【東本貢司のFCUK!】ドイツに「追いつけ追い越せ」?2017.06.23 10:14 Fri

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▽日本語で「司令塔」、英語なら「プレーメイカー」。この“肩書”に相当するプレーヤーが複数いる、それもポジションを問わず4人、5人もーーーこの4、5年、主にヨーロッパのクラブフットボールシーンを俯瞰してきて、これこそが現代フットボールの最も顕著な特徴ではないかと思っている。つまり、攻撃態勢に入る際などでほぼ決まってボールが集まる“起点プレーヤー”が、大げさに言えばフィールドのあちこちにいて敵に息つく暇を与えない。先ほど終了したコンフェデレーションカップ、チリ対ドイツを見届けて、そのことを改めて再確認する思いだ。それぞれ攻守の“性格的”スタイルは違うとしても、誰が、どこから、キラー効果満点の攻撃の起点を演じるのか、高見の視点(放送メインカメラの位置)からでも、予測がつきにくい。無論、ここではショート、ロング、いずれのパスワークに主体を置くなどという“悠長”な議論は通じない。文字通りの臨機応変。それを効率よく使い分けられなくてはもはや時代遅れの感も。それでこそ「チーム一体、一丸」が充当する。当然「体力、走力が落ちる落ちない」などの外野解説も時代遅れなのだ。▽さすがは二期連続南米チャンピオンと世界チャンピオンーーーと形容するのは当たり前のようでいて、実は「二流、いや素人解説の象徴的文言」にすら聞こえてしまうのは、ドイツがこの大会にぶつけた陣容が「え?」と思うくらい「若い」から・・・・ではない。相手にサンチェスがいるのだから、エジルやメルテザッカーがいたら面白い(解説の際の話ネタにもなる)のに、というのもピント外れ。確かにヨアヒム・レーヴは明らかに「若返り、世代交代」を意識しているように見えるが、ゲームをじっくり追っていけば、いかにこの「若い」チームの組織力とコミュニケーションの習熟度が高いかがよくわかるはずだ。一つ気づいたこと。中盤の運動量の多さと目まぐるしいポジションチェンジ(これは“百戦錬磨”のチリも同じ)のせいで見極めにくいかもしれないが、ドイツは実に柔軟な「3バック」を敷いているように受け取れたのだがどうだろうか。思えば、このドイツに(インスピレーションの点で見劣りするとしても)通じるパフォーマンスで、結果はともかく善戦中のニュージーランドも3バックなのだが、ひょっとしてこれは静かなブームなのか?

▽ふと、今年、足並みがよれかけたシーズン半ば過ぎから3バックに切り替えて復調気運に乗ったアーセナルのことが頭をよぎる。それに確か、プレミアの半数近いチームでも同じ“傾向と対策”が見え隠れしていた。しかも、そこには従来の「中盤を厚くする」とかの数的理論を超えた何か(の新機軸)を感じる。物理的には、足の速い両サイドバック(→ウィングバック)の攻撃参加を生かし、アンカー(中盤の底のいわゆるホールディングプレーヤー)が3バックディフェンスの“前面の盾”を役割をより意識する、という筋になりそうだ。戦術理論的にはそんな辺りなのだろうが、いずれにせよ、より柔軟に幅広くどこからでも、という、攻守のオプション増幅効果が念頭にあるのだと思う。そうなると、快速両ウイングバックとポジションにとらわれないスキルを持つアンカーがいるといないとで違いが歴然としてくるだろう。その点で、現在のチリと“若返った”ドイツはなるほど、一日の長がありそうだ。裏を返せば、彼らに対抗するには「どこをどう」強化すべきかも見えてくる。かなり短絡的見方になるが、突出したタレントの豊富なアルゼンチンがもう一つ突き抜けられないのは、やはり個人技主体のチーム構成になっているからでは?

