【原ゆみこのマドリッド】戦いはまだまだ続く…
2016.04.30 12:46 Sat
▽「心強いかもしれない」。そんな風に私の気分が明るくなってきたのは金曜日、午前中のセッションではクリスティアーノ・ロナウドとゴディンがそれぞれ、バルデベバス(バラハス空港の近く)とマハダオンダ(マドリッド近郊)のグラウンドに出て練習。来週のCL準決勝2ndレグに間に合うかもしれないというニュースを聞いた時のことでした。そう、片や今週の1stレグでは点が取れず、今度は絶対ゴールが必要なチーム、もう一方は何が何でも虎の子の1点を守り倒さなければならないチームですからね。どちらもニーズに応じた選手が復活してくれるのは朗報に違いなかったから。
▽ちなみに彼ら、マドリードの両雄の1stレグがどうだったのか、まずはお話ししていくことにすると。いやあ、火曜は丁度、ビセンテ・カルデロンでアトレティコvsバイエルンの前日記者会見があったため、家を空けていた私は大急ぎで帰宅してTVをつけるまで、月曜にはエティハド・スタジアムでチームメートと一緒に練習していたロナウドがまたしても右太ももを負傷。当日はスタメン落ちどころか、ベンチ外になったことも知らなかったんですけどね。そのため、ルーカス・バスケスが先発に入ることになりましたが、ベイルだってベンゼマだっているマドリーですよ。それがまさか、マンチェスター・シティから1点も取れないなんて一体、誰が想像した?
▽うーん、アグエロはアトレティコ時代同様、ペペがガッツリ抑えていましたし、前半39分には1人、敵の中で違いを見せていたシルバもケガで交代したため、その後は攻撃に専念できたマドリーでしたけどね。間が悪いことに先日のラージョ戦でもハーフタイムでヒザが痛くなって交代したベンセマが、この日も今度は腰が痛くなって後半出られず。代わって入ったヘセは25分、ゴールバーに当てるシュートを放ったものの、得点するまでには至りません。おまけにセットプレーからカセミロ、ペペの決定的な一撃をGKジョー・ハートにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、結局、0-0で終了となれば、要は「La eliminatoria sigue al 50%/ラ・エリミナトリア・シゲ・アル・シンクエンタ・ポル・シエントー(勝負は五分五分のまま)」(ジダン監督)ということです。
▽え、と言ったって、2ndレグはサンティアゴ・ベルナベウ、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)の殿堂じゃないかって?その通り、今季平均得点3.7点のリーガのホーム戦はもとより、CL準々決勝のボルフスブルク戦でも1stレグではアウェイで2-0と負けながら、2ndレグで3-0として、あっさりremontada(レモンターダ/逆転勝ち)していますからね。ただ、その時の立役者はハットトリックを挙げたロナウド。当人も、2試合連続でバルサのルイス・スアレスに4ゴールを決められ、3本差つけられてしまったリーガ得点王レースはともかく、あと2点でCL1シーズン最多得点記録を塗り替えられるとあってか、イギリスから戻った翌日にはスペインに1台しかない最新のMRI機器があるルーベル・インテルナシオナル病院を個人で受診。右太もも裏にミニ肉離れがあるのを確認して以降、昼夜リハビリに明け暮れ、何が何でも来週水曜の試合に間に合わせように努めているとなれば、マドリーファンも安心できるかと。
▽一方、火曜はスタジアムのVIPルームを満員にして開かれた試合前日記者会見に訪れた際、会場に入るのにピッチを通らなければいけないのをいいことに、芝の長さを自身の目で検分、更に女性スタッフに採寸までさせていたグラディオラ監督率いるバイエルンと戦ったアトレティコの1stレグはどうだったかというと。いやあ、前回の準々決勝バルサ戦同様、火曜に合宿入りした時には300人程のサポーターがbengala(ベンガラ/発煙筒)を炊きまくってお出迎え、ビセンテ・カルデロン入りも凄い騒ぎで、キックオフ前のスタンド全面モザイクや「Atleti Yo Contigo A La Final/アトレティ・ジョ・コンティーゴ・ア・ラ・フィナル(アトレティコと私、一緒に決勝へ)」という横断幕、アカペラのイムノ(クラブ歌)合唱などはホントに選手たちを勇気づけるんでしょうね。
▽いやあ、グアルディオラ監督も後で「質の高さは賞賛するが、estaria bien para Saul no compararlo con Messi/エスタリア・ビエン・パラ・サウル・ノー・コンパラールロ・コン・メッシ(メッシとは比べない方がサウルにはいいだろう)」と言っていたように、だからってまだ21歳で、基本的にはMFの彼のプレーを人間の範疇を越えていると思われている選手のようだと、誰もが誉めそやすのは、ちょっと大袈裟な気がするんですけどね。「2人を抜いたから、エリアに入ってシュートを撃ちたかった。敵の前に着いてラッキーだったね」という当人も、「自分が決めたゴールの中でseguro que es el mas importante/セグロ・ケ・エス・エル・マス・インポルタンテ(一番、重要なものだったのは確か)」と喜んでいましたが、いえいえ。この先、もっとアトレティコにとって大事なゴールを決めてくれなくちゃダメですよ。
▽ただそんな彼らの勢いが続いたのも、いえ、シメオネ監督は「前半45分は今季、ウチの最高のバージョンに近かった」と絶賛していましたけどね。いいところ20分ぐらいまでで、それからはバイエルの猛攻一辺倒。とりわけ後半に入ってからはアラバのミドルシュートがゴールバーを直撃するわ、CKからのハビ・マルティネスのヘッドはGKオブラクが止めてくれましたが、どういう意図か、グアルディオラ監督がベンチスタートに選んだリベリやミュラーが次々と投入されるにつれ、もうゲームはピッチの片側だけ見ていれば済むようになってしまったとなれば、スタンドのファンたちがどんなにハラハラしたことか。
▽うーん、それでも30分には珍しくアトレティコもチャンスが生まれ、フェルナンド・トーレスのシュートが惜しくもゴールポストに弾かれるなんてこともあったんですけどね。それをフリーで蹴り返したコケの一撃もGKノイアーの正面を突いてしまいましたし、シメオネ監督も、お腹を打ったサウルが昨季のCLレバークーゼン戦のように腎臓が破裂するまで我慢してはいけないと思ったんでしょうか。自ら交代を頼んだ38分まで戦力をリフレッシュしようとしませんでしたしね。いくら「las guerras no las gana el que tiene mas soldados, sino el que los usa mejor/ラス・ゲラス・ノー・ラス・ガナ・エル・ケ・ティエネ・マス・ソルダードス、シノ・エル・ケ・ロス・ウサ・メホール(戦争は兵士が多い方が勝つんじゃない。上手く使った方だ)」(シメオネ監督)と言ったって、無尽蔵に優秀なアタッカーを繰り出してくる相手をよくまあ、最後まで無失点で抑えられたものです。
▽結果、1-0での勝利をゲットしたアトレティコだったんですが、さすがバルサを指揮していたグアルディオラ監督のチーム。試合後は、そのせいでビセンテ・カルデロンで前日練習をせず、ラージョのエスタディオ・バジェカスで当日のアップをしたんでしょうかね。「El cesped estaba seco/エル・セスペッド・エスタバ・セコ(芝が乾いていた)」という監督を筆頭に、「ウチはスピードあるプレーをして、素早いパスでチャンスを作る気で来たのに乾燥した芝で難しくなった」(ハビ・マルティネス)といったように、ピッチコンディションに対する文句のオンパレードでしたけど、元々、パスが苦手で、とりわけその日の後半なんて成功率はたったの57%(バイエルンは83%)。ポゼッションも試合を通して30%ちょっとしかなかったアトレティコにとって、足元はあまり関係ないようですからね。
▽その欠点を13キロも走って補っているコケなどは、「Esto es futbol/エスト・エス・フトボル(それがサッカー)。ウチは自分たちの武器で戦うだけだよ。2ndレグじゃ、向こうが芝を好きなようにしたらいい」と開き直っていましたが、これって自慢するにはちょっと空しい?逆に大いに誇っていいのは、彼らのチームスピリットで、シメオネ監督曰く、「まだケガの完治していないチアゴに合宿に来てチームと一緒にいたいかと訊いたら、そうすると言う。足首が腫れているカラスコも出してくれと頼んできた。オリベルはしばらくぶりで招集リストに入ったにも関わらず、風邪を引いて、『プレーしたいけど、チームを助けられる状態にありません』と申し出てきた。Eso es lo que es hoy el Atletico/エソ・エス・ロ・ケ・エス・オイ・エル・アトレティコ(これが今のアトレティコだ)」そう。
▽皆が一丸となっている様子がアリアリと浮かんで、感動する逸話ですが、何せバイエルンは昨季など、準々決勝でポルトにアウェイで3-1と先勝されながら、ホームで6-1とあっさり逆転してしまったように、「Ningun resultado que hubieramos conseguido hubiera sido definitivo/ニングン・レスルタードー・ケ・ウビエラモス・コンセギードー・ウビエラ・シードー・デフィニティーボ(どんな結果を得たとしても決定的ではないだろう)」(トーレス)という強豪ですからね。
▽来週火曜の2ndレグでもアトレティコの守りが崩れず、運良く1点ぐらい取れるような展開になれば、「La mayoria de los atleticos pensaran que ya estan en Milan/ラ・マジョリア・デ・ロス・アトレティコス・ペンサラン・ケ・ジャー・エスタン・エン・ミラン(アトレティコサイドの大半はもうミラノの決勝にいられると考えているだろう)」(シャビ・アロンソ)なんてこと全然ない、ファンたちの苦しみも少しは軽減されると思うのですが…。
▽え、そんなCLの激闘の余韻に浸っている間もなく、土曜にはもう三つ巴の優勝争いが続いているリーガ戦がやって来るんじゃないかって?そうなんですよ。またしても3強は午後4時(日本時間午後11時)から連続して試合で、6時間に渡って緊張していないといけない恐ろしい日となるんですが、トップバッターはアノエタ(レアル・ソシエダのホーム)でプレーするマドリー。相手はすでに残留が決まり、目的のないチームですが、ロナウドとベンゼマが水曜のCL戦での復帰を目指してリハビリしているため、この試合は欠場、更にジダン監督はクロースにも休養を与えています。幸い、シティ戦で打撲を受けたヘセは回復し、その試合で出番のなかったハメス・ロドリゲスや少ししかプレーしていないイスコが頼られることになりますが、今シーズン、アウェイでは度々、勝ち点を失っている彼らだけに、厳しい戦いになるかもしれませんね。
▽そして次の時間帯、午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からキックオフするのがアトレティコで、こちらはラージョをビセンテ・カルデロンに迎えてのミニダービー。うーん、前節はお隣さんに逆転負けを喰らい、降格圏からの距離が勝ち点3と変わらず、まだ残留が決まっていない弟分チームに勝たないといけないというのは、私も心苦しいものがあるんですけどね。ここで後れを取っては、ミュンヘン遠征に弾みがつきませんって。まだゴディン、カラスコ、チアゴも招集リストに戻らず、ジダン監督程、ローテーションもしないシメオネ監督ですけどね。今回はコレアやトーマス辺りを先発に使って、上手く選手たちの体力をセーブしながら、勝利が掴めるといいのですが、さて。ラージョには残り2試合、レアル・ソシエダ戦、レバンテ戦で何とか、やり繰りしてくれることを期待しています。
▽その後、土曜午後8時半(日本時間翌午前3時半)からがベティスvsバルサ戦なんですが、アトレティコとはゴールアベレージで上なだけで勝ち点は同じ、マドリーとは1ポイント差の首位チームが有利なのは、彼らがCL準々決勝で前者に敗れ、今週はミッドウィークの予定が練習以外、決起ランチだけだったこと。MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)も休養十分ですし、ここ2試合は大量得点して勝っていますしね。すでに残留の決まったベティスでは、たとえGKアダンが古巣のマドリーが優勝できるようにしたいと息巻いていても、勝利まで望むのは難しいかもしれません。
▽一方、ラージョより大変なことになっている19位のヘタフェは生き残りを懸けて、日曜にデポルティボとアウェイで対戦するんですが、前節は惜しいところでバレンシアに追いつかれ、降格圏から抜けることができませんでしたからね。金曜には一足先に試合をしたスポルティングがエイバルに勝利したため、焦りもあるかと思いますが、可能性がある限り、続くスポルティング、ベティス戦まで全力を尽くすのみかと。ここ10年以上、保持することができたリーガ1部チームのステータスを何とか守れるといいのですが。
▽ちなみに彼ら、マドリードの両雄の1stレグがどうだったのか、まずはお話ししていくことにすると。いやあ、火曜は丁度、ビセンテ・カルデロンでアトレティコvsバイエルンの前日記者会見があったため、家を空けていた私は大急ぎで帰宅してTVをつけるまで、月曜にはエティハド・スタジアムでチームメートと一緒に練習していたロナウドがまたしても右太ももを負傷。当日はスタメン落ちどころか、ベンチ外になったことも知らなかったんですけどね。そのため、ルーカス・バスケスが先発に入ることになりましたが、ベイルだってベンゼマだっているマドリーですよ。それがまさか、マンチェスター・シティから1点も取れないなんて一体、誰が想像した?
▽うーん、アグエロはアトレティコ時代同様、ペペがガッツリ抑えていましたし、前半39分には1人、敵の中で違いを見せていたシルバもケガで交代したため、その後は攻撃に専念できたマドリーでしたけどね。間が悪いことに先日のラージョ戦でもハーフタイムでヒザが痛くなって交代したベンセマが、この日も今度は腰が痛くなって後半出られず。代わって入ったヘセは25分、ゴールバーに当てるシュートを放ったものの、得点するまでには至りません。おまけにセットプレーからカセミロ、ペペの決定的な一撃をGKジョー・ハートにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、結局、0-0で終了となれば、要は「La eliminatoria sigue al 50%/ラ・エリミナトリア・シゲ・アル・シンクエンタ・ポル・シエントー(勝負は五分五分のまま)」(ジダン監督)ということです。
▽一方、火曜はスタジアムのVIPルームを満員にして開かれた試合前日記者会見に訪れた際、会場に入るのにピッチを通らなければいけないのをいいことに、芝の長さを自身の目で検分、更に女性スタッフに採寸までさせていたグラディオラ監督率いるバイエルンと戦ったアトレティコの1stレグはどうだったかというと。いやあ、前回の準々決勝バルサ戦同様、火曜に合宿入りした時には300人程のサポーターがbengala(ベンガラ/発煙筒)を炊きまくってお出迎え、ビセンテ・カルデロン入りも凄い騒ぎで、キックオフ前のスタンド全面モザイクや「Atleti Yo Contigo A La Final/アトレティ・ジョ・コンティーゴ・ア・ラ・フィナル(アトレティコと私、一緒に決勝へ)」という横断幕、アカペラのイムノ(クラブ歌)合唱などはホントに選手たちを勇気づけるんでしょうね。
▽というのも相手は天下のバイエルンだというのに、彼らは敵を気合で圧倒すべく、猛烈なプレスをかけてスタート。その効果が出たのは早くて、10分にはサウルが中盤から突進すると、チアゴ・アルカンタラ、ベルナト、シャビ・アロンソと3人のスペイン人選手を振り切ってエリア内に入っていくから、ビックリしたの何のって。いえ、それどころか、最後はアラバもかわして左足で撃ったシュートが先制ゴールになるなんてこと、あっていい?
▽いやあ、グアルディオラ監督も後で「質の高さは賞賛するが、estaria bien para Saul no compararlo con Messi/エスタリア・ビエン・パラ・サウル・ノー・コンパラールロ・コン・メッシ(メッシとは比べない方がサウルにはいいだろう)」と言っていたように、だからってまだ21歳で、基本的にはMFの彼のプレーを人間の範疇を越えていると思われている選手のようだと、誰もが誉めそやすのは、ちょっと大袈裟な気がするんですけどね。「2人を抜いたから、エリアに入ってシュートを撃ちたかった。敵の前に着いてラッキーだったね」という当人も、「自分が決めたゴールの中でseguro que es el mas importante/セグロ・ケ・エス・エル・マス・インポルタンテ(一番、重要なものだったのは確か)」と喜んでいましたが、いえいえ。この先、もっとアトレティコにとって大事なゴールを決めてくれなくちゃダメですよ。
▽ただそんな彼らの勢いが続いたのも、いえ、シメオネ監督は「前半45分は今季、ウチの最高のバージョンに近かった」と絶賛していましたけどね。いいところ20分ぐらいまでで、それからはバイエルの猛攻一辺倒。とりわけ後半に入ってからはアラバのミドルシュートがゴールバーを直撃するわ、CKからのハビ・マルティネスのヘッドはGKオブラクが止めてくれましたが、どういう意図か、グアルディオラ監督がベンチスタートに選んだリベリやミュラーが次々と投入されるにつれ、もうゲームはピッチの片側だけ見ていれば済むようになってしまったとなれば、スタンドのファンたちがどんなにハラハラしたことか。
▽うーん、それでも30分には珍しくアトレティコもチャンスが生まれ、フェルナンド・トーレスのシュートが惜しくもゴールポストに弾かれるなんてこともあったんですけどね。それをフリーで蹴り返したコケの一撃もGKノイアーの正面を突いてしまいましたし、シメオネ監督も、お腹を打ったサウルが昨季のCLレバークーゼン戦のように腎臓が破裂するまで我慢してはいけないと思ったんでしょうか。自ら交代を頼んだ38分まで戦力をリフレッシュしようとしませんでしたしね。いくら「las guerras no las gana el que tiene mas soldados, sino el que los usa mejor/ラス・ゲラス・ノー・ラス・ガナ・エル・ケ・ティエネ・マス・ソルダードス、シノ・エル・ケ・ロス・ウサ・メホール(戦争は兵士が多い方が勝つんじゃない。上手く使った方だ)」(シメオネ監督)と言ったって、無尽蔵に優秀なアタッカーを繰り出してくる相手をよくまあ、最後まで無失点で抑えられたものです。
▽結果、1-0での勝利をゲットしたアトレティコだったんですが、さすがバルサを指揮していたグアルディオラ監督のチーム。試合後は、そのせいでビセンテ・カルデロンで前日練習をせず、ラージョのエスタディオ・バジェカスで当日のアップをしたんでしょうかね。「El cesped estaba seco/エル・セスペッド・エスタバ・セコ(芝が乾いていた)」という監督を筆頭に、「ウチはスピードあるプレーをして、素早いパスでチャンスを作る気で来たのに乾燥した芝で難しくなった」(ハビ・マルティネス)といったように、ピッチコンディションに対する文句のオンパレードでしたけど、元々、パスが苦手で、とりわけその日の後半なんて成功率はたったの57%(バイエルンは83%)。ポゼッションも試合を通して30%ちょっとしかなかったアトレティコにとって、足元はあまり関係ないようですからね。
▽その欠点を13キロも走って補っているコケなどは、「Esto es futbol/エスト・エス・フトボル(それがサッカー)。ウチは自分たちの武器で戦うだけだよ。2ndレグじゃ、向こうが芝を好きなようにしたらいい」と開き直っていましたが、これって自慢するにはちょっと空しい?逆に大いに誇っていいのは、彼らのチームスピリットで、シメオネ監督曰く、「まだケガの完治していないチアゴに合宿に来てチームと一緒にいたいかと訊いたら、そうすると言う。足首が腫れているカラスコも出してくれと頼んできた。オリベルはしばらくぶりで招集リストに入ったにも関わらず、風邪を引いて、『プレーしたいけど、チームを助けられる状態にありません』と申し出てきた。Eso es lo que es hoy el Atletico/エソ・エス・ロ・ケ・エス・オイ・エル・アトレティコ(これが今のアトレティコだ)」そう。
▽皆が一丸となっている様子がアリアリと浮かんで、感動する逸話ですが、何せバイエルンは昨季など、準々決勝でポルトにアウェイで3-1と先勝されながら、ホームで6-1とあっさり逆転してしまったように、「Ningun resultado que hubieramos conseguido hubiera sido definitivo/ニングン・レスルタードー・ケ・ウビエラモス・コンセギードー・ウビエラ・シードー・デフィニティーボ(どんな結果を得たとしても決定的ではないだろう)」(トーレス)という強豪ですからね。
▽来週火曜の2ndレグでもアトレティコの守りが崩れず、運良く1点ぐらい取れるような展開になれば、「La mayoria de los atleticos pensaran que ya estan en Milan/ラ・マジョリア・デ・ロス・アトレティコス・ペンサラン・ケ・ジャー・エスタン・エン・ミラン(アトレティコサイドの大半はもうミラノの決勝にいられると考えているだろう)」(シャビ・アロンソ)なんてこと全然ない、ファンたちの苦しみも少しは軽減されると思うのですが…。
▽え、そんなCLの激闘の余韻に浸っている間もなく、土曜にはもう三つ巴の優勝争いが続いているリーガ戦がやって来るんじゃないかって?そうなんですよ。またしても3強は午後4時(日本時間午後11時)から連続して試合で、6時間に渡って緊張していないといけない恐ろしい日となるんですが、トップバッターはアノエタ(レアル・ソシエダのホーム)でプレーするマドリー。相手はすでに残留が決まり、目的のないチームですが、ロナウドとベンゼマが水曜のCL戦での復帰を目指してリハビリしているため、この試合は欠場、更にジダン監督はクロースにも休養を与えています。幸い、シティ戦で打撲を受けたヘセは回復し、その試合で出番のなかったハメス・ロドリゲスや少ししかプレーしていないイスコが頼られることになりますが、今シーズン、アウェイでは度々、勝ち点を失っている彼らだけに、厳しい戦いになるかもしれませんね。
▽そして次の時間帯、午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からキックオフするのがアトレティコで、こちらはラージョをビセンテ・カルデロンに迎えてのミニダービー。うーん、前節はお隣さんに逆転負けを喰らい、降格圏からの距離が勝ち点3と変わらず、まだ残留が決まっていない弟分チームに勝たないといけないというのは、私も心苦しいものがあるんですけどね。ここで後れを取っては、ミュンヘン遠征に弾みがつきませんって。まだゴディン、カラスコ、チアゴも招集リストに戻らず、ジダン監督程、ローテーションもしないシメオネ監督ですけどね。今回はコレアやトーマス辺りを先発に使って、上手く選手たちの体力をセーブしながら、勝利が掴めるといいのですが、さて。ラージョには残り2試合、レアル・ソシエダ戦、レバンテ戦で何とか、やり繰りしてくれることを期待しています。
▽その後、土曜午後8時半(日本時間翌午前3時半)からがベティスvsバルサ戦なんですが、アトレティコとはゴールアベレージで上なだけで勝ち点は同じ、マドリーとは1ポイント差の首位チームが有利なのは、彼らがCL準々決勝で前者に敗れ、今週はミッドウィークの予定が練習以外、決起ランチだけだったこと。MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)も休養十分ですし、ここ2試合は大量得点して勝っていますしね。すでに残留の決まったベティスでは、たとえGKアダンが古巣のマドリーが優勝できるようにしたいと息巻いていても、勝利まで望むのは難しいかもしれません。
▽一方、ラージョより大変なことになっている19位のヘタフェは生き残りを懸けて、日曜にデポルティボとアウェイで対戦するんですが、前節は惜しいところでバレンシアに追いつかれ、降格圏から抜けることができませんでしたからね。金曜には一足先に試合をしたスポルティングがエイバルに勝利したため、焦りもあるかと思いますが、可能性がある限り、続くスポルティング、ベティス戦まで全力を尽くすのみかと。ここ10年以上、保持することができたリーガ1部チームのステータスを何とか守れるといいのですが。
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