【原ゆみこのマドリッド】上位戦線に異変が起こるかも…

2017.02.25 08:50 Sat
Getty Images
▽「最終節前の平日にいきなり差をつけられてもねえ」そんな風に私が憂いていたのは金曜日、前夜のヨーロッパリーグ32強戦2ndレグはTVでこそ見られなかったものの、当日の午前中はチーム全員でバチカンに赴き、フランシスコ教皇に拝謁。1stレグで4-0と大敗した後、恥ずかしくない試合ができることを祈願してもらったのが効いたか、ローマに0-1で勝って、心安らかに敗退したビジャレアルはともかく、同じ早い時間のうちにアスレティックまでアポエルにキプロス島で2-0と負け、衝撃の逆転敗退という大番狂わせを演じてくれることに。そのせいもあって、スペイン勢最後の砦となったセルタがウクライナでのシャフタール戦、後半ロスタイムにPKで1点を取って延長に持ち込み、最後はカブラルのゴールで総合スコア2-1と逆転突破するのをドキドキしながら、スポーツ紙のテキスト中継で見守っていたんですけどね。
PR
▽おかげでEL16強戦でロシアのクラスノダールと当たることが決まり、それだったら、準々決勝進出も夢ではないと思わせてくれたセルタでしたが、問題は彼らには暴風雨でバライドス(セルタのホーム)の屋根が壊れ、延期になったレアル・マドリーとのリーガ戦があること。セルタがELのこのラウンドで負けていれば、3月にマドリーのCL16強戦2ndレグのない週の平日に設定できたんですが、まずこの可能性が消滅して、実はお隣さんも先週はCL16強戦1sレグでナポリに3-1と勝利と、準々決勝進出にかなり近づいているんですよ。となれば、最短で双方がベスト8で負けた場合には4月、片方でもそれ以上進んだら、やっぱり対戦すうのは5月17日頃となってしまう?現在のように2位との勝ち点差が1、未消化分を含んでも4しかないとなると、あまりリーガ終了が押し迫っての開催は、マドリーにとってもプレッシャーがかかるような気がするんですが…。▽まあ、余裕の首位だった彼らが何で急にそんなことまで心配しなければならなくなったのかはまた後でお話しすることにして、今週CL16強戦に挑んだアトレティコはどうだったかというと。これがまた、相手のレバークーゼンは2年前の同じステージで当たり、その時は互いにホームで1-0勝利の末のPK戦決着だったため、あまり得点が期待できない試合なるかと思いきや、まったく真逆なゴール祭り的展開に。ええ、前回のバイアレナ訪問時は相手選手との接触プレーで腎臓を痛めて途中交代。ロッカールームに着くまでに何度も吐いて、病院に緊急搬送となった上、4日間も入院しなければならなかったサウルが今度は絶対、いい思い出を作ってやると決心していたんでしょうかね。
▽前半16分には1人、スルスルと右サイドを上がり、エリア内に入ってから、狙い澄ましたvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKレノを破っているんですから、こちらもビックリしたの何のって。おまけにそれから10分もしないうちにドラゴビッチが失ったボールを拾ってガメイロが敵陣をドリブル。最後はタイミングを見計らってグリースマンにパスを出すと、そのシュートが決まり、前半から2点もリードしているって、あまりに簡単じゃありません?

▽でも、そこはしなくてもいい苦労をするのが大好きなアトレティコ。後半開始早々、ベララビに1点を返されてしまったのは守備陣のちょっとした油断からだったんでしょうけどね。13分にはその日、大殺界だったようなドラゴビッチがガメイロをエリア内で倒し、アトレティコがPKを獲得。その際には同時進行のマンチェスター・シティ戦で、かつてのエース、今はモナコにいるファルカオがPKをGKカバジェーロに弾かれたという報も入っていたため、喜ぶよりもこのチームに奥深く根付いたPK失敗率の高さにむしろ頭が痛くなったものの、ようやく練習の成果が実ったようです。ガメイロが落ち着いて決めて、再び2点差となったんですが、まさか22分、フォラントのシュートをGKモヤが弾いたところ、サビッチに当たってオウンゴールになってしまうなんて、やっぱりアトレティコの不幸体質はまだ改善されていない?
▽おかげでそれまではサッカー的には上回るとこがなかったレバークーゼンがスタンドの後押しもあって勢いづき、私も気が気ではなかったんですけどね。2-3になって幾らもしないうちに、シメオネ監督は「mi intención era poner gente fresca/ミ・インテンシオン・エラ・ポネール・ヘンテ・フレスカ(自分の意図はフレッシュな選手をいれることだった)」と交代策を発動。フランス人の同僚の背番号が第4審判の掲げる電光ボードに現れたのを見た途端、グリースマンが「No, no! ¡Es el mejor, es el mejor!/!エス・エル・メホール(ダメ、ダメだよ。彼が一番いいんだから)」と抗議するのも無視して、ガメイロをトマスに代えると、その6分後には当人もカラスコと共にベンチへの道を辿ることになります。

▽え、ガメイロも交代時には怒っていたようだったけど、結果的にはフェルナンド・トーレスとコレアが入って吉と出たんだろうって?そうですね、後でグリースマンも「彼は斜めに切り込んで、ボクらを凄く助けていてくれていたけど、el míster tuvo razón porque marcamos el cuarto/エル・ミステル・トゥボ・ラソン・ポルケ・マルカモス・エル・クアルト(ウチは4点目を取ったんだから、監督の考えが正しかった)」と認めていたように41分、トーレスがベルサリコのクロスを頭でゴールに流し込んでくれたんです!最後は2-4のスコアで終わり、つまりこれはレバークーゼンがビセンテ・カルデロンでの2ndレグを0-3で勝たないと逆転突破できないってことですからね。

▽そんな余裕もあってか、その後はガビとフィリペ・ルイスがイエローカードをゲットし、累積警告で次戦出場停止となるローテーション計画も実行できたとなれば、試合後のシメオネ監督が「Fue tácticamente perfecto/フエ・タクティカメンテ・ペルフェクト(戦術的に完璧だった)」とほくそ笑んでいたのも当然だったかと。まあ、このところはグリースマン、ガメイロ、トーレスと、FWたちにゴールが戻っても来ましたしね。彼らにはその夜、軍配は5-3でシティに挙がったものの、それぞれ別のサイドで2ゴールを決めて大活躍。超一流のストライカーを持つという、アトレティコのいい方の伝統を作ってくれたアグエロやファルカオに負けない働きをこのシーズン残りに期待しています。

▽そして翌日、CL戦でセビージャがラモン・サンチェス・ピスファンでレスター・シティを2-1と下す前、これもクラブW杯参加のため、延期されていたバレンシア戦にメスタジャで挑んだマドリーなんですが、まさかの伏兵に足元をすくわれることに。だってえ、本来の日程だった12月に試合をしていれば、開始早々、4分にムニルのクロスを胸で受け、エリア内で体を捻って先制弾を決めたザザ(ユーベからレンタル移籍、シーズン前半はウェストハムでプレー)も、その4分後、ザザ、ナニと繋いだカウンダーから2点目を挙げたオレジャナ(セルタから移籍)だって、バレンシアにはいなかったんですよ。

▽もちろん、「Esos 10 minutos nos ha faltado concentración sin balón/エソス・ディエス・ミヌートス・ノス・ア・ファルタードー・コンセントラシオン・シン・バロン(この10分間、ウチはボールを持っていない時の集中力が欠けていた)」(ジダン監督)というのは自業自得ではありますが、まあそれは、かつて「眠ったままピッチに出る」という悪癖を性懲りもなく繰り返していた、どこぞのチームの例もありますからね。そんな時があるのはわかるんですが、予想外だったのはそれから80分も時間があったにも関わらず、ゴールには不自由していないはずのマドリーが同点にもできなかったことでしょうか。

