【原ゆみこのマドリッド】とりあえず、最初は勝った…
2016.06.16 13:02 Thu
▽「これで一応、安心かな」そんな風に私が呟いていたのは水曜日。5月28日のCL決勝でレアル・マドリーに負けて以来、音信不通となっていたシメオネ監督が、ブエノスアイレスでヒル・マリン筆頭株主と新シーズンに向けてミーティングをしている写真がクラブのツィッターに掲載されたという報をお昼のニュースで知った時のことでした。というのも、3年間で2度も同じ相手に煮え湯を飲まされ、サン・シーロの会見場で彼は「今は考える時」と発言。そのせいで、ずっとファンたちがアトレティコの先行きに不安を抱いていたから。
▽とはいえ、噂になっていたPSGもヨーロッパリーグ3連覇を達成したセビージャのエメリ監督をスカウトすることに決めたようですし、元々、アトレティコの選手たちは誰1人、シメオネ監督の続投を疑っていませんでしたからね。そのうち動きだすだろうとは私も思っていたんですが、まだまだ移籍市場は開いたばかり。重点補強ポイントであるCFはカバーニ(PSG)にしろ、ジエゴ・コスタ(チェルシー)にしろ、イグアイン(ナポリ)にしろ、話が進むまでにかなり時間がかかるでしょうし、昨季中にもう移籍が決まったと言われていたガイタン(ベンフィカ)なども、コパ・アメリカのアルゼンチン代表参加中の当人よると、実はまだ契約完了には至っていないのだとか。
▽え、それでも母国でバケーション中のシメオネ監督には朗報も届いたじゃないかって? そうですね、ゴディン、ヒメネスのウルグアイ代表CBコンビが予想外に早く帰国できることになったのに続いて、ブラジルも驚愕のコパ・アメリカ早期敗退が決定。おかげでフィリペ・ルイスもプレシーズンキャンプ始動の7月7日から合流できます。お隣さんのカセミロも同じ境遇で、あとあちらの選手で残っているのは、準々決勝でペルーと当たるコロンビアのハメス・ロドリゲスだけ。アトレティコ勢もベネズエラと対戦するアルゼンチンのアウグストとクラネビテルのみとなりましたが、何はともあれ、どの選手もケガをせずに戻って来てくれるといいのですが…。
▽その一方で、やはり何人ものマドリッド勢が参加しているユーロはまだグループリーグもようやく一巡したばかり。ええ、ようやくこの月曜日にはスペインも登場となりました。ちなみにそのチェコ戦がどうだったか、簡単にお伝えしておくと…。うーん、今大会ではまだどのチームもエンジンがかかっていないのか、ここまで3点以上取ったところはないんですけどね。予想通り、スペインも守りをしっかり固める相手にゴールを奪うことがなかなかできず。前半だけでなく、後半に入ってもGKチェフ(アーセナル)の守るゴール近くまで何度か行きながら、まったく得点に繋がらないため、かなりイライラさせられることに。
▽そう、何せフランスに行く前、ヘタフェ(マドリッド近郊)でジョージア相手にゴールが挙げられず、0-1と負けてしまった彼らを私も目撃していますからね。デル・ボスケ監督もその辺は反省して、60分過ぎにはCFをモラタ(ユベントス)から、アドゥリス(アスレティック)に代えてみたりしたんですが、大した効果もなかったため、このまま初戦からスコアレスドローではすっかり気分が盛り下がってしまうと、私もガッカリしていたところ…。
▽おまけにこれをキッカケに2人は互いのアカウントをフォローするようになったというんですが、いやあ、ピケのツィートにはこれまで色々、問題がありましたからね。そうしておけば、昨季のコパ・デル・レイ初戦で出場資格のなかったチェリシェフを出したせいで、マドリーが大会失格とされた時、泣き笑いマークみたいなのを投稿して物議を醸したようなケースでも、すぐ取り消すようにラモスが頼むことができる? まあ、それはともかく、これでピケも代表ファンの信頼を一気に回復。ええ、昨季の国内の代表ホームゲームでは、カタルーニャ独立の州民投票をすることを支持するコメントがあったことなども影響して、ずっとスタンドからはブーイングが絶えませんでしたが、きっと9月からのワールドカップ予選ではそんなこともなくなるんじゃないでしょうか。
▽え、その1点でスペインが初戦に1-0と勝利できてホッとできたのはいいけど、それより不動の正GKから、今大会はデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)にレギュラーを奪われ、控えに回ったカシージャスの様子が気になるって? いやあ、彼も2013-14シーズンはアンチェロッティ監督のマドリーで、リーガ戦でディエゴ・ロペスに主役を譲った経験もありますからね。デル・ボスケ監督も「Ha tenido un comportamiento estupendo/ア・シードー・ウン・コンポルタミエント・エストゥペンドー(素晴らしい振る舞いをした)」と、ゴールが入った時に真っ先にベンチを飛び出して行ったカシージャスの態度を褒めていたように、ピッチ外でのサポート役にしっかり徹していましたっけ。
▽逆に去年の夏、書類がFAXトラブルで時間までに届かず、ユナイテッドからマドリーへ移籍の望みが叶わなかったデ・ヘアはこの水曜日、マドリーが持っていた買い取りオプションも行使されずに期限が切れてしまったため、来季はモウリーニョ新監督の下、気を遣うシーズンが待っていますからね。ここは思いっきりユーロの試合で活躍して、新しいボスに一目置かせるのと同時に、降って沸いたようなポルノ制作会社絡みのスキャンダルも早くファンに忘れてもらえればいいかと。
▽そんなスペインはその日のうちにベースキャンプのイル・ド・レ(レ島)に戻り、翌火曜日はリハビリトレを済ました後、選手たちには外泊のご褒美も。いえ、中にはジョルディ・アルバ(バルサ)とコケ(アトレティコ)のように、滞在しているホテルの映像を撮ってファンに紹介といった、とりとめのない暇潰しをしている選手たちもいましたけどね。テロ対策のため、ほとんど隔離状態でいるのもすでに1週間程になるため、半休日はいい気晴らしになったんじゃないでしょうか。
▽そして次は金曜日にニースでトルコに挑む彼らなんですが、注意しなければいけないのは相手が初戦でクロアチアに負け、今度は絶対、勝ち点を取るつもりで挑んでくるということ。どうやら、チームを牽引するアルダ・トゥラン(バルサ)はシーズン中同様、あまり調子が良くないようなので、その点は安心なんですが、今回のスペインはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質とは程遠いみたいですからね。水曜日の練習風景を見る限り、デル・ボスケ監督はチェコ戦と同じスタメンで挑むようですが、さて。ちなみにこの午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合には、初戦のトゥールーズではまったく騒ぎがなかったにも関わらず、暴れまわるロシアやイングランドのフーリガンたちに刺激を受けたんでしょうか。スペインからもウルトラグループが乗り込むなんて情報もあって、ちょっと治安の面で心配があるようです。
▽そうそう、最後に気になるマドリーとアトレティコのエースがどんな結果を残したのかを伝えておくと、まず火曜日にアイスランド戦に挑んだクリスチアーノ・ロナウドは残念ながら、ゴールを挙げることは叶わず。というか、ナニが決めて先制したものの、後半にビャルナソン(バーゼル)に同点ゴールを奪われたポルトガルは引き分けてしまったんですけどね。いくら後で「相手はプレーしなかった。Solo han salido a defender, defender, defender y contragolpear/ソロ・アン・サリードー・ア・デフェンデル、デフェンデル、デフェンデル・イ・コントラゴルペアル(守って守って守り抜いて、カウンター攻撃をかけるためにピッチに出て来た)」(ロナウド)と文句を言ったって、一流クラブの名のあるFWがいる訳でもないアイスランドですよ。
▽ガンガン攻めてくることを期待する方が認識不足だったかと思いますが、それより10本もシュートを撃ちながら、枠内には1本しか飛ばず、チームメートたちが期待していた勝ち越しゴールを挙げられなかった自分の精度不足を反省すべきかと。いえ、ノルウェーのボーデ・グリムトという、聞き慣れないチームでプレーするGKハルドーソンも頑張りましたけどね。試合後、ロナウドがアイスランドの選手たちと握手するのを拒んだなんて話もありましたし、土曜日のオーストリアとの次戦までには腹立ちを抑えて、いつものポーズでゴールを祝う姿を見せてもらいたいものです。
▽一方、アトレティコのグリーズマンは水曜日のグループリーグ2戦目では、ルーマニアとの開幕戦での存在感のなさがデシャン監督を失望させたか、ポグバ(ユベントス)と共にベンチスタートになってしまったんですが、途中出場した90分にラミ(バレンシア)のクロスをヘッドで叩き込み、均衡を破る1点をゲット。更にパイエ(ウェストハム)がロスタイムに2点目を加えてアルバニアに勝つと、2連勝で早くも決勝トーナメント進出を決定しましたが、私が喜んでいられるのもいつか、スペインとフランスが当たる日が来るまでですからねえ。まあ、6グループ中、3位の4チームも次のラウンドに進めるということで、ベスト16がどんな組み合わせになるのか、まだよくわからないんですが、まだあと2週間程は馴染みの選手の活躍を楽しむことにしましょうか。
▽とはいえ、噂になっていたPSGもヨーロッパリーグ3連覇を達成したセビージャのエメリ監督をスカウトすることに決めたようですし、元々、アトレティコの選手たちは誰1人、シメオネ監督の続投を疑っていませんでしたからね。そのうち動きだすだろうとは私も思っていたんですが、まだまだ移籍市場は開いたばかり。重点補強ポイントであるCFはカバーニ(PSG)にしろ、ジエゴ・コスタ(チェルシー)にしろ、イグアイン(ナポリ)にしろ、話が進むまでにかなり時間がかかるでしょうし、昨季中にもう移籍が決まったと言われていたガイタン(ベンフィカ)なども、コパ・アメリカのアルゼンチン代表参加中の当人よると、実はまだ契約完了には至っていないのだとか。
▽え、それでも母国でバケーション中のシメオネ監督には朗報も届いたじゃないかって? そうですね、ゴディン、ヒメネスのウルグアイ代表CBコンビが予想外に早く帰国できることになったのに続いて、ブラジルも驚愕のコパ・アメリカ早期敗退が決定。おかげでフィリペ・ルイスもプレシーズンキャンプ始動の7月7日から合流できます。お隣さんのカセミロも同じ境遇で、あとあちらの選手で残っているのは、準々決勝でペルーと当たるコロンビアのハメス・ロドリゲスだけ。アトレティコ勢もベネズエラと対戦するアルゼンチンのアウグストとクラネビテルのみとなりましたが、何はともあれ、どの選手もケガをせずに戻って来てくれるといいのですが…。
▽そう、何せフランスに行く前、ヘタフェ(マドリッド近郊)でジョージア相手にゴールが挙げられず、0-1と負けてしまった彼らを私も目撃していますからね。デル・ボスケ監督もその辺は反省して、60分過ぎにはCFをモラタ(ユベントス)から、アドゥリス(アスレティック)に代えてみたりしたんですが、大した効果もなかったため、このまま初戦からスコアレスドローではすっかり気分が盛り下がってしまうと、私もガッカリしていたところ…。
▽土壇場で救世主が現れたんですよ! それは残り4分、やはり交代で入ったペドロ(チェルシー)からのボールをイニエスタ(バルサ)がゴール前にクロス。するとファーポストに控えていたセルヒオ・ラモス(マドリー)より長身のピケ(バルサ)が先に頭でボールを捉え、とうとう虎の子の1点を奪ってくれたから、助かったの何のって。もちろん、その日はキャプテンマークを着けていたラモスもクラブの枠を超えて大喜び。スタンドに来ていた息子のミラン君を見ていたピケの背中に思いっきり登っていましたが、後でこの時の写真を載せた殊勲の相手ツィートにリツィートで応えるという、意外な仲の良さも披露しています。
▽おまけにこれをキッカケに2人は互いのアカウントをフォローするようになったというんですが、いやあ、ピケのツィートにはこれまで色々、問題がありましたからね。そうしておけば、昨季のコパ・デル・レイ初戦で出場資格のなかったチェリシェフを出したせいで、マドリーが大会失格とされた時、泣き笑いマークみたいなのを投稿して物議を醸したようなケースでも、すぐ取り消すようにラモスが頼むことができる? まあ、それはともかく、これでピケも代表ファンの信頼を一気に回復。ええ、昨季の国内の代表ホームゲームでは、カタルーニャ独立の州民投票をすることを支持するコメントがあったことなども影響して、ずっとスタンドからはブーイングが絶えませんでしたが、きっと9月からのワールドカップ予選ではそんなこともなくなるんじゃないでしょうか。
▽え、その1点でスペインが初戦に1-0と勝利できてホッとできたのはいいけど、それより不動の正GKから、今大会はデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)にレギュラーを奪われ、控えに回ったカシージャスの様子が気になるって? いやあ、彼も2013-14シーズンはアンチェロッティ監督のマドリーで、リーガ戦でディエゴ・ロペスに主役を譲った経験もありますからね。デル・ボスケ監督も「Ha tenido un comportamiento estupendo/ア・シードー・ウン・コンポルタミエント・エストゥペンドー(素晴らしい振る舞いをした)」と、ゴールが入った時に真っ先にベンチを飛び出して行ったカシージャスの態度を褒めていたように、ピッチ外でのサポート役にしっかり徹していましたっけ。
▽逆に去年の夏、書類がFAXトラブルで時間までに届かず、ユナイテッドからマドリーへ移籍の望みが叶わなかったデ・ヘアはこの水曜日、マドリーが持っていた買い取りオプションも行使されずに期限が切れてしまったため、来季はモウリーニョ新監督の下、気を遣うシーズンが待っていますからね。ここは思いっきりユーロの試合で活躍して、新しいボスに一目置かせるのと同時に、降って沸いたようなポルノ制作会社絡みのスキャンダルも早くファンに忘れてもらえればいいかと。
▽そんなスペインはその日のうちにベースキャンプのイル・ド・レ(レ島)に戻り、翌火曜日はリハビリトレを済ました後、選手たちには外泊のご褒美も。いえ、中にはジョルディ・アルバ(バルサ)とコケ(アトレティコ)のように、滞在しているホテルの映像を撮ってファンに紹介といった、とりとめのない暇潰しをしている選手たちもいましたけどね。テロ対策のため、ほとんど隔離状態でいるのもすでに1週間程になるため、半休日はいい気晴らしになったんじゃないでしょうか。
▽そして次は金曜日にニースでトルコに挑む彼らなんですが、注意しなければいけないのは相手が初戦でクロアチアに負け、今度は絶対、勝ち点を取るつもりで挑んでくるということ。どうやら、チームを牽引するアルダ・トゥラン(バルサ)はシーズン中同様、あまり調子が良くないようなので、その点は安心なんですが、今回のスペインはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質とは程遠いみたいですからね。水曜日の練習風景を見る限り、デル・ボスケ監督はチェコ戦と同じスタメンで挑むようですが、さて。ちなみにこの午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合には、初戦のトゥールーズではまったく騒ぎがなかったにも関わらず、暴れまわるロシアやイングランドのフーリガンたちに刺激を受けたんでしょうか。スペインからもウルトラグループが乗り込むなんて情報もあって、ちょっと治安の面で心配があるようです。
▽そうそう、最後に気になるマドリーとアトレティコのエースがどんな結果を残したのかを伝えておくと、まず火曜日にアイスランド戦に挑んだクリスチアーノ・ロナウドは残念ながら、ゴールを挙げることは叶わず。というか、ナニが決めて先制したものの、後半にビャルナソン(バーゼル)に同点ゴールを奪われたポルトガルは引き分けてしまったんですけどね。いくら後で「相手はプレーしなかった。Solo han salido a defender, defender, defender y contragolpear/ソロ・アン・サリードー・ア・デフェンデル、デフェンデル、デフェンデル・イ・コントラゴルペアル(守って守って守り抜いて、カウンター攻撃をかけるためにピッチに出て来た)」(ロナウド)と文句を言ったって、一流クラブの名のあるFWがいる訳でもないアイスランドですよ。
▽ガンガン攻めてくることを期待する方が認識不足だったかと思いますが、それより10本もシュートを撃ちながら、枠内には1本しか飛ばず、チームメートたちが期待していた勝ち越しゴールを挙げられなかった自分の精度不足を反省すべきかと。いえ、ノルウェーのボーデ・グリムトという、聞き慣れないチームでプレーするGKハルドーソンも頑張りましたけどね。試合後、ロナウドがアイスランドの選手たちと握手するのを拒んだなんて話もありましたし、土曜日のオーストリアとの次戦までには腹立ちを抑えて、いつものポーズでゴールを祝う姿を見せてもらいたいものです。
▽一方、アトレティコのグリーズマンは水曜日のグループリーグ2戦目では、ルーマニアとの開幕戦での存在感のなさがデシャン監督を失望させたか、ポグバ(ユベントス)と共にベンチスタートになってしまったんですが、途中出場した90分にラミ(バレンシア)のクロスをヘッドで叩き込み、均衡を破る1点をゲット。更にパイエ(ウェストハム)がロスタイムに2点目を加えてアルバニアに勝つと、2連勝で早くも決勝トーナメント進出を決定しましたが、私が喜んでいられるのもいつか、スペインとフランスが当たる日が来るまでですからねえ。まあ、6グループ中、3位の4チームも次のラウンドに進めるということで、ベスト16がどんな組み合わせになるのか、まだよくわからないんですが、まだあと2週間程は馴染みの選手の活躍を楽しむことにしましょうか。
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