▽話を少々巻き戻す。これだけ“次世代型”ドイツが急速に完成に近づいているとしたとき、我らがイングランドの場合はどうなのか。折しも、U21ワールドカップで歴史的優勝を遂げ、同時期に行われていたU20トゥーロントーナメントでも優勝、さらに現在進行中のU21ユーロでラスト4(準決勝)進出しているからには、十分に対抗し得る? 以前にも述べたように、U21代表監督のギャレス・サウスゲイトを昇格させた辺りにも、FA(イングランド協会)の明らかなヴィジョンがうかがえることだし? あえて(贔屓目の)結論から言えば、少なくとも希望はある、いや、膨らむ。無論、がらりと入れ替えるのは無謀だろうし、詳細は後に譲るが欠点もまだ見える。が、チームの一体感、“ツーカー度”を重視するべきなら、二人や三人程度の“抜擢”ではおそらく逆効果。ドイツだって来夏の本番では当然、エジルやノイアー、ケディーラ辺りを外すはずもなかろう。ならイングランドも・・・・おや、存在が怪しくなってきたルーニーを除けば、すでに相当若返っているじゃないか。ケイン、アリ、ダイアー、スターリング、ラシュフォード、ストーンズそしてひょっとしたらピックフォード! これはしたり。どうやらドイツの先を行っている?

▽ところが、哀しいかな、さきほど目撃したドイツほどの底力はまだ感じられない、もしくは、証明されるまでに至っていない。なぜか。上にあげた中の数名を除いて、肝心のリーグで必ずしも定位置を確保していないからだ。言うまでもなく、U21世界王者のメンバーから繰り上げられる誰かがいたとしても、経験はもっと浅い。その点を、母国の識者はこぞって指摘し、不安視する。有力外国人に頼らず“彼ら”をもっと実戦に起用せよ、と叫んでみたところで、現実的に“聞く耳”はまだまだか細い。スパーズの台頭が少しは刺激になった節もなくはないが、U21世代を確実なトップ戦力とみなす傾向が見えてきているのは、有力クラブではそのスパーズとエヴァートンくらい。皮肉なことに、ドイツの若手台頭を陰に陽に肌で感じてきているはずのユルゲン・クロップには、現時点ではまだ希望的観測ではあるが、リヴァプールに国産の若い血を吹き込もうとする“意気”のようなものを感じはするのだが・・・・。とどのつまりはサウスゲイトの決断次第。この際、ロシアW杯を「テスト」と割り切るくらいの冒険をしてみる価値はあるはずだ、2020年を照準に!
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
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【東本貢司のFCUK!】新版・カンプノウの奇跡

「パリSGは何も学んでいなかった」……どこかで読んだか聞いたかしたそんな文言に、ふと恐ろしく引っかかった。あらばあえて問うが、「ではどうすればよかったのか」、あるいは今後に「どう(その教訓を)生かせばいいのか」? いわんや、フットボールマッチに限らず、いやスポーツであろうと何であろうと、その手の“決まり文句"的な後付け評価はごまんと垂れ流されている。単なる言いぐさで(あるいは見様見真似で?)つぶやく、吐き捨ててしまう輩の口に戸は立てられない。が、曲がりなりにもそれを生業にしているはずの“業界筋"からは、できることなら聞きたくない“身もふたもない無責任な軽口"ではないか。おっと、ややこしい、およそ理屈っぽいケチのつけ方はもうやめておこう。つまりは、いわゆるあの「カンプノウの悲劇」のことだ。えーと、間違いないかな? 「学んでいないはずはない」からだ。もしくは、「圧倒的優位に立ち、ホームのファンを背負って、ベストチームもろくに組めないマン・ユナイテッドを相手取った」フランスの王者が、そんな精神的ハンディを胸にゲームに臨んだはずなどないからだ。まさか、監督トゥヘルがわざわざ「おいみんな、間違っても2年前のあの屈辱の再現はごめんだぞ」などと言い含めるはずなどないし、もしも仮にプレーヤーの誰かがつい“思い出して"しまったとしても、現実のゲームの最中にくよくよとマイナス思考にひたる“ゆとり"なんぞあるわけがない。違う。ピッチ上のパリのメンバーは、ファーストレッグをオールド・トラッフォードで勝ち取った「良き記憶こそに学んで」意気揚々だったはずなのだ。そこで筆者は今にして思う。その「意気揚々」が、一瞬のミスによる早い失点とすぐに取り返すというドタバタ展開によって、未知の「意気過剰」に変化してしまったのではないか、と。 平たく言えば、ルカクの先制点を何事もなかったように“忘れて"しまえば、それこそ普段通りのパリに戻れていればよかったのだ。ところがそうはならなかった。終始7割以上ボールを支配し続けていながらも、また「どこかから思いがけない一発」が飛んで来るのではないかと、びくびくし続けたそのあげく……! 誰あろう、名手ブッフォンが目測を誤ったように“とりこぼし"て、またしてもやらずもがなの失点。その前後から、観戦中の筆者の目には、パリのプレーヤーの身のこなし、ひいては心の襞のあちこちから「どこか硬い何か」が見え隠れするようになる。ムバッペはなぜかゴール前からあまり動かず、ファーストレッグの影の支配者だったマルキーニョスはそれこそ影が薄く、その他に至っては、えーと誰だっけ、という始末。むろんユナイテッド贔屓ゆえの、一種のけだるさのようなものだったが、これはもう“動く"こともないのかな、と悲観気味だったのだが。 問題のPKは、それがそう判定されるまでの“かったるさ"もあって、実際にゴールネットが揺れる直前まで“半信半疑"だったし、思えばユナイテッドの3ゴールのすべてが“むずがゆい"印象のまま今もふんわり漂っている。“いただきもの"という感触も薄いし、奪い取ったという確かな手ごたえも弱い。強いて言えば「昔ながらの貫禄の賜物」? そうか、これも“スールシャール・マジック"なのか。この試合に限らず、ゴールが決まるたびに副官キャリック、ファーギー時代の鬼軍曹ウィーラン、知恵袋のマッケナらと、まるでいたいけない女の子たちのように無邪気に肩を抱き合う、スールシャールならではの“チャーム・マジック"。そういえば、試合後、駆け付けたゲスト“出演"のファーガソン、およびカントナとの3ショットも、時空を超えた懐かしさを醸し出していた。 そう、これは「カンプノウの悲劇」じゃない。それをいうなら、もっと時をさかのぼった「カンプノウの奇跡」の方を引き合いに出すべきだ。“あのとき"も、スタンドには我が物顔にふるまうカントナのごつい笑顔があった。これでは、いくらトゥヘルやネイマールがなんのかんのと(PKに)ケチをつけてもとうてい太刀打ちできないよな。<hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2019.03.09 20:00 Sat
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【東本貢司のFCUK!】ピュエルとサッリ、去り際の“顔”

決定、発表はことのほか迅速、かつ淀みがなかった。クロード・ピュエルの引き際が実に見事に見えたのも、そのキング・パワー・スタジアムの要請にブレンダン・ロジャーズが首を縦に振ったのも、さらに、その後を暫定身分で(!)引き受けることに一切とやかく言わなかったニール・レノンまでもーーー。レスターとセルティックをめぐるトップ振り替わり人事は、まるで“二言返事"を合言葉にしたかのように完結た。水面下の交渉らしきがなかったはずはない? いや、今回の場合は「三者」および「四者」の利害がぴったり一致したという見方もできそうである。ひとり貧乏くじを引いた格好のピュエルも実は引く手数多と見られている。というのも、レスター通周辺ではピュエルを必ずしも「失敗」だと受け止めていない。何よりもレスターのプレーヤーたちが“惜しんで"いるのだから。 現在のレスターは、おそらく近年例を見ない強固な結束を誇る“絆のチーム"だ。ある意味で筆者はいまだに、なぜカンテが、ドリンクウォーターやマーレズがこの地を後にしたのか理解できない(したくない)でいるが、実際にヴァーディーやシュマイケルらから恨み言のかけらも聞いたためしがない。いや、むしろ「心からのグッドラック・コール」を惜しまず、今も変わらず親交を温めていると聞く。賭けてもいいが、機会さえ許すなら彼らの“出戻り"だって決して無理な相談ではないと思う。すっかり燻ぶったままのドリンクウォーターも、類まれなるスキルが生かされにいチームに飛び込んでしまったマーレズも、そして、どうやらベストポジションから遠ざけられつつあるカンテだって・・・・。ひょっとして彼らは今、ふと思い詰めてしまうことなどはないだろうか。“あそこの仲間と一緒ならば"きっと考え込まくて済んでいるのかもしれないな、とか。どうかな、岡崎君。 思うに、ピュエルはそんな“レスター・シップ"を極力損なうことのないよう、チーム操縦に腐心してきたと思われる。