【原ゆみこのマドリッド】どこも負けてはいない…
2017.08.22 12:30 Tue
▽「一晩だけの夢だったか」そんな風に私が呟いていたのは月曜。リーガ1節8試合が終わった時点での順位表を見たときのことでした。いやあ、金曜の2017-18シーズン幕開け試合に勝てば、レガネスがその時点で首位になるのは自明の理だったんですけどね。残念ながら、土曜、日曜と消化試合が増えるにつれ、勝ち点3は同じでありながら、得失点差等で4位まで後退してしまうことに。結局、首位は0-3で勝利したレアル・マドリーとなったんですが、もしや順位決定条件がフェアプレー優先だったら、レガネスがマドリッドの大先輩の上に立てていたかも。
▽先週木曜に起きたバルセロナでのテロ事件を受け、1分間の黙祷から始まったこのゲームでは14分、ディエゴ・リコがブルギをエリア内で倒し、いきなりホームチームがピンチに。そこでアラベスのキャプテン、マヌ・ガルシアのPKをスポルティング(今季から2部)から移籍してきたGKクェジェルが正面キャッチしてくれたことから、流れが大きく変わります。24分にはゲレロのFKが敵の壁に当たり、ボールはGKパチェコが弾いたものの、詰めていたガブリエウがタイミング良く蹴り込んで先制点を挙げてくれから、まだまだ暑さの残るスタンドから熱心に応援していたファンたちもどんなに喜んだことでしょう。
▽え、このゴール、もしリーガにもVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)システムが導入されていたら、オフサイドでスコアボードには挙がらなかったんじゃないかって? まあ、それは意見の分かれるところではありますが…。
▽そして翌土曜、新しいホーム、ワンダ・メトロポリターノの最後の仕上げに時間がかかっているため、開幕3試合をアウェイにしてもらったアトレティコがジローナとモンテリビで対戦したんですが、とにかく開いた口がふさがらなかったのは、後で選手たちも「En la primera parte el Girona ha sido muy superior a nosotros/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・エル・ジローナ・ア・シードー・ムイ・スペリオル・ア・ノソトロス(前半のジローナはウチよりかなり上だった)」(サウール)と認めていたピッチ上での差。ええ、別に相手がマドリーやバルサなら気になりませんが、昇格組にボールを独占されているなんて、これじゃ、どちらが格上のチームか、わからないじゃないですか。
▽おまけにゴディンが出場停止でいないのが悪かったんですかね。23分にグラネルがクロスを上げると、サビッチの先を越してストゥアニがヘッドでジローナの先制点をゲット。ええ、以前、エスパニョールにいて、ここ2年程、リーガで見かけなかったと思えば、ミドルスブラにいたというウルグアイ人FWはその2分後にも、今度はグラネルのFKから、同郷のヒメネスのクリアを受け、再び頭で決めてしまったから、一体どうしたらいいものやら。
▽2-0で迎えた後半はシメオネ監督の檄が効いたか、心を入れ替えたかに見えたアトレティコだったんですが、67分にはさらに大逆境に見舞われます。フェルナンド・トーレスの流したボールを追って敵エリア内に入ったグリースマンがGKイライソスと交錯。当人がボールを触っていることから、ペナルティと見る専門家もいたものの、その日の主審はこれをpiscinazo(ピシナソ/ダイブ)と判断し、イエローカードを提示したから、当人がキレてしまったんですよ。起き上るやいなや、主審に「Eres un cagón!/エレス・ウン・カゴン(あんたはビビリだ)」と悪態をつき、即座に2枚目のイエローカードが出てしまったから、もう目も当てられません。
▽でもそこからの執念がその日は違いました。すでにファンフランをコレアに代え、3人DF体制でプレーしていた彼らなんですが、グリースマン退場直後、シメオネ監督はガビをガイタンに代え、さらに攻撃的なチームを編成。放出予定のはずのビエットまで投入して、反撃に出たのには相手もビビッたんですかね。その甲斐あって、78分にはコレアが敵DF3人をかわしてエリア前からシュート。これがネットに突き刺さった時には我が目を疑ってしまった私ですが、まさか残り5分、コケのFKをヒメネスがイライソスに競り勝って、とうとう同点にしてしまうとは!
