【原ゆみこのマドリッド】珍しいものを見た…
2017.02.14 12:45 Tue
▽「別にいいけど、ちょっと微妙」そんな風に私が感じていたのは月曜日、スペイン・サッカー協会理事会で5月27日のコパ・デル・レイ決勝会場がビセンテ・カルデロンに決まったという報を知った時のことでした。いやあ、先週末のリーガであった予行演習、アラベスvsバルサ戦は0-6という後者の圧勝で終わったんですけどね。昇格組にも関わらず、ミッドウィークにも試合がある年明けからのハードスケジュールを乗り切ったペレグリーノ監督のチームはもう精根尽き果てていたはずで、それでも一応、リーガでは降格圏まで勝ち点10以上の余裕を持っての12位。となれば、その日、2得点挙げたルイス・スアレスもコパ決勝では出場停止ですし、ここはバルサに手の内を明かさず、「チョロい相手と」と過信させて、メンディソローサから気分良く帰ってもらうのも決して悪くはなかったかと。
▽ジダン監督が採用した3CB制は、私もほとんどマドリーで見たことがないだけに、やっぱりチームカラーに合わないんでしょうか。バラン、この日がマドリー公式戦500試合出場の節目となったセルヒオ・ラモスと共に先発した、まだ100試合のナチョなど、「tenemos un gran equipo y mucha variedad de jugadores/テネモス・ウン・グラン・エキポ・イ・ムーチャ・バリエダッド・デ・フガドーレス(ウチには偉大なチームがあって、イロイロな種類の選手がいる)から、どんなシステムでも快適だよ」と言っていたものの、中盤まで上がった2人のSB、ダニーロとマルセロはそうでもなかったよう。ええ、この形でスタートした1月のリーガのセビージャ戦(2-1で負け)もコパ準決勝セルタ戦2ndレグ(2-2で敗退)でもいい結果は出ませんでしたしね。この日も32分にはセンターから敵にロングパスを出され、セルヒオ・レオンの見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でオサスナが追いついて、1-1でハーフタイムを迎えることに。
▽ただ後半早々、マドリーはダニーロが足に打撲を負って担架で退場。幸か不幸か、これがキッカケでハメス・ロドリゲスがピッチに入り、「Hemos tenido mas equilibrio con cuatro, cerrando por dentro/エモス・テニードー・マス・エキリブリオ・コン・クアトロ、セランドー・ポル・デントロ(ウチは4人のDFラインでよりバランスが取れた。内側を締めてね)」(ジダン監督)という効用をもたらします。おかげで中盤で動きやすくなったイスコが16分、ベンゼマがエリア内でシュートできなかったボールに突っ込んで勝ち越し点をゲット。その頃にはだんだん、オサスナも「notamos la exigencia fisica/ノタモス・ラ・エクシヘンシア・フィシカ(体力的な消耗を覚えた)」(バシリエビッチ監督)という状態になってきたため、ロスタイムにはルーカス・バスケスもゴールを奪い、最後は1-3で勝利することができましたっけ。
▽そんな注目のマドリーvsナポリ戦はバルサが火曜にパリでPSGと戦った後、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ちなみにマドリーを率いて、2007年には奇跡のremontada(レモンターダ/逆転)優勝を遂げたカペッロ元監督など、イタリアのメディアを通じて、ナポリのサッリ監督に「マドリッドでは試合は決して最後まで終わらないから気をつけるように」と警告。スペイン代表でマドリーの選手たちのことをよく知るレイナも「Lo de Ramos y el minuto 93 no es casualidad/ロ・デ・ラモス・イ・エル・ミヌート・ノベンタイトレス・ノー・エス・カスアリダッド(ラモスとあの93分のことは決して偶然じゃない)」と、後半ロスタイムにミラクルゴールを挙げる相手の特殊体質を挙げて、用心していましたけどね。実は先週末、彼らの十八番を奪ったチームが出現。ええ、それがお隣さんだったんですよ。
▽翌日曜のことです。マドリッドの新弟分、レガネスが夕方の試合で奮闘空しく、降格圏のスポルティングに0-2と負け、猶予が勝ち点2となってしまった上、金曜からずっと雨混じりのうっとおしい天気に強風が加わったため、私も夜のビセンテ・カルデロンに行くのはちょっと憂鬱だったんですけどね。そこへ直前には3位セビージャがラス・パルマスに終盤の1点で勝利という報が加わり、ただでさえ、金曜にレアル・ソシエダがエスパニョールに勝ったため、CL出場圏外の5位落ちというプレッシャーを受けていたアトレティコがセルタ戦でどんなプレーをするか心配だったんですが、ええ、見事にやってくれましたよ。
▽開始5分、いえ、まさか雨が降っているから、ボールが滑っていつも以上にパスが下手になるんじゃないかと、私が疑っていたのはともかく、GKモヤもうっかり取り損ねたらマズいと思ったんでしょうかね。敵のCKをカブラルの前にパンチングして、有難くヘッドでゴールを決められているなんこと、あっていい?これではようやく肩の脱臼手術から全快通知をもらったオブラクと早速、来週のCLレバークーゼン戦で正GK交代もやむなしかと、こっちも呆れるしかありませんでしたけどね。そういえば2年前もモヤは同じカードでケガをして、そこからオブラクの時代がやって来たんですが、これも何かの因縁かもしれません。
▽でも、大丈夫。その日のアトレティコは迅速に反応して、10分にはカラスコのスルーパスをエリア内でゴールに背を向けて受けたフェルナンド・トーレスが天才的な技を披露。ええ、一旦トラップして浮かしたボールを後ろに向けて蹴り上げて、それがゴールにスッポリ入ってしまったのにはスタンド中がビックリしたの何のって。それこそgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でしたが、その当人がPKという、見た目には絶対、蹴る方が有利そうなシュートを枠に当ててしまうとは、これもサッカーの7不思議の1つ。
▽うーん、28分にロンカリアのファールを受けて、PKをゲットしたのはカラスコだったんですけどね。最初は彼が「Me encontraba con confianza para tirar el penalty/メ・エンコントラバ・コン・コンフィアンサ・パラ・ティラーウ・エル・ペナナルティ(PKを蹴るのに自信があった)」とボールを掴んでいたんですが、19分には同じ選手にエリア内で倒されながら、PKをもらえなかった年長者を敬って、トーレスにキッカーを譲ってしまったのが裏目に出た?
▽まあ、先週のコパ準決勝2ndレグでガメイロが決められなかったこともあり、シメオネ監督が今度の担当者はスポーツ紙のファンが選ぶキッカー候補ナンバーワンだったトーレスにしてみようと思ったとしても責められませんけどね。ただ先日、私がトーレスもよく外していたと言っていたのは何となくの記憶からだったんですが、実はデータ的にもそれは正しかったようで、これまで彼はリーガで28回PKを蹴って、うち9本を失敗。ロナウドも9回、メッシも8回ゴールにできていませんが、彼らはそれぞれ65、50と蹴った回数自体が多いため、やはりトーレスがPKに強くないという印象は本当だったかと。
▽おかげで1-1のまま、後半を迎えたアトレティコでしたが、しばらくはどうにもいけてない状態が続きます。そう、コパのバルサ戦以外の最近の試合の傾向で、1点取ればもう十分病がまた発症してしまったのかと、私も雨を防げるスタンドの奥の方に引っ込んで見守っていたファンたちも時間が経つにつれ、イライラが募っていったんですが、それに合わせるようにセルタはバスやボンゴンダら、アラベスとのコパ準決勝2ndレグからローテーションした主力を投入。それが30分過ぎ、電光石火のカウンターに繋がり、最初はシュートを撃ち上げてしまったグイデッティだって、2度目となれば、しっかりゴールを決めてきますって。残り10分ちょっとでスコアは1-2。アトレティコにとって、これって完全に負けパターンですよね。
▽ところがその日は奇跡が起きたんです!もうあまりパスも繋がらないし、頼りのトーレスもガメイロに代わってしまっていたため、場内を静けさが包んでいた40分、ガビが右サイドから入れたクロスもルカスが味方に渡せず、ロンカリアがクリア。エリア前に上がったボールをタイミングバッチリでvolea(ボレア/ボレーシュート)して、ネットに叩き込んでくれたのはカラスコでした。いやあ、彼は前半、GKセルヒオとの1対1を決められず、それ以降、ファンからブーイングを受けていたんですけどね。シメオネ監督も後半26分にはコレアと交代させるつもりだったんですが、まさにその瞬間、「下がるのはボクだったけど、Saúl fue honesto y pidió el cambio porque estaba tocado/サウル・フエ・オネストー・イ・ピディオ・エル・カンビオ・ポルケ・エスタバ・トカードー(サウルが正直に痛みがあるからと交代を頼んだ)」(カラスコ)おかげで、プレーを続行できることに。
▽そこへ「En el campo no se oyen los pitos/エン・エル・カンポ・ノー・セ・オジェンロス・ピトス(ピッチではブーイングは聞こえない)」という、当人の持って生まれたスルー力の賜物か、心を乱さず撃てたのが幸いしたんでしょうね。「自分のいた位置だとボールをキープすることができなくて、ファーストかセカンドタッチで捌かないと敵のカウンターに繋がるから、蹴らなきゃいけなかった。Esta salió perfecta, pero otras puede irse por encima del estadio/エスタ・サリオ・ペルフェクタ、ペロ・オトラス・プエデ・イルセ・ポル・エンシーマ・デル・エスタディオ(今回は完璧にいったけど、別の時はスタジアムから飛び出しちゃうかも)」(カラスコ)という一撃だったようですが、このゴールでどんなにスタンドが盛り上がったことか。
▽そう、現金なもので同点になった途端、嵐のような応援が巻き起こった場内でしたが、その2分後、今度はコレアのクロスをガメイロが頭で落とし、そこへ突撃してきたグリースマンが勝ち越しゴールを挙げた瞬間、我が目を疑ってしまったのはきっと私だけではなかった?だってえ、トーレスは後で「Al final se ha visto una victoria de casta/アル・フィナル・セ・ア・ビストー・ウナ・ビクトリア・デ・カスタ(最後は血統による勝利を見ることができた)」と言っていましたが、奇跡のレモンターダなんて、彼らの辞書にはないんですよ。私もとんと記憶になかっただけでなく、これにもデータの裏付けがあって、アトレティコが後半41分以降に逆転勝利をしたのはクラブ史上、1997年のラージョ戦の1度限り。
▽となれば、稀に見る僥倖を目撃したシメオネ監督が喜びの余り、ピッチサイドを走って、グリースマンのゴールを祝う選手の輪に加わってしまったのも理解できますが、いやあ、これがコパ準決勝でできていればねえ。5月には大舞台で胸を張って、ファン共々、ビセンテ・カルデロンにお別れを告げることができたはずでしたが、まあそれはそれ。今は3-2でセルタに勝った彼らがリーガ4位を取り戻し、お隣さんの専売特許を真似することも可能だとわかっただけでいいかと。ええ、きっとパルコ(貴賓席)に偵察に来ていたレバークーゼンのシュミット監督も感心してくれたかと思いますが、もしや16強対決でアトレティコに勝つにはやっぱりPK戦しかないと意を決していたら、どうしましょう。
▽そんなアトレティコは今週、土曜のスポルティング戦まで試合がなく、ようやくミッドウィークがヒマになったんですが、シメオネ監督は「Digo lo bueno que seríamos si los marcáramos/ディゴ・ロ・ブエノ・ケ・セリアモス・シー・ロス・マルカラモス(PKも入れていれば、ウチはもっと良くなるだろう)。だが、3万、4万の人が見に来てくれない限り、練習の仕様がないんだよ。同じ状況じゃないからね」と、相変わらずPK特訓には消極的。だったら、試合前のアップの時間を使って蹴ってみたらいいんじゃないかというのが、私の素人考えですが、何せこの先は落とせない試合が続きますからね。要はファンにまで頭を絞らせてしまうぐらい、このPK問題は深刻ってことですよ。
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▽ただ、予想外だったのはアトレティコからレンタル移籍で修業に出ているテオが、もしかしたら決勝の当日はU20ワールドカップ参加のフランス代表に招集されており、自分が年子の兄、ルカスの敵をとってあげられないかもしれないのが悔しかったのかもしれませんね。ボールを奪おうと激しくいったアレイス・ビダルの当たり所が悪く、足首の脱臼で今季絶望にしてしまったのはあと味が悪かったかも。うーん、実はお兄さんの方も来週のCLレバークーゼン戦の日に、先日起きた彼女との相互DV訴訟で出廷を命じられていて、今クラブと代理人が日付を変えるよう、裁判所と交渉している最中なんですけどね。兄弟揃って乱暴事がこうも続くと、ご両親も辛いかと思いますが、それより何より、前節は仮想コパ3位決定戦の方が見応え満載。それもあって、返す返すもアトレティコが今季限りのホーム、ビセンテ・カルデロンで最後の試合となる決勝に進出できなかった間の悪さを嘆くことになったんですが…。▽まあ、そのことは後で詳しく話すとして、先にお隣さんのオサスナ戦がどうだったか伝えておかないと。土曜にバルサが勝利した後、消化試合は2つ少ないものの、順位表の上では勝ち点2下の2位でエル・サダル(オサスナのホーム)のピッチに立ったレアル・マドリーでしたが、結構、首位に返り咲くのには苦労したんですよ。いえ、序盤にイスコとの接触プレーでオサスナの選手が足を骨折、「Tano gritaba 'tibia y perone'. No quise ni mirar/タノ・グリタバ・ティビア・イ・ペロネ。オー・キセ・ニ・ミラール(タノは脛骨と腓骨だと叫んでいた。ボクは見たくもなかったよ)」というショックを選手たちは乗り越え、前半23分にはベンゼマのスルーパスからクリスチアーノ・ロナウドが先制点を決めてリードと、順調に見えたんですけどね。▽ただ後半早々、マドリーはダニーロが足に打撲を負って担架で退場。幸か不幸か、これがキッカケでハメス・ロドリゲスがピッチに入り、「Hemos tenido mas equilibrio con cuatro, cerrando por dentro/エモス・テニードー・マス・エキリブリオ・コン・クアトロ、セランドー・ポル・デントロ(ウチは4人のDFラインでよりバランスが取れた。内側を締めてね)」(ジダン監督)という効用をもたらします。おかげで中盤で動きやすくなったイスコが16分、ベンゼマがエリア内でシュートできなかったボールに突っ込んで勝ち越し点をゲット。その頃にはだんだん、オサスナも「notamos la exigencia fisica/ノタモス・ラ・エクシヘンシア・フィシカ(体力的な消耗を覚えた)」(バシリエビッチ監督)という状態になってきたため、ロスタイムにはルーカス・バスケスもゴールを奪い、最後は1-3で勝利することができましたっけ。
▽え、前々節のセルタ戦が中止になって、間が12日も空いたため、この試合ではイロイロ考えてしまったジダン監督だけど、もうここからはシーズンも正念場。水曜のCL16強対決ナポリ戦1stレグで実験的な布陣を組んだりはしないだろうって?そうですね、相手は昨年グループリーグが終わって以来、11試合無敗ですし、ドリース・メルテンスを始め、カジェホン、ハムシークと強力な攻撃陣を擁している上、カジェホンと共に里帰りとなるCBアルビオルや34歳ながら、GKレイナも絶好調のようですしね。昨年11月のCLスポルティングCP戦で負傷した足首を手術したベイルも日曜から全体練習に戻り、復帰は近いと言われていますが、まだ実戦には早いと思うので、とりあえずこの試合ではルーカス・バスケス辺りを前線に入れた4-3-3に戻るのでは?
▽そんな注目のマドリーvsナポリ戦はバルサが火曜にパリでPSGと戦った後、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ちなみにマドリーを率いて、2007年には奇跡のremontada(レモンターダ/逆転)優勝を遂げたカペッロ元監督など、イタリアのメディアを通じて、ナポリのサッリ監督に「マドリッドでは試合は決して最後まで終わらないから気をつけるように」と警告。スペイン代表でマドリーの選手たちのことをよく知るレイナも「Lo de Ramos y el minuto 93 no es casualidad/ロ・デ・ラモス・イ・エル・ミヌート・ノベンタイトレス・ノー・エス・カスアリダッド(ラモスとあの93分のことは決して偶然じゃない)」と、後半ロスタイムにミラクルゴールを挙げる相手の特殊体質を挙げて、用心していましたけどね。実は先週末、彼らの十八番を奪ったチームが出現。ええ、それがお隣さんだったんですよ。
▽翌日曜のことです。マドリッドの新弟分、レガネスが夕方の試合で奮闘空しく、降格圏のスポルティングに0-2と負け、猶予が勝ち点2となってしまった上、金曜からずっと雨混じりのうっとおしい天気に強風が加わったため、私も夜のビセンテ・カルデロンに行くのはちょっと憂鬱だったんですけどね。そこへ直前には3位セビージャがラス・パルマスに終盤の1点で勝利という報が加わり、ただでさえ、金曜にレアル・ソシエダがエスパニョールに勝ったため、CL出場圏外の5位落ちというプレッシャーを受けていたアトレティコがセルタ戦でどんなプレーをするか心配だったんですが、ええ、見事にやってくれましたよ。
▽開始5分、いえ、まさか雨が降っているから、ボールが滑っていつも以上にパスが下手になるんじゃないかと、私が疑っていたのはともかく、GKモヤもうっかり取り損ねたらマズいと思ったんでしょうかね。敵のCKをカブラルの前にパンチングして、有難くヘッドでゴールを決められているなんこと、あっていい?これではようやく肩の脱臼手術から全快通知をもらったオブラクと早速、来週のCLレバークーゼン戦で正GK交代もやむなしかと、こっちも呆れるしかありませんでしたけどね。そういえば2年前もモヤは同じカードでケガをして、そこからオブラクの時代がやって来たんですが、これも何かの因縁かもしれません。
▽でも、大丈夫。その日のアトレティコは迅速に反応して、10分にはカラスコのスルーパスをエリア内でゴールに背を向けて受けたフェルナンド・トーレスが天才的な技を披露。ええ、一旦トラップして浮かしたボールを後ろに向けて蹴り上げて、それがゴールにスッポリ入ってしまったのにはスタンド中がビックリしたの何のって。それこそgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でしたが、その当人がPKという、見た目には絶対、蹴る方が有利そうなシュートを枠に当ててしまうとは、これもサッカーの7不思議の1つ。
▽うーん、28分にロンカリアのファールを受けて、PKをゲットしたのはカラスコだったんですけどね。最初は彼が「Me encontraba con confianza para tirar el penalty/メ・エンコントラバ・コン・コンフィアンサ・パラ・ティラーウ・エル・ペナナルティ(PKを蹴るのに自信があった)」とボールを掴んでいたんですが、19分には同じ選手にエリア内で倒されながら、PKをもらえなかった年長者を敬って、トーレスにキッカーを譲ってしまったのが裏目に出た?
▽まあ、先週のコパ準決勝2ndレグでガメイロが決められなかったこともあり、シメオネ監督が今度の担当者はスポーツ紙のファンが選ぶキッカー候補ナンバーワンだったトーレスにしてみようと思ったとしても責められませんけどね。ただ先日、私がトーレスもよく外していたと言っていたのは何となくの記憶からだったんですが、実はデータ的にもそれは正しかったようで、これまで彼はリーガで28回PKを蹴って、うち9本を失敗。ロナウドも9回、メッシも8回ゴールにできていませんが、彼らはそれぞれ65、50と蹴った回数自体が多いため、やはりトーレスがPKに強くないという印象は本当だったかと。
▽おかげで1-1のまま、後半を迎えたアトレティコでしたが、しばらくはどうにもいけてない状態が続きます。そう、コパのバルサ戦以外の最近の試合の傾向で、1点取ればもう十分病がまた発症してしまったのかと、私も雨を防げるスタンドの奥の方に引っ込んで見守っていたファンたちも時間が経つにつれ、イライラが募っていったんですが、それに合わせるようにセルタはバスやボンゴンダら、アラベスとのコパ準決勝2ndレグからローテーションした主力を投入。それが30分過ぎ、電光石火のカウンターに繋がり、最初はシュートを撃ち上げてしまったグイデッティだって、2度目となれば、しっかりゴールを決めてきますって。残り10分ちょっとでスコアは1-2。アトレティコにとって、これって完全に負けパターンですよね。
▽ところがその日は奇跡が起きたんです!もうあまりパスも繋がらないし、頼りのトーレスもガメイロに代わってしまっていたため、場内を静けさが包んでいた40分、ガビが右サイドから入れたクロスもルカスが味方に渡せず、ロンカリアがクリア。エリア前に上がったボールをタイミングバッチリでvolea(ボレア/ボレーシュート)して、ネットに叩き込んでくれたのはカラスコでした。いやあ、彼は前半、GKセルヒオとの1対1を決められず、それ以降、ファンからブーイングを受けていたんですけどね。シメオネ監督も後半26分にはコレアと交代させるつもりだったんですが、まさにその瞬間、「下がるのはボクだったけど、Saúl fue honesto y pidió el cambio porque estaba tocado/サウル・フエ・オネストー・イ・ピディオ・エル・カンビオ・ポルケ・エスタバ・トカードー(サウルが正直に痛みがあるからと交代を頼んだ)」(カラスコ)おかげで、プレーを続行できることに。
▽そこへ「En el campo no se oyen los pitos/エン・エル・カンポ・ノー・セ・オジェンロス・ピトス(ピッチではブーイングは聞こえない)」という、当人の持って生まれたスルー力の賜物か、心を乱さず撃てたのが幸いしたんでしょうね。「自分のいた位置だとボールをキープすることができなくて、ファーストかセカンドタッチで捌かないと敵のカウンターに繋がるから、蹴らなきゃいけなかった。Esta salió perfecta, pero otras puede irse por encima del estadio/エスタ・サリオ・ペルフェクタ、ペロ・オトラス・プエデ・イルセ・ポル・エンシーマ・デル・エスタディオ(今回は完璧にいったけど、別の時はスタジアムから飛び出しちゃうかも)」(カラスコ)という一撃だったようですが、このゴールでどんなにスタンドが盛り上がったことか。
▽そう、現金なもので同点になった途端、嵐のような応援が巻き起こった場内でしたが、その2分後、今度はコレアのクロスをガメイロが頭で落とし、そこへ突撃してきたグリースマンが勝ち越しゴールを挙げた瞬間、我が目を疑ってしまったのはきっと私だけではなかった?だってえ、トーレスは後で「Al final se ha visto una victoria de casta/アル・フィナル・セ・ア・ビストー・ウナ・ビクトリア・デ・カスタ(最後は血統による勝利を見ることができた)」と言っていましたが、奇跡のレモンターダなんて、彼らの辞書にはないんですよ。私もとんと記憶になかっただけでなく、これにもデータの裏付けがあって、アトレティコが後半41分以降に逆転勝利をしたのはクラブ史上、1997年のラージョ戦の1度限り。
▽となれば、稀に見る僥倖を目撃したシメオネ監督が喜びの余り、ピッチサイドを走って、グリースマンのゴールを祝う選手の輪に加わってしまったのも理解できますが、いやあ、これがコパ準決勝でできていればねえ。5月には大舞台で胸を張って、ファン共々、ビセンテ・カルデロンにお別れを告げることができたはずでしたが、まあそれはそれ。今は3-2でセルタに勝った彼らがリーガ4位を取り戻し、お隣さんの専売特許を真似することも可能だとわかっただけでいいかと。ええ、きっとパルコ(貴賓席)に偵察に来ていたレバークーゼンのシュミット監督も感心してくれたかと思いますが、もしや16強対決でアトレティコに勝つにはやっぱりPK戦しかないと意を決していたら、どうしましょう。
▽そんなアトレティコは今週、土曜のスポルティング戦まで試合がなく、ようやくミッドウィークがヒマになったんですが、シメオネ監督は「Digo lo bueno que seríamos si los marcáramos/ディゴ・ロ・ブエノ・ケ・セリアモス・シー・ロス・マルカラモス(PKも入れていれば、ウチはもっと良くなるだろう)。だが、3万、4万の人が見に来てくれない限り、練習の仕様がないんだよ。同じ状況じゃないからね」と、相変わらずPK特訓には消極的。だったら、試合前のアップの時間を使って蹴ってみたらいいんじゃないかというのが、私の素人考えですが、何せこの先は落とせない試合が続きますからね。要はファンにまで頭を絞らせてしまうぐらい、このPK問題は深刻ってことですよ。
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