【原ゆみこのマドリッド】ゴールを入れるのは易しい?それとも難しい?

2017.08.29 12:55 Tue
▽「やってくれるわね」そんな風に私が呟いていたのは月曜。1節に続いて2節でもレガネスが3位と、CL出場圏内に留まっているのに気づいた時のことでした。いやあ、まだ2試合しかリーガ戦は消化していませんから…。日曜のエスパニョール戦でマントバーニのゴールにより0-1で勝利し、レアル・ソシエダ、バルサと一緒に2連勝とした彼らがマドリッドの兄貴分チームたちを差し置いて、上位にいるのは当たり前なんですけどね。ここで気になるのは、来週はインターナショナルマッチウィークとなるため、レアル・マドリーからは総勢16人、アトレティコも11人、もう1つの弟分、ヘタフェからも柴崎岳選手、ファジル(モロッコ)、ジェネ(トーゴ)の3人がそれぞれの代表戦に駆り出される中、レガネスに招集された選手がいるという話は一向に聞かず。
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▽つまり彼らはこの2週間、ほぼ全員揃って、ブタルケ(レガネスのホーム)から高速道路を挟んだところにあるインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケでじっくり練習に励み、代表戦週間明けのヘタフェとの弟分ダービーを迎えられることに。その後も対戦相手はエイバル、ジローナ、ラス・パルマスと続き、いわゆる強豪と当たるのはアトレティコを迎える7節が初めてとなると、もしやこの快進撃、しばらく止まらない? いえ、開幕のアラベス戦同様、2節も0-1で勝利したアシエル・ガリターノ監督は「Es fundamental no olvidar quién eres/エス・フンダメンタル・ノー・オルビダール・キエン・エレス(自分たちが何者なのか、忘れないことが大事)。それ以上のことを信じれば、1部にいるのも束の間だ」と、決して大風呂敷を広げたりはしませんけどね。▽昨季からメンバーも半分近く変わってしまったものの、監督が1部2年目ということで、要領を覚えたんでしょうか。守備も堅くなりましたし、相変わらず、得点を量産するFWには恵まれていないものの、1点ぐらいはチーム皆の力を合わせて取れるようになったため、私もちょっと期待してしまうんですが、こればっかりはねえ。というのも、この2節のマドリッド勢の戦いぶりを見て、ゴールはまさに水ものというのがよくわかったから。
▽え、それは私が土曜に信じられないアトレティコのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を目撃したから、言っているんじゃないのかって? そうですね、マドリッド勢の先陣を切って、ラス・パルマス(カナリア諸島)での2節に挑んだ彼らですが、1週間前のジローナでは後半、猛反撃して、何とか辻褄は合わせたものの(2-2ドロー)、序盤の寝ぼけぶりをシメオネ監督も反省。グリーズマンが2試合の出場停止処分になっているのもあって、スタメンに手を加えたことが大成功したんです。ええ、開始3分にはツートップに抜擢されたビエットとコレアが繋がり、後者のシュートで先制点を挙げたかと思えば、その2分後にはカラスコも敵DFをエリア内で切り返してゴールをゲット。

▽あれよあれよという間に2点もリードしてしまったため、これにはFIFA処分が解け、新規選手の登録ができるようになる来年1月までラス・パルマスにレンタルでお世話になっていて、その日は相手側の「cortesia(コルテシア/礼儀)」により、パルコ(貴賓席)見学をしていたビトロも少し安心したかと思いますが、すぐに待機モードに入ってしまうのもアトレティコの悪い癖。そこから後半序盤まで攻撃を怠け、相手にボールを持たせて専守防衛していたんですが、58分にはジローナ戦でストゥアニに後れを取ったサビッチのように、モモのクロスをゴディンがカレリに先を越され、ヘッドで1点差にされてしまったから、さあ大変!
▽でも大丈夫だったんです。というのも、この日は325試合に1回という奇跡が起こり、64分にはコケがエリア外右から狙い澄ましたシュートがゴールネットへ。更に74分にはカラスコの撃ったボールがDFに当たり、ゴール前に跳ねたところをchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)で決め、キャリア初のdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成してしまったから、驚いたの何って。いえ、その少し後にはビエットの代わりに入っていたガビがエリア内でビエラを倒し、PKを与えるなんて余計なことしてくれましたけどね。そこはGKオブラクが見事に弾き、失点を免れた上、88分にはカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の後輩、トーマスがカラスコの折り返しをコケがスルーしたボールを弾丸シュートで決めて、とうとう1-5の大勝 になっていましたっけ。

▽え、こんな試合ができるなら、この夏、戦力補強ができなかったのをファンが心配していたのは杞憂だったんじゃないかって? うーん、そうも言えますけどね。試合後、コケが「先週のことは教訓になった。相手の出方を待つんではなく、勝利を求めて向かっていかないといけない。Es importantísimo salir así todos los partidos/エス・インポルタンティシモ・サリール・アシー・トードス・ロス・パルティードス(全ての試合でこんな風にスタートするのがとても大切だ)」と言っていましたが、いや、それって大昔からのお約束じゃない?

