【原ゆみこのマドリッド】勝負は意外とあっさりついた…

2017.06.06 15:06 Tue
▽「自分のチームはいいんだろうか」そんな疑問を私が覚えていたのは月曜。お昼のニュースでヨハン・クライフ財団主催のゴルフ大会に来ていたグアルディオラ監督のインタビューを訊いた時のことでした。いやあ、自身同様2回、指導者としてCL優勝を2回成し遂げたジダン監督と共通点はあるかと訊かれ、「Zidane y yo nos parecemos en el pelo/ジダン・イ・ジョ・ノス・パレセモス・エン・エル・ペロ(ジダンと私は髪が似ているね)」とジョークを言っていた辺りはいかにもオフシーズンっぽかったんですけどね。加えて、「レアル・マドリーは正当なCLチャンピオン。お祝いを言うけど、過信しちゃいけない。バルサは常に戻って来るから」って、あれ? 彼が来季も指揮するマンチェスター・シティは優勝争いに加わらなくてもいいんですか?
PR
▽まあ、今季CLでは16強対決でモナコに敗れ、初体験のプレミアリーグでも3位と無冠に終わった彼ですから、いきなりシティがマドリーに対抗馬宣言するのは難しいと思っていてもムリはありませんけどね。だったら、来季はバルベルデ監督が率いる自身の古巣に期待したいといったところでしょうが、ちょっと寂しいのは今現在、誰も来季のアトレティコにCL優勝争いができるかどうか、論じてくれないこと。私が日曜にスペイン代表の練習見学に行った時に会ったTVE(スペイン国営放送)の女性レポーター、普段はアトレティコ番をしている彼女なんかも今年は決勝の地に行けなかったのが不満だったんでしょかね。「ワンダ・メトロポリターノで優勝することになっているのよ」と来季はすっ飛ばして、アトレティコが決勝会場に立候補している2年後の話をしていましたしね。▽というのも、今年もCL準決勝という、あと一息のところまで漕ぎつけたアトレティコですが、CAS(スポーツ仲裁裁判所)の裁定でFIFA処分が確定し、1月に続いてこの夏も新戦力を補強することができず。その知らせにバケーション中、マンチェスター・ユナイテッド行きに色気を出していたグリースマンが「今、出て行くのはチームに悪い。来季も残るよ」とフランスのTVで宣言してくれた上、代表合宿で一緒にいるラガゼット(リヨン)にアトレティコに来るよう、勧誘してくれているのは良かったんですけどね。サンドロ(マラガ)やビトロ(セビージャ)らにもラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でそれぞれ、U21スペイン代表のサウール、A代表のコケが働きかけてくれているかとは思いますが、たとえ契約がこの夏にまとまったとしても、彼らが合流できるのは来年の1月以降。
▽それまでリーガやCLグループリーグを現有戦力プラス、今季レンタルしていたクラネビテル、ビエット(セビージャ)、ジエゴ・ジョタ(ポルト)ぐらいのメンバーでやっていかざるを得ないとなると、その頃には取り返しのつかない状態になっている可能性もありうる? うーん、施設内のホテルで代表チームメートと揃ってカーディフでの決勝を見ていたら、やっぱり準決勝でマドリーに負けたのには理由があったんだなと、アトレティコ加入を考えてくれている選手も迷ってしまうかもしれませんしね。その一方でバルサ勢などは、自分たちが準々決勝でまったく敵わなかった相手があんなことになってしまって、忸怩たる思いを抱えていたんじゃないでしょうか。

▽そう、お隣さんは土曜のCL決勝でユベントスに圧勝してしまったんですよ。とりあえず、試合の様子をお伝えすると、中継系列局が総力を挙げて、キックオフの27時間前から代わる代わるプレマッチ番組を放送するなど決勝の日は特別ですね。昼間に外に出た折、マドリーのユニを着た人と何度もすれ違ったため、自分も試合の時間にTVをつけた時には結構、ドキドキしていたんですが…。その頃にはジダン監督が泣く泣くスタンド観戦にしたのはルーカル・バスケス、ハメス・ロドリゲス、ナチョだったと判明済み。
▽ふくらはぎのケガが治ったばかりのベイルも「最終テストでまだ違和感があったから、後半をベンチで待つことにした」ため、イスコ先発で挑んだマドリーは序盤、ユベントスの猛攻を耐え抜くと、19分にはカルバハルのクロスに合わせたクリスチアーノ・ロナウドのシュートがボヌッチの足に当たり、幸先良く先制点となることに。でもこの時はまだ、敵も気力を失わず、26分にはアレックス・サンドロのクロスをイグアインが落としたところ、マンジュキッチが自作自演のchilea(チレナ/オーバーヘッドシュート)で同点ゴールをゲット。丁度、準決勝に行けなかった2014-15シーズンだけアトレティコにいた彼ですが、どうやらその時、準々決勝で敗れたのがやはりマドリーだったのが、いいモチベーションになったんでしょうか。

▽そのまま1-1で試合はハーフタイムに入ったんですが、後半、効き目を現したのはミレニアム・スタジアムのロッカールームでのジダン監督の言葉だったよう。モドリッチ曰く、「ウチはよくやっているけど、もっと改善できると言われた。Ser más agresivos, presionar más arriba, no dejar a la Juve jugar fácil/セル・マス・アグレシーボス、プレシオナル・マス・アリバ、ノー・デハール・ア・ラ・ユーベ・フガール・ファシル(もっとアグレッシブに行って、前の方でプレスをかけて、ユーベに容易くプレーさせない)」ということで、アッレグリ監督も「守備が機能しなかったのはウチがマドリーに押し込まれていたせい」とは言っていたものの、60分にカゼミロのミドルシュートが決まったのは運もありましたよね。ええ、1点目に続き、Decima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)時にはマドリーのメンバーだったケディラに当たり、ボールの軌道が変ってしまっては、天下のGKブッフォンだってどうしようもありませんって。

▽その3分後、さらに畳みかけたマドリーですが、その日、1点目を入れた時点ですでにメッシと並んで、11ゴールで今季CL得点王になっていたロナウドだけに、どうせなら独り占めしたかったんでしょうかね。モドリッチがゴールラインギリギリから出したラストパスを押し込んで3点目を追加。こうなると後はもう、注目は地元のスター、ベイルがいつ登場するかになってしまったんですが、それは76分に実現します。一方、反撃を試みるしかなかったユーベはバルザーリをクアドラードに代えたんですが、まさか当人がたった12分間で退場してしまうとは!

▽うーん、セルヒオ・ラモスを押して受けた2枚目のイエローカードはちょっと、審判が厳しかったような気はしましたけどね。こんな状態になって、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を期待できるチームは世の中広しと言えど、マドリーだけ。セリエAでは泣く子も黙るユーベも例外ではなく、逆に89分にはイスコとの交代で入ったアセンシオにダメ押しの4点目を決められて、最後は1-4という大差でマドリーが2連覇を飾ることに。そう、Duodecima(ドゥオデシマ/12回目のCL優勝)の達成です!

▽え、試合後はMVPとなったロナウドも「He hecho un final de temporada espectacular, me prepare para ello/エ・エッチョー・ウン・フィナル・デ・テンポラーダ・エスペクタクラル、メ・プレパレ・パラ・エジョ(自分はスペクタクルなシーズン終盤を送った。そのために準備したんだ)。監督も頭が良かったね」と言っていた通り、彼を含めて選手全員がローテーション。おかげで「前半は苦労したが、後半はボールを持てて、相手にフィジカルでも勝っていた。El físico y la determinación también han sido clave/エル・フィシコ・イ・ラ・デテルミナシオン・タンビエン・アン・シードー・クラブ(フィジカルと決定力もカギだったね)」(ジダン監督)という結果になったのを見ると、やっぱり体力を温存した才能のある選手ばかりのチームに勝つ方法はこの世には存在しないんじゃないかと絶望的にならないかって?

▽そうですね、今季バルサがリーガでマドリーに追いつけなかった理由の1つにもレギュラー以外のレベルが合格点に達していなかったことがありますし、アトレティコも一生懸命、身体は鍛えていたんですが、ケガ人などで頭数に制限があった上、才能は練習して何とかなるものではなし。こうなると、「Hay mucho talento, pero mucho trabajo también/アイ・ムーホ・タレントー、ペロ・ムーチョ・トラバッホ・タンビエン(大きな才能のおかげもあるが、沢山、働いたおかげもある)」という、ジダン監督のチームには一生、敵わないんじゃないかと思ってしまいますが、でも待って! 控えまで一流選手ばかりというのは諸刃の剣で、すでに決勝のベンチに入れなかったハメスや顔見せ出場に留まったモラタなんかについては、移籍が確定的みたいな話になっていますからね。

▽イスコやアセンシオにしても1年ぐらいはいいでしょうが、控え扱いではもったいない存在となると、いつまでも上手くいくとは限らないかと。ちなみに優勝後、「Se puede quedar en el Madrid toda la vida/セ・プエデ・ケダール・エン・エル・マドリッド・トーダ・ラ・ビダ(生涯、マドリーにいることができる)」とジダン監督の続投を宣言していたペレス会長は、今季のチームを維持したい意向のようですが、何せ、こちらはお隣さんとは違って、CASのおかげでこの夏、選手補強が可能になったマドリーですからね。ファンに夢を抱かせるためにも1シーズン、1クラックは欲しいところですし、すでにムバッペ(モナコ)やアザール(チェルシー)の名前など挙がっているため、この先は何があるかわからないですよ。

▽そしてスタジアムでお祝いした後、明け方にマドリッドに戻った彼らはそのままシベレス(マドリーがファンと優勝を祝う市内の広場)には行かず、全ての祝賀イベントを日曜夕方から一斉決行。ええ、私がラス・ロサスでスペイン代表の練習を眺めている間、マドリッッド州庁舎、市庁舎を回ると、それからシベレスにオープンデッキバスで向かい、2週間前のリーガ優勝時には2日に分けてやった行程を完了させます。ただ、この日はまだ続きがあって、いえ、予定が午後10時だったため、何とか私も駆けつけることができたんですけどね。最後はサンティアゴ・ベルナベウでこの4年間で3回目となるメガフィエスタの開催となりました。

▽いやあ、この3度の決勝ともスタジアムのピッチに大型スクリーンを設置、観客を入れてパブリックビューイング。そのセットをそのまま祝賀イベントにも使えているんですから、マドリーって、本当にラッキーですよね。プロブラムも毎回、ほぼ同じで、デシマの時こそ、アンチェロッテ監督がカラオケを歌い出したのには驚かされましたが、控え目なジダン監督が、今はその歌詞もドゥオデシマに変わってる、変わってないに関わらず、そんな大それた真似をするはずもなし。1人1人、選手が司会に呼ばれて登場、監督の胴上げ、大音響の花火が上がって、最後の場内一周では奥さんや子供も加わってセルフィー大会になっているというのもまったく同じでしたが、檀上に居る時、いきなりスポーツ刈りになっていたロナウドが自ら、「Cristiano, Balon de Oro/クリスチアーノ、バロン・デ・オロ(ロナウドにバロンドールを)」と歌いだしたのはちょっと引いたかも。

▽あと、あまりにCL優勝に慣れてしまうのもちょっと問題で、カーディフではマルセロが小さい方の息子さんをトロフィーの中に立たせていて、目が点になったものですが、その夜はラモスの彼女、TVタレントのピラル・デ・ルビオさんも同じことをしていたのを目撃。うーん、3度目のCL決勝負けを喰らい、39歳でまだそのトロフィーを掲げたことないブッフォンや、クラブ史上1度も獲得したことのないアトレティコの選手だったりしたら、神棚にでも祀ってしまうんじゃないかと思うんですが、こんなに頻繁に手にしていると貴重さも薄れてしまうんですかね。

▽そして途中、チラチラ登場していたスペイン代表のことを最後に伝えておくと、実は彼らが合宿しているのは日曜のW杯予選、マケドニア戦のためなんですが、その前にこの水曜にはムルシア(スペイン南部)でコロンビアと親善試合を開催。CL決勝があったマドリーの選手たちの不在を補うため、U21からサウール、ウィリアムス(アスレティック)ら、何人かがヘルプに来ていますが、月曜の午後練習からはカーディフで先発しなかったモラタ、アセンシオ、ナチョ、ルーカス・バスケスも合流しました。ハメスも同日、現地でトレーニングしている母国代表に加っていますし、相手には元アトレティコのファルカオ(モナコ)もいるとなれば、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からは面白い試合が期待できるかと。

▽他のマドリーメンバー、ラモス、イスコ、カルバハルはこの親善試合の後、木曜に合流予定ですが、最近また、ちょっと心配なのはピケ(バルサ)のことで、いえ、ミレニアム・スタジアムを始め、シベレスでもサンティアゴ・ベルナベウでも「Piqué, cabrón, saluda al campeón/ピケ、カブロン、サルーダ・アル・カンペオン(ピケ、クソ野郎、チャンピオンに挨拶しろ)」とカンティコ(節のついたシュプレヒコール)がマドリーファンから湧き上がっていたのは理解できるんですけどね。私がセッションを訪ねた日曜も当日、ハーバード大学のビジネスマスターコースを終え、マドリッドに直接飛んで来た彼がグラウンドに出て来た時にもそれがスタンドから聞こえることに。

▽何せ、その頃、マドリーファンはマドリッド市内のお祝いに行っていたか、見学客も近年、稀にみる不入りだったんですが、こういうのは代表戦の観客にも伝染しますからね。最終節から1つ前でジローナの1部昇格が決定し、プレーオフに回ることが決まったヘタフェはともかく、今季スペイン国内で行われる最後のビッグゲームですから、なるたけいい雰囲気で終えてほしいものですが、さて。うーん、これは当人の自業自得の面もあるものの、最近、代表の練習も非公開が多いのはそれが理由かもと私なんか、ちょっと穿ってしまったりもしますよ。

PR

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly