【原ゆみこのマドリッド】プレシーズンマッチが始まる…

2016.07.26 10:30 Tue
▽「この値段で戻って来たら、メガプレゼン間違いなしだったのにね」。そんな風に私が残念に思っていたのは月曜日、レアル・マドリーから3年前に移ったナポリでゴールを量産していたイグアインのユベントス入団が、いよいよ9000万ユーロ(約105億円)で決まりそうだというニュースを見た時のことでした。いやあ、10年前の冬、リーベル・プレートから19歳でマドリー入りした時はシーズン真っ只中、マルセロとガゴと一緒だったせいもあって、記憶に残るような派手なプレゼンはしてもらえなかった彼ですけどね。その割には移籍金1200万ユーロ(約14億円)と高めだったとはいえ、今回の金額はクリスチアーノ・ロナウドやベイルにも近いレベル。となれば、ペレス会長がサンティアゴ・ベルナベウのスタンドをファンに開放しない訳がない?

▽私がそんな妄想にふけってしまったのは、この夏、まだマドリー新戦力の入団プレゼンが1つも行われていないせいで、いえ、ユベントスに買戻しオプションを行使したモラタにだって、3000万ユーロ(約35億円)という大金が費やされていますけどね。ユーロでスペインのエースを務めた当人はバケーション後、先週水曜にプレシーズンキャンプ地であるカナダのモントリオールでチームに合流。おまけに元々、カンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)ということで、下手したら、8月16日にスタッド・ランスを迎えて開かれるサンティアゴ・ベルナベウ杯の前にザッと紹介されるだけで終わってしまうという可能性もなきにしろあらずかと。

▽とはいえ、一時期、獲得が濃厚になっていたバレンシアのアンドレ・ゴメスは、まだ休暇中のハメス・ロドリゲスが残留を決意、今季はプレー時間を増やしたいとの意思を表明したため、マドリーが断念。その結果、バルサ行きが決定したようで、こちらもスポーツ紙などによると、3500万ユーロ(約41億円)は基礎部分でオプションにより、7000万ユーロ(約82億円)まで移籍金が上乗せされるとあって、金額的にはプチ・ギャラクティコ候補ではあったものの、マドリーファンが熱狂する大物とまでは言えませんしね。
▽だからといって、昨季、Undecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)を達成したチームに1億3000万ユーロ(約152億円)も奮発して、ポグバ(ユベントス)を加える理由があるのか、大体がして、ポグバ自身、ギャラクティコなのかという疑問がありますし、先週末にはキャンプ地に激励に訪れたペレス会長も「Estamos enredando/エスタモス・エンレダンドー(ウチはこじらせている)。まだ何もまとまってない」とジダン監督に言っているシーンをTVカメラがゲット。どうもこんな調子では、今年の夏も、ダニーロ(ポルトから移籍)やコバチッチ(同インテル)が加わっただけの去年のような地味な補強に留まってしまいそうですが、さて。8月末の市場クローズまでに何か目新しいことは起こるのでしょうか。

▽え、それで今いる選手たちの準備状況はどうなっているんだって?そうですね、先週はずっとMLSのモントリオール・インパクトの練習場でトレーニングを続けていたんですが、ジダン監督は才能に体力が加われば鬼に金棒ということを熟知しているんですかね。オリンピック・リヨンからリクルートしたピントゥス・フィジカルコーチの下、ハードな走り込みなども実施していたよう。おかげでベンゼマやダニーロが筋肉痛でセッションに出られない日もあったようですが、とりあえず大きなケガ人は出ておらず、水曜から予定を早めて合流したスペイン代表組のモラタ、ルーカス・バスケスなど、他の選手たちの休養日もグラウンドに出て、鍛錬に精を出していたとか。
▽ただ、それがより重要になってきたのは金曜に生まれ故郷のマデイラ島(大西洋に浮かぶポルトガル領)で自身が経営するリゾートホテル、PrstanaCR7のオープニングセレモニーを開いたロナウドが、「8月9日のUEFAスーパーカップに出ることは完全になくなった。ボクが練習に戻るのは10日だからね」とコメント。いえ、巷ではずっと、相手のヨーロッパリーグ・チャンピオン、セビージャには2014年の同大会でも当人の2ゴールで2-0と勝っているだけに、その試合目指してユーロ決勝で痛めた左ヒザ靭帯の治療に励んでいると言われていたんですけどね。

▽今回は同僚を信頼してか、今年のバロンドール受賞にはCLとユーロのダブル優勝で十分と見定めたんでしょうか。その日のうちにラス・ベガスに飛び、ジェニファー・ロペスのコンサートに駆けつけて、彼女の47歳のバースデーを祝っていたとか(https://www.instagram.com/p/BIRiEndgsp8/?taken-by=cristiano&hl=ja)。加えて、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)の最後の1人、ベイルもユーロでウェールズ代表が準決勝まで進んだため、プレシーズン開始が31日と遅いですからね。こちらはクロースやペペと一緒にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でスタートして、チームがアメリカツアーから帰って来るのを待つようですが、おかげでノルウェーのトロンハイムで行われるセビージャ戦でゴールを挙げる責任がモラタとベンゼマの肩に懸かってくることになったから。

▽とはいえ、火曜からはユーロ・ベスト16敗退組のモドリッチとセルヒオ・ラモス、そしていよいよ、今季は心機一転して頑張ることにしたらしいハメス・ロドリゲスもチームに合流しますからね。実際、ラモスなどここ数日、自身のインスタグラムにジョギングで汗を流す姿や(https://www.instagram.com/p/BIJMIXXAT5A/?taken-by=sr4oficial)やプールに飛び込むところ(https://www.instagram.com/p/BIQbQuIgdNF/?taken-by=sr4oficial)を次々とアップ。バケーション中でも鍛えている自分をファンにそんなに見てもらいたいなら、さっさと練習に参加すればいいのにとも思わないではありませんが、その辺は人それぞれですからね。

▽昨季終了後にアキレス腱の手術をして、まだ座ったままでのGK練習しかできないケイロル・ナバスの代役はカシージャが立派に務めてくれるはずですし、特にスーパーカップに問題はないはずですが、とりあえず、ファンはモントリオール・キャンプ打ち上げとなる月曜のセッションの後、水曜深夜1時半(日本時間午前8時半)からPSGと対戦する、この夏最初のプレシーズンマッチに注目すべきかと。ええ、まだオールスターメンバーは組めませんが、練習の合間にナバスにバリカンで髪を刈ってもらい、(https://twitter.com/realmadrid/status/756881577666162688)、今季こそ実力を発揮してやろうと燃えているイスコやCBの定位置確保に再挑戦するバランなど、若手の選手たちを早めにチェックしておきたいところです。

▽そして先週火曜にはシメオネ監督が数年越しの夢を叶えて獲得した新戦力、ガイタン(ベンフィカから移籍)のプレゼンをビセンテ・カルデロンで実施。ダビド・ビジャ(現ニューヨークシティ)やフェルナンド・トーレスらの時とはとても比べ物にならないとはいうものの、700人程のファンに迎えられ、その夜にはセゴビア(マドリッドから1時間の水道橋で有名な古都)のレストアン、ホセ・マリアでの恒例のコチニージョ(子豚の丸焼き)・ディナーに駆けつけ、同じく翌日から練習に参加するアウグストやコケも加わって、新しいチームメートと顔を合わせるなど、今季もプレシーズンから和気藹々としているアトレティコは一体、どうしていたのかというと。

▽まあ、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエルでは相変わらず、ダブルセッション、トリプルセッションで体を鍛えていたんですけどね。その最終日となった土曜にはヘスス・ヒル・ヒル記念杯で2部のヌマンシアとプレシーズン初の親善試合を行っています。ただ、この試合、有料チャンネルでの生中継だったため、一応、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)も覗いてみたんですが、流してくれているお店はなく、私はフルでは見られなかったんですけどね。前半35分にはまだ2、3日しか練習していないコケから23分に代わったアウグストのスルーパスをトーレスが決めてアトレティコが先制。メンバー全員がガラリと代わった後半2分にもビエットのラストパスを敵DFが頭でオウンゴールにして、2点目が入ります。

▽え、バルサもしくはアトレティコのへの移籍が近いと言われているセビージャのガメイロが日曜のサントハウゼンとの親善試合を直前になってスタンド観戦することにしたにも関わらず、ビエットはプレーしたのかって?そうなんですよね。彼はその前の週末にもバルサ移籍が秒読みと言われ、キャンプにはもう戻って来ないのかと思われたりもしたんですが、結局は月曜から普通にセッションに参加。1年目の昨夏とは違い、チームメートにフィジカルで遅れをとることがなくなったため、シメオネ監督も考え中なのかもしれませんが、週明けには彼のレンタルと3000万ユーロでガメイロと交換という両クラブの合意が近いなんて報道があった途端にポシャッたりと、もしやこれって、要は何も決まっていないってこと?

▽実際、その辺はアトレティコが一番来てもらいたがっているCFがジエゴ・コスタ(チェルシー)であるため、そちらの状況を睨みつつ、第2候補へアプローチしている感じなので、なかなか進展しないのは当然なんですが、火曜の朝にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でセッションをした後、チームはオーストラリアツアーに出発。向こうではトッテナム(29日)、メルボルン・ビクトリー(31日)とヌマンシアより格上の相手が待っている上、コレアがリオデジャネイロ五輪のアルゼンチン代表に参加中で、グリースマンはまだバケーション中、エイバルへのレンタル移籍から戻ってきたボルハ・バストンも手首を骨折して、FWがトーレスと20歳の新人サントス・ボレ(デポルティボ・カリから移籍)だけでは心もとないということで、ビエットも遠征メンバーに加わる見込みのようです。

▽その一方で、0-2で勝ったヌマンシア戦ではベンチ入りもしなかったガイタンを始め、プレシーズン後発組のコケ、アウグスト、ファンフラン、そして火曜に戻って来るカラスコらはマドリッドで留守番となるそうで、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガも残って、彼らの体力強化に尽くすのだとか。どうやら開始時期はそれぞれ違っても、8月5日に合流するグリースマンも含め、各自2週間はハードなメニューをこなすことがノルマだそうで、この暑いマドリッドで大変だなとは思いますが、とにかく今は頑張って、どの選手も今季はシーズン最後のCL決勝で延長戦になっても足がつらないぐらいの持久力を培ってもらいたいものです。

▽そうそう、最後に先週の金曜にはデル・ボスケ監督の後を継ぐスペイン代表監督が決まったことも伝えておかないと。それが大半の世間の予想を覆して、カパロス監督ではなく、1部リーグの指導歴はポルトしかないロペテギ監督だったんですが、どうやら2012年にはU19ユーロ、2013年にはU21ユーロでチームを優勝に導いたことが大きく評価されたよう。丁度、現在のA代表にはデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、コケ、イスコ、モラタ、バルトラ(ドルトムント)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)といった教え子がいますからね。見知った顔が多いのはいいことですが、実はこの世代、2012年ロンドン五輪では無得点でグループリーグ敗退という大失態もあったような。

▽まあ、8月末のベルギーとの親善試合、9月5日のリヒテンシュタインとのW杯予選初戦まで、カシージャス(ポルト)やセスク、ペドロ(チェルシー)といった黄金期のメンバーをこれからも維持するのか、いよいよ主力交代となるのか、まったく予想はできませんけどね。今度のスペインはイタリアもいるグループでの予選で、この6月の拡大ユーロのように2位どころか、3位でも本大会進出のチャンスがあるという、大甘なものではなく、直接突破は1位のみ。2位でプレーオフとなれば、強国と対戦する可能性もあるため、しっかりやらないといけないんですが、それはまだ先の話。リーガのスタートも8月第3週なので、今はまだ親善試合ぐらいしか楽しめるサッカーがないのはちょっと退屈ですね。

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