【原ゆみこのマドリッド】やっぱりゴールが沢山入る試合はいい…
2016.06.20 12:13 Mon
▽「これはわからない」。そんな風に私が嘆いていたのは日曜日、ようやくユーロのグループリーグ2節が終わり、これなら大体、スペインの決勝トーナメント最初の試合の見当がつくかと、日程表を眺めていた時のことでした。いえ、確率的にはもう、彼らは1位か2位でグループDを終えることが決定しているんですけどね。それが前者なら、グループBかEかFの3位チームと25日の土曜にランスで対戦、後者なら27日にサンドニでグループEの1位と対戦って、これじゃあ、旅行の計画もロクロク立てられないじゃないですか。
▽おまけに今の時点では、どのグループもここまでの獲得が勝ち点1とか2といったレベルで激烈な3位争いが繰り広げられているため、スペインが首位の場合は相手がどこになるのかもようようわからず。うーん、2位になれば、グループEの現在首位はイタリアですから、そのままベスト16で大物対決となる可能性がかなり高くなるでしょうけどね。ここ連日、TVでフランス各地のスタジアムやファンゾーンで楽しそうに騒いでいるファンを見せつけられているうちに、運良くチケットが見つかったら、隣国と近いことを利用して、日帰りでもいいからスペインを現地で応援したい気分が高まっていた私ですが…まだ、しばらくは待たないといけないようです。
▽まあ、そんなことはともかく、まずはようやく、2年前のワールドカップの悪夢におさらばすることができたスペインの2試合目のことをお話ししておかないと。何せ、初戦のチェコ戦では終了間際にピケ(バルサ)のヘッドが決まり、かろうじてスコアレスドロー発進を逃れた彼らでしたからね。金曜のニースでの2戦目も同じような展開にならないといいと祈っていたところ、あら不思議!デル・ボスケ監督がスタメンを変えなかったにも関わらず、いきなり強いチームになっていたから、驚いたの何のって。
▽え、それはトルコがチェコ程、守備に熱心ではなく、1戦目のクロアチア戦に負けていたせいもあって、とにかく点を取ることばかりに目が行っていたからじゃないのかって?うーん、そういう面もあるかもしれませんが、この日はスペインの前線が爆発。相手のゴールをこじ開けるのにはちょっと時間がかかりましたが、前半33分にはノリト(セルタ)のクロスをモラタ(ユベントス)が頭で叩き込んで、あっさり先制したとなれば、安心できるじゃないですか。おまけにその3分後にはセスク(チェルシー)のクロスがトパル(フェネルバフチェ)に当たり、エリア内に落下。抜かりなくボールを追っていたノリトがそれをゴールに流し込み、あっという間にリードが倍になります。
▽ちなみにそのノリトがゴールの後、ベンチ前まで走って行って、2試合目のご意見番生活を楽しんでいるカシージャス(ポルト)に抱きついていたのは、「Me dijo que si marcaba se lo dedicara/メ・ディホ・ケ・シー・マウカア・セ・ロ・デディカラ(もし得点したら、自分に捧げてくれよと言われた)」からだそうですが、何せ、彼は大会前の強化試合でもボスニア・ヘルツェゴビナ戦、韓国戦で2ゴールずつ挙げ、CFを2人しか呼ばなかったスペインにとって、大事なゴール供給源の1人と見なされていましたからね。この調子で先の試合でもどんどん、チームに貢献していってもらいたものです。
▽これで「最初の日は世界最高のGKの1人(アーセナルのチェフ)と対戦した。しかもボクは精度がなかった」(モラタ)といった言い訳をしなくてもいい程、ゴールを入れ続けてくれれば、めっきりページ数が減ったスポーツ紙のレアル・マドリーのセクションで日が経つにつれ、「マドリーは買い取りオプションを行使して高値転売を計画」から、「戦力として残すために買い取る」と変わっていった移籍報道も現実味を帯びてくるかもしれませんね。
▽その後は余裕が出たか、デル・ボスケ監督も後半15分過ぎにはシルバ(マンチェスター・シティ)をブルーノ(ビジャレアル)に代え、セスクもコケ(アトレティコ)に、最後はジョルディ・アルバをアスピリクエタ(チェルシー)にと、先を見据えたローテーションを実施。結局、トルコは1点も返せず、スペインは3-0という、今大会一番のハイスコアで試合を終えることに。いやあ、それにしても気の毒だったのは、味方であるトルコのサポーターからpito(ピト/ブーイング)を浴びていたアルダ・トゥラン(バルサ)で、確かにパフォーマンスは初戦のクロアチア戦同様、パッとしなかったんですけどね。
▽とはいえ、この試合はスペインのボールポゼッション62%だっただけでなく、この大会2回目のMVPをもらったイニエスタが中心となり、テンポのいいパスワークで往年のティキタカ(短いパス主体のプレースタイル)が全開。そんな彼らに対抗できるチームはかなり少ないため、アルダだけが悪いのではないものの、こればっかりはねえ。せめてスペインのサポーターがアトレティコ時代に生まれたカンティコ(応援歌)を歌ってくれたのが、当人の慰めになってくれるといいのですが。
▽そして、その日も夜のうちにベースキャンプのイル・ド・レ(レ島)に戻ったチームですが、翌日は第1戦後同様、半休日。今回はリハビリトレが夕方になったため、昼間には選手たちの家族も参加したバーベキューなども開かれて、大いに楽しんだようです。何せ、この2連勝のおかげで順位はともかく、ブラジルでのようにグループリーグで帰国することとはなくなりましたからね。気分的にリラックスできたのか、中には家族と一緒の写真を自身のSNS(https://www.instagram.com/p/BGz9601C9dd/?taken-by=sr4oficial、https://www.instagram.com/p/BG1O1BpAdUW/?taken-by=andresiniesta8、https://www.instagram.com/p/BGz_ivYGUgl/?taken-by=nolitoo10、https://www.instagram.com/p/BGwU8jhlypy/?taken-by=alvaromorata)に投稿している選手たちもいましたが、まだまだ先が長いのを忘れないでほしいものです。
▽え、組み合わせが複雑すぎるため、別にグループ1位突破が強いチームとの対戦が避けられる保証にはならないものの、3節のクロアチア戦でも勝利を目指すと言っていたデル・ボスケ監督はスタメン変更を予定しているのかって?いやあ、昔のスペインは2連勝すると、3戦目は控え選手たちにも大会のピッチを踏ませてあげるため、総取っ替えをしていたものですけどね。今回は相手がグループ中、一番の強敵と見られるクロアチアですし、勝ち点差が2しかないため、まずくても引き分けに留めておくにはせいぜい、アドゥリス(アスレティック)やコケを入れるぐらいの入れ替えに収まりそうだとか。
▽ただ、大変なのはむしろクロアチアの方で、同じ金曜にあったチェコ戦では2点を先行したものの、モドリッチ(マドリー)が太ももを痛めて後半半ばに交代。おまけに1点差に迫られた42分にはスタンドの自国サポーターたちからbengala(ベンガラ/発煙筒)が何本も投げ入れられ、試合が中断することに。マンジュキッチ(ユベントス)など、律儀に回収作業に協力していましたが、そのせいで選手たちの調子が狂ってしまい、ロスタイムにPKを献上。土壇場でチェコと引き分けてしまったとなれば、どこにこの悔しさを持っていったらいいのでしょう。
▽実際、その日のクロアチアの2点目を決めていたラキティッチ(バルサ)など、「スペイン戦のことなんか、話す意味がないよ。だってウチはUEFAにユーロから追い出されてしまうかもしれない」と、非常に悲観的でしたが、まだ大丈夫。週末は規律委員会が開かれないため、処分は月曜まで判明しませんが、発煙筒はスペイン戦でトルコのサポーターも炊いていましたからね。うーん、今回はテロ対策でスタジアム入場時の身体検査も厳しくなっているはずですが、やっぱり爆弾を見つけるのは可能でも、小さい発煙筒は難しいんですかね。
▽一方、負傷交代のモドリッチはチャチッチ監督によると、「まだスペイン戦に欠場すると決まった訳ではない」そうで、今は回復状態を見ているところのよう。何せ、彼らは負けるとチェコに並ばれてしまう可能性があって、計算の苦手な私だけかもしれませんが、そうなると2位か3位、どちらになるのかわかりませんからね。勝ち点4がすでにあるだけに、4つの成績上位3位チームには入ると思いますが、それも他のグループの結果次第だけに、とにかくチームの要であるモドリッチには出てもらいたいはずです。
