【原ゆみこのマドリッド】こんなに弱いチームだったっけ…

2017.10.01 08:00 Sun
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▽「今、試合に出られないんじゃ意味ないよね」そんな風に私がやさぐれていたのは金曜日、3カ月もブラジルでバケーション三昧していた割には意外と早く、その日からチームの全体練習に加わったジエゴ・コスタについて、シメオネ監督が「Muy bien anímicamente y espiritualmente/ムイ・ビエン・アニミカメンテ・イ・エスピリトゥアルメンテ(士気も精神的にも凄くいい)」と記者会見で答えているのを聞いた時のことでした。いやあ、当人の移籍がこの水曜、正式に決まったため、同日にあったCLチェルシー戦の前、ワンダ・メトロポリターノにあるオフィシャルメガストアで彼がつけることになる背番号18のユニフォームが大いに売れたのは大いに結構なことなんですけどね。
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▽とはいえ、FIFAに科された選手の新規登録禁止処分が解ける来年1月までコスタはアトレティコでプレーできないため、先週末のセビージャ戦に続き、その試合もパルコ(貴賓席)で応援していたんですが、これぞまさかの青天霹靂。CL優勝を目指すチームに戻って来たはずなのが、この先の出来如何によってはヨーロッパリーグ優勝に目標を切り替えることも視野に入れないといけなくなったって、いえ、セビージャ在籍中に前人未到のEL3連覇を達成したビトロ(現在はラル・パルマスにレンタル移籍)が来るのは頼もしいですけどね。昨今はELタイトルにCLグループリーグ出場権がついてくるのもおいしいんですが、ここ数年でCL決勝に2度進出しているアトレティクにしてみれば、後退感は否めないところかと。これでは来年のW杯でスペイン代表エースの座をモラタに譲る危険を犯し、わざわざ古巣に帰還した当人も後悔してしまうかも。▽まあ、どうしてそんなことになったのかはまた後で話しますが、まずはお隣さんのCL2節の結果をお伝えしておかないと。今回火曜試合となったレアル・マドリーはアウェイでのドルトムント戦だったんですが、ジグナル・インドゥナ・パルクでこれまで1勝もしたことがないせいもあって、試合前は厳しい予想も出ていたものの、案ずるより産むがやすしとはまさにこのこと。ええ、前半18分にはカルバハルのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で決めて先制すると、後半にはリーガこそ、5試合の出場停止処分が終わった後に出たベティス戦、アラベス戦でゴールが生まれず、心配されていたクリスチアーノ・ロナウドがCLでの好調ぶりを披露。9分にはベイルのラストパスをワンタッチで流し込むと34分にもエリア内からシュートを決めて、初戦のアポエル戦に続き、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を挙げてくれます。
▽これで0-3と快勝したマドリーだったんですが、ちょっとラッキーだったところもあって、まだ0-0だった前半13分、GKケイロル・ナバスのクリアしたボールがゴールライン上でセルヒオ・ラモスの手に当たったプレーは、「VAR(ビデオ審判)があればペナルティになったかもしれない」とドルトムントのボス監督も嘆いていたようにお咎めはなし。どうやらUEFAは判定する審判の人員不足で導入を見送っているようですけどね。それをいいことに「cuando no es voluntaria no es penalty/クアンドー・ノー・エス・ボルンタリオ・ノー・エス・ペナルティ(意図的でなければペナルティではない)と教わった」(ラモス)と、当人があっけらかんとしているのもどうでしょうか。

▽もう1つの幸運は、「ドルトムントはホームで戦う時、守備ラインをかなり上げてくる。Si le dejas espacio, Bale es letal/シー・レ・デハス・アスウパシオ、ベイル・エス・レタル(スペースを与えられたベイルは非常に危険だからね)」とジダン監督も言っていましたが、相手がここまで19得点1失点で1位というブンデスリーガでの優位に過信してしまったこと。その辺、リーガの対戦相手は心得ているんですが、おかげでこのシーズン序盤、まだ調子が上がっていなかったベイルも1ゴール1アシストと面目躍如できましたしね。
▽いつもこうだと、ホームサポーターからのpito(ピト/ブーイング)回避も早期達成できそうですが、そうそう、残り4分で彼が交代したのは「Sólo se le ha subido el gemelo/ソロ・セ・レ・ア・スビードー・エル・ヘメロ(ふくらはぎがつっただけ)」(ジダン監督)だそうで、マドリッドに戻ってからの検査でもケガは見つからなかったとのこと。ただし、来週はプレーオフ出場が懸かったウェールズのW杯予選もあるため、日曜の試合に出るかどうかは微妙なようです。

▽え、CLでは2連勝して、10月17日、11月1日のトッテナムとの2試合でグループ首位突破も決まるかもしれないぐらい順調なマドリーだけど、リーガではまだホームでの勝利がないんじゃないかって?その通りでバレンシア、レバンテと引き分けた後、ベティスに0-1で負けてしまったため、全勝している首位バルサとの勝ち点差7の6位に甘んじているんですが、その元凶のサンティアゴ・ベルナベウではこの木曜、金曜にもバラン、アセンシオと選手の契約延長プレゼンが続くことに。

▽うーん、これでマルセロ、イスコ、カルバハル、ベンゼマ、マルコス・ジョレンテと7人が2021~23年までの延長にサインしたことになり、ロナウドなどもドルトムント戦の後には「Mi renovacion? A lo major el presidente lo sabe contestar mejor/ミ・レノバシオン?ア・ロ・メホール・エル・プレシデンテ・ロ・サベ・コンテスタール・メホール(ボクの契約更改?会長の方が上手く答えられるかもね)」と、自分の番が回ってくるのを待っているようでしたけどね。彼の場合、現在、2100万ユーロ(約28億円)の手取りをクラブは2500万ユーロ(約33億円)に上げようという心積もりはあるものの、当人はメッシやネイマール級の3000~4000万ユーロ(40~53億円)を希望しているらしいので、そう簡単にはいかないかも。

▽まあ、その辺は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのエスパニョール戦をまずは皮切りに、ホームのリーガ戦でもゴールを量産、もう9得点しているメッシの追撃を始めることでアピールしてほしいものですが、キケ・サンチェス・フローレス監督のチームも前節はデポルティボに4-1で勝利して自信をつけていますからね。とにかく根性のremontada(レモンターダ/逆転優勝)の掛け声が年内のうちからスポーツ紙を賑わすのもうっとうしいですし、これ以上、バルサとの差が広がらないよう、気合を入れてプレーしてもらいたいものですが…。

▽いやあ、アトレティコがまた悲劇に見舞われてしまったせいで、私もあまりヨソ様の幸せを祈る余裕がなくなっているんですよ。そう、他のCLスペイン勢は火曜にセビージャがマリボルにベン・イェデルのハットトリックで3-0のグループリーグ初勝利、水曜のバルサも敵のオウンゴールでスポルティングに0-1と勝って2連勝と好結果だったんですが、ワンダ・メトロポリターノでの初開催となったヨーロッパの試合で彼らは序盤からチェルシーに圧倒されてしまうことに。それでもGKオブラクがモラタの至近距離ヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたり、敵のシュートがギリギリ外れてくれたりしたため、失点は免れていたんですけどね。

▽もしやそんな劣勢だったにも関わらず、CKの時にダビド・ルイスがルーカスを倒してPKをゲット。昨季はあれだけ呪われていたにも関わらず、グリースマンがGKクルトワをあっさり破り、先制してしまったことでその日のツキを使い果たしてしまった?後半になってますます激しくなったチェルシーの攻勢が実を結んだのは14分。キレまくっていたアザールのクロスをモラタがヘッドして追いついたとなれば、コスタがチェルシーを出る原因を作ったコンテ監督だって、もう誰にも文句は言われないに決まっていますって。

▽実際、後でアトレティコサイドも口を揃えて「Fue superior tácticamente, físicamente.../フエ・スペリオール・タクティカメンテ、フィシカメンテ(相手が戦術的にもフィジカル的にも上だった)」(シメオネ監督)と認めていたように、もうここまでピッチで実力の差をつけられてしまうと、30分にはヒメネスを入れ、CB3人体制で引き分けを守りにいったのも理解できるんですけどね。まさか、あと一息というロスタイム、予想もしなかった悲劇に見舞われるとは!最初の戦犯はダビド・ルイスを倒して無用なFKを与えたコケだったんですが、ボールをエリアに放り込まず、チェルシーが回してチャンスを伺う中、右奥でボールを持ったマルコス・アロンソにゴディン、ルカス、ヒメネスの3CBがついていくって一体、何を考えていたんでしょう。

▽その結果、マークの外れたFWバチュアイにパスが渡り、そのシュートが決まったのは94分のこと。アトレティコに反撃する時間はまったくなく、そのまま1-2で試合終了のホイッスルが鳴っているんですから、たまったもんじゃありませんって。おかげで2節を終えて勝ち点1に留まった彼らは、「Tenemos que ganar todos los partidos que nos quedan/テネモス・ケ・ガナール・トードス・ロス・パルティードス・ケ・ノス・ケダン(ウチは残った試合に全勝しないといけない)」(グリースマン)状態になってしまったんですが、まあ正確には3、4節のアポエルとの連戦に勝ち、次にホームに迎えるローマも倒せば希望が見えるといったところかと。

▽うーん、試合後、ファンフランなどは「Si nos dan por muertos, major/シー・ノス・ダン・ポル・ヌエルトス、メホール(もうダメと思われたなら、その方がいい)。ウチはハンデがある時程、上手くいくから」とまったくメゲてはいなかったんですけどね。昨季もそうでしたが、どうにもアトレティコは5人DF制のチーム攻略が苦手なようで、いえ、私が金曜に偵察に行ったリーガの次の相手、レガネスのガリターノ監督は「El Atlético tiene capacidad para jugar bien con cualquier sistema/エル・アトレティコ・ティエネ・カパシダッド・パラ・フガール・ビエン・コン・クアルキエル・システマ(アトレティコはどんなフォーメーションにも適応できる能力がある)。そんな単純なら、ウチもやればばいいだけだが、そうはいかない」と、ジローナやチェルシーの例に倣うことはしないよう。

▽それよりインスタラシオン・ブタルケでのセッションでは選手たちに手とり足とり指導、「サウルはこういう時、上がっていくから」と事細かにポジションニングを指示していた彼は、「これまで先手を取られると皆、逆転は不可能と思っていたが、それが崩れた」と、アトレティコが珍しく逆転負けを喰らったことに希望の光を見出していたようで、何せ今はレガネスも7位と余裕がありますからね。前節のラス・パルマス戦ではチームで一番テクニックのあるシマノフスキが2アシストと調子に乗ってきたこともありますし、土曜午後8時45分からのマドリー兄弟分ダービーにまったく気後れしている風はなかったかと。

▽実際、アトレティコではフィリペ・ルイスとルカスが揃ってハムストリングを痛め、この試合ではベルサリコかファンフランが左SBを務めないといけないというのもちょっと心配の種なんですが、こればっかりはねえ。一応、チェルシー戦でのショックな負け方が後を引くのではないかという懸念に対しては、シメオネ監督も「lo que pasó se queda atrás/ロ・ケ・パソ・セ・ケダ・アトラス(過ぎたことは過ぎたこと)」と切り替えができていることを強調していましたが、果たして選手たちは如何に?ようやくリーガではここ3連勝して2位に躍進しているだけに、チケット完売で満員となるブタルケで兄貴分の貫録を示すことができるといいのですが。

▽そしてレガネス同様、今週はミッドウィークの試合がなかったもう1つの弟分、ヘタフェはどうしていたかというと。いやあ、こちらは木曜に見学に行ったところ、また熱心にシュート練習を続けていましたが、相変わらず柴崎岳選手の姿はグランウンドに見られず。クラブの広報の話では左足第5中足骨のヒビを手術するしないを含めて、月曜には正式なパルテ・メディコ(医療報告)が出るだろうとのことでしたが、今週もジムでのリハビリをずっと続けているのだとか。

▽ちなみにコリセウム・アルフォンソ・ペレスのロビーでバッタリ遭ったヘタフェ最初の1部昇格時のレジェンド、今はユースチームのコーチをしているパチョンに柴崎選手の様子と訊くと、「よくスタジアム内のバル(喫茶店兼バー)で朝食をとっているのを見かけるけど、el es muy serio/エル・エス・ムイ・セリオ(彼は本当にマジメだね)」と言っていましたが、まあスペイン語でなくても外国語で雑談するのは難しいですからね。慣れていけば、そのうちチームメートと談笑する姿なども見られるんじゃないかと思いますが、今はとにかく辛抱が大事。早くケガが治って、最近増加傾向にある日本人観戦客を沸かせてくれることを期待するしかありません。

▽そんなヘタフェは今週末、土曜の午後1時(日本時間午後8時)からアウェイのデポルティボ戦に挑むんですが、うーん、前節はビジャレアルに4-0と大勝したところ、相手のエスクリバ監督が翌日解任の憂き目に。現在18位のチームを率いるペペ・メル監督も進退が危ない状況で、ここでヘタフェが勝つと不穏なジンクスができてしまいそうですが、各国代表戦週間明けの14日にはマドリーを迎えないといけない彼らですからね。ボルダラス監督としてもここは絶対、落とせないところかと。今回はデポルティボがレンタル元になるファジルが契約条項で欠場するものの、何とか勝ち点3をゲットして、気分良くparon(パロン/リーガの停止期間)に入ってほしいものです。

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