【原ゆみこのマドリッド】差がひしひしと感じられる…

2016.12.14 13:08 Wed
▽「へえ、日本は初めてなんだ」そんな風に私が意外に感じていたのは金曜日。横浜の三ツ沢スタジアムでの練習前に話していたマルセロの映像をTVのニュースで見た時のことでした。確かにここ3年で2度CLに優勝して、その度、クラブW杯に出ているレアル・マドリーですけどね。2014年はモロッコでの開催でしたし、その前のnovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)は2002年とかなりの昔。となると、マルセロだけでなくセルヒオ・ラモスも日本未体験なのは当然で、もしや知っているのは当時現役だったジダン監督と、2008年にマンチェスター・ユナイテッドの一員としてトロフィーを掲げただけでなく、個人的な商業活動で何度も来日しているクリスチアーノ・ロナウドぐらいしかいない?
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▽まあ、マドリーが月曜日の早朝に日本上陸してからのことは、こちらも大会初戦のオークランド・シティ戦で決勝点を挙げた鹿島アントラーズの金崎夢生選手のことを、ただMuとだけ表記し、一体どこの国の人なんだろうと私の首を傾げさせたAS(スペインのスポーツ紙)の帯同記者のように、どこか怪しげなスペインマスコミのフィルターを通してしかわからないため、あまり情報も伝えられないんですけどね。それより驚いたのは遠征に発つ前夜。そろそろ日付が変わるぐらいの時間でサンティアゴ・ベルナベウを出る直前に、ラジオ・マルカ(スポーツ専門局)のレポーターが「朝8時の飛行機で行く」とマイクに喋っていたのは決して私の聞き間違いではなく、選手たちがまだ真っ暗な午前5時半にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場にスーツ着用で律儀に集合していたこと。▽いえ、もちろん前日のデポルティボ戦には、ジダン監督のローテーションでロナウド、ベンゼマ、モドリッチら、ベンチ入りしていない選手もいたんですけどね。それでもロナウドなど、2015年初頭にロシア人モデルのイリーナ・シャイクさんと別れて以来となる彼女連れでパルコ(貴賓席)観戦。後半ロスタイムにセルヒオ・ラモスの奇跡のremontada(レモンターダ)弾が決まるまで、21歳の元ブランドショップ店員兼モデル、ジョルジーナ・ロドリゲスさんと一緒に応援していましたし、他の2人だって試合は見ていたはずとなれば、やっぱり夜にも朝にも強くないとエリートクラブの選手にはなれないのかも。
▽え、それより何でまた、デポルティボ相手にそんな綱渡りの試合になってしまったのかって? ベイルは長期リハビリ中なので仕方ないんですが、やはりBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が1人もいないのは痛かったようで、前半のマドリーは得点が挙げられず。幸い、50分にはその日、先発CFのチャンスをもらったモラタがエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、前日の夜にマジックショーの舞台でイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんにプロポーズしたりして、舞い上がっているからダメなんだというファンからの批判をかわすことができたんですが、ここからデポルティボの反撃が始まったんですよ。

▽そう、前半にもボルヘスが2度程、チャンスを掴んでいた彼らですが、RMカスティージャ出身のホセルがピッチに入ったことで、一気に形勢が逆転。63分にはカゼミロから敵エリア近くでボールを奪ったフロリン・アンドネがカルレス・ヒルに繋ぎ、彼からパスをもらって同点弾を決めたかと思えば、2分もしないうちにまたしてもフロリンからのアシストで2点目をゲットしているんですから、驚かせてくれるじゃないですか。これで試合前には、「El empate es bueno, muy bueno.../エル・エンパテ・エス・ブエノ、ムイ・ブエノ(引き分けならいい、とてもいい)」と言っていたガイスカ・ガリターノ監督の望みは叶いそうになったんですが、そこは35試合連続無敗のクラブ新記録が懸かっていたジダン監督。ルーカス・バスケス、マリアーノに続き、マルセロを投入して、DF3人体制で得点を目指したところ…。
▽まずは83分、開幕前の夏にもこの冬にもリーガや国外のクラブからレンタルのオファーが尽きないにも関わらず、マドリーで成功するという夢を決して諦めることのないマリアーノがルーカス・バスケスのクロスを頭で流し込み、スコアは2-2に。その日は2位のバルサもオサスナに0-3と勝っていたものの、それでも勝ち点差はまだ4ありましたし、記録更新という意味ではここで終わっても構わなかったんですが、ロスタイムに入って、お馴染みの彼が発奮してしまったんですよ。

▽いえ、2014年のCL決勝や先日のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)でCKを蹴ってくれた心の友、モドリッチはいなかったんですけどね。「Teniamos muchas veces hablado ese corner, lo habiamos visto mil veces/テネモス・ムーチャス・ベセス・アブランドー・エセ・コルネル、ロ・アビアモス・ビストー・ミル・ベセス(ウチは何度もCKのことを話し合って、何千回も映像を見ていた)」(ガリターノ監督)デポルティボのDF陣を振り切って、クロースからのボールをヘッドで叩き込んでしまったとなれば、「A Sergio Ramos se le puede parar con una gripe.../ア・セルヒオ・ラモス・セ・レ・プエデ・パラール・コン・ウナ・グリペ(ラモスを止められるのはインフルエンザだけ)」(ホセル)という答えは正解?

▽ただ、ガリターノ監督は「ロスタイムが5分と出た時、マドリーが得点するまで終わらないとわかった」と文句を言っていましたが、ラモスのゴールは今回、92分。むしろCKを与えないようにするとか、事前の策を講じるべきだったと思いますが、ジダン監督によると、「マークすることはできるが、ラモスは頭がいい。よく動いて常にボールが落ちるところにいる」そうですし、ゴール生産責任者の1人であるモラタに至っては、「No se como lo hace Ramos, pero siempre lo hace/ノー・セ・コモ・ロ・アセ・ラモス、ペロ・シンプレ・ロ・アセ(ラモスがどうして入れるのかわからないけど、いつもやるね)。ボクにも入れさせてもらいたいよ」なんて羨むばかりでしたからね。

▽実際その日、お決まりで試合後、かなり遅くなってミックスゾーンに出て来た当人曰く、「Con ilusion, fe y entusiasmo hasta el final las cosas se dan/コン・イルシオン、フェ・イ・エントゥシアスモ・アスタ・エル・フィナル・ラス・コーサス・セ・ダン(最後まで夢と信念と情熱を持ち続ければ、物事は上手くいく」そうなんですけどね。ちなみにそのコメントを聞いた時には背の高いスペイン人記者が前に沢山いたため、横の方から伺っていた私はラモスの左手には甲にまでタトゥーがあるのを見て、驚いていたんですが、ずっと手をポケットに突っ込んだままだったのは、新作の各指の赤い数字を日本到着まで秘密にしておきたかったから? まあ、そんなことはどうでもいいんですが、クラブW杯準決勝、木曜日のクラブ・アメリカ戦や日曜日の決勝では、そのマドリーの伝統芸を日本のファンも目の辺りにする機会があるかもしれませんよ。

▽一方、その土曜日にはマドリッドの新弟分、レガネスが前節のビジャレアル戦でスコアレスドローを演じた後、得点するというハードルを超えたものの、ラス・パルマスに先制点を奪われていたため、1-1でやっぱり引き分けに終わったなんてこともあったんですが、概ね平和に過ごした日曜日の後、災厄が訪れたのは月曜日。いえ、昼間に行われたCLベスト16抽選ではマドリーがナポリと、アトレティコもレバークーゼンと当たったため、レスター・シティを引いたセビージャ程ではありませんでしたが、PSGとまたしても当たることになったバルサなどよりは遥かに安心できたんですけどね。

▽近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にビジャレアル戦を見に行く前、バロンドール賞はロナウドが受賞と発表されたことも世間の予想通りだったため、それはそれで良かったんですが、まさか今になって、アトレティコ恒例の冬のcrisis(クリシス/危機)が再来しようとは! うーん、その兆候はすでにマドリーダービーの頃から現れていたような気はするんですけどね。エル・マドリガルでの彼らは開始から15分ぐらいまで、まるで「Hemos salido dormiendo/ヘモス・サリードー・ドルミエンドー(ウチは眠ったままピッチに出た)」という、懐かしい言い訳がピッタリの状態で、そこから少しは目覚めたものの、27分にはこれまた、ダメダメだったシメオネ監督時代前の悪癖、守備の大ポカが発現。

▽今回はチアゴでバックパスをロベルト・ソリアーノに奪われ、ゴディンもボールを取り戻すことはできず、最後はトリゲーロスのシュートでビジャレアルに先制点を献上してしまったから、呆れたの何のって。その直後にチアゴがサウールと交代となったため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)のコメンテーターなど、「シメオネ監督はパコ・ヘメス化してるんじゃ」なんて、現在2部にいるラージョや今季の始めはグラナダを指揮していた、ミスった選手をすぐ代える名物監督(今はメキシコのクルス・アスール)を引き合いに出していましたが、これは当人がヒザの痛みを訴えたせいだったと後に判明。ただ、その先の悲劇に比べれば、まだこんなの、ほんの序の口ですって。

▽というのも37分にはGKオブラクがパトのシュートを不用意に弾き、詰めていたドス・サントスに2点目を決められてしまったんですが、そのプレーで彼が左肩を脱臼。翌日の検査で手術が必要、全治3、4カ月となってしまったとなれば、彼は昨季のサモラ(リーガで失点率が最も低いGK)ですからね。試合のその後を引き受けたモヤがプレシーズンから数カ月負傷のリハビリをしていたため、一旦はレンタルが決まっていた若いモレイラを呼び戻しておいて先見の明があったなんて、誰も喜べませんよ。

▽この2人の交代で残り枠が1つになってしまったシメオネ監督には結局、その日はやることなすこと的はずれでイエローカードまでもらい、次節は累積警告になってしまったコレアを後半途中から、カラスコにするぐらいしか打つ手がなくなってしまったんですが、そんな時、哀しいのはアトレティコにはお隣さんに備わっているレモンターダ体質がないこと。いえ、それにはグリーズマンがここ8試合、ノーゴールと不調なのも影響しているんですけどね。とにかく1点でもと、捨て身で攻めていた後半ロスタイムには、ソリアーノに3点目を決められ、とうとう順位も6位まで落ちてしまったって、これが冬の危機でなかったら、一体何なんでしょう!

▽うーん、アトレティコの旧時代を知らないサビッチなど、「昨季はバルサと勝ち点差12ついたけど、最後は3になった。Queda Liga, Champions, Copa, no está todo finalizado/ケダ・リーガ、チャンピオンズ、コパ、ノー・エスタ・トードー・フィナリサードー(リーガもCLもコパ・デル・レイも残っている。まだ全部終わってないよ)」と試合後も前向きでしたけどね。現実的には「Estamos jodidos. La Liga se pone muy cuesta arriba/エスタモス・ホディードス。ラ・リーガ・セ・ポネ・ムイ・クエスタ・アリバ(皆、最悪な気分だよ。リーガはとても大変になった)」(ガビ)という方が真実に近いかと。

▽実際、このままで来季、堂々完成オープンの新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノでヨーロッパリーグを戦うことになったら、下手に収容人数が増えた分、空席も目立つのではないかと、私など戦々恐々しているんですが、一番気に懸かるのはシメオネ監督が「チームは戦っているし、よく働いて、勝つために努力しているが、los resultados no nos están favoreciendo/ロス・レスルタードス・ノ・ノス・エスタン・ファボレシエンドー(結果がウチに味方してくれていない)」と言っていたことで、だってこれって、ツキがないって意味ですよね。

▽もちろん、プレーにこれまでのような激しさがないとか、ゴディンやガビ、ファンフランらベテランのプレーレベルの低下、そしてコケやサウールら若手の至らなさなども言われてはいますが、以前、チームが危機に陥った場合、アトレティコの解決方法は単刀直入に監督の交代。といっても、たとえ選手たちが5年続く同じ指揮官に飽きてきているのかもしれないとしても、大功労者であるシメオネ監督を簡単にクビにできる訳もありませんし、それ以上の監督だって滅多にいないとなれば、やっぱりチーム揃ってお祓いにでも行くしかないのでは?

▽そうこうするうち、火曜日の練習ではヒメネスも足をケガしたなんて報も入ってきたため、本当に何かに憑かれているんじゃないだろうかと心配になった私でしたが、年内のリーガ戦はまだ1試合ありますからね。土曜日のラス・パルマス戦になりますが、せめてその際には首位のマドリーと12差に開いた勝ち点を、彼らが延期したバレンシア戦を来年こなすまでですが、とりあえず9に戻して、クリスマスのparon(パロン/リーガの休止期間)に入ってもらいたいかと。いやあ、アトレティコを見ていて、こんな憂鬱な気分になるのは私も久々ですが、それだけ事態が深刻ってことでしょうかね。

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