▽いえ、ハーフタイムに入るちょっと前にはマルセロのクロスをクリスチアーノ・ロナウドが見事なヘッドで決めて、1点は返したんですけどね。バレンシアは前半にナニを負傷で、後半には早々にオレジャナを引っ込め、専守防衛になっていたものの、ハメス・ロドリゲスに代えてベイル、その日は間の悪さでドラゴビッチと双璧を成していたバランがケガでナチョに代わったのはともかく、最後はモドリッチを下げて、ルーカス・バスケスまで投入したのも実らず、結局、2-1で負けてしまうことに。要は「Jugamos ochenta minutos concentrados, pero diez no/フガモス・オチェンタ・ミヌートス・コンセントラードス、ペオ・ディエス・ノー(ボクらは80分間集中して戦ったけど、10分間は違った)」(カセミロ)ということで、まさに覆水盆に返らずの典型だった?

▽おかげでこの日曜、保険分だった勝ち点3を増やせず、2位と1差のままとなった彼らは首位防衛を懸けてリーガ戦に挑まないといけなくなってしまったんですが、相手はローマ戦で主力を10人温存、しかも霊験あらたかなビジャレアルですからね。ELを敗退したことで、優勝ご褒美のCL出場権獲得の夢も消えてしまった今、彼らとしても来季もヨーロッパの大会でプレーできる6位の座は死守したいところでしょうし、果たしてマドリーが名誉挽回のプレーを見せられるのかどうか。

▽そんなビジャレアルvsマドリー戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。そろそろBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)のスタメン復活が期待されますが、モラタやイスコらもあまり出られないと不満が溜まりそうですし、その辺はジダン監督の心づもり次第。負傷欠場者は肉離れで全治3、4週間となってしまったバランぐらいになりそうです。

▽え、それならマドリッドの両雄として、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、2位のバルサをビセンテ・カルデロンに向かい撃つアトレティコが一肌脱いでやるべきだろうって?いやあ、ライバル意識とは恐ろしいもので、こういう機会ではお隣さんを首位から引きずり下ろすために負けた方がいいなんて声がファンから聞こえてくるのも珍しくないんですが、今回は状況が状況ですからね。というのも、ここでアトレティコが勝って、マドリーが負ければ、両者の勝ち点差は7から4に縮小。2位との差も3になって、CLグループステージ出場権のある3位以内フィニッシュが近付くだけでなく、一旦は諦めた優勝戦線に復帰するのも夢じゃなくなるってことなんですよ。

▽その上、バルサ相手には2月上旬のコパ・デル・レイ準決勝であと一歩のところまで相手を追い詰めながら、逆転勝ち抜けを逃したという苦い記憶がまだ新しいですからね。向こうがCL16強戦1stレグでPSGに4-0の大敗を喰らったため、この先、今季は対戦の機会がないかもしれないとすれば、もうここでリベンジしておくしかない?うーん、シメオネ監督がこれまでバルサ戦で2勝しかしていないというのは気になりますけどね。そろそろゴディンもケガが治って戻って来られそうなため、今度こそはウルグアイ代表の同僚、ルイス・スアレスを抑えてくれることを期待。マドリッドで彼女との相互DV裁判で証言した後、レバークーゼンにプライベートジェットで当日移動してベンチ観戦していたルカスも体調は万全ですし、この試合ではいよいよGKがモヤからオブラクになるかもしれませんね。

▽そして前節はそのバルサにカンプ・ノウで引き分け寸前まで行きながら、終了間間際のPKで2-1と涙を呑んだマドリッドの新弟分、レガネスは土曜にデポルティボ戦なんですが、今週末は兄貴分たちも上位チーム対戦なので、助けてあげられませんからね。勝ち点2まで迫ってしまった降格圏に落ちしないためには、何とか自力で勝つしかないかと。まあ、1つ上にいるデポルティボも今年になって白星がないという点ではレガネスと同じですし、ここで勝てば16位になれるというのもいいモチベーションになると思うので、選手たちが頑張ってくれることを私も祈っています。

PR

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly