【原ゆみこのマドリッド】落ち込んでいても仕方ない…

2017.05.09 12:00 Tue
▽「これもローテーション政策の賜物かな」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、これまでにもイロイロ、噂はあったものの、アトレティコからレンタル移籍でアラベスに修行に出ているテオがとうとうレアル・マドリーのメディカルチェックを受けたというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、本来なら19歳の彼は来季、年子の兄ルカスと一緒にまたアトレティコでプレーする予定だったんですけどね。自身の左SBというポジションを考えれば、あと数日で29歳になるマルセロより、この夏でもう32歳、ブラジル代表でもマドリーの同僚の控えを務めているフィリペ・ルイスの方がレギュラー争いに勝ち目があるような気はするものの、お隣のジダン監督と違って、シメオネ監督はそれ程、頻繁にスタメンを入れ替えず。
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▽しかも昨夏、入団した右SBのブルサリコを見てもわかる通り、いくらアラベスでは不動のレギュラーの座を獲得、前節のアスレティック戦で見事な決勝ゴールを挙げるなどの大活躍をしていても、監督が納得できるレベルのプレーができるまで、アトレティコではほとんど使ってもらえませんからね。CBのルカスも左SBとしてプレーできるため、兄弟で争うのもイヤだったのかもしれませんが、いやいや、ちょっと待って!一番の疑問は何でまだシーズンが終わっていないこの時期、しかも2日後の水曜にはビセンテ・カルデロンで最後のマドリーダービーとなるCL準決勝2ndレグを控えているという今、とりわけアトレティコのファンが嫌がる、同じ街のライバルへの移籍話が脚光を浴びないといけない?▽ただ、マルカ(スポーツ紙)によると、テオの契約解除金は2400万ユーロ(約30億円)であるものの、アトレティコ経営陣は慰謝料込みなんでしょうか、3000ユーロ(約37億円)を要求。交渉は試合が終わった後の木曜から始まるそうですけどね。実はテオにはバルサも触手を伸ばしていて、マドリーよりいい年棒条件を提示したものの、そこは兄のいるマドリッドから離れたくない気持ちが優先したなんて話も読みましたが…うーん、これじゃ、月曜にはCLがなくなって、ヒマになった平日、テニスのマドリッド・オープンを見にカハ・マヒカに姿を現したバルサのピケではありませんが、すでに余裕で1部残留を達成しているアラベスも27日のコパ・デル・レイ決勝しか目標はなし。だからといって、このヨーロッパ・ダービー、テオがスタジアムのパルコ(貴賓席)に来て応援する(どっちを?)なんてことは、できなくなってしまいましたね。
▽まあ、そんなことはともかく、いよいよシーズン日程も僅かとなり、こちらも目が離せない週末のリーガ戦がどうだったかというと。マドリッドの2強はCL準決勝の狭間だったため、双方共、土曜にプレーしたんですが、先にキックオフしたのはアトレティコ。ええ、もうビセンテ・カルデロンではあと3回しか、ひいきのチームを応援できる機会がないとあって、その日も満員御礼だったんですが、「Combato y me levanto/コンバト・イ・メ・レバントー(戦うぞ、立ち上がるぞ)」というfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)の大きな垂れ幕と共に始まった、水曜のremontada(レモンターダ/逆転劇)に向けての応援予行演習はエイバル戦の前半、時間が経過していくにつれ、徐々に尻つぼみになることに。

▽いえ、その日、サビッチも出場停止だったため、先週のCL準決勝1stレグで即興右SBを務めたルカスがゴディンとCBペアを組まねばならず、思い切った策を取らなければならなかったシメオネ監督に抜擢された、ボランチのトマスがそのポジションにいたせいではなかったんですけどね。そこはまあ、序盤から丁度、マッチアップした乾貴士選手を潰してみたり、次にはかわされてシュートを撃たれてみたりと少々、波乱含みだったものの、だんだん落ち着いてきたため、良かったんですが、スタンドを盛り下げたのは、アトレティコの悲しいまでの決定力のなさ。ええ、コケを筆頭にカラスコ、サウルと前半だけで3人もフリーのシュートを枠外に飛ばしているのでは、とにかく最低でも3本はゴールが必要な水曜に向け、ファンが悲観的になってしまったのも仕方ないかと。
▽そんな雰囲気を察したか、後半頭からはガイタンに代わり、フェルナンド・トーレスを投入したシメオネ監督でしたが、暗雲を吹き飛ばしてくれたのはカンテラーノ(アトレティコBの選手)の後輩でした。ハーフタイム間際の大失敗に頭を抱えながらロッカールームに向かい、その反省が実ったか、24分、このままではいけないと男気を発揮して、珍しく敵陣をボールを持って上がって行ったゴディンからのパスをトーレスがスルーすると、サウルがエリア前からシュート。マドリーのイスコやクロースにも負けないゴールポストギリギリのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、驚いたの何のって!

