【原ゆみこのマドリッド】これで本当にもう最後…

2017.05.30 12:00 Tue
Getty Images
▽「真夏のクラシコ祭りなんて暑そう」そんな風に私がうんざりしていたのは月曜日、早くもレアル・マドリーの7、8月の予定表がAS(スペインのスポーツ紙)に掲載されているのを見た時のことでした。いやあ、恒例のロサンジェルス・キャンプの後、今年も彼らがアメリカでチャンピオンズカップ(夏季に行われる親善大会)に参加、7月29日にはバルサとマイアミで対戦する目玉試合が組まれたのは結構、前から話題になっていましたけどね。マドリーのリーガ優勝に続き、先週末にはバルサのコパ・デル・レイ優勝も決まったため、8月の第2、3週に行われるスペイン・スーパーカップでも両者が激突することに。丁度、バケーションシーズン中とあって、おそらくリーガやCLのクラシコ(伝統の一戦)より、観光客でもチケットが取りやすいんじゃないかと思いますが、要はこちらも早めに休暇を切り上げないといけないってこと?
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▽おまけに今週土曜のCL決勝でユベントスを破れば、8月8日にあるUEFAスーパーカップにもマドリーが出場。こちらも因縁ありあり、モウリーニョ監督率いるヨーロッパリーグを制したばかりのマンチェスター・ユナイテッドと激突することになるため、そうなるとますます、ノンビリはしていられないんですけどね。いよいよマドリッドも気候が夏モードに突入、これからバカンスの計画を立てるところだったのに、その前にハードな試合ばかり、仕事始めには待っているとわかるのは気が重いものかと。そこへ、先週末はジダン監督からもらった3日間の練習休みを目一杯楽しんでいたマドリーの選手たちの写真(http://www.marca.com/futbol/real-madrid/album/2017/05/29/592be2e5468aeb70798b4631.html)を見たりすると、尚更羨ましくなってしまいますが、まあそれはそれ。とりあえず、まずはビセンテ・カルデロンでのお別れ試合の様子をお伝えしておかないと。▽え、それって、21日のリーガ最終戦だったんじゃないのかって?いやあ、実は今回、お別れ試合が複数あって、そちらは心ならずもアトレティコの公式戦最後となってしまった試合で、この土曜にはカルデロンで開かれる最後の公式戦、コパ・デル・レイ決勝が開催。もちろん出場したのがバルサとアラベスだったため、スタンドをキレイに二分したどちらのファンも今季でお役御免となるスタジアムに思い入れがあった訳ではありませんが、大事な一戦なのには違いありませんからね。私も足を運んだものの、やはり案の定、結果は「Carecimos de talento que si tuvo el Barca/カレシモス・デ・タレントー・ケ・シー・トゥボ・エル・バルサ(ウチはバルサの持っていたタレントが欠けていた)」(ペレグリーニ監督)というものに。
▽何せ、今季昇格組の中では大健闘、数節残して2部へのUターンが決まったオサスナはもとより、17位でギリギリ残留を決めたマドリッドの新弟分、レガネスなど及びもつかない9位(勝ち点の差は20)という高みでリーガを終えたアラベスとはいえ、相手はあのバルサですからね。序盤はコパ決勝初体験チームがガツガツくるのを余裕で見守っていただけでしたが、30分にはエリア前からメッシがヒョイとすくい上げるように蹴ったシュートがゴールになってしまったから、驚いたの何のって。

▽ただ、その時は3分後、その日もパルコ(貴賓席)に応援に駆けつけていたアトレティコのルカスの弟、アラベスにレンタル移籍中のテオが27メートル離れたところからのFKを見事にネットに収めて同点に。それこそ、そんな武器があるのなら、キッカーがクリスチアーノ・ロナウドやベイルの専売特許となっているお隣さんなんかに移籍しなければいいのにと思わせたものですけどね。
▽やっぱりバルサはバルサでアラベスはアラベスなんですよ。いよいよハーフタイムも間近という45分、早い時間にマルコス・ジョレンテと空中戦で頭をぶつけ、ヒザも痛めて交代したマスチェラーノの代わりに右SBに入ったアンドレ・ゴメスのラストパスをネイマールが押し込み、再び前者がリードを奪うと、ロスタイムにも今度はメッシのアシストでパコ・アルカサルが3点目をゲット。うーん、自慢のMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)ではルイス・スアレスが出場停止で、スタンド見学していたんですけどね。何より気を引き締めなければならない時間帯に代理の選手に易々と得点を許してしまう辺り、もろに決勝という場に慣れていないチームの欠点が出てしまったという感じでしょうか。

▽それでも後半、気落ちせず、「Jugamos al limite de nuestras posibilidades/フガモス・アル・リミテ・デ・ヌエストラス・ポシビリダーデス(自分たちの可能性の限界までプレーした)」(ペレグリーニ監督)アラベスでしたが、最後まで追加点を挙げることはできず。そのままバルサが3-1で勝利して、ルイス・エンリケ監督退任の花道を無事に飾ることができたんですが…トロフィー授与式が終わっても席を立たず、ずっと応援を続けていたアラベスのファンたちには私も感動させられるばかり。

▽うーん、そんなシーンは先日、アトレティコがマドリーに逆転勝利しての突破が叶わなかったCL準決勝2ndレグでも目撃したんですけどね。アラベスのキャプテン、マヌ・ガルシアも「me siento ganador y nuestra la gente se siente ganadora/メ・シエントー・ガナドール・イ・ヌエストラ・ラ・ヘンテ・セ・シエンテ・ガナドーラ(自分は勝者だと感じるし、ボクらのファンも勝者だと感じている)」と言っていたように、とりわけ決勝で勝つのが当たり前ではないチームのファンって、全力を尽くした選手たちに優しくできるのかも。

▽逆に優勝慣れの弊害が垣間見られたのはバルサで、いえ、ピケがゴールネット切り取って持ち帰っていくのはもう恒例として、翌日にも試合があったカルデロンのスタッフも予備を用意していたと思いますけどね。丁度、そのシーンで当人がウムティティに「ネットで抽選して、アトレティコファンに贈る」って言っていたのは本気だったのかどうか。それ以上に引いたのは、もちろんスタジアムに来ていたバルサファンは喜んでいたものの、深夜にエル・プラット空港に着いたチームを迎えたファンはほとんどおらず。カナレタス(バルセロナ市内にある、バルサファンが優勝祝いをする広場)にも200人程が集まったぐらいで、クラブ主導の祝勝イベントすらないって、どれだけコパを軽視している?

▽まあ、ルイス・エンリケ監督の就任1年目には3冠(CL、リーガ、コパ)、2年目には2冠(リーガ、コパ)ときて、今季はコパだけとなると、お祝いに力が入らない気分もわかりますが、あのマドリーだって、コパ優勝の際にはシベレス広場に繰り出していましたからね。せっかくの3連覇なんですし、この3年間で9つもタイトルを獲得した功労者を称えるためにも、何かセレモニーがあっても良かったんじゃないでしょうか。

▽そしてバルサはリーガ2位でCL出場権を得ているため、コパ優勝副賞のEL出場権は使用されず、リーガ7位チームが獲得することに。ルイス・エンリケ監督の後任として発表されたバルベルデ新監督をホッとさせることになったんですが、それはアラベスのペレグリーニ監督が辞任を表明したのと同様、月曜になってからのこと。その前の日曜には再び、私もカルデロンに向かうことになり、はい、これがお別れ試合第3弾です。ちなみにこちらはチャリティマッチで“Final de Leyenda(フィナル・デ・レジェンダ/伝説のフィナル)”と名付けられたその試合では、アトレティコOB、現役混合チームとロナウジーニョ率いるレジェンダチームが対戦。

▽ただねえ、コパ決勝とは違い、周りが見慣れた色のユニフォームを着たファンばかりなのは私も嬉しかったんですが、何とアトレティコ側の選手が60人近くいたんですよ。キックオフ前、スピーカーに呼ばれて、1人1人出て来るだけでも20分以上もかかったため、フェルナンド・トーレスやガビ、今は違うチームでプレーしながら友情出場したアドリアン(ビジャレアル)や2010年のEL初優勝の時、アグエロ(マンチェスター・シティ)と一緒にチームのアイドルだったフォルラン、他アントニオ・ロペス、GKレオ・フランコら、先発メンバーの時には前半30分にトーレスのvaselina(バセリーナ/ループシュート)で先制するなど、まだ形になっていたんですが、次々と交代が始まってからは選手の年齢層が急上昇。いまだに眩いばかりのテクニックを駆使するロナウジーニョに翻弄されるばかりに。

▽まずは相手GKイグイータにPKで同点にされると、ハーフタイム間際にもカニーヒアに決められてリードされてしまう始末。後半にはコケやサウール、カンテラーノ(アトレティコB出身の選手)仲間のオリベル・トーレス(ポルト)が入り、惨劇を喰いとめようとしたものの、レジェンダチームのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続き、とうとう1-5って、ちょっとお。これは一体、誰のための試合なの?とはいえ、その辺はイベント慣れしたロナウジーニョなどにはわかっていたんでしょうね。スタンドから、まさかの「Si se puede!/シー・セ・プエデ(イエス、ウィ・キャン)」の掛け声が響く中、当人がPKを失敗してくれたり、敵DFが動かないでいてくれる前で温情ゴールが決まったりと、残り10分で3点を取ったため、最後は4-5というまともなスコアで終わることができましたっけ。

▽え、もうこの試合はファンもカルデロンに別れを告げ、最後にイムノ(クラブ歌)を合唱するために来ただけなんだから、結果なんてどうでもいいんだろうって?まあ、そうなんですが、私はマドリーのチャリティマッチも見ていますからね。同じような中高年のOBが出ていても、やっぱりお隣さんの方が根本的に質が高いと感じてしまったのはいた仕方なかったかと。実際、訳わからないペナルティを犯したり、もらえたPKを失敗する辺り、1対1はGK目掛けて蹴っているなんてところなんて、今のチームにも連綿と受け継がれている悪しき伝統ですしね。試合後、全員がピッチに登場して記念写真を撮影、そこで締めのスピーチをしたトーレスは「Vamos a llenar de carino el Metropolitan/バモス・ア・ジェナール・デ・カリーニョ・エル・メトロポリターノ(メトロポリターノも愛情で満たそう)」と言っていたものの、できれば、これまでファンに悲しい思いをさせていた種々の欠点は置いていってほしいところです。

▽そして名残りは尽きないものの、これでカルデロンはサッカー場としての役目を終え、後は夏の間、コンサートやイベント会場として機能。ゆくゆくは取り壊されることに。いや、だからといって、またしてもスタンドの座席を引っぺがして持っていくファンがいたのは決して褒められたことじゃないんですけどね。クラブは全予定が済んだ後、abnado(アボナードー/年間指定席購入者)には無償で提供、その他のシートは購入できると告知していたにも関わらず、狼藉を働いている親子連れのファンなど見るにつけ、この国ももう少し、公共心を育てる教育をしてくれたらなあと思ってしまうのですが…。

▽そんな感じでスペインで見られる今季の試合は、まあ、あと2節あって、更には同じマドリッドのヘタフェが喰い込めそうな昇格プレーオフもある2部は別ですが、全て終了。後は土曜のCL決勝でマドリーがクラブ史上、2度目のdoblete(ドブレテ/2冠優勝)を達成できるかどうかを見守るだけになりました。ちなみに週末休みを挟んで、再び彼らが稼働するのは火曜からで、うーん、相手のユーベは土曜にセリエA最終戦だったにも関わらず、月曜からもう練習していましたけどね。丁度、あちらはメディアデーだったため、古巣対決となるイグアインの「Esperemos que Sergio no nos marque en el minuto 90/エスペレモス・ケ・セルヒオ・ノー・ノス・マルケ・エン・エル・ミヌート・ノベンタ(ラモスが90分に得点しないように期待している)」なんてコメントも伝わってきましたが、いえいえ、まだまだそれじゃ甘いですよ、ピピータ(イグアインの愛称)。

▽昨季のミラノでは前半15分、(オフサイドだったけど)アトレティコがラモスに先制点を奪われていたのをお忘れなく。ベテランCBのキエッリーニなども「自分たちが優勢のように見えてもマドリーはいきなり、その質の高さで勝つ」と言っていましたしね。何せ、相手はジダン監督のチームが今季シーズン後半、リーガ・クラシコで2-3と負けたバルサに準決勝総合スコア3-0で完勝。つまりマドリー<バルサ<ユーベということになりますが、そう単純ではないのがサッカーの面白いところかと。幸いアッレグリ監督のチームにはBBC(ボヌッチ、バルザーリ、キエッリーニの頭文字)はいても、メッシはいませんしね。ええ、マドリーがアトレティコ以外のチームとCL決勝を戦うのを体験するのは私も初めてなので、どんな結果になるのか、ここはお手並み拝見といきましょうか。

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