▽そんなことすら、たまにすっかり忘れてしまうのが、いかにもアトレティコらしいところなんですが、多分、それもあったんでしょうね。シメオネ監督がガビ、フェルナンド・トーレス、ファンフラン、フィリペ・ルイスら、30歳以上の選手をベンチスタートにし、平均年齢24.4歳という若いチームを組んだのは。最後はヴルサリコに代わってサビッチが入ったため、4CB、4ボランチという異様に守備的なチームになっていたものの、おかげで勝ち点4でparon(パロン/リーガの停止期間)を迎えられることになり、順位も4位に上がったのは良かったかと。ただし、次のバレンシア戦でもそう上手くいくかは保証の限りではありませんが。

▽その理由はまた後で話しますけど、翌日曜はコリセウム・アルフォンソ・ペレスに行った私はセビージャ戦キックオフ直前にレガネス勝利の朗報を知ることに。同じ弟分に先を越されてはヘタフェだって悔しいでしょうし、丁度、相手はバネガが出場停止、エンゾンジも負傷欠場だった上、先週の彼らは火曜にCLプレーオフ2ndレグのパナシナイコス戦があったため、疲労が見込まれましたからね。1節をアスレティックとゴールレスドローに終わった彼らにとって、1部復帰初勝利を飾る絶好の機会になると思ったんですが…何せ、シュートが入らなくてはねえ。

▽そう、前節に続き、柴崎選手も前線で先発したこの試合では、後でカラも「ウチは攻撃でも守備でも優勢で、ボールをコントロールした」と言っていた通り、多くのチャンスを作ったヘタフェだったものの、頼りのエース、ホルヘ・モリーナもGKセルヒオ・リコを破ることができず。出場停止のアルバロ・ヒメネスに代わって、サイドに入ったアマトに至っては、テネリフェの一員だった6月の昇格プレーオフ決勝2ndレグ同様、絶好機にも枠をとらえることがまったくできないって、ボルダラス監督は「Tiene muchas cosas buenas/ティエネ・ムーチャス・コーサス・ブエナス(いいところも沢山ある)」とフォローしていましたけどね。いくら守備では献身的で足も速いと言っても、ああまでフィニッシュが下手となると、プレシーズンを過ごしたアトレティコに残れなかったのも無理はなかったかと。

▽一方、ノリートやヘスス・ナバスがスタメンにいたセビージャも点が入る雰囲気ではなかったんですが、「Una falta de coordinación y una genialidad de Ganso nos priva de los tres puntos/ウナ・ファルタ・デ・コオルディナシオン・イ・ウナ・ヘニアリダッド・デ・ガンソ・ノス・プリバ・デ・ロス・トレス・プントス(コーディネーションの欠如とガンソの才能がウチから勝ち点3を奪った)」(カラ)という事態が起こったのは、すでに柴崎選手もポルティージョに交代していた83分。ええ、メルカドが右から入れたパスにカラの足は届かず、ジェネの前でガンソがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でボールの軌道を変え、1点を奪われてしまうことに。

▽これが決勝点になって、結局、ヘタフェは0-1で負けてしまったんですが、ボルダラス監督が昨季、エスナイデル監督を引き継いで以来、コリセウムでは1度も黒星がなかっただけに、せっかく新設されたfondo azulon(フォンド・アスロン/南側ゴール裏にできた応援団席、ここの年間指定席購入者は80%以上の試合に来て、20分前には入場することになっている)のファンたちもこれにはアテが外れたかと。ただそれでも彼らは選手たちが一生懸命、やっているのをわかっているだけに何度、ガッカリさせられてもpito(ピト/ブーイング)が飛ぶなんてことはなかったのですが…。

▽その次の時間帯でプレーした大先輩チームはそうはいかないんです。いえ、私は柴崎選手が通るかもしれないとミックスゾーンで待つつもりだったのと、ヘタフェ(マドリッド近郊)からサンティアゴ・ベルナベウまでは1時間以上かかるため、バレンシア戦には行っていないんですけどね。日本代表合流のため、当人が急いでいたんでしょうか。柴崎選手は姿も見せず、一番手で帰ってしまった上、珍しくマドリーが勝たなかった試合を見逃してしまうという結末になったんですが、何より悔しかったのはイスコに続く、新たな若きスター誕生の瞬間に立ち会えなかったこと。

▽もちろんそれはアセンシオのことで、この日は開始10分にコンドグビアの逃したボールを敵陣で拾うとエリア前からのシュートで先制点をゲット。18分にはガヤ、ラトの連携から、20歳のカルロス・ソレルがゴール前で流し込み、バレンシアのカンテラーノトリオの活躍で同点にされてしまったものの、まさか77分に2列目から突っ込んできたコンドグビアに勝ち越し点を奪われた後、おそらくクリスチアーノ・ロナウドがまだ出場停止処分3試合目で、ベイルもルーカス・バスケスに代わっていたせいでしょうか。FKのキッカーをアセンシオが務めたところ、敵の壁の横を抜けるボールにGKネトは一歩も動けず。となれば、場内がアセンンシオコールで埋め尽くされたのも想像に難くありませんって。

▽残りは7分プラス、アディショナルタイム。丁度、私はメトロの駅を出たところだったんですが、道沿いのバル(スペインの喫茶店兼バー)のテラスにTVがあり、通行人が足を止めて見ていたとなれば、何せ奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質のマドリーですからね。自分も立ち見で成り行きを追ったんですが、でも残念。その日のマドリーはキックオフ前の昨季のリーガ優勝杯授与式では主役を務めていたものの、先週のデポルティボ戦で退場していた93分の男、セルヒオ・ラモスがいなかったんですよ。最後にネトに弾かれ、ポストに当たって外に出たシュートを含め、再三のベンゼマのシュート失敗も響き、そのまま彼らは2-2で引き分けてしまいましたっけ。

▽え、それでもジダン監督は「何より難しいのはチャンスを作ることだからね。ゴールを入れなかったけど、沢山働いたし、no se puede reprochar a un jugador que falla goles/ノー・セ・プエデ・レプロチャール・ア・ウン・フガドール・ケ・ファジャ・ゴーレス(シュートに失敗する選手を批判することはできない)」とベンゼマを庇っていなかったかって? まあ、そうなんですが、マドリーのCFとなると、期待値の高さはアマトどころじゃないですからね。その分、お給料も多いはずで、ロナウドが出られない今、ゴールを担う役目はベイルとベンゼマに懸かっているとなれば、サンティアゴ・ベルナベウの観客が両者にブーイングを浴びせたのも仕方ないかと。

▽マドリーと引き分けて満足していたバレンシアのマルセリーノ監督も「ロナウドなら、マドリーがウチのエリアに入れた全てのボールのうち、幾つかは絶対、決めていただろう」と言っていましたしね。ちなみにアセンシオについては、「Puede marcar una época en el Real Madrid y en el fútbol español/プエデ・マルカル・ウナ・エポカ・エン・エル・レアル・マドリッド・イ・エン・エル・フトボル・エスパニョル(マドリーとスペインサッカーで一時代を築くことができるかもしれない)」と絶賛していましたが、9日のレバンテ戦までもう彼のプレーが見られないとお嘆きのマドリーファンには朗報が。

▽というのもサウール同様、アセンシオも6月のU21ユーロ大会を境に完全にスペインA代表に移行したようで、月曜にはジエゴ・コスタ(チェルシー)が未だにブラジルから戻って来ないため、3年ぶりに招集されたビジャ(ニューヨーク・シティ)らと共にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿に入っているから。最初のW杯予選、土曜のイタリア戦はサンティアゴ・ベルナベウ開催ですし、そこでも雄姿を拝む機会があるかと。

▽加えて来週火曜にはアウェイのリヒテンシュタイン戦もありますしね。今回、マドリーからの他の参加組はラモス、カルバハル、イスコ、ナチョ、そして月曜にビトロが膝の負傷で来られなくなったため、追加招集を受けたルーカス・バスケス、アトレティコはコケとサウールの2人です。うーん、私も練習を見学に行きたくて、代表のウェブなどをチェックしているんですが、火曜、水曜、木曜とダブルセッションとだけあって、時間も公開非公開も言ってくれないって、ちょっと不親切ですよね。

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