▽このゴールに活気づいたのはファンも同じで、それからはこれでもかというように大音量の応援が始まったんですが、残念ながら、その後、アトレティコが追加点を奪うことはできず。幸い、勝てば、コパでバルサが優勝した場合、リーガ7位に回ってくるヨーロッパリーグ出場権に届くかも程度の薄い期待しかなかったエイバルもあまり熱心には反撃はせず、そのまま試合は1-0で終わったんですが、おかげでグリースマンを引っ込められたのはようやく残り5分いなってからというのは痛いですよね。

▽その上、もうあとロタイムだけという頃になり、些細な判定に抗議したゴディンが続けざまにイエローカードをもらい、退場となってしまったのはいかがなものかと。いやあ、審判の報告書によると、「ponte gafas/ポンテ・ガファス(眼鏡をかけろ)」、「sois muy malos/ソイス・ムイ・マロス(お前らはひどい審判だ)」といった言葉が咎められたようですけどね。下手をすると3~6試合の出場停止処分を喰らいかねず、もう今季のリーガには出られないかもしれないというのはまったく、余計なおまけでしたっけ。

▽そんなことはあったものの、その日のクライマックスはタイムアップの笛が鳴った後で、というのも席を立たずに歌っていたファンに応えて、選手たちがまた、ピッチに出て来てくれたから。え、そんなのコパ準決勝2ndレグ、逆転が必要なバルサとのアウェイ戦の前にもあったけど、結果はそれみたことかだったんじゃないかって?まあ、そうなんですが、アトレティコの選手のいいところは素直にムードに乗ってくれることで、試合後のサルルなど、「先週の結果にも関わらず、ファンは今日、スタジアムに来てボクらを応援してくれた。感動的だよね。Vamos a intentar remontar, es lo unico que podemos hacer/バモス・ア・インテンタール・レモンタール、エス・ロ・ウニコ・ケ・ポデモス・アセール(逆転を目指すよ。それが自分たちにできる唯一のことだ)」と決意表明。

▽とはいえ、ミックスゾーンでフィリペ・ルイスが、「Por supuesto, mira el Barcelona si pudo y tuvo un resultado mas complicado/ポル・スプエストー、ミラ・エル・バルセロナ・シー・プド・イ・トゥボ・ウン・レスルタードー・マス・コンプリカードー(もちろんできるさ。バルサを見なよ。もっと難しかったのにやったじゃないか)」と言っていたのには、いや、アトレティコにはMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)がいないし、16強対決では4-0を引っくり返してPSGに逆転した彼らだって、どんどん相手も強くなっていく準々決勝ではユベントス相手に3-0を覆せなかったなんて思いもチラと私の頭をよぎったんですけどね。

▽シメオネ監督が「El miercoles tenemos un partido dificilisimo, para algunos imposible, pero para nosotros no/エル・ミエルコレス・テネモス・ウン・パルティードー・ディフィシリシモ、パラ・アルグーノス・インポシーブレ、ペロ・パラ・ノソトロス・ノー(水曜にウチは最高に難しい試合を控えている。ある者にとっては不可能だろうが、我々にとっては違う)」と断言していたのも一体、何をもって、そんなにも確信しているのだろうといぶかってしまった私でしたが、とにかくまずは信じることが大事なんですよね。そう、元々、選手の質で劣るアトレティコがまかり間違ってもお隣さんに逆転勝ちできる訳がないとウジウジしていても、していなくても試合があるのは水曜日。せめてその時ぐらいまでは、希望を持ち続けていた方がいいに決まっていますって。

▽実際、リーガだけ見れば、3位争いのライバル、セビージャが金曜にレアル・ソシエダと引き分けてくれたため、この勝利でアトレティコは勝ち点5差をつけ、あと1ポイントあれば、来季もCLグループリーグから出場できることが確定することになりましたしね。それだけに私も比較的、明るい気分で帰宅して、土曜最終試合のグラナダvsマドリー戦を近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に見に行ったところ…。

▽いやあ、相手がすでに降格が決まっているチームというせいもありましたが、マドリーBチームの強いことと言ったら。ええ、開始2分にはルーカス・バスケスのラストパスをゴール前でハメス・ロドリゲスが押し込んで先制したかと思いきや、10分にはまた、久々にプレーできるようになったコエントランのクロスをハメスが今度はヘッドで2点目ゲット。29分と34分にはモラタが2ゴールを挙げ、今季19得点として、AチームのCFを務めているベンゼマより2点も多いって、もしかしてアトレティコは水曜の試合に前者が先発しないのを喜ぶべき?

▽これで0-4としたマドリーは後半、アセンシオをベンゼマ、カセミロをイスコ、ルーカス・バスケスをマリアーノへと更にローテーションを実施。追加点が入ってもおかしくはなかったんですが、すでに矢折れ刀尽きた敵をそれ以上、痛ぶっても仕方ありませんからね。そのままのスコアで試合は終了し、前の時間帯でビジャレアルに4-1で勝利していた首位バルサと同じ勝ち点に戻ったんですが、やっぱり羨ましいなと思うのは、ジダン監督も「partidos fuera de casa son mas descanso/パルティードス・フエラ・デ・カサ・ソン・マス・デスカンソ(アウェイ戦はより休養になる)」と認めていたように、この日もクリスチアーノ・ロナウドがマドリッドでお留守番だったこと。

▽うーん、このところ、彼はずっとそうですからね。リーガの遠征には同行せず、体力を温存して、CL戦になるとゴールを入れまくっていますし、他の選手たちも皆、プレー時間を配分しているため、「nosotros podemos decir que fisicamente estamos todos bien/ノソトロス・ポデモス・デシール・ケ・フィシカメンテ・エスタモス・トードス・ビエン(ウチは皆、フィジカル的にいい状態だと言える)」(ジダン監督)というのは今のマドリーの大きな強みでしょう。これだと残り3試合、セビージャ、セルタ、マラガ戦のどれかで勝ち点を落としてくれるという、あと2試合、ラス・パルマス、エイバル戦しかないバルサの願望が成就するのもかなり難しいかと。

▽そして月曜、ベティスをブタルケに迎えたレガネスもようやく4-0と、これまでの鬱憤を晴らすかのようなgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勝利。週末にラス・パルマスに勝って一旦は距離が縮まり、残留の希望が再燃したスポルィングとの差を6ポイントに戻したため、あと勝ち点1で1部残留が確定することに。今季が昇格1年目の彼らだけに、最終節のホームゲーム、アラベス戦で残留祝いができれば、盛り上がること間違いありませんって。

▽そうそう、丁度、その日の夕方、マハダオンダ(マドリッド近郊)の施設でセッションを行っていたアトレティコは、「Necesitamos precision y tranquilidad para llegar al partido del miercoles/ネセシタモス・プレシシオン・イ・トランキリダッド・パラ・ジェガール・アル・ミエルコレス(水曜の試合には正確さと落ち着きが必要)」とシメオネ監督も言っていた通り、とにかくなかなかゴールが決まらない欠点を克服しようとシュート練習に特化。それもセルヒオ・ラモスやバランに邪魔されても力負けしないためなんでしょうかね。各人が重り入りのベストを着たり、腰にゴムを付けたりして、シュートやヘディングに励んでいたそうですが、何かそれって、余計疲れが溜まらない?ついでに思い出してほしいのはもし、相手に1点取られたら、アトレティコは5点が必要になるということなんですが、どうやらファンフランとヒメネスが戻って来られられそうだとはいえ、万が一に備えて一応、守備練習も一生懸命やっておいた方がいいかも。

▽まあ、その辺はシメオネ監督の考えなので、私には何も言えませんけどね。そんな今季、スペインの地で最後となるCLの試合は水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)にキックオフ。常識的に考えれば、火曜にモナコとの2nレグに挑むユベントスも初戦で0-2と勝っていますし、6月3日の決勝はマドリーvsユーベということになるんでしょうが、私も今はただ、試合が始まるのを待つしかありません。

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