▽そんなクロアチアvsスペイン戦は火曜の午後9時(日本時間翌午前4時)から、ボルドーで行われるんですが、この段階で意外な危機状態に陥っているチームがあって、それはクリスチアーノ・ロナウド(マドリー)を擁するポルトガル。いえ、日曜の朝、いつも新聞を買う家の前のスタンドのお兄さんに「どうせならCL決勝のPK戦で失敗すれば良かったのに」と言われ、世の中、同じことを考えるアトレティコのファンは多いんだなと私も思ったんですけどね。それを言ったら、第2戦でフランスの先制点を決めたグリースマン(アトレティコ)だって、ミラノでゴールが入っていたらだし、今更言っても仕方ありません。
▽ただ、土曜のオ―ストリア戦、0-0だった後半32分、せっかく自分がゲットしたPKをロナウドがゴールポストに当てて外してしまったのは実はそれ程、驚くことではなかったようで、あのCL決勝を除いて、彼はここ5回のPKのうち4回で失敗。これではまったくメッシを笑えなくなってしまいますが、ここはアトレティコの敗戦に繋がった、一生悔やんでも悔やみきれないPK失敗をしたファンフランをお手本にしたらいいかと。曰く、「Lo sucedido en Milan me ha hecho major jugador y major persona/ロ・スセシードー・エン・ミラン・メ・ア・エッチョー・メホール・フガドール・イ・メホール・ペルソナ(ミラノで起こったことは自分をより良い選手に、より良い人間にしてくれた)」だそうで、今では完全にトラウマから復活。スペイン代表で一生懸命プレーしている姿はきっと励みになりますって。
▽とはいえ、このミスはポルトガルにとって、かなり痛くて、その後、彼がFKからヘッドで入れたゴールもオフサイドで認められず、結局、試合はスコアレドローで終了。初戦もアイスランドを引き分けた彼らですからね。救いは水曜の3節でハンガリーに勝利すれば、首位突破も夢ではないということですが、そのためにはやっぱり、ロナウドに頑張ってもらうしかない?そうこうするうち、日曜夜にはグループAが終了。今度はグリースマンの見せ場もなく、フランスもスコアレスでスイスと引き分けてしまいましたけど、その結果、両者は1位と2位でグループ突破が決まったものの、ルーマニアを頑張って破って3位となったアルバニアなど、他のグループが終わるまで、フランス滞在が延びるのかどうかわからないって、結構イヤじゃありませんかね。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
▽おまけに今の時点では、どのグループもここまでの獲得が勝ち点1とか2といったレベルで激烈な3位争いが繰り広げられているため、スペインが首位の場合は相手がどこになるのかもようようわからず。うーん、2位になれば、グループEの現在首位はイタリアですから、そのままベスト16で大物対決となる可能性がかなり高くなるでしょうけどね。ここ連日、TVでフランス各地のスタジアムやファンゾーンで楽しそうに騒いでいるファンを見せつけられているうちに、運良くチケットが見つかったら、隣国と近いことを利用して、日帰りでもいいからスペインを現地で応援したい気分が高まっていた私ですが…まだ、しばらくは待たないといけないようです。
▽まあ、そんなことはともかく、まずはようやく、2年前のワールドカップの悪夢におさらばすることができたスペインの2試合目のことをお話ししておかないと。何せ、初戦のチェコ戦では終了間際にピケ(バルサ)のヘッドが決まり、かろうじてスコアレスドロー発進を逃れた彼らでしたからね。金曜のニースでの2戦目も同じような展開にならないといいと祈っていたところ、あら不思議!デル・ボスケ監督がスタメンを変えなかったにも関わらず、いきなり強いチームになっていたから、驚いたの何のって。
▽ちなみにそのノリトがゴールの後、ベンチ前まで走って行って、2試合目のご意見番生活を楽しんでいるカシージャス(ポルト)に抱きついていたのは、「Me dijo que si marcaba se lo dedicara/メ・ディホ・ケ・シー・マウカア・セ・ロ・デディカラ(もし得点したら、自分に捧げてくれよと言われた)」からだそうですが、何せ、彼は大会前の強化試合でもボスニア・ヘルツェゴビナ戦、韓国戦で2ゴールずつ挙げ、CFを2人しか呼ばなかったスペインにとって、大事なゴール供給源の1人と見なされていましたからね。この調子で先の試合でもどんどん、チームに貢献していってもらいたものです。
▽そして、もうそれだけでも大船に乗った気になっていたにも関わらず、スペインは後半早々、イニエスタ(バルサ)が名人芸で敵DFの間を通したスルーパスをジョルディ・アルバ(バルサ)がゴール前のモラタに送って、3点目をゲット。いやあ、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成した当人は後で、「Sabía que el gol iba a llegar/サビア・ケ・ル・ゴル・イバ・ア・ジェガール(ゴールは入ると知っていた)」と言っていましたけどね。
▽これで「最初の日は世界最高のGKの1人(アーセナルのチェフ)と対戦した。しかもボクは精度がなかった」(モラタ)といった言い訳をしなくてもいい程、ゴールを入れ続けてくれれば、めっきりページ数が減ったスポーツ紙のレアル・マドリーのセクションで日が経つにつれ、「マドリーは買い取りオプションを行使して高値転売を計画」から、「戦力として残すために買い取る」と変わっていった移籍報道も現実味を帯びてくるかもしれませんね。
▽その後は余裕が出たか、デル・ボスケ監督も後半15分過ぎにはシルバ(マンチェスター・シティ)をブルーノ(ビジャレアル)に代え、セスクもコケ(アトレティコ)に、最後はジョルディ・アルバをアスピリクエタ(チェルシー)にと、先を見据えたローテーションを実施。結局、トルコは1点も返せず、スペインは3-0という、今大会一番のハイスコアで試合を終えることに。いやあ、それにしても気の毒だったのは、味方であるトルコのサポーターからpito(ピト/ブーイング)を浴びていたアルダ・トゥラン(バルサ)で、確かにパフォーマンスは初戦のクロアチア戦同様、パッとしなかったんですけどね。
▽とはいえ、この試合はスペインのボールポゼッション62%だっただけでなく、この大会2回目のMVPをもらったイニエスタが中心となり、テンポのいいパスワークで往年のティキタカ(短いパス主体のプレースタイル)が全開。そんな彼らに対抗できるチームはかなり少ないため、アルダだけが悪いのではないものの、こればっかりはねえ。せめてスペインのサポーターがアトレティコ時代に生まれたカンティコ(応援歌)を歌ってくれたのが、当人の慰めになってくれるといいのですが。
▽そして、その日も夜のうちにベースキャンプのイル・ド・レ(レ島)に戻ったチームですが、翌日は第1戦後同様、半休日。今回はリハビリトレが夕方になったため、昼間には選手たちの家族も参加したバーベキューなども開かれて、大いに楽しんだようです。何せ、この2連勝のおかげで順位はともかく、ブラジルでのようにグループリーグで帰国することとはなくなりましたからね。気分的にリラックスできたのか、中には家族と一緒の写真を自身のSNS(https://www.instagram.com/p/BGz9601C9dd/?taken-by=sr4oficial、https://www.instagram.com/p/BG1O1BpAdUW/?taken-by=andresiniesta8、https://www.instagram.com/p/BGz_ivYGUgl/?taken-by=nolitoo10、https://www.instagram.com/p/BGwU8jhlypy/?taken-by=alvaromorata)に投稿している選手たちもいましたが、まだまだ先が長いのを忘れないでほしいものです。
▽え、組み合わせが複雑すぎるため、別にグループ1位突破が強いチームとの対戦が避けられる保証にはならないものの、3節のクロアチア戦でも勝利を目指すと言っていたデル・ボスケ監督はスタメン変更を予定しているのかって?いやあ、昔のスペインは2連勝すると、3戦目は控え選手たちにも大会のピッチを踏ませてあげるため、総取っ替えをしていたものですけどね。今回は相手がグループ中、一番の強敵と見られるクロアチアですし、勝ち点差が2しかないため、まずくても引き分けに留めておくにはせいぜい、アドゥリス(アスレティック)やコケを入れるぐらいの入れ替えに収まりそうだとか。
▽ただ、大変なのはむしろクロアチアの方で、同じ金曜にあったチェコ戦では2点を先行したものの、モドリッチ(マドリー)が太ももを痛めて後半半ばに交代。おまけに1点差に迫られた42分にはスタンドの自国サポーターたちからbengala(ベンガラ/発煙筒)が何本も投げ入れられ、試合が中断することに。マンジュキッチ(ユベントス)など、律儀に回収作業に協力していましたが、そのせいで選手たちの調子が狂ってしまい、ロスタイムにPKを献上。土壇場でチェコと引き分けてしまったとなれば、どこにこの悔しさを持っていったらいいのでしょう。
▽実際、その日のクロアチアの2点目を決めていたラキティッチ(バルサ)など、「スペイン戦のことなんか、話す意味がないよ。だってウチはUEFAにユーロから追い出されてしまうかもしれない」と、非常に悲観的でしたが、まだ大丈夫。週末は規律委員会が開かれないため、処分は月曜まで判明しませんが、発煙筒はスペイン戦でトルコのサポーターも炊いていましたからね。うーん、今回はテロ対策でスタジアム入場時の身体検査も厳しくなっているはずですが、やっぱり爆弾を見つけるのは可能でも、小さい発煙筒は難しいんですかね。
▽一方、負傷交代のモドリッチはチャチッチ監督によると、「まだスペイン戦に欠場すると決まった訳ではない」そうで、今は回復状態を見ているところのよう。何せ、彼らは負けるとチェコに並ばれてしまう可能性があって、計算の苦手な私だけかもしれませんが、そうなると2位か3位、どちらになるのかわかりませんからね。勝ち点4がすでにあるだけに、4つの成績上位3位チームには入ると思いますが、それも他のグループの結果次第だけに、とにかくチームの要であるモドリッチには出てもらいたいはずです。
▽そんなクロアチアvsスペイン戦は火曜の午後9時(日本時間翌午前4時)から、ボルドーで行われるんですが、この段階で意外な危機状態に陥っているチームがあって、それはクリスチアーノ・ロナウド(マドリー)を擁するポルトガル。いえ、日曜の朝、いつも新聞を買う家の前のスタンドのお兄さんに「どうせならCL決勝のPK戦で失敗すれば良かったのに」と言われ、世の中、同じことを考えるアトレティコのファンは多いんだなと私も思ったんですけどね。それを言ったら、第2戦でフランスの先制点を決めたグリースマン(アトレティコ)だって、ミラノでゴールが入っていたらだし、今更言っても仕方ありません。
▽ただ、土曜のオ―ストリア戦、0-0だった後半32分、せっかく自分がゲットしたPKをロナウドがゴールポストに当てて外してしまったのは実はそれ程、驚くことではなかったようで、あのCL決勝を除いて、彼はここ5回のPKのうち4回で失敗。これではまったくメッシを笑えなくなってしまいますが、ここはアトレティコの敗戦に繋がった、一生悔やんでも悔やみきれないPK失敗をしたファンフランをお手本にしたらいいかと。曰く、「Lo sucedido en Milan me ha hecho major jugador y major persona/ロ・スセシードー・エン・ミラン・メ・ア・エッチョー・メホール・フガドール・イ・メホール・ペルソナ(ミラノで起こったことは自分をより良い選手に、より良い人間にしてくれた)」だそうで、今では完全にトラウマから復活。スペイン代表で一生懸命プレーしている姿はきっと励みになりますって。
▽とはいえ、このミスはポルトガルにとって、かなり痛くて、その後、彼がFKからヘッドで入れたゴールもオフサイドで認められず、結局、試合はスコアレドローで終了。初戦もアイスランドを引き分けた彼らですからね。救いは水曜の3節でハンガリーに勝利すれば、首位突破も夢ではないということですが、そのためにはやっぱり、ロナウドに頑張ってもらうしかない?そうこうするうち、日曜夜にはグループAが終了。今度はグリースマンの見せ場もなく、フランスもスコアレスでスイスと引き分けてしまいましたけど、その結果、両者は1位と2位でグループ突破が決まったものの、ルーマニアを頑張って破って3位となったアルバニアなど、他のグループが終わるまで、フランス滞在が延びるのかどうかわからないって、結構イヤじゃありませんかね。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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