例えば、何が何でも“私/オレ流"的・とんがったチーム改造を強要することなどもなく、地道な底上げの可能性を実戦を通して模索する。その結果、メンバー、スタッフの誰ひとり、ピュエルの起用法や戦術志向を「無理のない、好感のもてる」と評価してきたようだ。その分、改めて優勝を争えるチームに昇華するインパクトには欠けたのかもしれないが、不安定で目的がぼやけがちな“過渡期"を乗り切るには、最適な指導者だったのだろう。少なくとも、レスターで内部ではそう考えられている。個人的に、あの、無表情に近いしかめっ面と、折に触れて憤りの感情を地味に、でも体いっぱいで表現する芝居がかった仕草のミクスチャーに、うならされていたものである。だからピュエル退場は少なからず寂しい。どこかプレミアで再登板を考えてくれないかな。 それを思うにつけ、我らがマウリツィオ・サッリときては、それこそが彼の可愛げでヒューマンなキャラの魅力でもあると喝采すら送りたくも思うのだが、今度に限ってはちとまずった。何がと言って、まず何はともあれ“反乱分子"のケパを有無を言わさず、コーチの誰かでもやって強引に引きずりおろさねばならなかった。慧眼な方なら気づいたはずだが、言うことをきかないケパのそばで、ダヴィド・ルイスはどうしていたか。その表情が次第に「うんざり」に変わっていったことを。なにゆえ、ゲームキャプテンのアスピリクエタはそこで何かをしなければと思わなかったのか。まさにその刹那、チェルシーのコアなファンはため息をついて天を仰ぎたい気持ちだったろう。この愛すべきイタリア人監督についていって耳を貸そうとするブルーズのプレーヤーはもう・・・・いないのかもしれない。 メディアはいつも罪作りなことをする。ボーンマス大敗、マン・シティー惨敗として「バイバイ・FAカップ」まで重なっては、リーグカップ決勝直前もものかわ、「ローマが来て欲しがっているらしい」と言いふらして、まるで「あとは勝とうが負けようが、どうぞご随意に」と言わんばかり。それでも“健気に"、律義に、「次戦にケパを使うかどうかはまだ決めていない」と、大真面目なリップサービスをひねり出すサッリが、筆者はピュエルに負けず劣らず好きになっている。できれば引き続き、プレミアで大暴れを画してもらいたいところではあるが、ま、チェルシー以外じゃそれももう無理な相談なんだろうな。<hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2019.03.01 11:00 Fri
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【東本貢司のFCUK!】復活の記憶と「ウーラ」の誓い

20世紀もそろそろ終わりに近い中秋、筆者は都心某所のショッピングモールにある楽器店店頭にいた。お目当ては一人の異邦の女性シンガー、そのつつましきデモコンサート。名をセリアという、デビューしてまだ数年、国際的にもまだ知る人ぞ知る程度のノルウェイ出身の新星だったが、掘り出し物好きの筆者にはすでに“なじみ”の存在だった。かくして、キーボード一本の素朴な弾き語りが終わってまもなく、強引に申し込んだにわかショートインタヴューが始まって・・・・そのときである。ふと思いついてこう尋ねてみた。ところで実は本業がフットボール関係なんだけど、こんなスペルのあなたの同胞、知ってますか? あら、オーレね、スールシャール。わたし、そっちの世界のことは大して詳しくないんだけど、ええ、もちろん。そうか、そうなんだね、スールシャールって読むんだ! その日から、いずこからともかく1996年の夏、マンチェスター・ユナイテッドに舞い降りるや、同シーズンチーム最多のリーグ戦18ゴールをあげていきなりチーム得点王に輝いた無名の新人「ソルスキアー」は晴れて「スールシャール」になった。明記しておくべきは、それよりほんの少し前、さすがに衰えが見えてきたエリック・カントナの後釜にと、アレックス・ファーガソンが狙いすましたアラン・シアラー獲得が土壇場で無に帰していたことである。かくて、オールド・トラッフォードに花開いた熱狂のヒットマン、人呼んで「ベイビーフェイス・アサシン」スールシャールの大活躍で、ファーギー・ユナイテッドはプレミアリーグ連覇を成し遂げる。最後の最後までデッドヒートを繰り広げたライバルが、あのシアラーを擁するニューカッスルだったのも因縁めいてドラマに箔をつけたというべきだろうか。 あれからほぼ20年ーーーややもすると劇場型思考に寄りがちなユナイテッドファンの胸には、ふと“救世主伝説”やらのフレーズまで思い浮かびつつあるかもしれない。いや、少なくとも「絵に描いたようなスールシャール就任6連勝」にはその感慨にひたってしかるべき価値はありそうだ。すなわち、あっさりと「理屈抜きで」すべての問題を解決に導いてしまう「オーレのオーラ」!(“セリエの教え”を尊重してより忠実を望むならば「オーレ」ではなく「ウーラ」のオーラとすべきだが)。何はともあれ、おそらくは「モウリーニョ美学」の理解、あるいはその構築に至る理念(とかなんとか)にうんざり・しどろもどろだった(?)ポグバ以下プレーヤーたちにとって、スールシャールはその存在そのものが“軽く丸く”受け止められたに違いない。何しろ、彼は「ふらりとやってきた新米の分際でほぼスーパーサブの身分に徹して勝ち運を引き寄せた」現身(うつしみ)なのだ。 “ナンバー5”のFAカップ・対レディング戦の少し前、ユナイテッドのプレーヤーたちは「スールシャール監督の正式就任」を“それとなく”直訴したという。スールシャール自身も「このまま続投」でもいいな、とほのめかす。スールシャール到来以来、ユナイテッドの練習場には必ず病み上がりの御大サー・アレックスの姿があるともいう。スールシャールのおかげで、ビッグクラブがこぞって注視するノルウェイ新世代14歳の天才児、イサク・ハンセン=アーローン(トロムソ)のユナイテッド入団もまもなく決まる見込みだとも。水面下で何が行われているかは想像するしかないが、筆者は確信している。いや、確信するしかあるまい。そもそも、ではスールシャールをあきらめて何とする? 少なくともプレーヤーたちはがっかりするだろう。あ〜あ、また一からやり直しか、やってらんないよな、この際いっそ・・・・なにしろ“声”はとっくにかかっているらしいのだから。 【追伸】 思わぬ体調難で相当期間の休養を強いられることになり、多方面で多大なご迷惑をおかけしてしまったこと、心よりお詫びします。ならばこそ、時ならぬスールシャールの、ユナイテッドの“復調”にもあやかって改めて精進させていただきます。改めて今後ともどうぞよろしく。<hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2019.02.19 20:00 Tue
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【東本貢司のFCUK!】チャンピオンズこそ伏兵に期待

▽キリの良いところでチャンピオンズ・グループリーグがすべて完結した時点で、と思っていたら、ちょうど今年のバロン・ドール発表がめぐってきた。案の定というべきか、ほんのつい最近、インスタグラムでの偽投稿騒動とやらが番外の話題になったクリスティアーノ君が、こちらもキリ良く(というか、ライバルのメッシとのつり合い加減で?)5度目の受賞。レアルのチャンピオンズ制覇に昨年のユーロ優勝を掛け合わせて、さも順当に見えるが、なぜかどうもしっくりこない。そう感じる根拠はと問われれば、そう、そもそも近年の同賞を含む表彰の選考基準そのものが「やっつけ風でファジー」に感じられてしかたがないのである。多分、こういう表彰もの自体にマンネリズムの臭いが漂って新鮮味が薄れてきているのかもしれない。例えば、ちょうどこの頃にどこかの国にてめぐってくる「流行語大賞」とやらのように・・・・? いや、この件はいずれ改めて触れることにしよう。 ▽さて、チャンピオンズは“首尾よく”イングランドからの出場全5チームがノックアウトステージに勝ち上がった。それも、ほぼパーフェクトに近い危なげない戦りぶりで・・・・とは言い過ぎかと殊勝に控えてとも思うのだが、現にチェルシーを除く“4強”が悠々たるトップ通過。なにせ、大豪レアルとドルトムントをぶつけられて最も“不運”を予想されたスパーズにしてからが、一番の戦績(勝ち点で全チーム中最多)である。近年、特にまずユナイテッドがこぼれ落ち、今また常連中の常連アーセナルがお休みになってしまったりで、何かとパッとしなかったのがまるで嘘のよう。これはひょっとしたら、いつぞやの快挙(おや、振り返ればもう10年ほど前のことなんだな・・・・)「4の3(準決勝進出のうち3つがイングランド勢)」再現も、と胸が膨らむ今日この頃である。そういえばちょうどあの頃、スコットランドはエディンバラにいてたまたま同時期に重なったオールドファーム・ダービーの方にむしろ関心が偏ってたんだっけな、と“懐かしむ”余裕さえも・・・・。 ▽しかし(毎度のことながら)問題はこれからだ。“本番”再開の明年2月までのイングランドならではの過密スケジュールが待ち受けている。つくづく「冬休み」の恩恵ない現実が恨めしい。それでなくても、一年で最も過酷な日程を乗り切って一息ついたのもつかの間、そこでチャンピオンズ版“負けたらそこで終わり”ステージが幕を開けるのである。いろいろと「改善案」などが口にされ、それなりに“議案”として持ち出されても、一向に“手をこまねいたまま”硬直状態の、イングランドならではのお家事情をひもといていけば・・・・いや、今このときばかりは控えておこう。とにかく、イングランド勢にとっては2月こそが勝負、と言えるのかもしれない。また、今回は“追加対外試合組”が過去最多の5チームに増えることで、国内の試合の対戦相手にも少なからず影響(必然的日程調整による予定外の過密化など)が避けられない。畢竟、タイトルレース、順位戦(ヨーロッパ参戦権争い、残留争い)にも類が及ぶ。そしていつになく先の見えない終盤戦が・・・・。 ▽いやいや、現時点であまり心配の種をあら捜ししすぎるのは控えよう。なにせ、さらにその先には“ロシアの夏”がある。下手をすれば「さらにそのあと」も気になってきてしまう。つまり「来シーズン」はどうなっているんだろうか、と。だから、ひとまずはあえて目先のあれこれにのみ集中しよう。先ほどスパーズがグループリーグで「最高成績」を収めたことに触れた。リヴァプールは6試合で合計23得点を記録し、パリSGに次ぐ破壊力を証明した。相手関係云々はこの際度外視することにして、数字だけは“トップクラス”だ。無論、この勢いが“本チャン”でも、などと期待できるとは本人たちですら思ってはいないだろうが、少なくとも前向きになれる土壌にはなる。そこで今のうちに、いや今のうちだからこそ、“希望的観測”をしてしまえば、この両チームをダークホースの一番手に数えても罰は当たるまい。実は、この目、けっこうあると思っている。そして、現実に対戦する相手方もかなり警戒してマークする。すると、ゲームそのものも伯仲する・・・・。 ▽そこ、である。勝ち負けは端からどう転んでもそれは時の運。キックオフからファイナルホイッスルまで息をのみ続ける激戦を繰り広げ、見どころ・ドラマ満載の、記憶に残るひとときを演出してくれること。始まる前から「どうせ・・・・」などと結果を予測してしまう苦痛こそ、スポーツを楽しむ者にとって何よりも避けたい自爆の悪いクセ。TV音声の解説云々は“商売柄”突飛なことは口にしないもので、あえて言えば通り一遍、ほとんど金太郎飴的なもったいらしさばかりで「つまらない」。ここは是非、副音声の“ノイズ”にずっぽりひたってゲームそのものに集中してみてはどうか。きっと何か新しい発見があるはずだし、それは試合のたびに着実に少しずつ蓄積されていく。ブルース・リーじゃないが「Feel. Not think」である。もちろん、普段のリーグ戦(プレミア他)などでもお試しあれ。ふと思うのだが、是非Jリーグを“外国語音声”で観戦することができれば意外にハマるんじゃないかな、と(DAZNさん、いっそのこと提案してみては?!)。<hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.12.09 11:45 Sat
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【東本貢司のFCUK!】エヴァートンから始まるドラマ

▽「デイヴィッド・モイーズ」に「デイヴィッド・アンズワース」、「ウェイン・ルーニー」に「サム・アラダイス」・・・・よくもまあこれだけ“役者”が揃ったものだと思う。新監督に就任して間もないモイーズの“栄光の古巣”グディソン帰還と、ケアテイカー(暫定監督)アンズワースの“お疲れ様”采配ラストマッチに、新監督就任が内定したアラダイスの“お披露目観戦”が重なった11月29日のエヴァートン-ハマーズ戦でのことである。そこで「この場の主役はオレだ」とばかりに、見せ場尽くしのハットトリックを決めたのがルーニーだ。ちなみに、つい最近「ウンスワース」なる奇怪な読みも散見されたアンズワースだが、1995年にイングランド代表として唯一の出場を果たしている。筆者の記憶が正しければ、当時日本代表キャプテンを務めていた井原正巳が歴史的な対イングランド初ゴールを記録した試合である。目前に控えたユーロ96・強化試合の一環での“事件”だった。 ▽大柄で屈強な左SB/CBとして最も輝いていたアンズワースが三十路を過ぎてポーツマスに放出されたときのエヴァートン監督が、当時“国産指導者”としてトップクラスの評価を得て飛ぶ鳥を落とす勢いだったモイーズだ。そして、そのモイーズが不成績でマンチェスター・ユナイテッドの将の座を追われてからしばらくして、アンズワースはエヴァートン・ユースのコーチ陣に迎えられている(2004年初夏)。さらに、その直前までの彼の肩書をひもとくや、これが「プレストン・ノース・エンド」の“ケアテイカー監督”。プレストンは、モイーズが指導者としての経験を積み上げ、名門エヴァートンに“昇格”する土台となったクラブだ。あくまで推測に過ぎないが、その過程で“交流”なり“推薦の労”などがあったのは十分に考えられる。翻ってアンズワースはクラブ生え抜きにして通算出場歴300試合超の、文字通りのエヴァトニアン。現にアンズワースの下でトム・デイヴィーズやカルヴァート=ルーウィンら新世代の逸材が続々と育っている。ならば・・・・。 ▽そう、筆者にもピンとくるものがあった。クーマン解任とアンズワースの“必然”のケアテイカー抜擢は、エヴァートンにとってもはや取るべき「道は一つ」を予感させた。実際、それを推奨する識者(主に元プレーヤー筋)も少なくなかった。それなのに、メディアが最終的に嗅ぎ付けた第一候補は、現ワトフォードのマルコ・シルヴァ。ダメだと直感した。よしんば、仮にプラス効果が出たところで長持ちする保証もない。そもそもワトフォードがウンと言うわけがない。それに誰かがどん底状態に近いエヴァートンを引き受けるにしても、“現役”のヘッドハンティングには時期が悪い。「しばらくアンズワースのまま」ではダメなのか・・・・。そこではたと思い当たった。アンズワースは「とっておきの将来」なのだ。今、彼に託すにしても壁が高すぎる。おそらく、良くて残留がせいいっぱい、よもや降格したりすれば、立て直しにとんでもない労力を強いられるのは必定。そして、アンズワース自身に取り返しのつかない傷がつく恐れもある。唯一名乗りを上げたと言われる(モイーズのユナイテッドでの後任の)ファン・ハール? 今更「論外」だろうに・・・・。 ▽そして落ち着いた先が「アラダイス」だった。イングランド代表では想定外のアヤがついて“排除”されたが、クラブレベルに限ればアラダイスの履歴は“ピカいち”だ。降格の危機から救い出すことにかけてならビッグ・サムの右に出る者はいない。ボルトンに始まり、ニューカッスル、ブラックバーン、ウェスト・ハム、サンダランド、そして“直近”のクリスタル・パレス・・・・。落ち目の名門に活を入れて一息入れさせる歴代の第一人者。それに、エヴァートン首脳陣が“考慮の一端”に数えたかどうかはいざ知らず、アラダイスは実質的に「ルーニーにとっての最後の(代表)監督」である。相性という点でいいかもしれない。事実、その次期エヴァートン監督の目の前でルーニーは水を得た魚のごとく、全盛期を彷彿とさせる大活躍で門出を祝した(それを遠まわしに認めさせられたモイーズというおまけつきで)。しかも、これでアンズワースへの禅譲にも無理なく道筋がつく。 ▽なあに、たったの一試合。たまたま“こじつけの符号”がいくつか思い当たるだけ。懐疑論者はそううそぶくだろう。ビッグ5~6にしか関心を惹かれない、結果本位の野次馬ファンにとっては、エヴァートンなんぞ端から目じゃないんだし・・・・? だが、ひとまずはドカンと花火を打ち上げてみせた。エヴァートンにとって、いわばこれからが開幕に等しい、えも言えぬ手ごたえと“主役”登場(ルーニーとアラダイス)。遅ればせながらの大暴れの期待はぐんと膨らむ。そしてその“火花”がまた、モイーズとそのチームにも“伝染”するとなお嬉しい。忘れまじ、サンダランド。アラダイスで持ちこたえ、モイーズで屈したノースイーストの大古豪を。今、2部の底辺で足掻いているサンダランドをあえて引き受けた「前ウェールズ代表監督」の勇気、そのハートを。優勝して何ら不思議じゃないチームにしかなびかない、どこかの誰かさんは、この雄々しき心意気にぞ何思う?!<hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.12.01 12:00 Fri
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