【原ゆみこのマドリッド】運命には逆らえない…
2016.05.31 12:39 Tue
▽「その気持ちは嬉しいけどね」そんな風に私が泣き笑いのような思いをしていたのは月曜日。ようやくミラノからマドリッドに帰ることができ、アトレティコのオフィシャルウェブにファンフランのファンへの手紙を見つけた時のことでした。いえ、一番悲嘆に暮れていたはずの彼が変わらぬ楽観主義を貫き、「2年前、自分はまたCL決勝に戻ってくると言った。Ahora os digo que Gabi, nuestro capitán, levantará la Champions más tarde o más temprano/アオラ・オス・ディゴ・ケ・ガビ、ヌエストロ・カピタン、レバンタラ・ラ・チャンピオンズ・マス・タルデ・オ・マス・テンプラーノ(今はボクらのキャプテン、ガビは遅かれ早かれCLトロフィーを掲げると言うよ)。そして皆で、ネプトゥーノ広場で祝うだろう」と、もう前を向いていたのは有難いんですけどね。
▽問題は当のファンフランが31歳なのはともかく、ガビはもうすぐ33歳、フェルナンド・トーレスも32歳。どちらもあと2年はアトレティコでプレーすることが見込まれていますが、それはつまり、来季かその次にはまたCL決勝に出るということで…。いやあ、これが今季は不思議と彼らが両方とも撃破したものの、天下のバルサとか、バイエルンの話ならわかりますよ。もちろん、1974年の初めての決勝からずっと残念を溜めている高齢サポーターのためにも1年でも早い実現が望まれるのは確かですが、この3年間に2度も決勝までたどり着いたような奇跡がまたしても起きるなんてことがある?
▽それに関してはトーレスも自身のツィッターで、「Nuestra tristeza es solo comparable al orgullo que sentimos por ser del Atleti. VOLVEREMOS/ヌエストラ・トリステサ・エス・ソロ・コンパラブレ・アル・オルグージョ・ケ・センティモス・ポル・セル・デル・アトレティ。ボルベレモス(ボクらの悲しみは唯一、アトレティコであるという誇りと比べられるだけ。戻ってくるよ)」と、力強く言ってくれていたので、まあ、よしとするしかないんですが。実は私も念願かなって、今回は人生初のCL決勝現地観戦を体験。おかげで、まだまだ心情的には整理がついていないことを告白しておかないと。
▽いえ、泊まったホテルがアトレティコのファンゾーンに近かったせいか、街中やメトロ(地下鉄)内で気勢を上げているのもロヒブランコス(アトレティコ及びそのファンの愛称)ばかり、サン・シーロに着くまで、ほとんどお隣さんのファンを見かけなかったせいもあって、自分も気が大きくなっていたのかもしれませんけどね。うだるような暑さの中、ようやくスタンドにたどり着いたものの、華やかな決勝前セレモニーで特別感を楽しんでいたのも束の間、試合が始まって早や14分、クロースのFKをベイルが頭で流したところ、セルヒオ・ラモスがゴール前から押し込んで、実はオフサイドだったにも関わらず、レアル・マドリーに先制されてしまったから、焦ったの何のって。
▽それからのアトレティコは目を覚まし、地道に反撃を試みていたんですが、前半中は得点を挙げることができず。さらにトーレスがペペにエリア内で倒され、PKを獲得したんですけどね。いやあ、先日は彼がバイエルンとの準決勝2ndレグでPKを失敗していたため、この日はキッカーをグリースマンが務めたんですが、まさかこんな大事なシーンでシュートをゴールバーに当ててしまうとは何ともツイていません。
▽実際、90分が1-1のままで終わった時も、3年前のコパ・デル・レイ決勝では体力にモノを言わせて延長戦でマドリーを破っているだけに不安は沸かなかったんですけどね。相手は後半序盤にカルバハルを負傷で失い、ダニーロに交代。その後、クロースをイスコに、ベンゼマをルーカス・バスケスに代え、先に交代枠を使い果たしていただけでなく、クリスチアーノ・ロナウドもベイルもヘトヘトになっているように見えたため、ここで点が取れれば良かったのですが…。
▽ダメだったんですよ。その上、やはりシーズン最後の試合ともなると、常に走ることで補ってきたサッカーのツケが選手たちにも出るんですかね。延長戦後半にはフィリペ・ルイスに続き、今季CLで最長の149キロ走ったガビに負けじと、出場試合が2つ少ないにも関わらず、141キロでランキング3位に入ったコケがふくらはぎにこむら返りを起こしてダウン。それは、後で当人も「Yo me tuve que ir lesionado y seguramente habia lanzado uno/ジョ・メ・トゥベ・ケ・イル・レイシオナードー・イ・セグラメンテ・アビア・ランサードー・ウノ(ボクはケガしてピッチを出ないといけなかったけど、そうじゃなかったら、きっと蹴っていたはず)」と嘆いていた、後々の結果に繋がります。
▽結局、延長戦では両者とも得点できず、突入したPK戦でアトレティコは「Sabia que ellos fallarian uno/サビア・ケ・エジョス・ファジャリアン・ウノ(彼らが1つは失敗するのがわかっていた)」という、GKケイロル・ナバスの気迫に押されてしまったんですかね。先に蹴り始めたマドリーではルーカス・バスケス、マルセロ、(やはりこむら返りを起こしていた)ベイル、(イタリアのTVではパネンカ風か空に飛ばすと言われていたらしい)ラモスが次々に成功。アトレティコもグリースマンが面目躍如、更にガビ、サウールも引かず、ベスト16のPSV戦では恐怖のサドンデスで8人が決めていた彼らでしたからね。まさかここで、その試合で最後に勝利を呼び込んだファンフランがキックをポストに当ててしまうとは!
▽ただまあ、言い訳すれば、第2監督のモノ・ブルゴスがもうベンチに下がり、靴も履かずにチームメートの応援をしていたコケの代わりに選んだ第4キッカーはカラスコだったんですけどね。彼も途中で受けた打撲のせいだか何だかで、最初の5人に入るのを遠慮。そこでファンフランになったようですが、PSV戦の時など、もう6人目以降はヒメネス(その日は出番なし)が外すか、フィリペ・ルイス(負傷交代)が外すか、ファンフランが外すか、とにかく私も生きた心地がしませんでしたからね。
▽そう思うとファンフランの件は仕方ないんですが、もちろんマドリーは「ponme el quinto en la tanda porque voy a marcar el gol de la victoria/ポンメ・エル・キント・エン・ラ・タンダ・ポルケ・ボイ・ア・マルカル・エル・ゴル・デ・ラ・ビクトリア(自分をPK戦の5人目にしてくれ。勝利のゴールを決めるから)」とジダン監督に頼んだというロナウドが有言実行。これで彼らのundecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)が達成され、アトレティコは3度もCL決勝に出ながら、1度も優勝したことのない唯一のチームという不名誉を授かることに。
▽そしてこの先は2年前のリスボンでの決勝と同じ展開で、ピッチでマドリーのお祭りが始まる傍ら、アトレティコの選手たちは悔し涙を抑えられず。ええ、前回はラージョにレンタル移籍をしていたため、出場メンバーではなく、スタンドから見守っていたサウールも「Ya bastante duro es pasarlo una vez, como para sufrirlo dos veces/ジャー・バスタテ・ドゥーロ・エス・パサールロ・ウナ・ベス、コモ・パラ・スフリルロ・ドス・ベセス(1度あっただけで十分に辛いのにそれが2度目となったら)」と認めていましたが、その気持ちはファンだって同じです。
▽となれば、試合後の記者会見で「Perder dos finales, un fracaso/ペルデル・ドス・フィナレス、ウン・フラカソ(決勝に2度負けたのは大失態だ)。入場料や旅費を払って来た人々に望む物を与えられなかったことを考えないといけない。それが一番、心が痛む」と心情を吐露。「Este es un momento para pensar por mi parte/エステ・エス・ウン・モメント・パラ・ペンサル・ポル・ミ・パルテ(私としても今は考える時)」と、シメオネ監督が自身の続投を疑わせるようなことを口走ってしまったとしても仕方なかった?
▽そう、要は「選手たちには全力を尽くしたのだから泣くなと言ったが…、el futbol es destino/エル・フトボル・エス・デスティーノ(サッカーは運)、そして今日はそれがウチになかった」(シメオネ監督)ってことなのですよ。何せ、マドリーやバルサ、その他のヨーロッパの強豪に比べ、才能に不自由する選手たちを体力ベースで鍛えあげ、互角に持っていくことはできても運ばかりは人間業ではどうにもできず。そういう現実に直面すると、努力している人ほど空しくなるんだと思いますが、こればっかりはねえ。アトレティコがダメダメだった時代にはビセンテ・カルデロンの方位が風水的に悪いんじゃないかと結構、本気で思っていた私ですが、2017-18シーズンにマドリッドの北東にあるペイネタに移ったら、その運気も少しは上向きになってくれませんかね。
▽一方、1月にベニテス監督を引き継ぎ、見事にCL優勝を果たしたジダン監督は「選手の時とは全然違う。Estoy tremendamente contento por ganar esta Champions/エストイ・トレメンダメンテ・コンテント・ポル・ガナール・エスタ・チャンピオンズ(今季のCLに優勝して、自分は物凄く満足だ)」と相好を崩していましたが、華があるとはまさにこのこと。ただ、注意しないといけないのはアンチェロッテ監督もそうだったんですが、デシマ(10回目のCL優勝)を達成したおかげで2年目もマドリーの指揮を執ることができたものの、次の年が無冠に終わるとすぐ解任に。
▽それだけに2018年まで契約をジダン監督が結んだとしてもまったく油断はできませんが、今はとりあえずお祝いの時。ええ、翌朝午前6時頃にバラハス空港に着いたマドリーはシベレス広場に直行、一晩中、騒いでいたファンに早起き組が加わって、7時過ぎには3万人となった群衆の前でキャプテン,そして決勝MVPのラモスが女神像にクラブのbandera(バンデラ/旗)とbufanda(ブファンダ/マフラー)を巻きつけます。続いて夜の8時半にはマドリッド市役所、マドリッド州庁舎を回り、いよいよ10時45分には8万人の見守る中、サンティアゴ・ベルナベウでメガ祝賀イベントの開催となりました。
▽いやあ、この辺りになると、まだ私もミラノにいて、その様子などは今ならオフィシャルウェブにアップされているビデオなどで確認してもらった方がいいんですけどね。控え目なジダン監督だけに、デシマの歌をカラオケで熱唱していたアンチェロッテ監督ほどのインパクトはなかったようですが、大体は2年前と同じ様子だったような。ただ、翌月曜には悪いニュースもあって、決勝で途中交代したカルバハルが右太もものケガで招集されていたユーロを欠場することが決定。
▽え、そのスペイン代表は日曜に親善試合をやっていなかったかって? その通りでスイスのザンクト・ガレンで、前日から合流したバルサ(イニエスタ、ピケ、ブスケツ、ジョルディ・アルバ)やセビージャ(セルヒオ・リコ)らコパ・デル・レイ決勝組、その他各国でのカップ戦組(カシージャス、デ・ヘア、チアゴ・アルカンタラ、モラタ)らがスタンドで見学する中、サポート選手たちを混ぜて、ボスニア・ヘルツェゴビナと戦ったんですけどね。18分までにノリート(セルタ)が2発決めた後、セットプレーで1点を返されたものの、そのゴールを挙げたスパヒッチがハーフタイム前に退場に。ただ、人数的優位はあまり関係なかったようで、後半ロスタイムに鼻骨を骨折してマスク付きでプレーしていたペドロ(チェルシー)が追加点を入れただけで、最後は3-1の勝利に終わっています。
▽その際、すでにカルバハル負傷の報を受けていたデル・ボスケ監督は、翌日にはお役御免となる予定だった11人のサポートメンバー中、ベジェリン(アーセナル)だけを残しておいたんですが、まさにそれが正解となるとは、運命とはかくや奇なるもの。というのも、この結果、ユーロでの正右SBはファンフランでほぼ確定したからなんですが、これで江戸の敵を長崎で討つことができる? そうそう、火曜には本大会用の正式メンバー23人が発表されるんですが、暫定で選ばれた25人のうち、誰が落ちるのかも興味が持たれるところです。
▽そんな代表はこの水曜に韓国との親善試合(午後4時半/日本時間午後11時半)をした後、一旦スペインに帰国。CL決勝組(ラモス、イスコ、ルーカス・バスケス、コケ、サウル、ファンフラン)が合流する土曜からは再び、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で練習を行い、7日にはヘタフェのコリセウム・アルフォンソ・ペレスでジョージアとユーロ前の最後の親善試合を済ませて、いよいよフランスへ出発です。いやあ、CL決勝も終わったばかりで私もまだ、気分の切り替えが上手くいっていないんですけどね。また国際主要大会3連覇時代の強いスペインが戻ってきて、ワクワクできる試合が沢山みられる夏が来ることを祈っています。
▽問題は当のファンフランが31歳なのはともかく、ガビはもうすぐ33歳、フェルナンド・トーレスも32歳。どちらもあと2年はアトレティコでプレーすることが見込まれていますが、それはつまり、来季かその次にはまたCL決勝に出るということで…。いやあ、これが今季は不思議と彼らが両方とも撃破したものの、天下のバルサとか、バイエルンの話ならわかりますよ。もちろん、1974年の初めての決勝からずっと残念を溜めている高齢サポーターのためにも1年でも早い実現が望まれるのは確かですが、この3年間に2度も決勝までたどり着いたような奇跡がまたしても起きるなんてことがある?
▽それに関してはトーレスも自身のツィッターで、「Nuestra tristeza es solo comparable al orgullo que sentimos por ser del Atleti. VOLVEREMOS/ヌエストラ・トリステサ・エス・ソロ・コンパラブレ・アル・オルグージョ・ケ・センティモス・ポル・セル・デル・アトレティ。ボルベレモス(ボクらの悲しみは唯一、アトレティコであるという誇りと比べられるだけ。戻ってくるよ)」と、力強く言ってくれていたので、まあ、よしとするしかないんですが。実は私も念願かなって、今回は人生初のCL決勝現地観戦を体験。おかげで、まだまだ心情的には整理がついていないことを告白しておかないと。
▽それからのアトレティコは目を覚まし、地道に反撃を試みていたんですが、前半中は得点を挙げることができず。さらにトーレスがペペにエリア内で倒され、PKを獲得したんですけどね。いやあ、先日は彼がバイエルンとの準決勝2ndレグでPKを失敗していたため、この日はキッカーをグリースマンが務めたんですが、まさかこんな大事なシーンでシュートをゴールバーに当ててしまうとは何ともツイていません。
▽でも大丈夫。それからしばらくはかなりジリジリさせられたものの、78分にはファンフランのクロスをカラスコがゴール前から決め、とうとう同点にしてくれたから、どんなにアトレティコファンたちも勢いづいたことか。殊勲の当人もスタンド最前列で応援していた彼女に駆け寄ってお祝いをしていましたが、この時はまだ誰もあんな悲劇を予想していた人はいなかったかと。
▽実際、90分が1-1のままで終わった時も、3年前のコパ・デル・レイ決勝では体力にモノを言わせて延長戦でマドリーを破っているだけに不安は沸かなかったんですけどね。相手は後半序盤にカルバハルを負傷で失い、ダニーロに交代。その後、クロースをイスコに、ベンゼマをルーカス・バスケスに代え、先に交代枠を使い果たしていただけでなく、クリスチアーノ・ロナウドもベイルもヘトヘトになっているように見えたため、ここで点が取れれば良かったのですが…。
▽ダメだったんですよ。その上、やはりシーズン最後の試合ともなると、常に走ることで補ってきたサッカーのツケが選手たちにも出るんですかね。延長戦後半にはフィリペ・ルイスに続き、今季CLで最長の149キロ走ったガビに負けじと、出場試合が2つ少ないにも関わらず、141キロでランキング3位に入ったコケがふくらはぎにこむら返りを起こしてダウン。それは、後で当人も「Yo me tuve que ir lesionado y seguramente habia lanzado uno/ジョ・メ・トゥベ・ケ・イル・レイシオナードー・イ・セグラメンテ・アビア・ランサードー・ウノ(ボクはケガしてピッチを出ないといけなかったけど、そうじゃなかったら、きっと蹴っていたはず)」と嘆いていた、後々の結果に繋がります。
▽結局、延長戦では両者とも得点できず、突入したPK戦でアトレティコは「Sabia que ellos fallarian uno/サビア・ケ・エジョス・ファジャリアン・ウノ(彼らが1つは失敗するのがわかっていた)」という、GKケイロル・ナバスの気迫に押されてしまったんですかね。先に蹴り始めたマドリーではルーカス・バスケス、マルセロ、(やはりこむら返りを起こしていた)ベイル、(イタリアのTVではパネンカ風か空に飛ばすと言われていたらしい)ラモスが次々に成功。アトレティコもグリースマンが面目躍如、更にガビ、サウールも引かず、ベスト16のPSV戦では恐怖のサドンデスで8人が決めていた彼らでしたからね。まさかここで、その試合で最後に勝利を呼び込んだファンフランがキックをポストに当ててしまうとは!
▽ただまあ、言い訳すれば、第2監督のモノ・ブルゴスがもうベンチに下がり、靴も履かずにチームメートの応援をしていたコケの代わりに選んだ第4キッカーはカラスコだったんですけどね。彼も途中で受けた打撲のせいだか何だかで、最初の5人に入るのを遠慮。そこでファンフランになったようですが、PSV戦の時など、もう6人目以降はヒメネス(その日は出番なし)が外すか、フィリペ・ルイス(負傷交代)が外すか、ファンフランが外すか、とにかく私も生きた心地がしませんでしたからね。
▽そう思うとファンフランの件は仕方ないんですが、もちろんマドリーは「ponme el quinto en la tanda porque voy a marcar el gol de la victoria/ポンメ・エル・キント・エン・ラ・タンダ・ポルケ・ボイ・ア・マルカル・エル・ゴル・デ・ラ・ビクトリア(自分をPK戦の5人目にしてくれ。勝利のゴールを決めるから)」とジダン監督に頼んだというロナウドが有言実行。これで彼らのundecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)が達成され、アトレティコは3度もCL決勝に出ながら、1度も優勝したことのない唯一のチームという不名誉を授かることに。
▽そしてこの先は2年前のリスボンでの決勝と同じ展開で、ピッチでマドリーのお祭りが始まる傍ら、アトレティコの選手たちは悔し涙を抑えられず。ええ、前回はラージョにレンタル移籍をしていたため、出場メンバーではなく、スタンドから見守っていたサウールも「Ya bastante duro es pasarlo una vez, como para sufrirlo dos veces/ジャー・バスタテ・ドゥーロ・エス・パサールロ・ウナ・ベス、コモ・パラ・スフリルロ・ドス・ベセス(1度あっただけで十分に辛いのにそれが2度目となったら)」と認めていましたが、その気持ちはファンだって同じです。
▽となれば、試合後の記者会見で「Perder dos finales, un fracaso/ペルデル・ドス・フィナレス、ウン・フラカソ(決勝に2度負けたのは大失態だ)。入場料や旅費を払って来た人々に望む物を与えられなかったことを考えないといけない。それが一番、心が痛む」と心情を吐露。「Este es un momento para pensar por mi parte/エステ・エス・ウン・モメント・パラ・ペンサル・ポル・ミ・パルテ(私としても今は考える時)」と、シメオネ監督が自身の続投を疑わせるようなことを口走ってしまったとしても仕方なかった?
▽そう、要は「選手たちには全力を尽くしたのだから泣くなと言ったが…、el futbol es destino/エル・フトボル・エス・デスティーノ(サッカーは運)、そして今日はそれがウチになかった」(シメオネ監督)ってことなのですよ。何せ、マドリーやバルサ、その他のヨーロッパの強豪に比べ、才能に不自由する選手たちを体力ベースで鍛えあげ、互角に持っていくことはできても運ばかりは人間業ではどうにもできず。そういう現実に直面すると、努力している人ほど空しくなるんだと思いますが、こればっかりはねえ。アトレティコがダメダメだった時代にはビセンテ・カルデロンの方位が風水的に悪いんじゃないかと結構、本気で思っていた私ですが、2017-18シーズンにマドリッドの北東にあるペイネタに移ったら、その運気も少しは上向きになってくれませんかね。
▽一方、1月にベニテス監督を引き継ぎ、見事にCL優勝を果たしたジダン監督は「選手の時とは全然違う。Estoy tremendamente contento por ganar esta Champions/エストイ・トレメンダメンテ・コンテント・ポル・ガナール・エスタ・チャンピオンズ(今季のCLに優勝して、自分は物凄く満足だ)」と相好を崩していましたが、華があるとはまさにこのこと。ただ、注意しないといけないのはアンチェロッテ監督もそうだったんですが、デシマ(10回目のCL優勝)を達成したおかげで2年目もマドリーの指揮を執ることができたものの、次の年が無冠に終わるとすぐ解任に。
▽それだけに2018年まで契約をジダン監督が結んだとしてもまったく油断はできませんが、今はとりあえずお祝いの時。ええ、翌朝午前6時頃にバラハス空港に着いたマドリーはシベレス広場に直行、一晩中、騒いでいたファンに早起き組が加わって、7時過ぎには3万人となった群衆の前でキャプテン,そして決勝MVPのラモスが女神像にクラブのbandera(バンデラ/旗)とbufanda(ブファンダ/マフラー)を巻きつけます。続いて夜の8時半にはマドリッド市役所、マドリッド州庁舎を回り、いよいよ10時45分には8万人の見守る中、サンティアゴ・ベルナベウでメガ祝賀イベントの開催となりました。
▽いやあ、この辺りになると、まだ私もミラノにいて、その様子などは今ならオフィシャルウェブにアップされているビデオなどで確認してもらった方がいいんですけどね。控え目なジダン監督だけに、デシマの歌をカラオケで熱唱していたアンチェロッテ監督ほどのインパクトはなかったようですが、大体は2年前と同じ様子だったような。ただ、翌月曜には悪いニュースもあって、決勝で途中交代したカルバハルが右太もものケガで招集されていたユーロを欠場することが決定。
▽え、そのスペイン代表は日曜に親善試合をやっていなかったかって? その通りでスイスのザンクト・ガレンで、前日から合流したバルサ(イニエスタ、ピケ、ブスケツ、ジョルディ・アルバ)やセビージャ(セルヒオ・リコ)らコパ・デル・レイ決勝組、その他各国でのカップ戦組(カシージャス、デ・ヘア、チアゴ・アルカンタラ、モラタ)らがスタンドで見学する中、サポート選手たちを混ぜて、ボスニア・ヘルツェゴビナと戦ったんですけどね。18分までにノリート(セルタ)が2発決めた後、セットプレーで1点を返されたものの、そのゴールを挙げたスパヒッチがハーフタイム前に退場に。ただ、人数的優位はあまり関係なかったようで、後半ロスタイムに鼻骨を骨折してマスク付きでプレーしていたペドロ(チェルシー)が追加点を入れただけで、最後は3-1の勝利に終わっています。
▽その際、すでにカルバハル負傷の報を受けていたデル・ボスケ監督は、翌日にはお役御免となる予定だった11人のサポートメンバー中、ベジェリン(アーセナル)だけを残しておいたんですが、まさにそれが正解となるとは、運命とはかくや奇なるもの。というのも、この結果、ユーロでの正右SBはファンフランでほぼ確定したからなんですが、これで江戸の敵を長崎で討つことができる? そうそう、火曜には本大会用の正式メンバー23人が発表されるんですが、暫定で選ばれた25人のうち、誰が落ちるのかも興味が持たれるところです。
▽そんな代表はこの水曜に韓国との親善試合(午後4時半/日本時間午後11時半)をした後、一旦スペインに帰国。CL決勝組(ラモス、イスコ、ルーカス・バスケス、コケ、サウル、ファンフラン)が合流する土曜からは再び、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で練習を行い、7日にはヘタフェのコリセウム・アルフォンソ・ペレスでジョージアとユーロ前の最後の親善試合を済ませて、いよいよフランスへ出発です。いやあ、CL決勝も終わったばかりで私もまだ、気分の切り替えが上手くいっていないんですけどね。また国際主要大会3連覇時代の強いスペインが戻ってきて、ワクワクできる試合が沢山みられる夏が来ることを祈っています。
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