【原ゆみこのマドリッド】大丈夫なんだろうか…
2016.06.10 14:20 Fri
▽「随分、景気がいいじゃない」そんな風に私が羨んでいたのは木曜日、前日ユーロ大会でフランス入りする前最後の親善試合を行ったポルトガルが7-0と大勝。イビサ島(地中海のリゾートアイランド)で1週間のバケーションを満喫した後、日曜に代表に合流したクリスチアーノ・ロナウドも前半出ただけなのに2ゴールと活躍して、まったくシーズン疲れしていないところをニュースで見せつけられた時のことでした。いやあ、相手はFIFAランキング94位のエストニアでしたから、別に結果がgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)となっても全然、不思議はないんですけどね。でもだったら、137位のジョージアにスペインはどうして負けてしまった?
▽そう、今週は彼らも火曜に親善試合をやって、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの開催だったため、私も足を運んだんですけどね。これがボスニア・ヘルツェゴビナ戦(3-1で勝利)、韓国戦(6-1で勝利)に続いて、ユーロに乗り込む前の最後の調整だったんですが、うーん、やはり昨季は悲しいリーガ戦が多く、最後は初の2部降格となってしまったヘタフェの覇気のなさがうつってしまったんですかね。イニセスタ(バルサ)やシルバ(マンチェスター・シティ)といった大会でのレギュラーが予想される選手たちがベンチスタートだったせいもあったかもしれませんが、とりわけ開始からしばらくは、先日のレアル・マドリーとアヤックスのチャリティOB戦、コラソン・クラシック・マッチを彷彿させるスピードで全てが展開していたような。
▽更に事態が悪化したのは前半39分のことで、ジョルディ・アルバ(バルサ)がセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)へのパスに失敗、そのボールはピケ(バルサ)がクラブの同僚の不面目をカバーしようと、カザイシビリから奪い返したんですが、周囲のケアが足りませんでした。ええ、ジアウリがボールを持ってエリア内に突入すると、ゴール前にフリーで着いたオクリアシビリにパス。これには今大会でいよいよ、カシージャス(ポルト)から正GKの引き継ぎが確実視されているデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)とて、どうしようもありませんでしたっけ。
▽そのまま前半を0-1で終えたスペインでしたが、後半はほとんどの時間、自陣に引いて守ってばかりいるジョージアのゴールをこじ開けようと、デル・ボスケ監督がセスク(チェルシー)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)に代わって、コケ(アトレティコ)とイニエスタを投入。更に15分には、この試合で代表、しかも背番号9でのデビューとなったルーカス・バスケス(マドリー)を下げ、シルバを入れたことにより、鬼のような攻勢が始まったんですが、とにかくシュートがほとんどエリア外からなんですもの。最後は、後半序盤に敵GKとの接触プレーで負った頭の傷をホッチキスでとめられていたブスケツ(バルサ)までペドロ(チェルシー)に代えて、何とか点を取ろうとしたんですが…。
▽ダメでしたね。いえ、確かにスタンドをほぼ満員にしたファンの多くがヘタフェの地元民だったため、シーズン中同様、応援下手なところはあったかと思うんですけどね。それでも一生懸命、盛り上げてくれようとした大会前の雰囲気を思いっきり下げてしまったデル・ボスケ監督は、試合後、「ウチは前半、この試合をあまり理解していなかったようで、amontonabamos gente en una zona inutil/アモントナバモス・ヘンテ・エン・ウナ・ソナ・インウティル(役に立たないゾーンに人が集まってしまった)」と、ほとんど攻撃はしてこない相手に対し、ブスケツ、セスク、チアゴと中盤を無意味に厚くしてしまったことを悔やんでいましたけどね。
▽でも大丈夫。というのも一応、ユーロでは、ヘタフェでは大事を取って温存されていたモラタがCF一番手だからで、ちなみにこちらは2013年のU21ユーロでも優勝経験があって、その時代のチームメートだったコケやチアゴがどの位の力になってくれるのかはわかりませんけどね。大先輩のカシージャスも「2008年のユーロ初優勝から8年、チームの選手たちは普通に変わっていったけど、todavía queda algo de lo que había en aquel momento/トダビア・ケダ・アルゴ・デ・ロ・ケ・アビア・エン・アケール・モメントー(まだあの頃の何かは残っている)」と言っていたように、スペインお得意のティキタカ(短いパスをつなぐサッカー)にも合わせやすいんじゃないでしょうか。
