【日本サッカー見聞録】高倉監督就任も女子代表の監督育成に不安あり
2016.04.28 14:06 Thu
▽JFA(日本サッカー協会)は4月27日、「なでしこジャパン」の監督にU-20日本代表監督の高倉麻子氏が就任したと発表した。女性がフル代表の監督に就任するのは男女を通じて初めてのこととなる。高倉監督は2014年にU-17女子日本代表を率いてW杯を制覇するなど実績も十分。今後は「ヤングなでしこ(U-20女子日本代表)」と「なでしこジャパン」の監督を兼任し、2020年の東京五輪でメダルを目指すことになる。
▽こうして誕生した高倉ジャパンではあるが、不安材料もある。それは、彼女に続く人材が見当たらない点だ。例えば男子のフル代表の場合、オフト監督以降は外国人監督の時代が長いものの、加茂氏や岡田氏ら日本人監督が指揮した時代もあった。最近ではJリーグで結果を残した森保監督や長谷川監督を推す声もある。しかし女子の場合は、なでしこリーグでいくら結果を残しても、それが代表監督にはつながらない。リーグでの手腕と代表監督はリンクしていないのだ。
▽かつて日テレ・ベレーザやINAC神戸で黄金時代を築いた星川監督も、寂しそうにそのことを指摘していた。前任の佐々木監督も女子リーグの監督経験はなく、女子日本代表のコーチやU-17女子代表の監督からキャリアをスタートさせ、「なでしこジャパン」で頂点を極めている。こうした構造が変わらない限り、女子日本代表のスタッフは慢性的に人材不足に陥らないかと不安を抱かざるをえない。
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▽U-17女子日本代表を率いてW杯を制した高倉監督の、「なでしこジャパン」監督就任は既定路線だった。問題は、どのタイミングで就任するかにあった。前監督の佐々木氏の任期は昨年8月に中国で開催された東アジアカップまで。この大会を若手中心に臨んだ日本だったが、1勝2敗で3位に沈む。他国がフル代表を送り込んできたため、佐々木監督もそれほど結果には悲観していなかった。「なでしこジャパン」なら間違いなく勝てると思ったことは想像に難くない。▽その大会期間中、関係者と話したところ、なかなか若返りが進まない「なでしこジャパン」に危機感を抱きつつも、「高倉は日本の切り札なので、万が一、監督に就任してリオ五輪予選で敗退したら傷をつけることになるし、辞任に追い込まれるだろう」と危惧していた。佐々木監督の続投が決まったのは9月に入ってから。その間、どのような綱引きがあったのかは不明だが、結果的に関係者の不安は的中し、「なでしこジャパン」はリオ五輪の出場権を逃してしまった。▽かつて日テレ・ベレーザやINAC神戸で黄金時代を築いた星川監督も、寂しそうにそのことを指摘していた。前任の佐々木監督も女子リーグの監督経験はなく、女子日本代表のコーチやU-17女子代表の監督からキャリアをスタートさせ、「なでしこジャパン」で頂点を極めている。こうした構造が変わらない限り、女子日本代表のスタッフは慢性的に人材不足に陥らないかと不安を抱かざるをえない。
▽高倉監督の誕生は喜ばしい限りだし、期待もしている。だからこそ、次を見据えた人材育成を今井女子委員長や田嶋JFA会長には期待したい。
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