【東本貢司のFCUK!】迫りくる「最後のチャンス ?!」
2017.02.02 13:58 Thu
▽これは痛い! ホームでのまさかの敗戦。ワトフォードがトップフライト(1部)でアーセナルに勝ったのは1988年以来のことになるが、そんなことはこの際どうでもいい。アーセン・ヴェンゲルは敗因についてこう述べている。「前半、ことごとく一対一で敗れ、動きも総体的に緩慢だった。我々は精神的にゲームへの気構えを欠いていた」。つまり、事実上の完敗。さては3日前のFAカップ戦(対サウサンプトン)大勝のマイナス反動? だとしても、対エヴァートン、マン・シティーの連敗からすっかり立ち直ったに見えて、このセットバックには危機感に苛まれてしかるべし。よくよく振り返れば、その後の(このワトフォード戦直前まで)7戦は、どれをとってもほぼ実力的に“組しやすい"相手ばかりだった。とはいえ、この1月だけで7試合の超強行軍。12月も6試合。これで疲労のせいにはできないなどとはとても言い難い。とはいえ、それはどこも同じなのだが・・・・。
▽某ガナーズファンは、同日後刻、首位チェルシーがリヴァプールと引き分けて「助かった」と宣った。が、本当にそうか? 確かに、チェルシーは「勝てるゲームを引き分けた」点も指摘されるかもしれない。すなわち、ディエゴ・コスタのPK失敗・・・・。ここで、リヴァプールの将、ユルゲン・クロップは、いかにもといったトーンでコスタを激賞するコメントを出して“混ぜっ返して"いる。クロップ一流の“マインドゲーム"・・・・? とか何とかはさておいて、一つ視点を変えてみれば、「助かった」のではなく「せっかくのチャンスをふいにした」とは考えられないか? 一つは、ライバルが軒並み“複数ポイント"を逸してくれた恩恵を生かせなかったこと。もう一つは、もし勝てる試合を勝てなかったのだとしたら、チェルシーは次なるゲームにまなじりを決して臨んでくるに違いないだろうこと(コンテはいつになくえらく悔しがっていた。なんとなれば、その次戦、今週土曜日の相手こそまさにアーセナルなのだ。これはとんでもない一大決戦になりそうな・・・・。
▽そのココロとは・・・・このざっと10年前後の経緯を振り返っても、ヴェンゲル・アーセナルの十八番の一つともいえるのが「危機感に苛まれたときほど一丸となって結果を出す」ことであり、おかげで幾度となく「大逆転」あるいは悪くとも「最低限」の成果を収めてきたことだけは思い出しておきたい(是非、過去をひもといていただきたい)。つまり、だからこそ、今週末の直接対決はおそらく、後々語り種になってしかるべき今シーズン最大のイベントになること必至なのである。すなわち、コンテ・チェルシーが(幸便にもホームで)勝てば、さしもの筆者も「優勝は九分通り・・・・」と推定せざるを得なくなる。ああ、もちろん、試合はまだそこそこ残っているのだから、この“業界"の決まり文句通り「何が起きるかわからない」。だが、このめぐり合わせなのだ、ここでアーセナルの反発が実らない事態になれば、以後残りの日程で終始、ガナーズの面々の心理には拭い去りようのない“負い目"が染みついてしまう。反骨の志がどうやっても萎んでしまいかねない・・・・。
▽とはいえ逆に(週末のチェルシー戦に)勝てば、勝ち点差6がひどく“軽く"見えてくるはずのアーセナルに比べれば、同じホームで同率最下位だったハルと引き分けたマン・ユナイテッドの“絶望感"たるや、ほぼヤケッパチになっても仕方のないレベルだろう。ジョゼ・モウリーニョが、ポストマッチ・インタヴューを途中でうっちゃってさっさと引き上げてしまったほどに。さもありなん、ユナイテッドにとってはそれこぞ「最後のかすかなチャンス」だったのだから。残り15試合で首位チェルシーとの差15は、さすがにほぼ白旗宣言。しかも、お隣のシティーが“ネイマール二世"ガブリエル・ジェススのデビューゴールで圧勝したとあっては、ここでも心理的に凹む。寝覚めが悪い。もっとも、インタヴュアーが「レフェリーの判定云々」を切り出したものだから、それがモウリーニョの癇にさわったために、ぷいっと“ウォークアウト"したのは否めなかったのだが・・・・。どうやら今後のプレミア覇権争い、各指揮官のアタマがどれだけクールダウンして“再起"にもっていけるかにかかっているような気がしなくもない・・・・。
▽おや、ペップ殿だけは「相変わらず」他人事のような冷静さ。「トップの3人の平均年齢20歳」を自慢げに語って、どこ吹く風の「未来志向」とはまた剛毅な。よくぞ言ったものである。「ウェスト・ハムはマンチェスター・シティーにとってパーフェクトなチーム。なぜなら(いまどき?)4-4-2でやってきてくれたから、中盤で(相手を)ぶっ壊すのは楽だったよ」? ふーん、これはどうも、悪い“憑き物"でも落ちたのかな?
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
▽某ガナーズファンは、同日後刻、首位チェルシーがリヴァプールと引き分けて「助かった」と宣った。が、本当にそうか? 確かに、チェルシーは「勝てるゲームを引き分けた」点も指摘されるかもしれない。すなわち、ディエゴ・コスタのPK失敗・・・・。ここで、リヴァプールの将、ユルゲン・クロップは、いかにもといったトーンでコスタを激賞するコメントを出して“混ぜっ返して"いる。クロップ一流の“マインドゲーム"・・・・? とか何とかはさておいて、一つ視点を変えてみれば、「助かった」のではなく「せっかくのチャンスをふいにした」とは考えられないか? 一つは、ライバルが軒並み“複数ポイント"を逸してくれた恩恵を生かせなかったこと。もう一つは、もし勝てる試合を勝てなかったのだとしたら、チェルシーは次なるゲームにまなじりを決して臨んでくるに違いないだろうこと(コンテはいつになくえらく悔しがっていた。なんとなれば、その次戦、今週土曜日の相手こそまさにアーセナルなのだ。これはとんでもない一大決戦になりそうな・・・・。
▽そのココロとは・・・・このざっと10年前後の経緯を振り返っても、ヴェンゲル・アーセナルの十八番の一つともいえるのが「危機感に苛まれたときほど一丸となって結果を出す」ことであり、おかげで幾度となく「大逆転」あるいは悪くとも「最低限」の成果を収めてきたことだけは思い出しておきたい(是非、過去をひもといていただきたい)。つまり、だからこそ、今週末の直接対決はおそらく、後々語り種になってしかるべき今シーズン最大のイベントになること必至なのである。すなわち、コンテ・チェルシーが(幸便にもホームで)勝てば、さしもの筆者も「優勝は九分通り・・・・」と推定せざるを得なくなる。ああ、もちろん、試合はまだそこそこ残っているのだから、この“業界"の決まり文句通り「何が起きるかわからない」。だが、このめぐり合わせなのだ、ここでアーセナルの反発が実らない事態になれば、以後残りの日程で終始、ガナーズの面々の心理には拭い去りようのない“負い目"が染みついてしまう。反骨の志がどうやっても萎んでしまいかねない・・・・。
▽おや、ペップ殿だけは「相変わらず」他人事のような冷静さ。「トップの3人の平均年齢20歳」を自慢げに語って、どこ吹く風の「未来志向」とはまた剛毅な。よくぞ言ったものである。「ウェスト・ハムはマンチェスター・シティーにとってパーフェクトなチーム。なぜなら(いまどき?)4-4-2でやってきてくれたから、中盤で(相手を)ぶっ壊すのは楽だったよ」? ふーん、これはどうも、悪い“憑き物"でも落ちたのかな?
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
|