▽最後はGKオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)もあり、お隣さんの専売特許、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)までは望むべくなく、2-2で引き分けられただけでラッキーと言うしかないんですけどね。それもそのはず、シメオネ監督が指揮を執った212試合で2点差を追いついたのはこれが初めてのことだったとか。うーん、試合後は彼も「前半に2点差つけられたら、もう試合は終わったと思う者も多いだろう。10人に減ったら尚更だ。しかしウチはel esfuerzo, las ganas de no rendirse, de insistir hasta el final/エル・エスフエルソ、ラス・ガナス・デ・ノー・レンディールセ、デ・インシスティル・アスタ・エル・フィナル(努力、負けない、最後まで戦い続ける気力)という、ここ数年の信念を維持している」と言っていたように、いい面を見るようにすることは大切なんですけどね。
▽サウールが「estaba dolido por haber dejado al equipo con diez, pero él no tiene mala fe/エスタバ・ドリードー・ポル・アベール・デハドー・アル・エキポ・コン・ディエス、ペロ・ノー・ティエネ・マラ・フェ(チームを10人にして心を痛めていたけど、彼に悪気はなかったんだよ)」と口が災いして、プロ253試合目で初めて退場処分を受けた同僚を庇っていたのも好感が持てましたが、あの前半の惨状はねえ。もしかしたら、「ウチはCL決勝に出慣れているチーム相手に完璧な試合をしていた」にも関わらず、追いつかれてしまったことを大いに悔しがっていたマチン監督を始め、ジローナの選手にも、これなら自分たちだってと、壮大な野望を抱かせることになったかもしれませんよ。
▽まあ、過ぎたことは忘れるしかありませんが、クラブはグリースマンに2試合以上の出場停止処分が科されないよう、月曜には協議委員会に申し立てを送付。それが叶うかどうかはまだわかりませんが、マドリッド勢の試合はまだ続くんです。ええ、日曜にはまずヘタフェがアスレティックと対戦したんですが、どうやら近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)も今季は弟分チームも応援することにしたんですかね。中継を見られたのはラッキーだったんですが、残念ながら、ゴールを見ることは最後までできませんでしたっけ。
▽「No puedo decir si va a jugar/ノー・プエド・デシール・シー・バ・ア・フガール(出るかどうかは言えない)」と試合前会見でボルダラス監督は言っていたものの、柴崎岳選手もツートップの一角として先発したんですけどね。最大のチャンスだった8分、ファイサルのFKをマルク・ベルガラがヘッドしたボールがGKケパのお手玉により、ゴールラインを割ったかのように見えたんですが、審判は入らずの判定。前日、セビージャvsエスパニョールで似たようなプレーが前者の先制点になっていたため、これには監督も「Es un gol claro y nos ha perjudicado esa acción/エス・ウン・ゴル・クラーロ・イ・ノス・ア・ペルフディカードー・エスタ・アクシオン(あれは明白にゴール。ウチに不利な判定だ)。ああいうプレーのため、テクノロジーがあるというのに」と文句を言っていましたが、何せVARどころか、ホークアイすらリーガは導入していませんからね。
▽よって、ゴールが認められなかったのはツキがなかったとしか言いようがありませんが、ヘタフェが無失点で済んだのはパナシナイコスとのヨーロッパリーグ・プレーオフの谷間にあるアスレティックが36歳のベテランFWアドゥリスを温存。代わって先発したウイリアムスが再三、シュートを外してくれたおかげもかなりあったかと。その上、彼らは後半21分にアルバロ・ヒメネスが2枚目のイエローカードをもらい、10人になってしまいましたからね。これで「Teníamos que defender el resultado/テニアモス・ケ・デフェンデール・エル・レスルタードー(結果を守らないといけなくなった)」(ボルダラス監督)ため、柴崎選手もボランチのセルヒオ・モラに交代。結局、スコアレスドローで終わりましたが、1部復帰の初陣、しかも難所指定のサン・マメスでの勝ち点1ですから、まあ上出来と言えるんじゃないでしょうか。
▽そして日曜最後の試合となったマドリーなんですが、その日はまたジダン監督のローテーションがかかって、ベイル、イスコ、カセミロが先発に復帰。CBにはヴァランに代えてナチョが入ったんですが、まったく強さが変わらないんですから、手がつけらないとはまさにこのこと? いえ、序盤はデポルのFWアンドネが絶好機を2度も迎え、どちらもGKケイロル・ナバスにセーブされたなんてこともあったんですけどね。
▽来るべくして来た彼らの先制点は20分、モドリッチのシュートはGKルベンに弾かれたものの、ベンゼマが撃ち直したボールがDFに当たってゴール前に転がると、フリーのベイルがフィニッシュ。さらに26分にはGKケイロル・ナバスから始まったプレーから延々とパスを繋ぎ、44本目となったマルセロのラストパスをカセミロが決めて2点目をゲットなんて、まるで全盛期のスペイン代表みたいなことまでしているんですよ。まったくスペイン・スーパーカップ1stレグで見せた伝家の宝刀、超速カウンターに加え、「Es lo que queremos hacer, tenemos jugadores para eso/エス・ロ・ケ・ケレモス・アセール、テネモス・フガドーレス・パラ・エソ(こういうサッカーがしたかった。ウチにはそれができる選手がいる)」(ジダン監督)なんて、どちらも至らないばかりのどこぞのチームなど、羨ましくてたまらなくなるのでは?
▽そんな調子で後半も53分にはベイルの折り返しから、クロースが3点目を入れたマドリーでしたが、全てがメデタシメデタシで終わらなかったのは、またセルヒオ・ラモスがやってしまったから。そう、後半序盤にピッチに倒れている選手がいるのにボールを外に出した出さなかったで両チームが揉めた際、「me dan un cabezazo en el pómulo y le aparto/メ・ダン・ウン・カベサソ・エン・エル・ポヌロ・イ・レ・アパルト(自分の頬に頭突きされたから、押しのけた)」と、シェルの顔を押しただけでもレッドカードの危険があったにも関わらず、アディショナルタイムにはボルハ・バジェとの空中戦で相手の首に腕を当て倒してしまう始末。
▽当人は「91分に敵選手を傷つけるなんて思いもしないよ。Salto y me apoyo en el hombre/サルト・イ・メ・アポジョ・エン・エル・オンブロ(跳んで相手の肩で自分を支えただけ)」と言っていましたが、何せこれで、マドリーでの526試合で23回目の退場ですからね。リーガだけでも18回と、尊敬する元セビージャの大先輩のCB、アルファロと並んで最多記録になってしまいましたが、どうやら先日、審判を押して計5試合もの処分になったクリスチアーノ・ロナウドに学んだか、口が滑るといったヘマはやらなかったよう。順当に行けば、日曜のバレンシア戦に出られなくなるだけですが、もう誰がプレーしてもこのチームは力が落ちないみたいですからね。あまり気にしなくてもいいんじゃないかと。
▽ちなみにCLプレーオフ2ndレグのセビージャ、同ELのアスレティクを除いて、今週ミッドウィークは試合のないチームが大半のスペインですが、マドリーは水曜にサンティアゴ・ベルナベウ杯を開催。これも先週のスペイン・スーパーカップ2ndレグ同様、CL戦を配慮して午後10時45分(日本時間翌午前5時45分)という遅い設定なんですが、相手のフィオレンティーナにシメオネ監督の長男、ジョバンニがジェノバから加入したというのは朗報でしょう。当人のプレーはもちろん、それどころか、お父さんがパルコ(貴賓席)で応援している姿が見られるかもしれません。マドリーサイドではあと3試合、リーガには出られないロナウドが足慣らしするかもしれないといったことぐらいですが、今度は私もメトロの終電を逃さないよう、気をつけないといけませんね。
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▽というのもこの週末、退場者を出していないマドリッドのクラブは彼らだけで、まあ、アトレティコやヘタフェは引き分け発進でしたから、勝ち点も1しかないんですけどね。実際、開幕から5節ぐらいまで、順位なんてものは意外なチームが首位になったりして、それも面白かったりするんですが…。今季は初っ端から2強が上位2位を占めるという、毎シーズン大半の時期と同じパターンでスタート。バルサもPSGに行ってしまったネイマールに加え、ルイス・スアレスもケガで欠きながら、ベティスに2-0で勝利しているとなれば、スペイン・スーパーカップで永遠のライバルに総合スコア5-1という大敗を喫したショックから立ち直った、もしくは元々、普通のチーム≺≺≺バルサで今はちょっと、バルサ≺マドリーという図式にすぎないだけ?▽どちらにしろ、現在のマドリーの強さには手がつけられないことが証明されたような開幕戦でしたが、4位だって堂々たるCL出場圏内ですからね。1部初体験だった昨季はギリギリ17位で残留を決めたレガネスにしてみれば、目覚ましい快挙と言えますが、とりあえず、そのブタルケにアラベスを迎えたその試合から、週末のマドリッド勢を振り返ってみることにすると。▽え、このゴール、もしリーガにもVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)システムが導入されていたら、オフサイドでスコアボードには挙がらなかったんじゃないかって? まあ、それは意見の分かれるところではありますが…。
▽アシエル・ガリターノ監督率いるチームは得点こそ、それ以上増えなかったものの、時折、個人技の光るプレーを披露して優勢を維持。マドリッドの他のチームがプレシーズン、猛暑の首都を抜け出してキャンプに励む中、あまり見学者も訪れない地元の練習場で黙々とトレーニングを続けた成果が実り、1-0の白星スタートとなりました。
▽そして翌土曜、新しいホーム、ワンダ・メトロポリターノの最後の仕上げに時間がかかっているため、開幕3試合をアウェイにしてもらったアトレティコがジローナとモンテリビで対戦したんですが、とにかく開いた口がふさがらなかったのは、後で選手たちも「En la primera parte el Girona ha sido muy superior a nosotros/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・エル・ジローナ・ア・シードー・ムイ・スペリオル・ア・ノソトロス(前半のジローナはウチよりかなり上だった)」(サウール)と認めていたピッチ上での差。ええ、別に相手がマドリーやバルサなら気になりませんが、昇格組にボールを独占されているなんて、これじゃ、どちらが格上のチームか、わからないじゃないですか。
▽おまけにゴディンが出場停止でいないのが悪かったんですかね。23分にグラネルがクロスを上げると、サビッチの先を越してストゥアニがヘッドでジローナの先制点をゲット。ええ、以前、エスパニョールにいて、ここ2年程、リーガで見かけなかったと思えば、ミドルスブラにいたというウルグアイ人FWはその2分後にも、今度はグラネルのFKから、同郷のヒメネスのクリアを受け、再び頭で決めてしまったから、一体どうしたらいいものやら。
▽2-0で迎えた後半はシメオネ監督の檄が効いたか、心を入れ替えたかに見えたアトレティコだったんですが、67分にはさらに大逆境に見舞われます。フェルナンド・トーレスの流したボールを追って敵エリア内に入ったグリースマンがGKイライソスと交錯。当人がボールを触っていることから、ペナルティと見る専門家もいたものの、その日の主審はこれをpiscinazo(ピシナソ/ダイブ)と判断し、イエローカードを提示したから、当人がキレてしまったんですよ。起き上るやいなや、主審に「Eres un cagón!/エレス・ウン・カゴン(あんたはビビリだ)」と悪態をつき、即座に2枚目のイエローカードが出てしまったから、もう目も当てられません。
▽でもそこからの執念がその日は違いました。すでにファンフランをコレアに代え、3人DF体制でプレーしていた彼らなんですが、グリースマン退場直後、シメオネ監督はガビをガイタンに代え、さらに攻撃的なチームを編成。放出予定のはずのビエットまで投入して、反撃に出たのには相手もビビッたんですかね。その甲斐あって、78分にはコレアが敵DF3人をかわしてエリア前からシュート。これがネットに突き刺さった時には我が目を疑ってしまった私ですが、まさか残り5分、コケのFKをヒメネスがイライソスに競り勝って、とうとう同点にしてしまうとは!
▽最後はGKオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)もあり、お隣さんの専売特許、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)までは望むべくなく、2-2で引き分けられただけでラッキーと言うしかないんですけどね。それもそのはず、シメオネ監督が指揮を執った212試合で2点差を追いついたのはこれが初めてのことだったとか。うーん、試合後は彼も「前半に2点差つけられたら、もう試合は終わったと思う者も多いだろう。10人に減ったら尚更だ。しかしウチはel esfuerzo, las ganas de no rendirse, de insistir hasta el final/エル・エスフエルソ、ラス・ガナス・デ・ノー・レンディールセ、デ・インシスティル・アスタ・エル・フィナル(努力、負けない、最後まで戦い続ける気力)という、ここ数年の信念を維持している」と言っていたように、いい面を見るようにすることは大切なんですけどね。
▽サウールが「estaba dolido por haber dejado al equipo con diez, pero él no tiene mala fe/エスタバ・ドリードー・ポル・アベール・デハドー・アル・エキポ・コン・ディエス、ペロ・ノー・ティエネ・マラ・フェ(チームを10人にして心を痛めていたけど、彼に悪気はなかったんだよ)」と口が災いして、プロ253試合目で初めて退場処分を受けた同僚を庇っていたのも好感が持てましたが、あの前半の惨状はねえ。もしかしたら、「ウチはCL決勝に出慣れているチーム相手に完璧な試合をしていた」にも関わらず、追いつかれてしまったことを大いに悔しがっていたマチン監督を始め、ジローナの選手にも、これなら自分たちだってと、壮大な野望を抱かせることになったかもしれませんよ。
▽まあ、過ぎたことは忘れるしかありませんが、クラブはグリースマンに2試合以上の出場停止処分が科されないよう、月曜には協議委員会に申し立てを送付。それが叶うかどうかはまだわかりませんが、マドリッド勢の試合はまだ続くんです。ええ、日曜にはまずヘタフェがアスレティックと対戦したんですが、どうやら近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)も今季は弟分チームも応援することにしたんですかね。中継を見られたのはラッキーだったんですが、残念ながら、ゴールを見ることは最後までできませんでしたっけ。
▽「No puedo decir si va a jugar/ノー・プエド・デシール・シー・バ・ア・フガール(出るかどうかは言えない)」と試合前会見でボルダラス監督は言っていたものの、柴崎岳選手もツートップの一角として先発したんですけどね。最大のチャンスだった8分、ファイサルのFKをマルク・ベルガラがヘッドしたボールがGKケパのお手玉により、ゴールラインを割ったかのように見えたんですが、審判は入らずの判定。前日、セビージャvsエスパニョールで似たようなプレーが前者の先制点になっていたため、これには監督も「Es un gol claro y nos ha perjudicado esa acción/エス・ウン・ゴル・クラーロ・イ・ノス・ア・ペルフディカードー・エスタ・アクシオン(あれは明白にゴール。ウチに不利な判定だ)。ああいうプレーのため、テクノロジーがあるというのに」と文句を言っていましたが、何せVARどころか、ホークアイすらリーガは導入していませんからね。
▽よって、ゴールが認められなかったのはツキがなかったとしか言いようがありませんが、ヘタフェが無失点で済んだのはパナシナイコスとのヨーロッパリーグ・プレーオフの谷間にあるアスレティックが36歳のベテランFWアドゥリスを温存。代わって先発したウイリアムスが再三、シュートを外してくれたおかげもかなりあったかと。その上、彼らは後半21分にアルバロ・ヒメネスが2枚目のイエローカードをもらい、10人になってしまいましたからね。これで「Teníamos que defender el resultado/テニアモス・ケ・デフェンデール・エル・レスルタードー(結果を守らないといけなくなった)」(ボルダラス監督)ため、柴崎選手もボランチのセルヒオ・モラに交代。結局、スコアレスドローで終わりましたが、1部復帰の初陣、しかも難所指定のサン・マメスでの勝ち点1ですから、まあ上出来と言えるんじゃないでしょうか。
▽そして日曜最後の試合となったマドリーなんですが、その日はまたジダン監督のローテーションがかかって、ベイル、イスコ、カセミロが先発に復帰。CBにはヴァランに代えてナチョが入ったんですが、まったく強さが変わらないんですから、手がつけらないとはまさにこのこと? いえ、序盤はデポルのFWアンドネが絶好機を2度も迎え、どちらもGKケイロル・ナバスにセーブされたなんてこともあったんですけどね。
▽来るべくして来た彼らの先制点は20分、モドリッチのシュートはGKルベンに弾かれたものの、ベンゼマが撃ち直したボールがDFに当たってゴール前に転がると、フリーのベイルがフィニッシュ。さらに26分にはGKケイロル・ナバスから始まったプレーから延々とパスを繋ぎ、44本目となったマルセロのラストパスをカセミロが決めて2点目をゲットなんて、まるで全盛期のスペイン代表みたいなことまでしているんですよ。まったくスペイン・スーパーカップ1stレグで見せた伝家の宝刀、超速カウンターに加え、「Es lo que queremos hacer, tenemos jugadores para eso/エス・ロ・ケ・ケレモス・アセール、テネモス・フガドーレス・パラ・エソ(こういうサッカーがしたかった。ウチにはそれができる選手がいる)」(ジダン監督)なんて、どちらも至らないばかりのどこぞのチームなど、羨ましくてたまらなくなるのでは?
▽そんな調子で後半も53分にはベイルの折り返しから、クロースが3点目を入れたマドリーでしたが、全てがメデタシメデタシで終わらなかったのは、またセルヒオ・ラモスがやってしまったから。そう、後半序盤にピッチに倒れている選手がいるのにボールを外に出した出さなかったで両チームが揉めた際、「me dan un cabezazo en el pómulo y le aparto/メ・ダン・ウン・カベサソ・エン・エル・ポヌロ・イ・レ・アパルト(自分の頬に頭突きされたから、押しのけた)」と、シェルの顔を押しただけでもレッドカードの危険があったにも関わらず、アディショナルタイムにはボルハ・バジェとの空中戦で相手の首に腕を当て倒してしまう始末。
▽当人は「91分に敵選手を傷つけるなんて思いもしないよ。Salto y me apoyo en el hombre/サルト・イ・メ・アポジョ・エン・エル・オンブロ(跳んで相手の肩で自分を支えただけ)」と言っていましたが、何せこれで、マドリーでの526試合で23回目の退場ですからね。リーガだけでも18回と、尊敬する元セビージャの大先輩のCB、アルファロと並んで最多記録になってしまいましたが、どうやら先日、審判を押して計5試合もの処分になったクリスチアーノ・ロナウドに学んだか、口が滑るといったヘマはやらなかったよう。順当に行けば、日曜のバレンシア戦に出られなくなるだけですが、もう誰がプレーしてもこのチームは力が落ちないみたいですからね。あまり気にしなくてもいいんじゃないかと。
▽ちなみにCLプレーオフ2ndレグのセビージャ、同ELのアスレティクを除いて、今週ミッドウィークは試合のないチームが大半のスペインですが、マドリーは水曜にサンティアゴ・ベルナベウ杯を開催。これも先週のスペイン・スーパーカップ2ndレグ同様、CL戦を配慮して午後10時45分(日本時間翌午前5時45分)という遅い設定なんですが、相手のフィオレンティーナにシメオネ監督の長男、ジョバンニがジェノバから加入したというのは朗報でしょう。当人のプレーはもちろん、それどころか、お父さんがパルコ(貴賓席)で応援している姿が見られるかもしれません。マドリーサイドではあと3試合、リーガには出られないロナウドが足慣らしするかもしれないといったことぐらいですが、今度は私もメトロの終電を逃さないよう、気をつけないといけませんね。
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