▽結局、壮行試合を白星で飾れなかった彼らはその晩はそれぞれ、フリータイムを楽しんだんですが、翌水曜には再び、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合。夕方にはバラハス空港から飛行機に乗ってラ・ロシェルに向かい、そこからバスで15分のイル・ド・レ(レ島、本土と橋で結ばれた大西洋にあるリゾートアイランド)のアタランテ・ホテルへ。やはり今回のユーロではテロへの警戒が厳しいため、敷地沿いには柵が張り巡らされ、マスコミもファンも入ることすらできない状態のようですが、その分、選手たちは人目を気にせず、リラックスできるかも。
▽実際、現地のマルセル・ガイヤール・スタジアムでの練習も全部非公開セッションになるそうですが、ただ、それでもこれからグループリーグの期間中、お世話になるお礼の意味もあったんですかね。木曜に行った最初の練習だけはファンもスタンドから見学できることに。もうこの辺になると、私もTVのニュースで知ったことぐらいしか言えないのですが、珍しいことに開始前にはデル・ボスケ監督が全員を前にして15分の訓話を実施。もちろん、ジョージア戦での轍を本大会で踏まないよう、選手たちの気を引き締める意味もあったんでしょうけどね。
▽中にはモラタのように、フランスでの初練習前にマドリーの先輩のラモスに頭を剃ってもらい(https://www.instagram.com/p/BGb9_fOC9Zr/?taken-by=sr4oficial)、大人の代表でも活躍することを誓っているマジメな選手もいましたが、何なんでしょうかね。一緒に練習前の記者会見に出たコケなど、「Ante Corea metimos seis y contra Georgia ninguno/アンテ・コレア・メティモス・セイス・イ・コントラ・ヘオルヒア・ニングーノ(韓国相手にウチは6点取って、ジョージアにはゼロ)。でも大事なのはユーロで負けないことさ」って、その韓国戦、まだ自分はCL決勝後のプチバケーション中で出ていなかったのでは?
▽まあ、その韓国にチェコは1-2で競り負けていましたから、別に心配することはないのかもしれませんけどね。2戦目の相手、トルコにはアルダ・トゥラン(バルサ)がいるし、3戦目のクロアチアにはモドリッチ(マドリー)&ラキティチ(バルサ)ら、リーガで実力を発揮している選手たちが控えているとなれば、ジョージアに負けた後だけに、少々、私が弱気になってしまったとしても仕方なかった?いえ、決勝トーナメントには参加24チーム中、16チームが進むということで、グループリーグは条件付きで3位でも突破できるため、これまでまったく心配していなかったんですけどね。2014年のワールドカップ・ブラジル大会のように万が一、3試合中2試合落とすと結構、ヤバいことになるかも。
▽え、そんな話をしているうちにいよいよ、金曜にはパリで開催国フランスとルーマニアが対決するユーロ開幕戦があるじゃないかって?その通りで、こちらもベンゼマ(マドリー)が招集されなかったため、グリースマン(アトレティコ)がデシャン監督のチームの攻撃を牽引するというのは興味が引かれるところかと。うーん、ミラノでのCL決勝では、スペイン代表合宿で一緒にTVで見ていたカシージャスが前半、「Pepe da mucha solvencia/ペペ・ダ・ムーチャ・ソルベンシア(ペペは守備で多くの解決策を与えてくれる)」と言っている側から、後半早々にフェルナンド・トーレスを倒して、「Joder Iker no adivinas una/ホデール・イケル・ノー・アディビナス・ウナ(何だい、イケルは何1つ当たらないな)」とピケ(バルサ)に笑われていたなんて逸話もあったんですが、その値千金のPKを外し、隠れ戦犯になっていた彼ですからね。
▽レキップ(フランスのスポーツ紙)によると、もうアトレティコと2021年までの契約延長にサインを済ませ、違約金もオブラクと並んで、1億ユーロ(約121億円)まで上がったというグリースマンだけに、この大会では自信を取り戻せる活躍をしてくれることを祈るばかり。一方のルーマニアには今季、降格してしまったラージョの左SBラツがいるんですが、やっぱりスペインとぶつかるまではフランスも応援しない訳にはいかないような。
▽そんなユーロの開幕戦は金曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフ。何せ、コパ・アメリカについては、マドリーで不遇のシーズンを送り、移籍の噂が絶えないハメス・ロドリゲスが肩にこの夏、手術をしなければいけない負傷を抱えながら、1戦目のアメリカ戦(0-2の勝利)に続き、パラグアイ戦(2-1で勝利)でも1ゴール1アシストの大活躍。それすら、こちらの午前4時キックオフと聞いて観戦を速攻断念、その日のお昼のニュースで当人が「ここでは幸せだ。Con Colombia juego hasta cojo/コン・コロンビア・フエゴ・アスタ・コホ(コロンビア代表では片足を引きずってでもプレーするよ)」と話し、シーズン中より、ずっと精気に溢れている姿を見ることぐらいしかできなかった私でしたからね。日本にいるファンも同様に、ヨーロッパでの試合が辛い時間なのは残念なことですね。
▽そう、今週は彼らも火曜に親善試合をやって、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの開催だったため、私も足を運んだんですけどね。これがボスニア・ヘルツェゴビナ戦(3-1で勝利)、韓国戦(6-1で勝利)に続いて、ユーロに乗り込む前の最後の調整だったんですが、うーん、やはり昨季は悲しいリーガ戦が多く、最後は初の2部降格となってしまったヘタフェの覇気のなさがうつってしまったんですかね。イニセスタ(バルサ)やシルバ(マンチェスター・シティ)といった大会でのレギュラーが予想される選手たちがベンチスタートだったせいもあったかもしれませんが、とりわけ開始からしばらくは、先日のレアル・マドリーとアヤックスのチャリティOB戦、コラソン・クラシック・マッチを彷彿させるスピードで全てが展開していたような。
▽更に事態が悪化したのは前半39分のことで、ジョルディ・アルバ(バルサ)がセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)へのパスに失敗、そのボールはピケ(バルサ)がクラブの同僚の不面目をカバーしようと、カザイシビリから奪い返したんですが、周囲のケアが足りませんでした。ええ、ジアウリがボールを持ってエリア内に突入すると、ゴール前にフリーで着いたオクリアシビリにパス。これには今大会でいよいよ、カシージャス(ポルト)から正GKの引き継ぎが確実視されているデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)とて、どうしようもありませんでしたっけ。
▽ダメでしたね。いえ、確かにスタンドをほぼ満員にしたファンの多くがヘタフェの地元民だったため、シーズン中同様、応援下手なところはあったかと思うんですけどね。それでも一生懸命、盛り上げてくれようとした大会前の雰囲気を思いっきり下げてしまったデル・ボスケ監督は、試合後、「ウチは前半、この試合をあまり理解していなかったようで、amontonabamos gente en una zona inutil/アモントナバモス・ヘンテ・エン・ウナ・ソナ・インウティル(役に立たないゾーンに人が集まってしまった)」と、ほとんど攻撃はしてこない相手に対し、ブスケツ、セスク、チアゴと中盤を無意味に厚くしてしまったことを悔やんでいましたけどね。
▽その辺はジョージアのバイス監督が、ユーロ初戦の相手、チェコのブルバ監督の友人でもあることを鑑みて、来週の月曜までに改善していけばいいんですが、それにしても気の毒だったのは、35歳にしてようやく国際メジャートーナメント参加の夢が叶ったというのに、ほとんどシュートできるボールをもらえなかったアドゥリス(アスレティック)。そんな光景を見ると、ジエゴ・コスタ(チェルシー)もそうでしたが、彼には代表のプレースタイルが合ってない気もしなくもなし。パコ・アルカセル(バレンシア)を招集しなかったのは早計だったかもしれないと、何となく心配になってしまいましたが…。
▽でも大丈夫。というのも一応、ユーロでは、ヘタフェでは大事を取って温存されていたモラタがCF一番手だからで、ちなみにこちらは2013年のU21ユーロでも優勝経験があって、その時代のチームメートだったコケやチアゴがどの位の力になってくれるのかはわかりませんけどね。大先輩のカシージャスも「2008年のユーロ初優勝から8年、チームの選手たちは普通に変わっていったけど、todavía queda algo de lo que había en aquel momento/トダビア・ケダ・アルゴ・デ・ロ・ケ・アビア・エン・アケール・モメントー(まだあの頃の何かは残っている)」と言っていたように、スペインお得意のティキタカ(短いパスをつなぐサッカー)にも合わせやすいんじゃないでしょうか。
▽結局、壮行試合を白星で飾れなかった彼らはその晩はそれぞれ、フリータイムを楽しんだんですが、翌水曜には再び、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合。夕方にはバラハス空港から飛行機に乗ってラ・ロシェルに向かい、そこからバスで15分のイル・ド・レ(レ島、本土と橋で結ばれた大西洋にあるリゾートアイランド)のアタランテ・ホテルへ。やはり今回のユーロではテロへの警戒が厳しいため、敷地沿いには柵が張り巡らされ、マスコミもファンも入ることすらできない状態のようですが、その分、選手たちは人目を気にせず、リラックスできるかも。
▽実際、現地のマルセル・ガイヤール・スタジアムでの練習も全部非公開セッションになるそうですが、ただ、それでもこれからグループリーグの期間中、お世話になるお礼の意味もあったんですかね。木曜に行った最初の練習だけはファンもスタンドから見学できることに。もうこの辺になると、私もTVのニュースで知ったことぐらいしか言えないのですが、珍しいことに開始前にはデル・ボスケ監督が全員を前にして15分の訓話を実施。もちろん、ジョージア戦での轍を本大会で踏まないよう、選手たちの気を引き締める意味もあったんでしょうけどね。
▽中にはモラタのように、フランスでの初練習前にマドリーの先輩のラモスに頭を剃ってもらい(https://www.instagram.com/p/BGb9_fOC9Zr/?taken-by=sr4oficial)、大人の代表でも活躍することを誓っているマジメな選手もいましたが、何なんでしょうかね。一緒に練習前の記者会見に出たコケなど、「Ante Corea metimos seis y contra Georgia ninguno/アンテ・コレア・メティモス・セイス・イ・コントラ・ヘオルヒア・ニングーノ(韓国相手にウチは6点取って、ジョージアにはゼロ)。でも大事なのはユーロで負けないことさ」って、その韓国戦、まだ自分はCL決勝後のプチバケーション中で出ていなかったのでは?
▽まあ、その韓国にチェコは1-2で競り負けていましたから、別に心配することはないのかもしれませんけどね。2戦目の相手、トルコにはアルダ・トゥラン(バルサ)がいるし、3戦目のクロアチアにはモドリッチ(マドリー)&ラキティチ(バルサ)ら、リーガで実力を発揮している選手たちが控えているとなれば、ジョージアに負けた後だけに、少々、私が弱気になってしまったとしても仕方なかった?いえ、決勝トーナメントには参加24チーム中、16チームが進むということで、グループリーグは条件付きで3位でも突破できるため、これまでまったく心配していなかったんですけどね。2014年のワールドカップ・ブラジル大会のように万が一、3試合中2試合落とすと結構、ヤバいことになるかも。
▽え、そんな話をしているうちにいよいよ、金曜にはパリで開催国フランスとルーマニアが対決するユーロ開幕戦があるじゃないかって?その通りで、こちらもベンゼマ(マドリー)が招集されなかったため、グリースマン(アトレティコ)がデシャン監督のチームの攻撃を牽引するというのは興味が引かれるところかと。うーん、ミラノでのCL決勝では、スペイン代表合宿で一緒にTVで見ていたカシージャスが前半、「Pepe da mucha solvencia/ペペ・ダ・ムーチャ・ソルベンシア(ペペは守備で多くの解決策を与えてくれる)」と言っている側から、後半早々にフェルナンド・トーレスを倒して、「Joder Iker no adivinas una/ホデール・イケル・ノー・アディビナス・ウナ(何だい、イケルは何1つ当たらないな)」とピケ(バルサ)に笑われていたなんて逸話もあったんですが、その値千金のPKを外し、隠れ戦犯になっていた彼ですからね。
▽レキップ(フランスのスポーツ紙)によると、もうアトレティコと2021年までの契約延長にサインを済ませ、違約金もオブラクと並んで、1億ユーロ(約121億円)まで上がったというグリースマンだけに、この大会では自信を取り戻せる活躍をしてくれることを祈るばかり。一方のルーマニアには今季、降格してしまったラージョの左SBラツがいるんですが、やっぱりスペインとぶつかるまではフランスも応援しない訳にはいかないような。
▽そんなユーロの開幕戦は金曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフ。何せ、コパ・アメリカについては、マドリーで不遇のシーズンを送り、移籍の噂が絶えないハメス・ロドリゲスが肩にこの夏、手術をしなければいけない負傷を抱えながら、1戦目のアメリカ戦(0-2の勝利)に続き、パラグアイ戦(2-1で勝利)でも1ゴール1アシストの大活躍。それすら、こちらの午前4時キックオフと聞いて観戦を速攻断念、その日のお昼のニュースで当人が「ここでは幸せだ。Con Colombia juego hasta cojo/コン・コロンビア・フエゴ・アスタ・コホ(コロンビア代表では片足を引きずってでもプレーするよ)」と話し、シーズン中より、ずっと精気に溢れている姿を見ることぐらいしかできなかった私でしたからね。日本にいるファンも同様に、ヨーロッパでの試合が辛い時間なのは残念なことですね。
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