけるどころか、人垣をかき分けてcana(カーニャ/グラスビール)を注文しないで済む場所を探すにはかなり、スタジアムから遠ざからないとなりませんでしたからね。ちなみにクラブの案内(https://www.atleticodemadrid.com/atm/ubicacion-del-wanda-metropolitano)で挙げられている最寄駅の1つ、2号線のLas Rosas(ラス・ロサス)駅側も似たりよったりでお店はあまりなく、唯一、5号線のCanillejas(カニジェハス)駅周辺だけが飲食できるお店もそこそこある商店街なんですが、スタジアムまでは30分程、歩かないといけないのが欠点かと。
▽もちろん、アトレティコのcamiseta(カミセタ/ユニフォーム)を着たり、bufanda(ブファンダ/マフラー)を持ったファンの後をついて行くなり、今日び、google mapの機能を使えば、外国の知らない土地でも目的地に着けるとはいえ、夜のキックオフだったりすると、初めて訪れる人は不安になるかも。何にしろ、これからの8試合中、この土曜のビジャレアル戦を皮切りに来週火曜にはCLカラバフ戦、各国代表戦週間明けにはマドリーダービー、11月14日にはCLローマ戦、そしてコパ・デル・レイ32強対決エルチェ戦2ndレグ、レアル・ソシエダ戦と6試合がホーム開催されるアトレティコ。私もその間に周辺をもっと見てみるつもりですが、そうそう、ゲーム終了直後、エスタディオ・メトロポリターノ駅で起きる大混雑を避けるため、ファンゾーンや前述のバルで一杯やって、メトロに乗る時間をズラすというのはいい手だと思いますよ。

▽え、いくら私がワンダ・メトロポリターノの魅力を説いても、肝心のチームがあんなではファンも見に行く気がなくなるんじゃないかって?そうですね、1部チームのコパ・デル・レイ初戦が始まった今週のマドリッド勢は弟分のヘタフェが火曜にアラベスをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えて始まったんですが、彼らも少々残念な結果に。こちらは同じカテゴリー同士の対戦だったんですが、ファンもあまり期待していなかったんでしょうかね。再昇格後にしては珍しく、スタンドも半分程しか埋まらず、どちらのメンバーも控え中心で消極的なプレーに終始したため、そのままスコアレスドローの気配が濃厚に漂い始めたところ…。
▽それが後半42分、またしてもヘタフェの悪い癖が出て、FKからサントスにヘッドでゴールを奪われてしまうんですから、ホントにツメが甘い。結局、0-1で2ndレグに挑むことになったんですが、まあ、彼らの場合、コパはもう気にせず、日曜のホームゲーム、レアル・ソシエダ戦に心血を注がないといけませんからね。幸いアルバロ・ヒメネスがその試合から戦列に復帰、ゴロシートもベンチに入り、ジェフェルソン・モンテーロも治ったため、残る負傷者は柴崎岳選手とパチェコのみとなりますが、相手は木曜にコパでジェイダ(2部)にカナレスのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で0-1と勝ったものの、リーガでは前節エスパニョールと1-1で引き分け。現在9位とあまり振るっていないだけに今度こそ、今季ホーム2勝目を挙げて、同じマドリッド郊外南部のお隣さんにこれ以上、置いていかれないようにしてくれるといいのですが。

▽実際、レガネスの快進撃はコパでも止まらず、いえ、彼らはアトレティコと同じ水曜、1時間早い始まりでバジャドリッド(2部)との1stレグを戦ったため、私も試合を見ることはできなかったんですけどね。丁度、近所のバルでエルチェ(2部B)戦に先発したフェルナンド・トーレスが開始2分、ベルサイコのクロスをシュート、ボールはゴール脇に外れたのにオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)からは、「Goooool!」の絶叫が止まらず。何のことやらと思えば、レガネスが後半1分にディエゴ・リコのゴールで先制したのと重なったというオチだったんですが、その後、一旦は同点にされながら、42分には途中出場のボーヴュが敵GKとの1対1を確実に仕留めているんですから、まったく侮れない。1-2の先勝という有利な状態でブタルケでの2ndレグを迎えられるとなれば、安心じゃないですか。

▽そんな彼らなら、土曜のリーガ、セビージャ戦が午後4時15分に設定されながら、未だに日中30度を超えるスペイン南部の暑さを警戒、急遽、キックオフが午後10時30分に変更されるという目に遭っても十分、対処できるはずですが、一応、相手も最近、調子が落ち気味とはいえ、火曜のカルタヘナ(2部B)戦には0-3と快勝していますし、CL出場組とあって用心は必要かと。それでも兄貴分のアトレティコの結果次第ではこの10節、ヨーロッパリーグ出場圏の5位から、CL出場圏の4位へと下剋上も可能だなんて、いつの間にか、世の中も変わったものです。

▽そして、この夏はFIFA処分で新規選手登録ができないというハンデはあったものの、今季はシメオネ体制の勤続疲労とでも言ったらいいんでしょうかね。予算は弟分たちの10倍近くありながら、ファンを喜ばせる試合をあまり見せられていないアトレティコはコパでも同じでした。いえ、前半こそ、相手が格下なのをいいことに優勢に進めていたんですけどね。16分にはヒメネスのクロスをトマスがゴール右前から強烈ヘッドで決め、先制したんですが、後半6分にリュカの与えたPKで同点にされると、そこから勝ち越しゴールの報はいつになっても届かず。

▽ええ、キックオフ前には地元出身選手としてエルチェ(2部B)に記念品をもらっていたサウールなども「Hemos tenido ocasiones muy claras, tres manos a mano, pero es lo de siempre.../エモス・テニードー・オカシオネス・ムイ・クラーラス、トレス・マノス・ア・マノ、ペロ・エス・ロ・デ・シンプレ(ウチは絶好機が、1対1のチャンスが3度もあったけど、いつもの通りで…)効率性が欠けていた」と言っていましたが、いやあ、私だってもう、シュートが枠をほんの少し外れたり、ポストに当たったり、敵GKに弾かれたりと、次から次へとビエットがチャンスを無駄にする度、呆気に取られていましたよ。シメオネ監督の「Sólo nos faltó el acierto de cara a la portería/ソロ・ノス・ファルトー・エル・アシエルトー・デ・カラ・ア・ラ・ポルテリア(ウチに欠けていたのはシュート精度だけ)」という言葉も何度聞いたかわかりませんが、何せこのスポーツ、ゴールが入らないと勝てませんからね。

▽ライバルのレベルを考慮しなければ、とりあえず、アウェイでの1-1引き分けは2ndレグに向けて好結果と見なされるため、別に心配することはないんですが、困ったのは今のアトレティコは同等のライバルに当たると、サッカーにはとても見えない何かを始めてしまうこと。何せ、木曜にはチラとマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でボールを蹴る姿を目撃されたコケもまだ太ももの浮腫が治らず、カラスコもジムにこもっていますからね。慰めとなるのはグリーズマン、ガメイロ、ガビ、ゴディン、フィリペ・ルイス、サビッチ、フアンフラン、オブラクらがエルチェ(スペイン南部の町)遠征を免除され、休養十分でビジャレアル戦に臨めることですが、さて。ちなみに相手はこの水曜、ポンフェラディーナ(2部B)に1-0で負けていますが、あちらも控え選手がプレーしているため、あまり参考にはなりません。

▽え、それより金曜にはカタルーニャ議会がついに「Independencia unilateral/インデペンデンシア・ウニラテラル(一方的独立)」を宣言。それに反応してスペイン中央政府が州の自治権を停止する憲法155条の即時適用を表明したが、日曜に同州にあるジローナを訪ねるレアル・マドリードのリーガ戦に影響はないのかって?うーん、どうやらここ数日、バルセロナを始め、反スペイン政府デモが頻発しそうで、週明けには交通機関の一斉スト(メトロなどの本数が激減)があると、私も在スペイン日本大使館からの注意喚起メイルを読んで、何だか剣呑な雰囲気を感じているんですけどね。独立したいのはカタルーニャ政府で、その地域のサッカー協会はスペイン・サッカー協会からの離脱を表明しておらず。そうする場合でも手続きには時間がかかるため、治安が極端に悪化しない限り、予定通りに試合は行われるとか。

▽マドリーは土曜の夜に現地入りして、午後4時15分(日本時間午後11時15分)の試合開始1時間半前にモンテリビに向かうまでパラウ・ベジャビスタ・ホテルに滞在。目立つチームバスも使用しないそうですが、ジダン監督も木曜のコパの後、「No estamos preocupados y no va a cambiar nada/ノー・エスタモス・プレオクパードス・イ・ノー・バ・ア・カンビアール・ナーダ(ウチは心配していないし、何も変える気はない)」と言っていましたしね。うーん、カタルーニャ州軍はないため、武力衝突の懸念ないはずですが、警官隊とデモ隊が揉み合ったり、この異常事態を利用して、町で暴力騒ぎを起こすウルトラ(過激なサポーター)グループがまた出現しないかどうか、その辺は私も心配です。

▽まあ、試合自体については、相手は昇格組のジローナですし、コパでも木曜にレバンテに0-2で敗戦。15位と調子づいている訳でもないため、フエンラブラダ(2部B)戦を免除されたクリスチアーノ・ロナウドを始め、ベンゼマ、イスコ、クロース、モドリッチ、カゼミロ、セルヒオ・ラモス、バラン、マルセロといったメンバーで挑めるマドリーが優勢なのは否めないところかと。GKケイロル・ナバスとベイルは来週水曜のCLトッテナム戦を目指してリハビリしているため、まだ招集されないはずですが、今は勝ち点差5ある首位バルサとの距離を縮めないといけませんしね。勝ち点3を逃す余裕はないため、選手たちも必勝を期しているのでは?

▽そうそう、今回のコパ32強対戦1stレグで唯一、オープンチャンネルのGolTVでの放送となり、私も自宅で快適に見られたフエンラブラダ戦の方は、うーん、マドリッド郊外にあるエスタディオ・フェルナンド・トーレスが平地にあるため、裏が丘になっているコリセウム・アルフォンソ・ペレスでも以前は木や鉄塔に登って外からタダ見する勇気あるファンもいたものの、そこではスタジアムの柵の外に大勢が鈴なり状態。仮設スタンドで収容力を7500人に増強したのに加えれば、軽く観客8000人にはなっていたのには驚かされたかと。

▽前半が0-0で終わったのも意外だったんですが、それでも後半にはアクラフがエリアに入るか入らないかのところでフラン・ガルシアに引っ張られ、PKをゲット。これをアセンシオが決めて先制したマドリーは35分にもセットプレー時にテオがカンデラに倒され、ルーカス・バスケスのPKで2点目を追加することに。同時にカンデラが2枚目のイエローカードで退場になったのはいいんですが、まさか終盤に今季初出場したバジェホが乱暴なタックルで一発レッドとはちょっと張り切りすぎてしまった?

▽結局、0-2で勝利しましたが、同じBチームを起用して、クルトゥラル・レオネサ(2部B)を1-7で粉砕した昨季とは実力的に大きな差があった感はなきにしもあらず。いえ、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)の選手も混じった平均年齢22.45歳のチームですから、仕方ない面もありますけどね。3年前はそのカンテラを率いてフエンラブラダに来たジダン監督も「Contento con el partido de todos. Perdí aquella vez y hoy ganamos/コンテントー・コン・エル・パルティードー・デ・トードス。ペルディ・アケージャ・ベス・イ・オイ・ガナモス(皆のプレーに満足している。あの時は負けたけど、今日は勝ったしね)」と、これで2ndレグでもローテーションできることになったため、まあ良かったかと。ちなみにまだ11月29日前後というだけで、日時は決まっていませんが、コパ初戦はサンティアゴ・ベルナベウのチケットが割と簡単に手に入るカード。その辺りにマドリッドに来る予定のあるファンはチェックしておいて損はありませんよ。

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly