【日本サッカー見聞録】CS準決勝で名言を残した風間監督

2016.11.24 18:30 Thu
Getty Images
▽JリーグのCS(チャンピオンシップ)準決勝は、昨年に続き年間勝点3位の鹿島が、金崎の決勝点で年間勝点2位の川崎Fを下して決勝戦に進出した。試合そのものは、両チームともイージーミスの少ない、パスをていねいにつなぐサッカーで、年間順位にふさわしい内容だった。ただ、敗れた川崎Fのファン・サポーターにしてみれば、年間勝点で13もの差がある2位と3位だけに、割り切れない思いもあったのではないだろうか。
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▽加えて川崎FはFW小林、MF大島といった主力に加え、武岡、奈良、井川といったDF陣も負傷などでメンバー外となり、MFの田坂を3バックにコンバートする苦しい布陣。リザーブのDFも登里1人のため、19歳のMF板倉と三好をスタメン起用しなければならなかった。さらに21分にはMF長谷川が負傷し、中村と交代を余儀なくされるなど、風間監督にすれば誤算続きだっただろう。▽その点について風間監督は、「それは誤算というか、そんなにいい計算はしていないです。90分なので。生き物なので、覚悟するしかない。別に初めからプラン通りにいく試合なんてそうあるわけではない」と割り切っていたのはさすがだ。そして印象的だったのが、試合後の風間監督のコメントだった。今シーズンでチームを去るに当たり、次のような言葉を残した。
▽「1つは考え方です。もう1つは技術。選手が本気になれば、必ずトップにいられる。それを信じること。それプラス、技術というのは絶対に裏切らない。そこを突き詰めることをやってきた。この2つで初めて、自信であったり強気にできたりする。その考え方を柔らかくして、色んな引き出しを作ってほしい。まだ技術は伸びる。この2つをやっていけば必ず強いチームになる」と持論を披露した。

▽試合は、川崎Fにもチャンスがなかったわけではない。後半は中村のFKや登里のドリブル突破、アディショナルタイムには谷口がフリーとなってのヘッドなど決定機を迎えた。しかしGK曽ヶ端の好セーブやDF陣のシュートストップなどに遭い、なかなか鹿島ゴールをこじ開けられない。風間監督は「一言でいえば、入らない時は入らないという試合」と振り返り、大久保は「球しか動いていなかった。(DF陣の)間に入ってディフェンダーを動かさないから」と反省点を口にした。
▽2人のコメントは的を射ていると思う。と同時に、シーズン中にもかかわらず、川崎Fの躍進に貢献した指揮官とエースストライカーが早々に離脱することを表明したことで、チームは求心力を欠いたのではないかという思いも拭えない。風間監督は名古屋へ、大久保は東京Fへの移籍が決まっていて、小林にも鳥栖をはじめ数チームからオファーが届いているという。チームとしてまとまるのは難しい状況だったのではないだろうか。

▽記者会見の最後を風間監督は「試合を支配するのは個人個人のつながったチーム。試合を決めるのは個人です」という名言を残して締めくくった。その個人個人が、様々な思いによりつながりきれなかったとしたら残念でならないCS準決勝だった。

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