【日本サッカー見聞録】J1第1ステージ前半戦の総括

2016.05.05 13:30 Thu
©︎J.LEAGUE
▽みどりの日の4日は、J1リーグにACLと昼から夜までサッカー三昧の一日だった。J1リーグはACL出場チームと対戦相手を除く10チームが折り返しである第1ステージ第10節を消化。首位の浦和を追う2位の川崎Fは仙台に先制される苦しい試合展開から、なんとか引き分けに持ち込んだものの、未消化の浦和が勝利したと仮定すると勝点差は4ということになる。前節では3位の鹿島が圧倒的に攻めながら、大宮の粘りに引き分けるなど足踏み状態から勝点を落として後退している。
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▽どうやらACLでもベスト16に進出した浦和が、昨シーズンに続き第1ステージの覇者となりそうだ。前節の名古屋戦、首位攻防となった川崎F戦でもスキのない試合運びで確実に勝点3を獲得。鹿島との直接対決を残しているとはいえ、浦和の優位は動かないだろう。逆にし烈なのがCS出場権を巡る2位争いで、川崎F、鹿島以外にも柏と大宮が迫っている。▽柏は開幕3戦未勝利でメンデス監督が辞任。ヘッドコーチの下平が監督に昇格すると、その後は負け知らずで、第6節のFC東京戦から5連勝で4位に浮上した。吉田前監督のポゼッション・スタイルを継承しつつ、フィニッシュの意識が高まったことと、トラッキングデータでチーム平均3位という豊富な運動量が躍進の原動力だろう。この柏に限らず甲府や湘南に加え昇格組の大宮、磐田ら下位候補と目されていたチームがダークホースとなっているのが今シーズンの特徴かもしれない。
▽湘南が横浜FMを破って初勝利をあげた試合は素直に感動したし、第3節で仙台が鹿島を破った試合も“魂”を感じた一戦だった。上位で健闘している柏、大宮、磐田には失礼だが、「あの戦力でよくその順位にいるな」と思ってしまう。監督の手腕と選手の奮戦には頭が下がるばかりだ。

▽その反面、今シーズンは上位が予想されたディフェンディング・チャンピオンの広島は7位、G大阪は11位と出遅れ、ACLでもグループリーグ敗退が決定した。FC東京は辛うじてベスト16に進出したものの、リーグ戦は13位に沈んでいる。広島はピーター・ウタカ、G大阪はアデミウソンをシーズン前に、FC東京もシーズン中ではあるがムリキと、いずれも即戦力の外国人選手を補強したにもかかわらず、結果には結びついていない。
▽ちょっと早いが今シーズンの第1ステージを総括するなら、『戦力で劣るチームが戦略を90分間遂行する決意と努力』でジャイアント・キリングを起こし、ダークホースになっているのではないだろうか。このため順位で相手を判断すると、上位でも痛い目に遭うことが判明した。残り8試合(9試合)、浦和も含めてどのチームも対戦相手を舐めてかかることはないだろう。上位も下位も、ここから第1ステージは本当の正念場を迎えると言える。


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